失敗しないクローゼットの収納方法

間取りでお悩みの方はコチラ 読者さんからの相談

クローゼットで失敗しない!家のプロが教えるクローゼットの収納術

「収納しやすいクローゼットはどう作ればいい?」、「クローゼットの効果的な収納方法が分からない」、「クローゼットをどう整理したらいいですか?」

などなど、クローゼットについては読者さんから多く質問をいただきます。

 

あなたも「クローゼットの中をどうすればいい?」とか「クローゼットをどう使えばキレイに整理できるの?」など悩んでいませんか?

今回は、私が建築士として家づくりに関わる事で分かったクローゼットを有効活用する収納法についてお伝えします。

それではどうぞご覧ください。

こんなクローゼットになっていませんか?

扉が閉まっていれば、外から見る限りはキレイに見えるクローゼット。

でも、いざクローゼットの扉を開けてみたらクローゼットの中がグチャグチャで中に何がどこに入っているか全然分からない・・。

さらには物や服をを掻き分けても掻き分けても、探している物が見つからない!

こんな状態のクローゼットになってしまっている場合はすでに大問題ですが、クローゼットの中がなんかゴチャゴチャ見えてしまって困っている方も多いのではないでしょうか?

 

雑多なクローゼットは物を探すのも毎回大変ですし、それが積み重なるとバカにならないくらいの時間を消費することになってしまいます。

やはりクローゼットは使いやすい方が良いですし、スッキリしている方が見た目もキレイで気持ち良いですよね。

では、どうすればクローゼットに物をスッキリ収納できるのでしょうか?

最初にクローゼットの中をどう作れば良いのか見ていきたいと思います。

クローゼットの理想の収納法って?

巷には、クローゼットの収納術や収納法などが溢れています。

そのため、いざ自分の家に収納をつくるとなった時にアレもコレもと取り付けたくなってしまったり、何か取り付けないと不安になる方も結構いらっしゃいます。

では、どういうクローゼットが一番使いやすいのでしょうか?

 

それではまず、クローゼットの中の収納セットとして販売されている建築部材から見てみましょう。

クローゼットの収納セット

上の画像は、ウッドワンという建材メーカーの収納セットです。

家族の人数別に必要となる物と、その収納法が載っていて、クローゼットの棚や引き出しがセットになって販売されています。

必要な物に合わせて棚や引き出しを配置しているので、スッキリしていて使いやすそうですね。

 

じゃあ、これをクローゼットに入れたらスッキリするんじゃないか?

これはある意味正解です。

実は、私の会社でも建材メーカーと協力して、このような建材をオプションとして用意していたこともありました。

 

でも、新築の家に取り付ける人はほとんどいないのが実情なんです。

 

どうしてでしょうか?

 

その大きな理由が、こういう棚や引き出しが付いた建材は意外といいお値段がするのが大きな要因です。

1つなら良いんですが、クローゼットは家に何カ所もあるものなので、積み重なるといつの間にかソコソコいい金額になってしまうんですね。

チリも積もればと言いますが、収納も家にいくつもあるものなので、アレやコレやと収納の中に手を加えて行くと金銭的な負担が意外と大きくなっていきます。

クローゼットの中身だけで数十万円もするようになってしまうのであれば、ちょっと考えてしまいますよね。

家づくりではどこに予算を重点的に掛けるかという優先順位が大切になってくるので、クローゼットの中というのはどうしても優先順位が低くなってきます。

家が予算オーバーする5つの要因とプラスα

 

「うーん。クローゼットを使いやすくするには、結局お金が必要なのか」

こう思う方もいらっしゃると思いますが、ちょっと待ってください。

 

クローゼットにそんなイロイロ取り付けてお金を掛けなくても、実はクローゼットにパイプと棚があれば後は何とでもなります。

 

実は、クローゼットを有効活用して物を整理したい場合、クローゼットはつくり込みすぎない方が良い場合がほとんどなんです。(建材メーカーが販売している収納セットも、もちろん使いやすいですが)

そして、クローゼットの収納法には難しいアイデアもいりません。

実はとても簡単なんです。

 

では、どんな形でクローゼットを整理するのが有効なのか見ていきましょう。

クローゼットの収納方法

クローゼットの収納法

上の図は、お金を掛けず効率的なクローゼットの収納方法の一例です。

 

