「間取りの打ち合わせをしているのですが、リビングの間取りで迷っています。リビングの間取りを見る時のポイントがあれば教えてもらえないでしょうか?」
読者さんからこのような質問をもらいました。
確かにリビングは家の間取りの中でもメインと言っても良い場所ですし、長い時間家族が過ごす場所でもあるのでリビング次第で家の居心地といのは変わってきます。
やはり家を建てるなら快適なリビングにしたいですよね。
そこで今回は、リビングの代表的な間取りを例に、どのようなメリットがあってどのような点に気をつければ良いのかを見ていきたいと思います。
家の間取りが気になる方はぜひご覧ください。
代表的なリビングの間取りとは
リビングとひとことで言っても、リビングの間取りというのは色々なパターンが考えらえます。
そこで代表的なリビングの間取りをピックアップしながら、どのような特徴があるのか見ていきましょう。
代表的なリビングの間取りとしては、
- Ⅰ型リビングの間取り
- L型リビングの間取り
- 凸型リビングの間取り
- 独立リビングの間取り
- センターリビングの間取り
- リビングとキッチンを分けた間取り
以上のパターンが挙げられます。
それぞれ違った特徴を持っているので、具体的にどのリビングがどんな特徴があるのかを見ていきましょう。
Ⅰ型のリビングの間取り
Ⅰ型のリビングというのはリビング、ダイニング、キッチンが真っ直ぐに並んだ間取りのことを言います。
Ⅰ型のリビングの代表的な間取りは下の形のような間取りになります。
LDKが一直線に並んでいるのでⅠ型リビングなんですね。
このようなⅠ型のリビングの間取りのメリットとしては、キッチンからLDK全体を見渡しやすいこと、またLDKの外壁に面している部分が長いので窓が設置しやすいこと、リビングの形が綺麗なので間取りも作りやすく家がコンパクトな場合でも広く見えるLDKを作りやすいというメリットが挙げられます。
リビングが縦長で視線が抜けやすく形もシンプルなので、Ⅰ型のリビングは間取りとして採用しやすいんですね。
一方、Ⅰ型リビングの間取りのデメリットを挙げるとすると、方位によっては光が家の中に入りにくくなってしまう事が挙げられます。
例えば先ほどの間取りの方位を90度を変えてみるとこのような形になります。(間取りは基本的に上側が北となります)
どうですか?
南に面した部分がかなり少なくなってしまいますね。
東西どちらかが開けているのであれば明るさに問題ありませんが、南側からだけしか光が入らないケースだと場合によってはキッチン周りが暗く感じてしまうケースもあります。
そうならないよう、南北に長いⅠ型リビングの間取りにする場合は南からの光がキッチンまで届くようにあまり南北に長くしすぎないか、吹き抜けなどを設けて家の奥まで光を入れるなど、明るさ対策には気を使っておきたいですね。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
その他、Ⅰ型リビングの間取りというのは先ほどのようにリビング、ダイニング、キッチンが一直線に並ぶだけでなく、キッチン、ダイニングの横にリビングが来るような間取りの場合もあります。
例えば下のような間取りが一例となります。
キッチン、ダイニングの向きが変わる事で、同じⅠ型リビングでも間取りの印象はかなり違ってくることが分かりますね。
この場合の間取りのメリットとしては、キッチンとリビングとの距離感が近くなるという事です。
LDKが一直線に並んだⅠ型リビングの場合はキッチンとリビングの距離はある程度離れてしまいますし、ソファの向きもキッチンに背を向けるケースがあったりなどキッチンとリビングの関係性に多少距離ができてしまいがちですが、キッチンの横にリビングを配置する事でキッチン、ダイニング側に向いたリビングにすることも可能となるんですね。
また、キッチンでTVを眺めながら料理をしたいという場合、LDKが一直線に並んでいる間取りだとキッチンからTVまでの距離が遠いためかなり大きなTVにしないと文字などが見えなくなってしまいますが、キッチンの横にリビングがあるとTVの配置をキッチンから見える位置に配置することで料理をしながらTVを見やすくすることもできます。
その一方、キッチンの横にリビングがある間取りの場合の注意点というのもあります。
それはキッチンとリビングの間にしっかりした通路スペースを確保できているかという点です。
下の間取りのオレンジに囲んだ部分ですね。
実はこの部分、意外とスペースがしっかり取れていない間取りもよく目にする事があります。
下の間取りなんかは分かりやすいですね。
キッチン横のスペースはダイニングへ行くメインの動線となるなのでスペースをしっかり確保しておきたいですが、実際にソファを置くと通路部分があまり取れないというケースが多くあります。
