家づくりの中でも間取りというのはとても楽しみなもの。
家の間取りについて考えながら新しい生活に向けてウキウキされている方も多いのではないでしょうか。
そんな家づくりの中でも重要な間取りですが、楽しいだけではなく家を建てるならやはり住み心地の良い間取りにしたいものですよね。
少なくとも今住んでいる家の不満は解決している間取りにしたいと考えている方がほとんどだと思います。
このように家づくりの醍醐味とも言える間取りですが、それだけ重要だからこそ避けたいこともあります。
そう、間取りの失敗です。
新しい家でこれから何年も暮らして行くことになるので不便な事は避けたいですし、間取りで失敗してしまうと場合によっては後悔がずっと続いてしまうなんてことも。
そのため、間取りの失敗というのはできる限り避けたいものですよね。
そこで今回は、間取りで失敗しないために必ず知っておきたいことを、これまで家を建てた方の体験談を元にプロの建築士が失敗しない方法についてご紹介していきたいと思います。
これから家づくりをされる方や、間取りでお悩み中の方はぜひご覧ください。
家の中が暗いんです(明るさの失敗)
間取りで後悔される方が多いのが家の明るさについて。
プロの建築士に間取りを作ってもらったのなら当然明るい家になっているだろうと思っていたけども、実際に住んでみると思ったよりも家の中が暗く感じるというのはよく耳にする話です。
特に家族が集まるリビングは光が入らないと暗い雰囲気になってしまうので日中も電気をつけているなんてこともあります。
明るさというのは場所によっても変わってくるので、リビングの隣に設けた和室は日が入って明るいけども、隣のリビングは暗いので部屋の配置を間違えたなんてケースも。
その他、部屋はある程度光が入っていても、玄関や階段が思ったよりも暗くて失敗したという話や、隣が最初空き地だったので明るい家だったけども、隣に家が建って途端に家の中が暗くなってしまったなど環境の変化に間取りが対応していなくて家の中が暗くなってしまう場合もあります。
そしてこのような家の中が暗くなってしまう1番の原因としては、設計者と家を建てる人との明るさの感覚の違いが大きな原因となります。
「明るい家にしたい」とひと言で伝えたとしても、人によって「明るい家」の基準が違うからなんですね。
たとえば、家にどのくらいの明るさが欲しいかは実際のモデルハウスやシュールームなどで共通認識を取っておくことが明るさで失敗しない1番の対処方法になります。
また、すごく明るい家にしたいのであれば2階リビングも選択肢に入ってくるかもしれませんし、周りの環境に左右されにくいようにあらかじめ吹き抜けを設けておくというのも効果的です。
さららには間取りの段階で暗くなりそうな場所が無いかどうかチェックしながら窓を見ることで、玄関や階段などが暗いというケースも避けることができます。
家が建ってからだと家の明るさを変えることはかなり難しいので、間取りの段階で明るさ問題は解決しておきたいですね。
暗い家というのはやはり避けたいもの。
「明るい家になってるだろう」ではなく、「これくらい明るくしたい」という希望が叶っているか確認することで、家の明るさの失敗は相当減らすことができるんですね。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
→【保存版】2階リビングのメリット、デメリットをまとめました
明るさの失敗で多い事例
- 玄関に光が入らなくて家に入った時の印象が暗くなったり、靴を履くのに必ず照明がいる。
- リビングの明るさが想定していたものと違った。
- 階段や廊下に窓が無かったり窓が小さいため暗い雰囲気の階段や廊下になってしまった。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 家の明るさについて、まずは設計者とどれくらいの明るさを目指すかコンセンサスを取る。
- 空間の広さに対してどれくらいの窓が有り、どれくらいの光が入るか担当者に確認する。