クローゼットの中にハンガーパイプを設置して高さが同じ服を揃えて収納し、その服の下にカラーBOXを置いていきます。

ちなみに、服は長さを揃えるのがクローゼットの中をスッキリ見せるポイントです。

服の丈がバラバラだと、クローゼットの中がまとまり無く見えてしまうんですね。

そのため、「長いもの」から「短いもの」という順にハンガーパイプに掛けていくのがオススメです。

(服を真っすぐ伸ばして掛けると、服も多く掛けられますし見た目もキレイです)

 

カラーBOXは服の長さに応じて調整ができるので、1個で3段とか4段あるカラーBOXでなく個別に積み重ねるタイプのカラーBOXにすると便利です。

(カラーBOXやカゴは無印良品あたりのシンプルな商品が人気です。)

また、カラーBOXは入れる物によってあらかじめ仕分けしておけば探す時に手間が掛からなくなりますし、季節物もまとめて同じBOXに入れておけば衣替えも簡単です。

 

その他に、カラーBOXの高さをあえて低くして、その上にカバンや帽子を置いたりする方法もいいですね。

立てて置くのが難しい柔らかい素材のカバンなら、カゴを置いてその中にいれてしまうという方法もあります。

その一方、高さがあるカバンや革製の固いカバンはカゴに入らなかったり上手く立たずに壁に寄り掛ける必要が出てくる事がありますが、本立てなど仕切れる物を上手く使ってあげれば、カラーBOXの上に自立させることもできるようになります。

革製のカバンは高価な物が多いので、大事に収納できるようにしておきたいですね。(本立てはカバンに傷がつかないよう尖っていない物がベストです)

 

またクローゼットの場合、通常はパイプの上に「枕棚(まくらだな)」という棚がついています。

そしてこの枕棚に物を置くときのポイントは、頻繁に取り出さない物を置くということ。

枕棚の取り付け高さは2m弱くらいなので、頻繁に取り出す物を置いてしまうと、物を取るのには高さがありすぎてストレスになるので注意してくださいね。

物が枕棚に擦れて傷む原因ともなってしまいます。

 

枕棚の使い方として、例えば冬しか使わない冬の小物は冬の箱にまとめてあげて枕棚へ。

夏の小物は夏の小物で箱にまとめて同じように枕棚へ置いておくなど、収納する物をまとめるなどルール決めをしておくと、「アレはどこへ行ったかな?」と思って探す手間が省けるのでオススメです。

 

先ほどのクローゼットの断面はこんな感じ。

ほぼ余す所無くクローゼットが使われているのが分かりますね。

奥行きも65センチから70センチくらいが丁度使いやすく、ほとんど無駄が出なくなります。

上部まで余すところなく使い切るのが収納を作るときのポイントなんですね。

 

このクローゼットの収納術の場合、必要なものは棚とハンガーパイプ、カラーBOXだけなのでそんなにお金はかかりません。

さらに、家のクローゼットをこの方法で統一しておけば、余ったカラーBOXを他の部屋でも使う事ができるので無駄もありません。

また、カラーBOXの中を小分けにして整理しておけば、服だけでなく小物の収納もバッチリですね。

ハンガーにもっと服を掛けたい場合

服を畳むのがあまり好きでなく、ハンガーにたくさん服を掛けたい派の方もいると思います。

特に男性は服をたたむのが苦手な方も多く、服を収納するのが簡単であれば簡単である程、自分の物を管理するようになる傾向があります。

自分の物は自分で収納すると言ったのに、いつまでもクローゼットの中に服を収納しないのを苦々しく思う奥さまもいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そんな服を簡単に収納したり、ハンガーに吊るす派の方におススメなのが、ハンガーパイプを2段にする方法です。

こんな感じですね。

上下2段のクローゼット

ハンガーパイプを上下2本にすることで、通常の2倍の服をハンガーに掛ける事ができるようになります。

このハンガーパイプを2段にする方法も使いやすくておススメなんですが、先ほどのクローゼット収納法と違い、実はこの方法はかなり注意をしないと「後で失敗した!!」ってことが起きやすい方法でもあります。

 

では、クローゼットの中のどこの部分に注意が必要か見てみましょう。

 

まず注意したいのが、ハンガーパイプの高さの設定です。

ハンガーパイプが低すぎると服が床に擦れたり、下の服に重なって使いにくくなってしまいます。

そのためちょっと余裕を持った高めに設定するのが安全なのですが、余裕を持ちすぎると上の段のハンガーパイプが高くなりすぎてすごく使いづらくなります。(先ほどの図を参照ください)

上の段の服を取るのに毎回背伸びなんて事になると結構大変ですね。

 

