玄関に靴を収納する時、シューズクロークや土間収納を造ってその中に収納するというケースも最近では増えていますが、やはり一番多いのは玄関に玄関収納を設置するという方法です。
この玄関収納、よく図面では何気なく描かれていますが、実は設置場所やサイズによって玄関の使い勝手や見た目が大きく変わってきます。
そこで今回は、そんな玄関収納を決めるときのポイントについてご紹介していきたいと思います。
目次
玄関収納はどこに置く?
玄関収納を置く位置は、大きく分けて3種類に分けられます。
その玄関収納を置く位置次第で、それぞれ使い勝手に特徴が出てくるんですね。
それでは、玄関収納の位置について1つずつ見ていきましょう。
まずは、玄関ドアに近い玄関土間の部分に玄関収納を置いた場合です。
この場合のメリットは、土間に玄関収納があるので何かと汚れがちな靴を玄関ホールに上げずに収納する事ができるということが挙げられます。
汚れた靴を持って玄関ホールに上がるのは少し抵抗がありますね。
場合によっては靴についた泥汚れなどが玄関ホールに落ちてしまうことになるので、玄関土間に玄関収納を配置することで玄関ホールが汚れるのを防ぐことができるようになります。
一方、玄関収納を玄関土間に配置した場合、玄関収納を開けるときは1歩、玄関土間の上に足を置く必要があるので、常に草履など簡単に履ける物を玄関に用意しておかないといけないという側面もあります。
(子供は、裸足のまま玄関土間に降りるケースが多いです・・)
次に、先ほどとは反対に玄関ホールに玄関収納を置くという方法もあります。
このような配置の玄関収納のメリットは、靴の出入れがしやすい事が挙げられます。
玄関の土間部分も広くなるので、傘立てなどを玄関土間に置きたい場合も効果的ですね。
一方、靴が汚れている時なんかには、玄関ホールに土などの汚れが落ちてしまうということもあり、マメな掃除が必要になってきます。
その他の玄関収納の配置場所としては、これまでの2つの中間を取って、玄関土間とホールの真ん中に玄関収納を持ってくるという方法もあります。
この場合は、これまでの玄関収納のいいとこ取りといった感じですね。
汚れた靴も収納しやすいですし、使う靴を取る時も土間に一歩降りなくても取れる場合が多くなります。
さらには空いた土間部分に傘立ても置けますね。
そのためバランスの良い玄関収納の配置と言えます。
ここまで玄関収納の配置について見てきましたが、間取りに配置した玄関収納の幅は80㎝のサイズの玄関収納。
80㎝の幅というと玄関収納としては最低限の大きさですが、標準装備の玄関収納が80㎝という会社も多く、このサイズは家づくりで見かけることがよくあるサイズでもあります。
玄関収納の位置は間取りの影響と、設計士の考え方やクセで位置が決まることが多いという特徴があるので、図面に書いてある玄関収納の位置があなたにとって使いづらそうな場合は、遠慮なくあなたの使いやすそうな位置に変更するのもいいですね。
ちなみに私は、ホール側か玄関土間とホールの真ん中に配置することが多いです。
玄関収納のサイズ
先ほどの玄関収納の幅は80㎝でしたが、玄関収納の幅は40㎝単位で変更できるのが一般的です。(造作の場合は自由に設定できますが、開き勝手や靴のサイズを考慮すると40㎝単位くらいが使いやすいです)
例えば、先ほどの間取りに160㎝幅の玄関収納を置けばこのようになります。
1坪ほどの玄関だと、端から端まで玄関収納がくる形になるんですね。
靴が多いので玄関収納は広くしておきたいという場合は、このように玄関収納の幅を広げて収納量を確保するという方法があります。
一方、玄関収納の形は、腰までの物と天井まで高さのある物、その2つを組み合わせたコの字型といった物が代表的な玄関収納の形です。
腰までの高さだとこんな感じですね。
Photo:http://img-cdn.jg.jugem.jp/378/1106664/20151027_762501.jpg?guid=ON&view=mobile&tid=3
一方、天井までのトール型やコの字型だとこんな感じです。
Photo:http://sumai.panasonic.jp/interior/veritis/lineup/entrance-shunou/conporia.html
やはりトール型の玄関収納は収納力がありますし、コの字型は収納量を重視しつつ空いている部分に物を飾ったり窓を持ってきたりすることができます。
このように玄関収納の形を選ぶときは、「どれだけ靴を収納しないといけないのか」と「玄関の広さ(特に玄関の幅」)が大きく影響してきます。
ちなみに、先ほどの一坪サイズの玄関の場合、トール型の玄関収納を持ってくると窮屈な感じが強く出てしまうので注意が必要です。
その理由としては、視覚的にも天井まで壁がくるので1坪よりも狭い玄関にしか見えなくなってしまいますし、さらには圧迫感が出てしまうんですね。
やはり、あまり広くない1坪ほどの玄関の場合は圧迫感が少ない腰型の玄関収納がオススメです。
そのためトール型の玄関収納を置く場合は、玄関収納を置いたとしても有効幅で1m80㎝ほど(畳1帖分)の幅を確保したいですね。
(どれだけ玄関の幅を取れるかどうかで玄関の価値というもはかなり変わってきます)
一方、使い勝手が難しいのがコの字型の玄関収納。
コの字の空いたスペースに物や窓を持ってくることができますが、家というのはどれだけ見た目に無駄なラインを減らすことができるかで部屋の奇麗さやお洒落さが左右されます。
→どんな建具を選べばいい?建具を選ぶときに知っておきたいポイント
その点、コの字型の玄関収納は凸凹するためラインが多くゴチャついて見えやすいので、玄関をオシャレに見せるには中々難しい玄関収納と言えるんですね。
コの字型の玄関収納にする場合はコの字部分にしないと窓が配置できないなど、何かしらの明確な理由がある場合に限った方が無難と言えます。
玄関収納に靴はどれくらい入る?
