「家を建てるならできれば広々とした開放感のあるリビングにしたいと思っていたのですが、実際には予算や敷地の広さの関係でLDK全体で20畳くらいの広さとなってしまいそうです。LDKで20畳というのは広さ的に大丈夫でしょうか?」
読者さんからこのような質問をもらいました。
家を建てるならリビングやLDKの広さというのはやはり気になる部分ですよね。
元々新しい家と同じような広さのリビングで暮らしているのであれば広いか狭いかの判断はしやすいですが、実際には賃貸住宅と戸建て住宅を比べるとリビングやLDKの広さは賃貸住宅の方が小さいので、20畳の広さといってもピンとこない方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回はそんなLDKを16畳、18畳、20畳の間取りを元に大きさ別に比較できるようにしてみました。
快適な生活を送るのにリビングやLDKはどのくらいの広さが必要なのでしょうか?
この記事では、理想的なリビングの広さと、そのメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
リビングやLDKの広さが気になる方はぜひご覧ください。
16畳のLDK
上の間取りはLDKの広さが16畳の間取りです。
この16畳というのは4人家族の家を想定して家具を配置したとするとLDKの広さとしては最低限欲しい広さとなります。
LDKに最低限16畳くらいあるとダイニングテーブルやソファを置くことができるんですね。
→家の間取りは4人家族の場合、最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?
もちろん、ダイニングテーブルやソファを置けるといっても大きいテーブルやソファを置くと部屋の中が一気に狭く見えてしまったり、テーブルとソファの間にスペースが取れないなんてことも起こってしまいます。
そのため16畳のLDKでは家具は圧迫感の少ない丸テーブルや小さめのソファなどコンパクトな物を選ぶのがポイントとなります。
→丸テーブルってどうなの?丸テーブルの魅力とメリット、デメリット
このように家具を置くことを想定するとLDKの広さには16畳は欲しい所ですが、都心部など場合によってはLDKに16畳確保できないこともあります。
その場合はキッチンの形状を調整したり、ダイニングとリビングをまとめることで生活スペースを確保していくことになります。
例えばキッチンを対面キッチンから壁付けキッチンに変更してリビングやダイニングに使うスペースを確保したり、ダイニングにダイニングテーブル、リビングにソファというようにLDを別々にするのではなく、ソファにローテーブルを置いてダイニングテーブル代わりにするなど、スペースの使い方を工夫することで狭さをカバーできるようになるんですね。
たとえば、ダイニングテーブルを置かない間取りの一例を挙げると下のような感じに。
ダイニングテーブルが無い分だけ、リビングがゆったり取れるんですね。
ちなみに一般的なキッチンは5帖なので、16帖のLDKの場合はリビング、ダイニングのスペースの広さは11帖ということになります。
18畳のLDK
上の間取りは18畳のLDKがある家の間取りとなります。
先ほどの16畳のLDKと比べると家具の配置に少しゆとりが出ているのが分かりますね。
このくらいの広さがあるとダイニングテーブルとソファの間にも十分なスペースを確保できるようになります。
また、LDKで18畳あるとダイニングテーブルとソファ以外にもLDKの中にスタディスペース用のカウンターを設けたり、シェルフなどの家具も置くことができるなど、LDKに必要最低限の物を置くだけでなくプラスアルファの要素も織り交ぜることができるようになります。
一方、少し余裕が出てきたからといってペニンシュラキッチンにしてキッチンスペースを広く取った上で、さらには大きなダイニングテーブルやソファを入れるとなると18畳のLDKもパンクしてしまいます。
キッチンをゆったり取るなら家具の大きさは抑えるなど、メリハリが効いた使い方をするのが18畳のLDKのポイントとなるんですね。
→ペニンシュラキッチンで後悔しないために知っておきたいメリットとデメリット
20畳のLDK
上の画像はLDKが20畳ある家の間取りとなります。
LDKも20畳ほどあると家具を置いてもかなり余裕が出てきているのが分かりますね。
このくらいの広さならリビングとダイニングで15畳ほどの広さを確保できるので大き目の家具を置くこともできますし、キッチンもペニンシュラキッチンにしたり大き目のキッチンカウンターも設けられるなど、LDKが20畳くらい確保できるといろんなアレンジができるようになるんですね。