- 玄関や階段は明るさを見落としがちですが、家の中では重要な場所。部屋と同じように光が入るようにする。
風が全然入らない(窓の失敗)
「明るい家にしたい」という要望と共に、「風通しの良い家にしたい」という方も多くいらっしゃいます。
やはり家を建てるなら風通しの良い家にしたいですし、季節の良い時期に家の中を抜ける風は心地良いものですよね。
でも、「窓を開けても風がほとんど入らなくて間取りの時に風通しについてしっかり考えておけばよかった」という失敗もよく耳にします。
このような風通しの悪い間取りになってしまう大きな原因としては風の出入り口が適切に確保されていないことが原因です。
窓が風が入るように適切に配置されていないんですね。
窓の配置場所もそうですし、選んだ窓の種類によっても風通しというのは違ってくるからです。
また、風は夏は南風、冬は北風が吹くというイメージが強いですが、地域によって風が吹いてくる方向というのは季節によっても違いますし、昼と夜でも風向きが変わるのが一般的です。
そのため、地域性も考慮しながら適切な窓を配置することが風通しで失敗しないためにとても重要なんですね。
窓の失敗で多い事例
- 家の中の風があまり抜けない。
- 窓から家の中に風が入ってこない。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 風は入口と出口があって初めて抜けるようになります。部屋に1つしか窓が無い場合は2つにして入口と出口を作ったり、1方向だけでなく複数の方向へ風の通り道を作ると効果的です。
- 地域の風向きを考慮した窓の配置や、家と家の間を抜ける風を取り込むように窓を配置する。(引違い窓を縦すべり窓に変えるなど)
家事動線を考えていなかった(動線の失敗)
家の家事は毎日のことです。
そのため少しの時間でもそれが毎日積み重なると相当な時間になっていきます。
忙しい毎日のことを考えると、家を建てるならやはり家事がしやすい間取りにしたいですよね。
家事の動線を考える場合、水回りを1箇所にまとめたり、洗濯物を2階に干す場合は洗面室と階段が離れすぎないように配置するなどの方法を取ることが考えられますが、家事とひと言で言っても人によって家事の仕方はさまざま。
洗濯を朝にする人もいれば夜にする人もいますし外に洗濯物を干す人もいれば洗濯物は室内干しという方もいます。
さらには、乾いた洗濯物をどこに収納するかなども人によって違います。
このように家事動線は人によって正解が違ってくるので、まずはあなたがどのように家事をするのが楽かを設計者に伝えるのが、家事動線で失敗しない間取りをつくるために重要なんですね。
そして、その間取りの中であなたがどのように動くことになるか1度シミュレーションしてみる。
これが家事動線で失敗しないための1番有効な方法になります。
→その間取りは動線が考えられていますか?家の間取りと動線について
動線の失敗で多い事例
- 洗濯物を干すのに家の中をグルッと回らないと洗濯物が干せない。
- TVとソファの間を人が頻繁に通る。
- 階段の位置が家の端にあるため、家の端から端まで移動しないと2階の部屋へたどり着けない。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 洗濯物をしながらキッチンで料理をする、家に帰ってきたら手を洗って服を着替えるなど、どのような生活パターンが暮らしやすいのか。この部分を意識して間取りを見てみる。
- キッチンと水回りの距離感は必ず1度は確認する。
- 間取りの中で朝起きてから寝るまでをシミュレーションしてみる。
車の出し入れが大変!(駐車スペースの失敗)
家の間取りに集中しすぎて、ついつい忘れがちになってしまうのが車の出し入れについて。
間取り図の中に車の絵が描いてあったから安心と思っていても、いざ車の出し入れをする時に「車が止めにくい!」なんて失敗が起こってしまうこともよくあるんですね。
特に家の前の道路が狭い場合や道路に電柱がある場合なんかは、より車が止めにくくなってしまいます。
では、車の出し入れで失敗しないためにはどうすればいいのでしょうか?
