「リビング階段にしようと思っているのですが、リビング階段は寒いとよく聞くので心配です。リビング階段にすると寒いのでしょうか?またリビング階段のメリットとデメリットを教えてもらえないでしょうか?」
読者さんよりこのような質問をもらいました。
確かに「リビング階段にしたら寒かった」って話を聞く事がありますよね。
では、リビング階段にすると実際に寒い家になってしまうのでしょうか?
今回は、リビング階段にすると本当に寒くなるのかどうか、またリビング階段にした時のメリット、デメリットについてお話したいと思います。
家づくりを考えている方はぜひご覧下さい。
目次
リビング階段とは
リビング階段とはその名のとおりリビングの中に階段がある間取りの事で、リビングイン階段とも呼ばれます。
リビング階段の家は階段がリビングにあるので子供が子供部屋がある2階へ行くのに必ずリビングを通る間取りになるという訳ですね。
このようなリビング階段は十数年くらい前から採用する方がかなり増えるようになりました。
メディアでリビング階段は子供がいる家庭に良いという情報が発信されはじめた頃ですね。
今では6割から7割くらいの方がリビング階段を採用されています。(日々の設計業務、間取り診断からの統計です)
それだけ人気のリビング階段ですが、リビング階段にすることでメリットもあればデメリットもあります。
では、リビング階段にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
それではまず、リビング階段のメリットについて見てみましょう。
リビング階段のメリット
家族が顔を合わせる機会が増える
まず、リビング階段の一番のメリットは、家族がリビングで顔を合わせる機会が増えるという事が挙げられます。
リビング階段にした場合、リビングを通らないと2階に上がることができないので、必然的に家族が顔を合わせる機会が増えるんですね。
そのため家に誰がいるのか把握しやすくなりますし、お子さんが夜勝手に出歩いたりするのをかなり防ぐ事ができます。
やはり顔が見えるのに堂々と夜遊びに行きづらいですよね。
もちろん、リビング階段だけでお子さんが夜遊びをしないとかグレるのを防げるという訳ではありません。
グレるがどうかは教育、しつけなどお子さんに対する接し方もとても重要な要素となるからです。
でも、リビング階段で強制的に顔を合わせる家になる事で、少なくとも子供の顔色であったり様子は分かります。
また、リビング階段にする事で子供を気にかけるきっかけが増えるので、お子さんのちょっとした変化にも気付きやすくなるという事なりますし、反対に子供も親御さんの日々の変化にも気付きやすくなります。
マザーテレサの言葉で「愛の反対は憎しみではなく無関心です」という言葉がありますが、リビング階段にすることで少しでもお互いに関心を持つきっかけとなってくれるんですね。
リビングが広く見える
リビング階段にした時のその他のメリットとして、階段がリビングにあることでリビングが広く見えるという効果があげられます。
階段をLDKに取り込めるので、実際のLDKの広さよりも広く見えるようになるんですね。
例えば20帖のLDKに2帖の階段があれば、視覚的には22帖の広さのLDKとなります。
特にコンパクトなLDKの場合は視覚的に少しでも広く見えるだけでリビングの印象というのはかなり変わってきます。
開放的なリビングを目指す場合やリビングの広さによっては、リビング階段は有力な選択肢の1つとなってくれるんですね。
→リビングの広さはどれくらい必要?16帖、18帖、20帖で比べて見ました
ただ、リビング階段にする場合でも、階段がオープンな階段なのか、それとも閉じられた階段なのかでリビングの広がりというのはかなり変わってきます。
例えばオープンなスケルトン階段であれば階段部分はリビングと一体のように見えるように、階段の作り次第で空間の広がりというのは変わってくるんですね。
もちろん、間取り次第という部分はありますが、リビング階段にする場合は階段付近は壁を少なくして軽く見えるようにすると、視覚的にもリビングが広く見えるようになります。
→階段下収納や階段下トイレってどうなの?効果的な階段下の使い方
その他、階段の下にちょっとした作業ができるカウンターなどを作って有効活用するのも効果的です。
階段下をうまく活用することでリビングのアクセントにもなってくれるんですね。
Photo:https://www.pinterest.jp/pin/684758318318440439/
→書斎はどう作ればいい?あなたに合った書斎を作るための5つの方法
明るい階段になる
その他のリビング階段のメリットとして、リビング階段にすると明るい階段になりやすいというメリットもあります。