そのためキッチンの横にリビングを配置した間取りにする場合、キッチン横のスペースはしっかり確保しておきたいですね。
(リビングスペースとして広さ的に3,640㎜は欲しいところです)
→その間取りは動線が考えられていますか?家の間取りと動線について
L型のリビングの間取り
先ほどはLDKを直線的に並べた間取りとなっていましたが、リビング、ダイニング、キッチンをL字型に並べた間取りにする方法もあります。
L型リビングの間取りというのはこのような感じの間取りですね。
L型リビングの間取りはⅠ型のリビングと並んでリビングの人気の間取りです。
このようなL型リビングの特徴としては、LDKがL字型になるため最低でも2方向の窓をしっかり取る事ができるので、LDK内の風通しを良くしやすいという特徴があります。
また、同じように光も2方向から取り込む事ができるので、敷地が角地の場合など色んな方角からリビングに光を入れたい時も効果的です。
このようにL型リビングの間取りというのは光、風のバランスというのが優れた間取りになりやすいんですね。
そのため、風通しや明るさが気になる場合はL型リビングの間取りを検討してみるのも効果的です。
一方、L型リビングの間取りは場合によっては採用しにくいというケースもあります。
例えば間口がそれほど広くない敷地の場合はL型リビングの間取りは作りづらくなります。
南側道路の土地であれば玄関が南側に来る事が多いので、玄関を配置するとL型のリビングにするだけのスペースを確保するのが難しいケースもありますし、反対に玄関を北側に配置する北側道路の土地だとL型キッチンにしやすいなど、土地の形の影響を受けやすくなってしまうんですね。
そのため、敷地への対応力で見てみるとL型リビングの間取りというのは制限の多い間取りと言えます。
→間口(まぐち)って何?間口によって建てる家は変わってきます
また、L型リビングの間取りの場合は壁の位置次第でキッチンとリビングがかなり分断された間取りになることがあります。
例えば、下ような位置にリビングの壁があるとどうでしょうか?
壁のせいでキッチンからリビングがあまり見えなくなっていますし、視界的にも壁で視線がカットされてしまうのでLDKが狭く感じてしまう原因ともなってしまいます。
このようにL型リビングの間取りでは壁の位置次第でリビングとキッチンの距離感や見え方、空間の広がりというのは大きく違ってくるんですね。
そのため、L型リビングにする場合はLDKの一体感がしっかり確保されているかどうか。
この部分は間取りの中で必ず確認しておきたいポイントと言えます。
凸型のリビングの間取り
リビングの間取りでは、リビングの形が凸型になっているケースもあります。
凸型のリビングと言うとあまり聞きなれないかもしれませんが、キッチン、ダイニング、リビングが下のような形で並んだ間取りのことを言います。
凸型のリビングとは、間取りの中心にキッチンを配置し、その前にダイニング、リビングが並んだ間取りの事を言うんですね。
特にキッチンを間取りのメインにしたい場合、凸型のリビングというのはとても相性の良い間取りとなります。
また、キッチンが間取りの中心となるので、アイランドキッチンを採用するのもいいですね。
アイランドキッチンを採用する場合、キッチンの見た目はとても洗練された物になる反面、普通のキッチンよりもスペースが必要となってしまう点では使い方が難しいキッチンとなりますが、凸型リビングの場合はキッチンのスペースも確保しやすいですし、アイランドキッチンにすることでキッチンからダイニング、リビングどちらへもアクセスしやすくなるというのも魅力の1つです。
凸型リビングの間取りはキッチンが主役となりやすいので、お好みのキッチンを選んで見るのも楽しいですし、採用したキッチン次第でLDKの雰囲気は結構変わってきますよ。
→アイランドキッチンで後悔しないために知っておきたいメリットとデメリット
→対面キッチンはどれがおすすめ?5つの対面キッチンとメリット、デメリット
また、凸型リビングの間取りの場合、キッチンの近くに水回りやパントリーなどを配置しやすくなるという特徴もあります。
キッチンの両サイドにスペースが作りやすくなるので、そのスペースを上手く活かすことで家事がしやすい間取りを作ることができるんですね。
凸型リビングはキッチン周りのアレンジのしやすさも魅力の1つとなります。
→パントリーを上手く使って収納上手に!メリット、デメリットと理想の収納方法
このようにキッチンを中心にした間取りにする場合、凸型リビングは魅力的な選択肢となりますが、凸型リビングにもデメリットは存在します。
まず、凸型リビングの間取りにする場合、リビング、ダイニングを配置する場所に光が入る事が大前提となってきます。
