「4人家族で家に住む場合、家は最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?」
読者さんからこのような質問をもらいました。
確かに4人で生活するには最低限、何坪くらいの家にする必要があるのかというのは中々判断が付きにくいですよね。
そこで今回は、間取りを交えながら4人家族で生活するなら最低限どのくらいの家の広さが必要か見ていきましょう。
家の広さの目安となりますので、家の広さが気になる方はぜひご覧ください。
家に必要な広さとは?
「狭小住宅」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
狭小住宅とは都市部の狭い土地に、狭いながらもアイデアを詰め込んだ家の事を言います。
私自身は建築士なので色んな場所で家の設計を行いますが、主に設計している場所柄か、街中の15〜20坪くらいの土地に狭小住宅を建てるというのはたまに依頼されるくらいで、どちらかというと都市部周辺の30坪〜40坪くらいの広さの土地で家の設計をするケースが多いです。
ただ、都市部周辺でも土地などの法律の制限が厳しい場合はコンパクトで機能的な家を建てる必要があるなど、限られた広さの中で家を建てる事はよくあります。
一例を挙げてみると、法律制限の関係で土地に大きな家が建てられなくて、7人家族の2世帯で28坪ほどの家を作る、などなど。
28坪と言っても、ロフトをできる限り作るなど空間としては28坪以上のスペースがあったので何とかなりましたが、実際に28坪で7人はかなり厳しい物があるのは事実です。
このように、住む人の人数によって、家に必要な大きさは違ってくるんですね。
では、人ひとり当たりにどれくらいの広さが最低限必要なのでしょうか?
それでは、読者さんから相談をもらった4人家族を例に必要な広さを考えてみましょう。
4人家族に必要な最低限の広さ
まずは4人家族の構成として、大人2人に子供2人。いわゆる3LDKの家を想定してみます。(◯LDKという言い方はあまり好きではありませんが、ここでは分かりやすいので使います。)
生活するのに必要な部屋と広さを並べて行くと下のような感じになります。
- LDK :8坪(16帖) 4人家族ならコレくらい欲しいですね。
- 寝室 :3坪(6帖) ベッド置いて寝るだけなら6帖で十分。
- 子供部屋 :4.5坪(4.5帖 × 2) 子供2人用。4帖くらいは欲しい。
- 玄関 :1坪(2帖) 玄関とホールで最低限これくらい。
- 階段 :1.5坪(3帖) 階段下を利用してこれくらい。
- お風呂 :1坪(2帖) 標準的な広さ。これくらい欲しい。
- 洗面室 :1坪(2帖) 標準的な広さ。洗面室もこれくらい欲しい。
- トイレ :1坪(1帖 × 2) 1、2階にトイレ。トイレは1つという手も。
- 2階ホール:1坪(2帖) 各部屋に行くためのホール。
- 収納 :2坪(4帖) 最低これくらいは欲しい。
- 合計 :24坪(48帖)
全部合計すると、24坪くらいが4人家族に最低限必要な広さの目安になります。
間取りでいうとこんな感じですね。
大きさの感覚がつかみやすいように、図面に家具を入れていますが、家具を入れるとこのような感じになります。
上の間取りでは2階にトイレがありませんが、寝室の書斎を収納やトイレに変えれば、先ほどの24坪の家と大体同じ計算となります。
各部屋にベッドと収納、子供部屋に机を置いてちょうどピッタリという感じですね。
1階を見てみると、広さはちょうど12坪。
16帖のLDKは、家具のサイズが重要なポイントになってきます。
大きな家具を置いてしまうと家具の存在感が大きくなり過ぎて、重たい感じの部屋になってしまうんですね。
また、大きな家具だと動線が狭くなって足をぶつける可能性もかなり高くなるので注意が必要です。
一方、小さめで見た目にも重たく見えない家具を入れると、小じんまりとしたカフェのように落ち着いた空間をつくることも十分に可能です。
このように家がコンパクトなほど、家具選びが重要となってくるんですね。
→お洒落な家具や雑貨が見つかるおススメのインテリアショップ14選
→リビングの広さはどれくらい必要?16帖、18帖、20帖で比べて見ました
24坪の家は決して広くはありませんが、無駄を排除すれば4人家族で生活するなら問題なく生活できそうです。
その一方、4人家族でこれより家を小さくしていくと、劇的に生活しづらくなってしまいます。
人ひとりに最低限必要な広さを確保するのが家ではかなり重要で、これ以上小さくしてしまうと、人ひとりに最低限欲しい広さが足りなくなってしまい、生活しづらくなってしまうんですね。
そのため、4人家族では24坪が最低限の広さの目安となってきます。
人ひとり増えるとどのくらいの広さが必要?