駐車場で失敗しない方法としては、どんな車を止めることになるのかを明確に伝えること、また車がどういう軌道で出入りすることになるかを間取り図の中に書き込んでもらうことで失敗を防ぐことができるようになります。
さらには今の車のサイズだけでなく、将来止める可能性のある車の中で1番大きい車種を伝えておくと将来車を乗り換えた時も安心です。
また、車の運転や駐車が苦手な場合は建築士に遠慮なく伝えて置くのも効果的な方法ですよ。
駐車場の位置や大きさというのはよほど広い敷地でない限り、後で変更するというのは中々難しいものです。
そのため間取りの最初の段階で確認するというのも忘れないようにしておきたいですね。
その他では自転車を止めるスペースもチェックしておきたいポイント。
自転車置き場が駐車場のすぐ隣で車をちょこちょこ擦ってしまうなど、駐輪場はトラブルが起こりやすい部分でもあります。
自転車を移動させる際に敷地内でどう動くか。
この部分も確認しておきたいですね。
駐車スペースの失敗で多い事例
- 駐車するのに家や庭が邪魔になってしまい、車を止める場合に何度も切り返しが必要となり車が止めにくい。
- 図面には車が入っていたけども、実際に車を止めたらスペースがギリギリでドアを開けづらい。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 将来も含めて止める可能性のある一番大きなサイズの車を図面に入れてもらう。
- 希望の駐車方法があれば、あらかじめ担当者に伝えておく。
- 自転車の動きも確認しておくとベスト。
収納が使いにくくて・・(収納の失敗)
Photo:http://www.aqura.co.jp/gallery/sw0015/detail/973/
収納の失敗で多いのが、収納が足りないという失敗の他に、収納が使いづらいという失敗。
図面の中に収納が無いと「なんだか収納が少なそうな間取りだな」と気付きやすいのですが、図面に収納と書いてあればそれだけで収納があるから大丈夫かとついつい思ってしまいがちです。
でも、大切なのは「収納があること」ではなく「物を収納できる」ことですよね。
そのため、収納内の作り方というのが収納で失敗しないためにはとても重要になります。
適材適所に適切な高さ、サイズ、奥行きにした上で物に合わせて棚などが配置された収納を設けることが大切なんですね。
特にロフトなど大きな空間の収納は、どのように使うか、物の搬入は問題ないかなど、実際に生活した時の目線に立って収納を考えることで失敗を減らすことができます。
また、収納の失敗で多いのがリビングの収納。
リビングは郵便物や小物などいろんな物が集まりやすい場所なので収納の最重要ポイントです。
リビングは広さを重視してついつい収納がないリビングになってしまうなんてこともありますが、収納は必ず設けておくのが収納の失敗をなくすためには必須となります。
特にリビングは小物が増えがちなので奥行きがある収納よりも、小まめに物を入れられる収納があると便利です。
リビングに収納を配置すると部屋の形が変になるのでどうしても収納を設けられないという場合は、あまり高さがなく圧迫感が少ないオシャレな家具を置いておくのも効果的ですよ。
→2畳、3畳、4畳のウォークインクローゼット、服は何枚掛けられる?
→ロフトのある家って実際どうなの?100棟以上見てきた正解がコチラです。
→ウォークインクローゼットの失敗しない作り方とベストな収納方法
→パントリーを上手く使って収納上手に!メリット、デメリットと理想の収納方法
→おしゃれなリビングにするための収納術。片付く部屋にする方法をご紹介します。
収納の失敗で多い事例
- リビングやダイニングに収納が少なく、物が散らかってしまう。
- 洗面室やトイレなど、その場所で使うものを収納できる場所を作ればよかった。
- 収納の扉が開けにくくて使いづらい。
- 収納の奥行きが収納したい物と合っていなくて使いにくい。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 今の生活を振り返り、どこに物が溢れているか、どこに収納があると便利だと思うのかを一度考えた上で間取りを作る。
- 収納は物を入れる場所なので、扉を開けた時に物を入れやすいか、また取り出しやすいかを確認する。(折戸の向きやドアの開き勝手など)
- 小物を収納する場合は奥行きの浅い収納、服を収納したい場合は服のサイズに合った収納、布団を収納したい時は押入くらい奥行きがある収納にするなど、収納したいものによって最適な奥行きは様々。メインで入れる物に最適な奥行きの収納にすると使いやすくなります。