また、ハンガーパイプの上に棚をつけても高さが取れない事があるので、ここは設計者と棚をつけるかどうかの打合せが必要です。

例えば20㎝もスペースが取れないのであれば、置ける物はかなり限られてしまうので、かえって使いづらくなってしまう可能性があるんですね。

あと、この方法で一番の弱点がコートなど長い服を掛けられない事です。そのため、長い服を掛ける場合は一部分だけ下のパイプを無くすなどの対策を取っておくのがおススメです。

どんな服を掛けるか、また誰の服を掛けるのか(男女でサイズが違う)をあらかじめ決めておくと、理想の高さで無駄のないクローゼットにすることができます。

 

このように、ハンガーパイプ2段にする収納方法は注意点がいくつかありますが、使い勝手はとてもいいのでおススメです。(設計の段階で今回ご紹介した注意点をクリアにしておくのがポイントです。)

クローゼットに収納できる服の枚数

クローゼットで失敗しないためには、クローゼットに実際にどれくらいの服が収納できるか知っておくというのも大切なポイントです。

クローゼットの収納力を超えた服は、部屋のどこかに置いておくしかなく、雑多な印象の部屋になってしまうからなんですね。

では、一般的なクローゼットはどれくらいの服が収納できるのでしょうか?

 

服には厚みのある服、薄手の服など色んなサイズがありますが、1枚4㎝の厚みとするとクローゼットに掛けられる服は次のようになります。

クローゼットに収納できる服の枚数

幅が1m弱のクローゼットで約20枚。

幅が2m弱のクローゼットで約42枚の服を掛けられる計算になるんですね。

そして服の下に収納BOXを設置してプラスαの収納力を加えるという形になります。

 

たとえば最低限欲しい服の枚数を想定すると、

  • トップス  :5
  • ボトムス  :5
  • アウター  :5
  • ルームウェア:2
  • 下着セット :5
  • 靴下類   :5

これくらいになるので、服をあまり持たないライフスタイルの場合は小さめのクローゼットでも1人分の服は収納できます。

一方、服のバリュエーションがいろいろ欲しいという方は1畳サイズほどのクローゼットがあった方が無難となるんですね。

 

ちなみに、ウォークインクローゼットにする場合もどれくらい服が収納できるか知っておくと、最適なクローゼットのサイズが分かるようになります。

2畳、3畳、4畳のウォークインクローゼット、服は何枚掛けられる?

押入とクローゼットの奥行きの違い

それでは次に、押入とクローゼットの違いについても見ておきましょう。

クローゼットと押入れの違い

上の図面では、子供部屋と寝室で収納の奥行きが少し違うのが分かるでしょうか?

子供部屋にある収納が通常のクローゼットの奥行き。

寝室にある収納が、いわゆる押入と同じ奥行きになっています。

 

そして奥行きの違いによって、

「クローゼットは服をメインに収納するための物」。

「押入は布団など奥行きのあるものを収納するための物」。

というように、収納しやすい物が違ってきます。

 

押入は布団を収納できるので便利なのですが、奥行きがあるので奥の方は使い勝手が悪くなってしまいがちなんですね。

そのため服の収納するのをメインとする場合は、服のサイズに合わせたクローゼットの方が使いやすいと言えます。

 

一方で、押入を有効活用したり、押入に服を掛けたい場合はどうすれば良いのでしょうか?(賃貸住宅だとこのケース多いですよね)

 

まず、クローゼットと違い、押入は基本的に中が3段に分かれています。

こんな感じですね。

クローゼットと押入れの違い2

布団を入れやすいように、真ん中に棚が設置されているんですね。

そのため押入に物を入れる場合、重い物を下の段に、よく使う物を真ん中に、上にはあまり使わない物や軽い物を入れるのが基本となります。

また、よく使う物は手前に、あまり使わない物は奥に収納すると、使い勝手が向上します。

 

ただ、このように使い分けても押入は布団など奥行きのある物を収納する時以外はどうしても奥の方が使いづらく、また服を収納するには押入の奥行きは広すぎることになってしまいます。

そんな時、押入を有効活用するのに便利な物があります。

これを実際に使うとこんな感じですね。

51pCE2G4btL._SX425_

奥が棚になっていて、手前に服も掛けられるので、スペースを有効活用できるようになります。

さらに幅も調整できるので、押入の半分は布団。もう半分は服なんて使い方もできるという便利グッズです。

これを使えば、奥行きのある収納を無駄なく使えて小物なんかも整理することができるんですね。

 

特に賃貸住宅に住んでいる方にこんな商品がある事をお伝えすると、皆さんかなり重宝されます。

もちろん、新築住宅の押入に服を収納したいという場合に使うのも有りです。(何を収納するかを決めて収納を作ることがベストではありますが)