リビング階段にしない場合、廊下など比較的光が入りにくい位置に階段が配置されることが多く、比較的暗い階段になりがちです。
一方、リビング階段の場合は光が入りやすいリビングに階段があるので明るい雰囲気の階段になりやすいんですね。
ただ、いくらリビング階段だからと言ってもそれだけで明るい雰囲気の階段になる訳ではなく、階段部分に光が入るようにするのも重要なポイントです。
リビング階段の場合は、階段に光が入るよう設計しないとリビングを見上げるとぽっかりと口を開けた真っ暗な階段があることになってしまうなんてことも。
そうなるとせっかくのリビング階段がマイナスになってしまいますよね。
リビング階段は明るい階段にしやすい反面、リビングの印象も左右するので階段の明るさも意識すると、より魅力的な空間をつくることができます。
お洒落な階段が映える
Photo:https://suvaco.jp/project/68fCvIMIjP
階段にはいくつか種類がありますが、リビング階段にする場合は下がオープンになっているストリップ階段は特にオススメです。
(階段の下を壁にしたり収納にしたりするのではなく、オープンな作りの階段のことをストリップ階段と呼びます)
リビング階段はリビングが広く見えるようになりますが、オープンな作りのリビング階段にしてあげることでさらに視界は抜けるようにすることも可能となるんですね。
また、ストリップ階段は見た目が軽い作りなのでお洒落な階段に見えることがほとんどです。
そんなストリップ階段をリビング階段に使うことで、LDKもグンとお洒落に見えるんですね。
一方、ストリップ階段にしない場合でも、リビング階段にする場合は階段の見え方を意識するかしないかで空間の雰囲気というのは随分変わってきます。
リビング階段はLDKのいろんな場所から見えるので、LDKの印象にも影響を与えるんですね。
せっかくリビング階段にするのであれば、階段がリビングやキッチンからどのように見えるのかどうか。
この部分をしっかり確認しておきたいですね。
リビング階段は吹抜けとの相性がいい
リビング階段は吹抜けともとても相性が良いのも大きな特徴です。
特にリビング階段に面して吹抜けを設けると、吹抜けの開放感がより一層際立つようになります。
こんな感じですね。
吹抜けは家の明るさを確保するのに効果的な方法ですが、吹抜けの広さの設定を間違うとあまり効果の無い吹抜けとなってしまいます。
でも、リビング階段と吹抜けを一帯にすることで、吹抜けを広げなくても視覚的に吹抜けを広げたのと同じ効果をもたらすことができるんですね。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
例えばそれほどLDKに広いスペースを確保できないでも、リビング階段を先ほどご紹介したストリップ階段にして階段の下をTVスペースやデスクスペースにすることでLDK内に置く家具を減らして広さを感じられるリビングにすることもできますし、吹抜けがあることで実際の広さよりも開放感のあるリビングにすることもできます。
もちろん、必ず吹抜けにしないといけない訳ではなく、敷地条件や間取りの要望によってリビング階段に吹抜けを設けるかどうかは変わってきますが、より開放感のあるリビングを目指すならリビング階段と吹抜けを検討してみたいですね。
また、リビング階段にする場合はストリップ階段+吹抜けというのはお洒落に見せるための王道とも言えます。
家の1階と2階につながりができる
リビング階段にすると、家の1階と2階にゆるやかな繋がりができるようになります。
リビング階段を通してゆるく繋がることでお互いの階の声が聞こえやすくなるんですね。
例えば、ご飯の支度ができた場合もわざわざ2階に言って声をかけなくても階段下から声をかえければ2階にまで声が届きやすくなります。
その他に、夜も誰かが帰ってきた時なども気配が感じやすいのもリビング階段の特徴と言えます。
リビング階段のデメリット
ここまでリビング階段のメリットをご紹介してきましたが、リビング階段にはデメリットもあります。
では次に、リビング階段のデメリットを見てみましょう。
リビング階段は家の性能が重要
まず、リビング階段のデメリットでよく話題に上がるのが、リビング階段は寒いという話です。
確かにリビング階段の家がよく造られはじめた頃、リビング階段にすると寒いという声を聞く事が多くありました。
家の性能、特に断熱、気密性能についてそこまで重要視されていなかったので、リビング階段にすると家が寒くなってしまったんですね。
ただ、今は断熱、気密性能の高い家が多く、「リビング階段にすると寒い」と言う会社は自分の会社の性能は悪いですよと言っているのと同じという時代になりました。