- 収納内は可動棚にしておくと、入れるものが変わった時も対応がしやすく、収納量も増やすことができます。
ドアにぶつかってしまう(建具の失敗)
家の中の建具は部屋と部屋を区切るために必要なものですが、時には凶器のようになってしまうケースもあります。
例えば階段の降り口や登り口のすぐそばにドアがあれば階段を上り下りする人にぶつかってしまう可能性は高くなりますし、下手をすると階段を転げ落ちるなんてことも。
また、人がよく通る動線となっている場所にトイレなどのドアがあると、それも人にぶつかってしまう原因となってしまいます。
大人でも危険なのに、小さなお子さんの場合はより大きな怪我につながってしまうので危険なドアは間取りの段階で回避しておきたいですね。
このような間取りの失敗を避ける方法としては、間取りの中でドアを開けた時、人にぶつかる可能性が高いのかどうかを確認することでドアに人がぶつかるという失敗はかなり減らすことができますし、場合によっては引き戸に変えてあげるなどの対策を間取りの段階であらかじめ取っておくのも効果的です。
ドアの失敗で多い事例
- ドアを開けると階段を上り下りする人にぶつかってしまいそうで怖い。
- キッチンの横に洗面室を作ったけども、火を使っている時に人が急に洗面室から出てきて危なく感じる。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 引戸にできる場所は引戸にしてドアと人がぶつからないようにする。
- トイレのドアを開けると廊下を歩いている人に当たってしまう場合などは、トイレの奥行きをコンパクトにしてドアが少しでも人に当たりにくいようにする。(部屋は基本内開きなのでドアが廊下を歩く人に当たることは無いですが、トイレは外開きなので人に当たる危険性があるため)
- ドアの向こうに人が居るか確認しておきたい場所にはドアスコープをつけるなど人の気配が分かるようにする。
広いバルコニーにしたけども・・(優先順位の失敗)
広いバルコニーに憧れて広いバルコニーを作ったけども、結局は洗濯物くらいしかバルコニーを使わない。
これはよく耳にする間取りの失敗例です。
憧れと実際に必要かどうかはまた別なんですね。
同じようなケースとして屋上も実際にほとんど使っていないというのもよくあるケースです。
あまり使わないのであれば、その分部屋を広くしたりインテリアや家の性能、設備に予算を回した方が費用対効果は高いですね。
そのため生活に必ず必要なもの以外は、本当に必要なものなのかどうか振り返ってみるのが間取りで失敗しないためにとても重要になります。
「何となく有ったらいいな、使うかも」ではなく優先順位をハッキリさせる。
これは家づくりでとても大切なことなんですね。
→バルコニー(ベランダ)を失敗しないために必ず知っておきたい5つのこと
優先順位の失敗で多い事例
- 要望が入った間取りにしてもらったけども、実際にはあまり使わない場所がある。
- 予算オーバーしてしまい間取りが作り直しになるのであれば、最初から予算にメリハリをつけておけば良かった。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 間取りを作る前に、家を建てるのに「必ず叶えたいこと」、「できれば叶えたいこと」、「余裕があれば入れたい物」というように、優先順位をつけた上で間取りを作ってもらう。
- 間取りで迷った時は、「必ず叶えたいこと」が叶った家になっているか、叶えたい暮らしが実現しているかどうかを振り返ってみる。
欲しい場所にコンセントがない(電気配線の失敗)
「コンセントが欲しい場所にない!」
「家具を置いたらコンセントが使えない!」
こういうコンセントの失敗談は本当によく聞きますよね。
このようにコンセントで失敗してしまう原因として、その間取りの中での生活イメージがしっかりできていないことが大きな要因です。
例えば、家具をどこに置くか、掃除をする時にコンセントは問題ないか、扇風機など家電を使う時に近くにコンセントはあるか、スマホなどを充電するのは大丈夫かなど、実際に生活する時にどこにコンセントが欲しいかを考えてみると、コンセントの失敗は少なくなります。
また、コンセントと同じように多いのがスイッチの失敗。
部屋に入ったらスイッチが遠くてなかなか電気が付けられなかったり、欲しい場所にスイッチが無いなんて失敗はよくあります。
こちらもコンセントの失敗と同じように、その間取りでの生活のシミュレーションができていない事が原因なので、夜に家の中を移動する時に不便が無いかどうかシミュレーションしてみるとスイッチの失敗を減らす事ができます。