押入は奥行きがある分だけムダなスペースもできやすいので、その部分をいかに活用するかがポイントになってくるんですね。

タンスは買わない

最近見ることは減ってきましたが、服を入れるとなると重宝されているのがタンスです。

ただこのタンス、服を収納できるのは良いのですが、部屋の雑多感も増幅させてしまいます。

 

部屋をスッキリ見せるには部屋の中に余計な凸凹をつくらないのが基本になってきますが、タンスがあるだけで部屋に凸凹が増えます。

さらに高さや大きさの違うタンスを並べると大変ですね。

凸凹感がさらに増幅して部屋がゴチャゴチャに見えやすくなってしまいます。

家の間取りも同じ事が言え、スッキリ見える家にするにはルールがあるんですね。

その凸凹は大丈夫?部屋をスッキリ見せる方法

部屋がスッキリ見える!ハイドアの驚くべき効果を検証します

 

ただ、結婚して買ってもらった婚礼タンスなど、簡単に捨てられないタンスを持っている方もいらっしゃいます。

そんな時は、タンスをクローゼットの中に入れてしまうのがおすすめです。

クローゼットの中にタンスを入れてしまえば部屋の中に無駄な凸凹が無くなりますし、部屋がスッキリ見えるようになるんですね。

 

クローゼットの中にタンスを入れる場合の注意点として、必ずサイズの確認が必要です。

奥行きもそうですが、棚やハンガーパイプにぶつからないように高さも注意する必要があるんですね。

家を新築する時に持っていくタンスというのは、この先も当分捨てることが無いことが多いので、クローゼットの中にタンスがぴったりと収まる専用スペースをつくるのも1つの方法と言えます。

また、大体のタンスはクローゼットの中に入りますが、もっと大きいタンスという場合はウォークインクローゼットを作って、ウォークインクローゼットの中に入れてしまうのもスッキリするのでオススメですよ。

まとめ

今回はクローゼットの収納術についてお伝えしました。

家づくりで収納と関わっていると、「収納下手だからかなり勉強しなくちゃ」「クローゼットにイロイロ付けとかないと物が整理しきれないんじゃないのかな」と思われる方が多いですが、実は収納をそんなに難しく考える必要はありません。

要は、多く収納できてキレイに見える方法さえ知っておけば大丈夫なんですね。

料理と同じでルールを覚えてしまえば、収納方法で失敗する事はほとんど無くなります。

また、収納をつくり込むのも良いかもしれませんが、必要な物や使う物は年齢や生活と共に変わっていきます。

そんな時、クローゼットをシンプルにつくっておけば、いくらでもフレキシブルな対応をとることができるようになるんですね。

 

クローゼットや押入はできる限りシンプルに。

カラーBOXなど後で買える物があるならそれを上手く利用する。

そして、カラーBOXの中の整理の方法として収納術や収納法を使う。

 

これが一番使い勝手が良い収納と言えます。

ぜひ皆さんも試してみてくださいね。

では。

 

収納についてはこちらも参考にしてください。

使いやすいウォークインクローゼットの収納例をご紹介します

2畳、3畳、4畳のウォークインクローゼット、服は何枚掛けられる?

壁面収納はリビングに最適!壁面収納が合う間取りと効果的な壁面収納の作り方

収納を作る時に知っておきたい、2つの収納スタイル

ウォークインクローゼットに窓は必要?収納の換気の話

ファミリークローゼットで失敗しないために知っておきたい3つのこと

家の内装が気になる方はこちらも参考にしてください。

新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント

家づくりに役立つ最新情報をTwitterでも発信しています。

建築士のTwitter

建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。

GOOD BUILDERS

家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。

まるで教科書!理想の家をつくる方法【絶対保存版】

土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】

家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】

注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット

家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。

行列ができる間取り診断

建築士が教える今日の問題解決

クローゼットの効果的な収納方法って何?

  • クローゼットはできるだけシンプルにして、カラーBOXなど後で買えるものがあるならそれを上手く利用する。
  • 奥行きや高さを上手く使うと、クローゼットの収納力があがる。
  • 必要な物や使う量は年齢や生活スタイルで変わるので、クローゼットをシンプルにしておけばフレキシブルに対応できる。
  • タンスはクローゼットの中に入れてしまう。
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

-間取りでお悩みの方はコチラ, 読者さんからの相談
-, ,

Copyright © BUILD WORKS , All Rights Reserved.