では、先ほどの24坪のこの広さをベースに、人がひとり増えるとどのくらいの広さが必要か考えてみましょう。
人が1人増えるということは、部屋の数も1つ増えるということになります。
部屋4帖 + 収納1帖 = 5帖
さらにリビングも集まれるように広くする必要があるのでプラス2帖。
部屋が増えてホールや廊下が広くなるので、あとプラス1帖くらいは欲しいですね。
となると、合計8帖 = 4坪 。
人がひとり増えるのに、最低限4坪くらいは欲しい計算になります。
このように計算すると、5人家族なら28坪、6人家族なら32坪、7人家族なら36坪といったところが最低限必要な広さの目安と言えます。
(最低限の広さの目安です)
少し余裕がある家にするなら、4人家族だと24坪ではなく27坪〜30坪くらいある家にするとゆとりが出てきます。
この場合も人がひとり増えるたびにプラス5坪くらい足していくと家の目安の広さが分かります。
こちらが先ほどの24坪の家を単純に横に広げて27坪にした家です。
27坪の家は、24坪の家よりLDKの広さや各部屋の広さにゆとりがあるのが分かりますね。
もちろんこの27坪の家には和室もありませんし、吹抜けもつくっていません。
このようなプラスαの要望があると、家を大きくしていくか、それともどこかを削って追加していくかなど、家の形を調整する必要が出てきます。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
→和室、畳コーナーの広さはどれくらい必要?2畳から8畳まで比べてみました
このように、例えばシンプルな27坪の家だと家の中の広さはどのくらいの大きさになるかを知っていると、あなたの要望に合わせた家にするにはどれくらいの広さが必要になるかの判断がしやすくなります。
(複雑な形の家や特殊な間取りはその土地、要望に合わせていることがほとんどなので、シンプルな間取りを一度見てみるのが一番分かりやすいです)
まずは家の広さと部屋の広さのバランスを頭に入れておくことで最適な広さの家にすることができますし、思ったよりも部屋が狭い場合は廊下などムダなスペースが広すぎるかもしれないなど、間取りの判断材料になってくれるんですね。
どれくらいの広さが必要か分かれば、とても便利
ここまで家の広さについて見てきましたが、家にどのくらいの広さが必要か分かっていれば、家を建てるのに必要な金額が把握しやすくなります。
たとえば、工務店や住宅会社は坪単価〇〇円とうたっている会社がほとんどですが、坪単価を出しているのが40坪前後の大きめの家を基準にしていることがほとんどですし、施工面積が基準になっていたりとあまり信用できるものではありません。
→床面積と施工面積ではどっちが重要?数字に惑わされない家づくりの方法をお伝えします
→坪単価26万円の会社で、坪26万円の家は建てられるのか?建築士が調査した結果をお伝えします
そのため、坪単価で家の価格を把握するのはかなり難しいんですね。
一方、家にどのくらいの広さが必要か分かっていれば、住宅会社や工務店に「〇〇坪の家だといくらくらいになりますか?」と具体的に聞くことができます。
特に、少し価格が高そうで予算がギリギリかなという住宅会社や工務店に行った場合は家が予算内で建てられるかどうかの判断がしやすくなります。
予算内で納まりそうならその住宅会社や工務店は候補に残りますし、予算オーバーならその住宅会社や工務店とは縁がなかったということに。
このように家に最低限必要な広さが分かっていると、何かと時間がかかる工務店選びを効率的に進めることができるようになるんですね。
まとめ
今回は、実際に図面を見てもらいながら、家の広さについて見てきました。
4人家族に欲しい最低限の広さは24坪くらいがひとつの目安。
その後、人がひとり増えるごとにプラス4坪くらい足していくと、必要な家の広さが分かるようになります。
4人家族に少しゆとりをもたせるなら27坪〜30坪くらいが目安となってきます。
その後、人がひとり増えるごとにプラス5坪していくといいですね。
その他の要望があれば、先ほどの家の広さにプラスもしくはどこかを削って追加するというのが、家の広さの目安となってくれます。(和室4.5帖に押入が必要なら、6帖分プラスするという感じです)
特に小さな家であればあるほど、スペースをフルに活用する必要が出てきます。
今回のように家の広さの目安が分かる事で、家のプランに無駄なところがあるかどうかが判断できますし、必要な土地の広さも判断がつくようになります。
よく言われるのが、
「家は大きくするのは簡単。でも、小さくするにはよく考えたプランにしないといけない」
という言葉です。
実際に、狭小住宅をつくる方が普通の家をつくるよりも何倍も難しいです。(その分、面白さもあります)
できるだけコンパクトにつくって無駄を無くすように間取りをつくる事は、よりコストパフォーマンスの高い家ができる近道と言えます。
皆さんも、ぜひ良い家をつくってくださいね。
では。
家の広さについてはこちらも参考にしてください。
→住宅の坪数はどれくらいがベスト?理想の広さを知る方法を建築士がご紹介します
家の内装が気になる方はこちらも参考にしてください。
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
間取りについてはこちらも参考にしてください。
→一軒家の間取りで失敗しないために気をつけたい7つチェックポイント
→リビングの間取りを見る前に知っておきたい!代表的なリビングの間取り5選
あなたが家の間取りにしっくりこないなら、こんなのが原因かもしれません。
→危険な間取りの3つの特徴。あなたの設計担当者はこんな人ではないですか?
→設計士さん次第で、どうしてこんなにも違うの?その理由をお答えします。
→家を一番安く建てる方法をお教えします。安く家を建てるためのコツ
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
4人家族で生活するのに必要な間取りの広さってどれくらい?
- 4人家族なら最低限、24坪が目安。ひとり増えるごとに4坪プラスしていく。
- 4人家族にゆとりをもたせるなら、27坪〜28坪が目安。ひとり増えるごとに5坪プラスしていく。
- 広さの目安が分かると、間取りの無駄が分かったり、必要な土地の広さが分かるので便利。