電気配線の失敗で多い事例
- 欲しい場所にコンセントがない。コンセントの数が足りずにタコ足配線になってしまっている。
- 家具を置くとコンセントが使えなくなってしまった。
- スイッチが遠くて部屋に入ってからすぐに照明を付けられない。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 図面には必ず置く予定の家具を入れてもらい、家具の影に隠れてしまうコンセントが出ないようにする。
- 家電が集まる場所では同時にいくつのコンセントが必要かを想定して置く。
- コンセントの位置や数が足りているかを確認する場合、掃除機をかける時に問題なく掃除機をかけることができるかどうかをシミュレーションしてみると、満遍なくコンセントが配置されているか確認できます。また、充電器を使うことが想定される場所にもコンセントがあると便利です。
冬場、家の中が寒い!(家の性能の失敗)
家の性能というと、断熱材などの性能次第のように思ってしまうこともありますが、間取り次第で寒く感じてしまう間取りになってしまうこともあります。
例えば間取りの失敗であれば、玄関の寒さが家の中に入ってくるという失敗があります。
家というのは玄関土間の土間部分が寒さを引っ張ってくるケースが多くあり、広い玄関土間を作ったけども寒さ対策を取っていないことで家の中が寒くなってしまうんですね。
その他、リビング階段も寒いという声も耳にしますが、リビング階段が寒いと感じるのは家の性能が低いので寒く感じることがほとんどで、リビング階段だから寒いという家は間取りよりも根本的な家の性能面で問題があります。
たしかにリビング階段にするとリビングと2階が繋がるので体積が増えて部屋が暖まるまでの時間は少し長くなりますが、今の家は家全体をスッポリ断熱材で包むような造りになっているのでリビングがずっと寒いという事はなく、ずっとリビングが寒いままというのは家の中から暖かい空気が外に逃げていってしまっているですね。
そのため、家が寒いという失敗を避けるためには、まずは家の断熱性能を上げることが1番効果が高い方法になります。
また、窓を増やしすぎると家の性能を下げてしまうので、無駄な窓が無いかどうかは間取りで必ずチェックしておきたいポイントです。
窓は家の中の熱が1番逃げてしまう場所だからなんですね。
たとえば、ほとんど風や光が入らないのに窓が付いていると、窓の効果がないのに家の性能を下げる原因となってしまいます。
そうならないように、窓は1つずつ設計士に意味や効果を確認して本当に意味のある窓を付けるというのがベストなんですね。
その他、玄関とリビングが扉なしに直接繋がっている家や、土間が広い家など寒さを感じやすい間取りの場合は、全館空調や暖炉、薪ストーブなど家全体を暖められるようにするというのも効果的です。
間取りと性能を別々に考えるのではなく、間取りと性能を一緒に考えることで快適な家にすることができるんですね。
家の性能の失敗で多い事例
- オープンな間取りにしたけども、家が暖まりにくくて寒い。
- 大きな窓にしたら、夏は西日が暑くて熱がこもってしまう。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 家は全てオープンな間取りにするのではなく、必要に応じて扉を閉められるようにしておくなど、季節に応じて変化することができる間取りがベスト。
- 太陽が低くなる西日は家の中に入ってきやすいので、西側の窓は小さめにするか、西日を防ぐ対策を取る。
部屋を広くすれば良かった(広さの失敗)
家というのは無限に広くできる訳ではなく、限られたスペースを使って家を建てることになります。
場合によっては間取りの中にアレもコレも入れたばっかりに、肝心のリビングにしわ寄せがいってしまい、その結果使いにくい家になってしまったという失敗も起こるんですね。
同じような例としては、和室を作るかどうか、子供部屋の大きさなど、メインの場所ではないスペースを広くしてしまうことでバランスが崩れてしまうこともあります。
家の間取りは広さのバランスがとても大切なもの。
間取りの優先順位を考えながら時には優先順位の低い要望は大胆に削ってしまったり、場所を1階から2階に変えてしまうなど、優先順位が高い場所が快適になるようにバランスを整えてあげる事が、変に使いづらいスペースを作らないための秘訣となります。
→家の間取り。4人家族の場合、最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?