吹抜けが寒いというのも同じですね。
そのため、リビング階段にするなら断熱、気密性能の高い会社で家を建てるのが必須となります。
ただ、いくら性能が良くても玄関に吹抜けがある家が寒い家になりやすいように、家の間取り次第で暑い、寒いなんて事が起こる場合があるので、リビング階段にしても問題ない間取りにするのも重要になります。
(なぜ玄関に吹抜けをつくるとダメなのかはこちらをご覧下さい)
また、いくらリビング階段が寒くないと言っても、部屋が暖まったり冷えるにはリビング階段の方が時間が掛かります。
リビング階段を通して2階にも繋がっているため、暖めたり冷やす体積が多くなってしまうからなんですね。
そのため、少しでも部屋が暖まりやすいようエアコンの配置位置もしっかり意識しておく必要があります。
ニオイや音は伝わりやすい
リビング階段のその他のデメリットを挙げるとすると、ニオイや音に関してもリビング階段の方が2階まで伝わりやすくなるということが挙げられます。
リビング階段を通して空間が2階まで繋がることになるので、どうしてもニオイや音というのは伝わりやすいんですね。
ニオイの中でも特に料理のニオイが気になる方は多いのではないでしょうか。
魚や肉を焼いた時のニオイというのは結構気になりますよね。
そのため、リビング階段にするならキッチンはある程度リビング階段から離した上で、換気扇も換気量が大きいものを選びたいですね。
また1階、2階とも風が抜けるように窓を配置しておくのも効果的です。
大人になった時に気になる可能性も
リビング階段にした場合、お子さんが小さい時はいいですが、お子さんが大学生から社会人になってくると「リビング階段はちょっと微妙」と思い始める事が多くなります。
まぁ大人ですから毎回毎回顔を合わせなくてもと思う訳ですね。
確かに大きくなってから友達を呼んだとして毎回リビングを通らないとけないというのも少し気を使う可能性もあります。
このあたりはどのような親子関係で育ったかというのもありますし、大人になったら家から出て自立してもらうという方針の家もありますので、人によってはデメリットに感じるかどうか違いが出やすい部分でもあります。
良くも悪くもリビング階段は家族と顔を合わせることが多くなるんですね。
来客とも顔を合わせやすい
もうひとつ、意外に住んでみるまで気付かないリビング階段のデメリットを1つご紹介しておきます。
リビング階段の家は家族がリビングに集まる事が多いですし、お客さんやお子さんの友達もリビングに居たり通ったりする事になります。
言ってみれば、リビングに全ての人が集まったり頻繁に通ったりする訳ですね。
そうなってくると、リビングが汚いとちょっと締まらない家になってしまいます。
そのためリビング階段の家はリビングをいつも奇麗にしておかないと、締まりのない家になってしまいやすいんですね。
→おしゃれなリビングにするための収納術。片付く部屋にする方法をご紹介します。
また、休日にパジャマのままリビングでゴロゴロしていて、子供の友達が「こんにちは」と遊びに来ると、ちょっと気まずいですよね。
子供たちが子供部屋にすぐ行ったとしても、リビングでゴロゴロしている姿を見られてしまうのは気持ちいいことではありません。
何かだらしないお父さんに見られてしまうことも・・。
そのため、誰か来る予定があるのかどうかを確認できるようにしたり、休みの日もある程度身だしなみを整えるなど、ダラ〜とした感じではなく多少緊張感を持って生活する必要が出てきます。
この辺りがストレスになるのか、それともメリハリがつくので逆に良いのか。(ダラッとするのは寝室だけにするなど)
リビング階段にする場合は実際に生活をした時に生活スタイルに合っているかどうか。
このあたりもリビング階段の重要なポイントなんですね。
迷ったらこんなリビング階段も
リビング階段と一言で言っても、リビングのど真ん中に階段がある家もあれば、リビングのスミッコに階段がある場合もあります。
リビングに階段があるのでリビング階段の家ですが、同じリビング階段の家でも階段の位置によって家の印象はかなり違ってきます。
そのため、もし「何となくリビング階段がいいかなぁ」とか「リビングでゆっくりしたいなぁ」と思うのであれば、玄関に近くてリビングの隅っこの辺りを通るリビング階段にするという方法もあります。(上の図参照)
リビングの隅っこに階段があると、リビング階段のメリットは受けつつも、リビング階段のデメリットもかなり減らすことができるようになります。
リビングのど真ん中を通らないので、プライベート感のある落ち着いたリビングになるんですね。
お子さんが帰ってきた時に顔をちらっと見る事はできますが、友達が来た時なんかはそこまで気にしなくても大丈夫という訳です。