そのためLDKにこだわるなら、ひとつの目安として20畳のLDKを目指すというのも効果的です。
その一方でかなりスペースが必要になるアイランドキッチンを入れる場合などは20畳のLDKでは少し手狭なので、LDKのスペースはもう少し広く確保したいところ。
一般的なLDKに必要な機能は20畳あれば入れられますが、家具やキッチンというのは大きい物はかなり大きな物もあるので、入れる家具やキッチンに合わせてLDKの広さを調整していきたいですね。
→アイランドキッチンで後悔しないために知っておきたいメリットとデメリット
ちなみに、20畳を超えるLDKをつくる場合は空間が間延びしていないか見てみると、間取りの良し悪しの判断がしやすくなります。
例えば24畳ほどのLDKがある場合、ダイニングテーブルやソファ以外のスペースはただ広いだけなのか、それとも空いたスペースをスタディーコーナーやキッズスペースに使うなど目的があるのかどうか見てみると無駄なスペースか有効なスペースかを判断しやすくなるんですね。
場合によっては20畳のLDKと4畳の畳コーナーというように、明確にスペースを分けてあげるのも効果的です。
LDKは広さがあればあるほど視覚的な広さは広がりますが、ただ広いだけだと掃除の手間が増えるなどデメリットも出てきます。
LDKの中を有効活用できているか。
この部分が広いLDKにする場合は特に重要となるんですね。
LDKの広さと形
ここで1度、ここまで見てきた16畳、18畳、20畳のLDKの間取りを並べてみることにします。
この3つの間取りは広さの違いが分かりやすいように左右を伸ばして広さの違いを見てきましたが、LDKの形は縦長の間取りばかりでなく、四角い間取りであったりリビングとダイニングが離れている間取りなどいろんな形状のLDKがあります。
たとえば、L字型のLDKであればこんな感じに。
キッチン、ダイニング、リビングが一直線に並んだLDKとはかなり印象が違っていますね。
そしてリビングの広さを見る時に意識しておきたいのが「LDK内で視線が抜けているか」という事です。
たとえば、同じL字型のLDKでも下のような間取りだとどうでしょうか?
壁でキッチンからリビングがあまり見えなくなっていますし、視界的にも壁で視線がカットされてしまうのでLDKが狭く感じてしまう原因ともなってしまうんですね。
また、L字型のLDK以外にも、敷地条件や要望によってLDKはいろんな形が考えられます。
LDKがどんな形でも、広さを見るときは視線がどれだけ抜けるか、また壁でカットされていないかという点も一緒に確認しておきたいですね。
LDKの広さと数字
LDKの広さを見る場合は図面に書いてある「〇〇畳」という数字を見て判断することになりますが、その数字だけでLDKの広さにするのはちょっと待ってください。
間取りによっては廊下としてしか使えないスペースであってもLDKの広さに含めている事があるなど、実際に使える広さと図面に表記されている広さが違うケースもあるからなんですね。
たとえば下のようなLDKであれば、青線で囲まれた範囲がLDKの広さとして数えるのが一般的です。
一方、場合によっては下の図のようにリビング横の廊下までLDKの広さに含めていることも。
同じLDKなのに、どこまでLDKの広さに含めるかで1畳以上違いが出ているんですね。
このようなケースは特にマンションや建売住宅などの広告でよく見かけるケースですが、一般的な住宅でも図面の作図者次第でLDKに含める範囲というのは違いが出てきます。
そのため、図面に書かれている帖数にはどこまで含まれているのか、そして実際にLDKとして使えるスペースにはどれくらいの広さがあるのか。
LDKの広さを見る場合、この部分がとても大切となるんですね。
また、実際に使うサイズの家具をLDKの中に書き込んでみると、LDKの広さが十分なのかどうかも視覚的に分かりやすくなります。
その他、LDKは郵便物やちょっとした小物など家の中でも物が集まりやすい場所です。
そのためLDKの広さを求めるだけでなく、収納もしっかり確保することがキレイでスッキリ見えるLDKにするためにはとても重要となります。
→おしゃれなリビングにするための収納術。片付く部屋にする方法をご紹介します。
LDKの広さという数字だけが1人歩きするのではなく、実際に快適な生活が送れるかどうかをシミュレーションしてみる。
これがとても大切なんですね。
広く見えるLDK、狭く見えるLDK
LDKでは数字以外に「間取りの作り方」というのも広く感じるかどうかに影響してくる部分になります。
間取りによって数字以上に広く見えることもあれば、数字よりも狭く感じることもあるんですね。
では、同じ面積でも見え方が違う理由とは何なのでしょうか?