→新築の家に和室は必要?理想の和室を作るための7つのポイント
→広く見える部屋と狭く見える部屋って何が違うの?部屋を広く見せるための3つの方法
→リビングの広さはどれくらい必要?16帖、18帖、20帖で比べて見ました
広さの失敗で多い場所
- 玄関が思ったよりも狭く、家族で出かける時に渋滞が起きる。
- 洗面室と脱衣室を分けたけども、どちらも狭くて使いづらいので、どうせなら1つにしておけば良かった。
- 収納ばかり気にしてしまい、LDKに家具を置くと部屋が一杯になってしまった。
- 客間として和室を作ったけども、年に数回しか使わない部屋を作るのであれば、他の部屋を広く取れば良かった。
間取りの失敗を防ぐための対策
- バランスが悪い家は間取りの形が悪かったり、広さがチグハグになっていることがほとんど。そのため間取りの広さや場所だけではなく、時には俯瞰して間取り全体を見てみるとバランスの良し悪しの判断がしやすくなります。
- 間取りを見てバランスが悪い場合は間取りの中身に手を加えるだけでは修正できないことも。そのような場合は1階にあるものを2階に動かしてみたり、家の形を変えてみるのも効果的です。
家具を置いたら残念なことに・・(家具の失敗)
Photo:https://truck-furniture.co.jp/
家ができて実際に家具を置いてみたら、思ったよりも家具が大きくて圧迫感が。
さらには部屋が狭く見えて仕方がないなんてことも。
このような家具の失敗例の原因としては、間取りの段階で実際に入れるサイズの家具を図面に書き込んでいないのが大きな要因です。
図面には20帖など部屋の広さが数字で表現されていますが、実際にはどこからどこまでで20帖なのかと言うのは建築士に聞いてみないと分かりませんし、家具が図面に書き込まれていないと家具を置いたら残りのスペースはどれくらい取れるのかというのもよく分かりません。
家具を図面に書き込むことでサイズ感が出てくるんですね。
そうすれば間取りの狭さが原因であれば間取りを広げたり、もう少しコンパクトな家具に変更するという選択肢も取る事ができるようになります。
また、ダイニングなど椅子を使う場所は椅子を引き出した時に不都合がないかどうかも確認しておきたいポイントです。
新居で使う予定の家具は必ず図面に書き込んでもらう。
まだ家具が明確に決まっていなくても、家具は大きめ、小さめどちらが好みであるかや何人で使うなどは必ず伝えておきたいですね。
→我が家にぴったりのダイニングテーブルのサイズを決める5つの方法
家具の失敗で多い事例
- 大きなソファを買ったら、部屋の中が狭くなってしまい邪魔に感じる。
- 家具が廊下や玄関を通らなくて搬入が大変。
- 部屋に家具を入れようと思ったら、収納の扉が邪魔でうまく家具が配置できない。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 図面には必ず入れたいサイズの家具を記入してくれるよう担当者に伝える。家具のサイズが決まっていない場合でも、一般的なサイズの家具を想定して入れてもらうと失敗が少なくなります。
- 家具は受注生産の物も多く返品が難しいケースもよくあります、そのため大きな家具を入れる場合は搬入経路もあらかじめ確認しておきたいですね。
本音を聞かなかったので失敗しました(意思疎通の失敗)
家づくりというのは自分一人ではなく、何人かの家族で一緒に住むことになるので、お互いの大切にしたい部分を尊重しつつ、本音で話をしてみるというのも間取りで失敗しないために大切なことです。
このような意思疎通で特に気をつけたいのが、親世帯、子世帯など複数の世帯がいっしょに暮らす二世帯住宅。
その理由としては、二世帯住宅は夫婦二人だけでなく何人もの大人が同じ家に一緒に住むことになるので、場合によってはそれぞれの意思疎通ができずに家ができてしまうこともあります。
例えば、二世帯住宅の作り方として玄関、LDK、お風呂など、どの部分を共用にするのか、それとも別々にするのかで間取りと生活スタイルは大きく違ってきます。
どこを共用、独立するかというのは予算やどう生活したいかという考え方で変わってくるのですが、大人が大勢集まって家の間取りを決める分、その意見はさまざま。
そんな時、意見を言いやすい人もいますし、反対に言いにくいというケースもありますよね。
特に義理の親御さんと一緒に住む方はあまり強く意見を通しにくいということも。
そのため、「本当は〇〇したいのに」という気持ちが解消されずに間取りが確定してしまい、その結果、間取りで失敗したと思ったり後悔することも多くなるんですね。
これは完全な二世帯住宅だけでなく、将来親御さんを引き取って一緒に暮らすという場合でも同じようなことが起こる場合があります。