このように、落ち着いたリビングにするならリビングの隅っこにリビング階段を持ってくるのを検討してみるのも1つの方法と言えます。
どうしてもリビング階段の寒さが気になる方へ
ここまでリビング階段のメリット、デメリットなど様々なことをみてきましたが、最後に、どうしてもリビング階段の寒さが気になる場合の方法についてみてみましょう。
リビング階段の寒さがどうしても気になる。
そのような場合は階段に扉を付けてしまうという方法があります。
Photo:http://blog.livedoor.jp/shokenhirakata/archives/8956095.html
リビング階段に扉をつけることで、寒い時期だけ閉めてしまい寒さを和らげるという方法ですね。
階段に扉が有るため部屋の体積は少なくなり部屋も暖まりやすくなります。
このように、リビング階段に扉を付けておいて、通常は開け放しに。
冷暖房の効率が気になる時だけ閉めるられるようにしておけば、リビング階段で寒いという事は避けられるようになるんですね。
このようにリビング階段に扉を付ける時のポイントとしては、扉は引き戸にするということ。
できればハイドアにしておくのがオススメです。
人がよく通る場所なのでドアだと開け閉めする場合に人にぶつかりやすいため危険なのと、冬以外の時期は開けっ放しにするので引き戸の方が使い勝手がいいんですね。
また、開け放していることも多いため、できるかぎり扉の存在感を消してしまうのもリビングの見た目を考えると大切なポイント。
そのため、できる限り扉の存在感を消すことができるハイドアを選ぶのが正解となってきます。
その他、可能であれば扉を開けてすぐ階段ではなく、扉と階段の間に50㎝ほどのスペースを設けることができればベストと言えます。
このスペースがあるかどうかで扉の開けやすさ、階段の上り下りのしやすさが変わってくるんですね。(ケースによってはこのスペースを取ることで間取りの他の部分にしわ寄せが来る場合があるので、間取り全体のバランスを見ながら調整したいですね)
その他、もしリビング階段にした後に寒さを感じた場合はロールスクリーンやカーテンなどで階段とリビングを区切るという方法もあります。
最後に、同じリビング階段でも2階リビングにした場合のリビング階段というケースもあります。
冷えがちな玄関土間の空気とリビングの空気が混じるため、2階リビングのリビング階段は寒さを感じやすいんですね。
その場合、このように階段に腰高の引き戸を取り付けてしまう方法もあります。
Photo:https://blog.goo.ne.jp/akatuki-design/e/aacbca415cf2a20d3334ae557853af16
腰高の引き戸なので圧迫感はありませんし、空気が下へ降りるのを防いでくれるのでかなり重宝します。
ちなみに、かなりオープンな階段で無い限り引き戸は取り付けられるので、私の場合は2階リビングの標準装備にしています。
→2階リビングのメリット、デメリットをプロの建築士がまとめました【絶対保存版】
まとめ
今回はリビング階段についてメリットとデメリットを見てきました。
リビング階段にする時の何よりのポイントは、断熱、気密性能の良い会社で家を建てる事。
次に生活スタイルに合うかどうか考えてみる事。
この2点がとても大事なポイントとなります。
その上でリビング階段に期待するコトと、リビング階段で心配なコト。
リビング階段という一言で区切らず、上手くアレンジしてあなた仕様の階段にする方法もあるんですね。
ちなみに私は、カッコいい階段をリビングに造りたい派です。
(建築士というのは大体カッコいい階段を造りたがるものなので、よく見える所に階段を造りたくなるんですね。笑)
階段次第で家での生活は変わってきます。
ぜひあなたに合う階段をつくって快適な生活を送ってくださいね。
では。
リビングについてはこちらも参考にしてください。
→リビングの間取りを見る前に知っておきたい!代表的なリビングの間取り5選
→【保存版】2階リビングのメリット、デメリットをまとめました
階段についてはこちらも参考にしてください。
→おしゃれな階段を作るにはどうすればいい?おしゃれな階段にする3つのポイント
家の内装が気になる方はこちらも参考にしてください。
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
リビング階段をつくる時のポイントって何?
- リビング階段をつくるなら、断熱、気密性能の高い会社で家を建てる。
- 自分たちの生活スタイルの合うかどうかを考えてみるのが重要。
- 同じリビング階段でも、階段の位置次第で生活スタイルが変わってくる。