答えは「視線が抜け」です。
視線が抜けているとLDKが広く見えますし、視線があまり抜けないと狭く感じてしまうんですね。
たとえば、LDKの視線が部屋の端から端まで抜けているかどうかというのはかなり重要なポイントです。
そのため、部屋の隅には収納など重たく見える物を配置するのではなく、あえてオープンなスペースにしておいたり観葉植物を置いて奥行き感を出すなど広さを感じられるようにするのがベストなんですね。
また、この対角は長い部屋ほど広く見えます。
対角に視線が抜けていたとしても、正方形に近いと視線の抜けを感じにくいんですね。
そのため部屋の端を壁で終わりにするのではなく、その先に廊下や部屋などのスペースが続くようにして奥行き感を出すというのも効果的です。
また、部屋の窓を上手く使って視線を外に抜けるようにすることでもLDKが広く見えます。
たとえば、窓と天井の高さを揃えることでリビングが外まで続くようになるので、リビングの広さというのも実際の数字以上に広く見えるようになります。
また、屋根の軒を出して外と繋がるようにするというのも効果的です。
Photo:https://www.muji.net/ie/younoie/
リビングが広く見えるだけでなく、庭とリビングが繋がることで居心地の良さもアップするんですね。
このように庭や風景がよく見える場所には大きめの窓を設けて、より広さを感じるようにしておきたいですね。
その他、リビングに居る時に部屋の中がどう見えるかというのも広さに大きく影響する部分になります。
たとえば部屋は、「ゴチャゴチャ」と散らかった印象の部屋よりも「スッキリ」して片付いている部屋の方が広く感じます。
そしてこの片付く部屋というのは使いやすい場所にいかに収納を作っておくかというのがとても重要なポイントになります。
そのため、リビングには使いやすい収納を必ず作っておきたいですね。
(リビングには家の中の色んな物が集まるので、大きな収納よりも小物を収納しやすい奥行きの浅い収納がベストです)
また、家具や窓、扉の高さはできる限り揃えるというのも大切です。
たとえば、下の絵のように色んな高さの物があるLDKだと、どうしてもゴチャゴチャ見えてやすくなってしまうからなんですね。
ちょっと雑多な感じのLDKになりそうな場合は、天井まで高さのあるハイドアを使ったり窓の高さを天井まで高さのある窓にする、また家具の高さはできる限り揃えるなど、インテリアを上手く整えることで部屋全体がスッキリして広く見えるようになるんですね。
→広く見える部屋と狭く見える部屋って何が違うの?部屋を広く見せるための3つの方法
→ハイドアにすると部屋がこんなに変わる!ハイドアの驚くべき効果を検証します
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
あとは、LDKにビッチリ家具が詰まっている家というのは、どうしても狭く見えてしまいます。
物が溢れていて圧迫感を感じてしまうからなんですね。
また、LDKは家族が快適に過ごすための場所なのに、家具の存在感が大きすぎると家具のための部屋になってしまいますし、移動の際も家具が邪魔で通りにくかったり家具に足をぶつけてしまうなんてことも。
そうなると本末転倒ですよね。
たとえばLDKの広さに最適な家具は、LDKの広さに対してワンサイズ小さめくらいの物を選ぶくらいがちょうど良いサイズ感になります。
人が集まった時や、気分転換したい時など家具を動かせるよう柔軟性を持たせるのもいいですね。
このように、家具のサイズ感というのもLDKが広く見えるかどうかに大きく影響してくる部分と家ます。
リビングの広さ
ここまでリビングも含めたLDK全体の広さについて詳しく見てきましたが、最後に「リビング」単体の広さについてもスポットを当てておきましょう。
実際に一般的なリビングの広さはどれくらいなのでしょうか?