住む人が増えれば増えるほど、間取りの段階でお互いに譲れる部分と絶対に譲れない部分は明確にしておくのが間取りで失敗しないためには特に重要なんですね。
また、複数の意見を調整できる住宅会社の担当者を付けてもらうのも大切なポイントです。
二世帯住宅を例に挙げましたが、夫婦二人で住む場合でもお互いの譲れる部分、譲れない部分は話し合っておきたいですね。
意思疎通の失敗で多い事例
- 要望は特に無いと聞いて間取りを作ったのに、あとで「もっとこうしておけば良かった」と言われる。
- もっと生活時間の違いや生活音に配慮しておけば良かった。
間取りの失敗を防ぐための対策
- お互い譲れる部分、譲れない部分についてあらかじめ話し合っておく。
- 生活音というのは意外と響くもの。そのため特に何も言われなくても、できるだけ生活音を気にせず暮らせるようにしておくと、無用なトラブルを防ぐことができるようになります。(例えば寝室の横は水回りは避けるなど)
外から丸見えでカーテンが閉めっぱなし(視線の失敗)
Photo:https://www.trueheart.co.jp/images/handling-items/blind/01L.jpg
せっかく家を建てたけども、道路から丸見えでカーテンが閉めっぱなしに。
間取りではこんな失敗例もよくあります。
たしかに通行する人から家が丸見えだと落ち着かないですよね。
その結果カーテンが閉めっぱなしにしたいという気持ちもよく分かります。
このような間取りの失敗の大きな原因としては、窓の配置と間取りの作り方による部分が大きなウェートを占めます。
歩く人と視線が合いにくいような窓の配置にしたり、落ち着かない場所にLDKを配置しないなど、間取りの段階で視線をコントロールしておくのが視線で失敗しないために大切なんですね。
また、間取り以外でも庭の作り方次第で家の中が見えにくいようにもできるので、外構計画も含めた視線対策ができるとベストです。
→家の中が近所から丸見え?視線をコントロールするための4つの方法
視線の失敗で多い事例
- リビングに大きな窓を設けたけども、道が近く人通りが気になって落ち着かない。
- 窓を開けたらお隣の窓が目の前で窓を開けられない。
間取りの失敗を防ぐための対策
- 窓から外の視線が気になる場合、目隠し塀を設けたり窓の高さをアレンジして外の人と視線が合わないようにするなど、窓がストレスにならないように配慮しておきたいですね。また、お隣の窓が真正面に来ないように窓を計画するのも大切です。
あんまりオシャレにならなかった(インテリアの失敗)
Photo:https://adrooms.com/room/119
新しい家ができたけども、賃貸住宅と比べて素材が少し良くなったくらいであまりオシャレに感じない。
ちょっと高価な賃貸住宅という感じですね。
実は、家が出来てこのように感じる方も意外と多くいらっしゃいます。
これは私自身も感じる事があり、今は私は住宅の建築士をしていますが、建築の勉強を始める前に実家をあるハウスメーカーで建て替えた際、家を見るまで最初はすごくワクワクしていたのですが、実際に見て見ると何だか微妙に感じた経験があります。
こんな普通の家が何千万円もするのかと思ったものです。
このように普通に家を作っただけでは、賃貸住宅と家のインテリアはそれほど大きな変わりないんですね。
特に分譲マンションを借りて住んでいる方はこのようにインテリアに物足りなく感じてしまうケースが多くあります。
でも実は、オシャレに見える法則に沿って家を建てるだけで家のインテリアは見違えるほどオシャレに見えるようになります。
例えば、部屋をスッキリ見せるには部屋の中に無駄なラインが出ないようにするだけでも部屋の見た目は大きく違ってきますし、部屋の中で使う色の数を絞るだけでもインテリアはグッと引き締まるように見えるようになります。
また、家具も安っぽく見えてしまう造りの物と、そうでない物があり、安っぽい物を選ぶと部屋全体が急に安っぽく見えてしまいます。
まずはオシャレに見える法則をしっかり頭に入れる。
そうする事でインテリアの失敗はグッと減らす事ができるんですね。
また、すでに家ができてしまっているという場合も、観葉植物を家の中に置くだけでも家の見た目はかなり変わるので、見た目もオシャレな観葉植物を置くのもとても効果的ですよ。
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
間取りで失敗しないために
ここまでよくある間取りの失敗例について具体的に見てきました。
どの間取りの失敗もできるだけ避けたいものですが、家づくりは間取りの失敗が起こりやすいケースと間取りの失敗が起こりにくいケースというものが存在します。
では、間取りの失敗は何によって左右されるのでしょうか?