ちなみに、玄関収納には靴はどれくらい入るのでしょうか。
玄関収納をどのような中身のプランにするかにもよりますが、幅80㎝の腰型玄関収納に目一杯靴を入れれば24足くらいが目安となります。
また、トール型だと2倍の48足くらいが1つの目安です。
http://myset.co.jp/m-series/y3-y4/
靴は1人で10足くらい持っていることが多いので、4人家族だと合計40足。
40足の靴を入れるとなると、幅が80㎝の玄関収納だとトール型の物にしないと入りきらず、腰型の玄関収納だと幅160㎝の物にする必要があるという訳ですね。
ブーツなど高さのある靴のスペースも常に確保しておくか、それともブーツなど季節ものはシーズンオフには別の場所に収納するかでも必要な量は変わってきまし、靴がどれだけ好きかによっても必要な収納量は違ってきます。
この辺りも考慮しながら玄関収納のサイズは決めたいですね。
ちなみに、最近では土間収納やシューズクロークをつくってその中に靴を入れるという方も多く、玄関収納を置かないというケースも多くあります。
その場合も、何足靴を収納する可能性があるかを想定して棚の数や広さを決めると、広さが十分なのか、それとも手狭になりそうなのかの判断がつきやすくなります。
→シューズクロークをつくるなら絶対に知っておきたい5つのこと
一方、土間収納にプラスして玄関収納をつくるという方もいらっしゃいます。
その場合は日常的に使う靴しか玄関収納には入れないため、あまり収納量は求められません。
このような場合は腰型の玄関収納か、できれば造作の玄関収納にしてどれだけ軽く見せられるかを追求しても楽しいですね。
ちなみに玄関収納の下に間接照明を埋め込んだり、仕込んだりすることもありますが、私の経験上、玄関に間接照明を設けても日常生活で玄関の間接照明は使われているところはあまり見かけることがなく、玄関収納に間接照明を付け加えても宝の持ち腐れといケースも多く見られます。(玄関の間接照明はマンションなどで良く見かけますね)
また、床がツヤ有りの仕上げだと光が反射して照明が見えてしまうなど失敗しやすい場所でもあるので、玄関収納に間接照明をつける必要性は低いと言えます。
鏡(姿見)をつけるなら
外出時の服装のチェックのために、玄関に鏡を付けたいという方も多くいらっしゃいます。
では、鏡は玄関のどこに付けると使いやすいのでしょうか?
それは、靴を履いた姿が見える位置に付けるのがベストです。
玄関ホールよりも、玄関の土間部分に鏡がある方が使いやすいんですね。
特に女性は履く靴が様々で、靴によって外見のバランスが大きく左右されますし、男性も足元まで整えているのかいないのかで外見は大きく違って見えます。
マンションであればエレベーターの鏡で全身を見るという猛者の方もいらっしゃいますが、戸建ての住宅ではエレベーターには乗らないので、家の中で靴を含めた全身が見れる場所があると重宝するんですね。
そのため、玄関ホールよりも玄関土間に鏡がある方が使い勝手が良いと言えます。
玄関収納 番外編
最後に、「玄関に草履やサンダルなど何かしらいつも出ているのが気になるんですが、スッキリする方法は何かないですか?」という読者さんの質問があったので、そのような場合の対処法をご紹介したいと思います。
ご相談をいただいた読者さんのように、常に玄関に履物があるけども玄関をスッキリさせたい場合、玄関の框の下をオープンにしてその中にサンダルや草履などを仕舞えるようにするという方法があります。
オープンにする位置はこの場所です。
この場所をオープンにすると、このようになります。
通常は塞がってしまう部分に空洞をつくって、ちょっとした履物を入れられるようにしてしまうという訳ですね。
普段はこの場所に履物を置いておき、履きたい時だけ玄関下からヒョイと出して履くという感じです。
こうして下から見ない限り、見た目には何も無いように見えるので、玄関に履物を出しておきたいけどもスッキリさせたい時にはオススメの方法です。
ちなみに上から見るとこんな感じです。
この場合の注意点としては、この空間をつくるのに高さが必要なので、通常の玄関よりも玄関土間と1階の床の段差が少し高くなってしまうということ。
また、あまりに広範囲に開口をつくると床の強度が弱くなるので、場合によっては部分的に補強を入れる必要がありますが、そんなに費用を掛けずにつくることができるので、玄関をスッキリ見せたい方は試してみてくださいね。
まとめ
今回は玄関収納についてお伝えしました。
日本人は家の中で靴を履いて生活する訳ではないので、靴を収納するスペースというのは必ず玄関に必要になってきます。
そのため玄関に収納を持ってくる必要があるのですが、玄関というのは家の中で最初に入る場所なので、その家の印象を大きく左右する場所とも言えます。
靴の収納力と玄関の使い勝手と見た目の印象。
この辺りを上手く組み合わせた玄関収納を目指したいですね。
では。
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
玄関についてはこちらも参考にしてください。
→広い玄関土間のある家ってどうなの?土間の使い方と3つの注意点
→暮らしやすい玄関ポーチのつくり方。家の外観も高級感が出ます。
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
建築士が教える今日の問題解決
玄関収納を選ぶときのポイントって何?
- 玄関の幅と必要な靴の量に合わせて、玄関収納のサイズを選ぶ。