たとえば、先ほどの18畳のLDKを例に見てみるとリビングの広さは約8畳となります。
リビングに8畳くらいの広さを確保できると、ソファやローテーブルを置いても少しゆとりのある広さとなるんですね。
一方、リビングの広さに8畳取れない時もあります。
そんな時は、家具の大きさはできるだけコンパクトな物を選んでおくのがポイントになってきます。
部屋全体の大きさに家具が馴染んでいれば、狭さを感じる事はグッと少なくなるからなんですね。
(反対に大きな家具を置くと、すごく狭く感じるようになります)
また、リビングの広さが取れない時は「籠り感」を出すというのも効果的です。
上の間取りは先ほどの6畳のリビングにさらにデスクを追加したものですが、デスクも含めて壁に囲まれることでより籠り感が出て、リビングのコンパクトさを反対に活かすような家具の配置になっています。
このように、リビングの広さに合わせて家具をコーディネートする。
そうすることで、居心地の良いリビングにすることができるんですね。
その他、リビングは下のように1段下げて落ち着き感を出すこともありますし、「リビング」と「ダイニングキッチン」がある程度離れている間取りというのもあります。
Photo:https://www.konoka-maeken.jp/
このように独立したリビングの場合に必要な広さとしては、やはり8畳くらいは確保したいところ。
8畳を切ってくるとスペース的な広さだけではなく視覚的にも狭く見えやすくなってしまうからなんですね。
そのため独立したリビングの場合はある程度の広さを確保できているかどうか、または視覚的に広がりを感じられるかどうかをチェックしておくと効果的ですよ。
まとめ
今回はLDKの広さやリビングの広さについて見てきました。
LDKは家の中心とも言える場所なので広さというのは気になる部分ですが、最低限必要な広さを見てみると4人家族の場合は16畳ほどの広さは確保して、それよりも小さくなってしまう場合はキッチンやLDの作り方の工夫が必要となります。
一方、ゆとりあるLDKの広さを見てみるとLDKで20畳ほど確保できると家具を置いても空間にゆとりがあるので20畳というのがLDKの1つの目安となってきます。
もちろん、LDKに大切なのは〇〇畳という数字上の広さではなく、実際に快適に使えて見た目も数字以上に開放感があることです。
LDKはダイニングテーブルやソファなど大きな家具を置くスペースでもあるので、実際に使う物に合わせたスペースを心がけるのもとても大切なんですね。
ぜひあなたに最適な広さのLDKにして、快適で楽しい生活を送ってくださいね。
では。
リビングや家の広さについてはこちらも参考にしてください。
→住宅の坪数はどれくらいがベスト?理想の広さを知る方法を建築士がご紹介します
→リビングの間取りを見る前に知っておきたい!代表的なリビングの間取り5選
LDKの広さが気になる場合はリビング階段や吹き抜けを組み合わせるのも効果的です
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
キッチンについてはこちらも参考にしてください。
→対面キッチンはどれがおすすめ?5つの対面キッチンとメリット、デメリット
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建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
建築士が教える今日の問題解決
LDKにはどれくらいの広さが必要?
- 4人家族を想定するならLDKは最低限16帖は欲しい。
- 16帖に満たない時はキッチンやLDの作り方に工夫が必要。
- LDKが20帖あるとダイニングテーブルやソファを置いてもゆとりが出てくる。
- リビングだけ独立させる場合は8帖以上が目安。
- 数字上の広さだけでなく、実際に使える広さが重要。