それは間取りの依頼先がレベルの高い家を建てている住宅会社かどうか、さらには間取りを設計する設計者の腕がしっかりしているのかどうか。
この部分で間取りが失敗するかどうかはとても大きく左右してきます。
そうなんです。
住宅会社選びで間取りの質というのは大きく変わってくるんですね。
「営業マンの人も感じが良いし何となくこの住宅会社でいいかな」ではなく、少なくとも「この会社に家づくりを任せたい」。
それくらい思える住宅会社を選ぶことが大切なんですね。
また、家づくりの打ち合わせというのは時間がかかるものです。
そのため、あなたの家の間取りを作る建築士が信用できる人なのかどうかというのもとても重要なポイントになってきます。
あまり信頼できない人と何度も間取りの打ち合わせをするというのは思った以上にストレスに感じるからなんですね。
例えば家の打ち合わせをしたとして、あなたが「〇〇したい」と言ったらそのまま黙って図面を変更する建築士と、その「〇〇したい」に対してプロの意見を言ってくれる建築士、どちらの方が頼りがいがあるでしょうか?
「〇〇したい」と言っても、それが本当に正しいかどうかは不安なものです。
良い案なら「良いですね」、その他にも方法があるなら「このような方法もありますよ」など話を聞くだけでなくプロの意見を言ってくれる建築士と間取りを作っていきたいですね。
また、営業マンが間取りを作るのか、それとも専門の建築士が間取りを作るのかでも間取りの質というのは大きく違ってきます。
間取りの失敗を避けるのであれば、営業マンではなく建築士に間取りを作ってもらうのも大切なポイントです。
最後に、間取りの要望を伝える時も良い間取りになりやすいケースと、間取りが失敗しやすいケースというものがあります。
では、間取りの要望を伝える時にはどのように伝えれば良いのでしょうか?
建築士に間取りの要望を伝える場合、例えば「LDKは20帖」、「和室は南側」などなど、あまりにも具体的な要望を伝えるのではなく、ある程度含みを持たせた伝え方をした方が良い間取りになることがほとんどです。
その理由は、条件を具体的につけることで間取りの選択肢の幅が狭まってしまうからなんです。
基本的に建築士はお施主さんの要望を叶える間取りをつくりたいと思っているので、ベストの間取りでは無いと分かっていたとしても、お施主さんの要望をできる限り取り入れた間取りを提案するケースが多いからなんですね。
例えば先ほどの例だと和室を南側以外に配置するともっと良い間取りになる場合でも、和室を南側に配置するのが絶対条件になっていると和室を南側に配置するしか選択肢が無くなってしまいます。
和室を南側に配置したいすごく大きな理由があるなら良いですが、何となく明るい和室にしたいということで「和室は南側」と伝えた結果、微妙な間取りがでてきたらすごくもったいないですよね。
そのため、先ほどの例では方位を具体的に指定せずに「明るい和室にしたい」と伝えたほうが、いろんな可能性を建築士から引き出すことが可能になります。
要望を伝える時はプロのアイデアを引き出すような伝え方をする。
こうすることで間取りの可能性というのは大きく広がりますし、間取りの失敗が起こる可能性も大きく下げることができるんですね。
まとめ
今回は間取りでよくある失敗例について見てきました。
家というのは一生に一度建てるか建てないかというもの。
そのため、家づくりの経験値というものもどうしても不足しがちになってしまいます。
でも、これまで家を建ててきた先輩方の体験談やプロの建築士のアドバイスを聞く事で経験不足というのはカバーする事ができますし、間取りの失敗というのも大きく減らすことができるようになります。
ぜひ、今回のアドバイスを参考にして失敗のないあなたに合った家を建ててくださいね。
では。
間取りについてはこちらも参考にしてください。
→一軒家の間取りで失敗しないために気をつけたい7つチェックポイント
→リビングの間取りを見る前に知っておきたい!代表的なリビングの間取り5選
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