そのため、敷地にある程度の間口が必要となってきたり、南側にリビング、ダイニングが配置できない場合は敷地の東西が開けていて光が入る土地でないと明るさが確保できないなど、相性の良い敷地、悪い敷地というものが存在します。
また、キッチンを中心に視界が外に広がるので庭の作り方や外からの視線もある程度コントロールしておきたい部分でもあります。
→家の中が近所から丸見え?視線をコントロールするための4つの方法
その他、凸型リビングの間取りの場合、キッチンとリビングがあまりに近いとソファに座った時に目線のすぐ近くにキッチンが来てしまうため圧迫感を感じてしまうケースも考えられます。
そのため、凸型リビングの間取りにする場合は敷地や家の大きさに少し余裕がある場合など、うまく使えるケースが限られてしまう点はデメリットと言えそうですね。
独立型リビングの間取り
キッチンを独立させる以外に、リビングを独立させた間取りというのもあります。
例えばこのような間取りですね。
上の間取りのケースではダイニングとリビングを壁で完全に区切るのではなく、格子で緩やかに区切っているケースとなります。
その他にも、リビングとDKをより緩やかに区切る場合はダイニングとリビングの間に棚などの家具を置いて区切るという方法もあります。
このように独立型リビングの間取りと言ってもリビングをキッチンやダイニングと完全に分けてしまうのではなく、スペースを壁や格子、家具などである程度区切った上で、独立性の高いリビングにすることが多いんですね。
また、下の間取りのようにリビングをDKから離れた場所に配置して独立リビングにするという方法もあります。
上の間取りの例では、格子や壁など物理的な方法ではなく、DKとリビングの間に距離感を設けることで独立性を高めているんですね。
では、リビングが独立した間取りにすることでどのようなメリットがあるのでしょうか?
独立したリビングの一番のメリットは落ち着いたリビングになるということです。
他のスペースと区切られているので、こもり感のあるリビングになるんですね。
例えば独立リビングにソファを置くのももちろん良いですが、人をダメにするクッションなどを置いてそれぞれ好きなスペースで床にゴロゴロすると言った使い方も有りです。
LDが一体の間取りの場合、リビングの床でゴロゴロしていると思った以上にダイニングテーブルに圧迫感を感じることがありますが、リビングがダイニングと区切られる事でリビングの床でゴロゴロしていてもダイニングテーブルの圧迫感が無くなり、視覚的にも落ち着く空間にすることができます。
また、映画などをゆっくり楽しみたい場合なども独立型リビングは効果的ですし、キッチンやダイニングを家族以外の人にあまり見られたくないという場合も独立したリビングにするというのは1つの選択肢となります。
一方、独立型リビングの間取りの場合、リビングはある程度の広さを確保しておくのことが必須項目となってきます。
独立感が強ければ強いほどリビングスペースがしっかり確保されていないと、リビングというよりも普通の部屋という感じが強くなってしまうからなんですね。
そのため独立感の強いリビングは最低でも8帖、できれば10帖以上確保するなど、広さに関してはしっかり取っておくのが、独立したリビングの間取りにする時の一番のポイントとなります。
→リビングの広さはどれくらい必要?16帖、18帖、20帖で比べて見ました
センターリビングの間取り
リビングの間取りでは、リビングを家の中心付近に配置したセンターリビングの間取りというのもよく見かけます。
センターリビングの間取りというとこんな感じですね。
その名のとおり、リビングが家の真ん中にあるのが分かります。
このようなセンターリビングの間取りの大きな特徴としては、リビングからどこへ行くのも簡単な事。
リビングが家の中心にあるので、りビングの周りに部屋や水回り、玄関などを配置するスペースが沢山あるからなんですね。
そのためリビング中心の生活を送りたい場合にかなり重宝する間取りと言えます。
またセンターリビングの場合はリビングと同じ階に部屋が多くある方が効果が高いので、特に平屋の家でよく見られる間取りとなります。
その一方、センターリビングの間取りでも注意しておきたいことがあります。
たとえば、リビングの明るさについて。
先ほどのセンターリビングの間取りをよく見てみると、リビングの中に窓が2つしか確保されていません。
リビングの周りに部屋や水回りを配置できる分、窓を取るスペースが少なくなってしまうんですね。
また、リビングの周りに窓が少なく壁に囲まれていると、部屋の広がりというのも感じにくくなってしまいます。
そうならないためにも、センターリビングの場合は間取りで「ひと工夫」しておく必要があるんですね。
たとえば、リビングの一部に壁以外の場所を作って光と抜け感を出すというのも効果的です。
上の例ではワークスペースがあることでリビングの中に光と風を入れつつ、外が見える場所を作って抜け感が出るようになるんですね。
このような外と繋がるスペースが有るか無いかで間取りの質は大きく違ってきます。
また、部屋やスペースの一部をリビングと繋げてみるのも有効な方法です。
たとえばこんな感じですね。
すべて壁に囲まれていたリビングと比べると、かなり印象が変わることが分かります。
扉を付ける場合も2枚や3枚の引込み戸にして必要ない時は開け放てるようにしておくのもいいですね。
センターリビングの間取りにする場合は、このような周りの部屋との繋がりをどう作るかというのが間取りの重要なポイントとなってきます。
もし横に繋がりを作るのが難しい場合でも、勾配天井や吹抜けなどで明るさを入れつつ視線の抜けを作るなど、縦空間を上手く使って空間を演出するというのも効果的ですよ。
→吹き抜けのある間取りにする時に必ず知っておきたい5つのこと
リビングとキッチンが分かれた間取り
ここまではLDKが一体になった間取りを見てきましたが、最後にリビングとキッチンが分かれた間取も見ておきましょう。
リビング、ダイニングが一体となっていて、キッチンは独立しているという間取りですね。
最近では対面キッチンの間取りを多く見かけますが、独立したキッチンで料理をしたいという方もやはりいらっしゃいます。
キッチンが独立した間取りにすることで、リビングからキッチンが見えなくなるので生活感を減らしやすくなりますし、料理のニオイもリビングまで広がりにくくなったり壁付キッチンの方が料理に集中できるなど、独立したキッチンにメリットを感じる方にとってはキッチンとリビングが分かれている間取りは魅力的な選択肢になります。
→壁付けキッチンのメリットとデメリットって何?失敗しない壁付けキッチンの作り方
その一方で、例えばリビングとキッチンが一体となったLDKであれば20帖あったスペースでも、キッチンが独立する事でリビング、ダイニングの広さが16帖になるなど、部屋が細切れになることで大空間は作りにくくなります。
そうなると広さという点ではLDK一体の間取りと比べるとどうしても劣ってしまいやすくなってしまうんですね。
そのため開放的な間取りを目指す場合は、例えばキッチンは独立しているけども、必要な時は窓や建具などでリビング側に開く事ができるようにするなど、視線の抜け感を意識した間取りにすることで視覚的な広さをカバーできるようになります。
リビングとキッチンを分ける場合は、キッチンを完全に閉じた方が良いのか、それとも時にはオープンできる方が良いのか、この部分を一度考えてから間取りを決めたいですね。
まとめ
今回はリビングの代表的な形について詳しく見てきました。
ひとことでリビングと言っても、いろんな形があるんですね。
もちろん、リビングの間取りに決まった形はなく、今回ご紹介したリビングの間取り以外にもいろんな形のリビングが存在します。
ただ、代表的なリビングの形を頭の中に入れて置くだけであなたに合ったリビングがどれか判断しやすくなりますし、間取りでしっくりこない場合でも他の形のリビングを選択肢に入れることで間取りの可能性というのはグッと広がるようになるんですね。
最後にリビングの間取りを作る時のアドバイスを1つ。
今回ご紹介したリビングの中にあなたの理想のリビングの形が有ったとしても、設計者に「絶対にこのリビングの間取りがいい」と伝えるのではなく、「できればこのリビングの間取りがいい」くらいの感じで伝える方が間取りの可能性は間違いなく広がります。
リビングだけを見れば理想の形を作ることは難しいことではありませんが、間取りはあなたの要望を踏まえつつ玄関や水回り、階段などいろんな要素を組み合わせて作るものなので、リビングの形は理想でもそれが理想の間取りとは限らないからなんですね。
また、敷地の形状や周辺環境によってもベストの間取りというものは変わってきます。
ある程度の間取りの希望は伝えた上で、設計者に任せる部分は任せてみる。
これがベストな間取りにたどり着く一番の近道でもあるんですね。
間取りができた際に今回の内容をそれぞれのリビングのチェックポイントに照らし合わせてみる。
そのような使い方をしていただければ幸いです。
ぜひ素敵なリビングを作ってくださいね。
では。
リビングについてはこちらも参考にしてください。
→リビング階段は寒い?プロが教えるリビング階段のメリットとデメリット。
→2階リビングのメリット、デメリットをプロの建築士がまとめました【絶対保存版】
→リビングの広さはどれくらい必要?16帖、18帖、20帖で比べて見ました
→4LDKの間取りのポイントを新築注文住宅を例にご紹介します
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