注文住宅と聞いて、あなたはどんな家を思い浮かべますか?
注文住宅を一言で説明するのは意外と難しく、
「何となく間取りは自由に変えられるのが注文住宅かな」
「建売でない家は全部注文住宅じゃないの?」
というように思う方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、注文住宅のメリット、デメリットを見ながら、注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい注文住宅の特徴をご紹介していきたいと思います。
注文住宅を建てるのに必要な知識を身につけて、あなたの理想の家を手に入れましょう。
注文住宅を検討されている方はぜひご覧ください。
注文住宅のメリット
Photo:https://www.vegahouse.biz/blog/190628/
それではまず注文住宅のメリットについて見てみましょう。
注文住宅の代表的なメリットを挙げるとすると、
- あなたの欲しい家が建てられる。
- 注文住宅はクオリティの高い家になる。
- あなたの予算に合った家づくりができる。
以上が注文住宅の大きなメリットになります。
それでは具体的に注文住宅にはどのようなメリットがあるか見ていきたいと思います。
あなたの欲しい家が建てられる
注文住宅の一番のメリットは、あなたが建てたい家を建てられるということです。
注文住宅を建てる際の一般的な流れとしては、あなたの希望を聞いた上で間取りを作成し、その後にインテリアや内装などの仕様を決めていくことになります。
間取りもインテリアもあなたの理想の家が建てられるんですね。
もちろん、土地の広さや形、予算もありますが、その範囲の中であれば自由に家を建てることができます。
注文住宅とは「とても自由度の高い家」なんですね。
建売住宅やマンションであれば間取りや仕様が決まった家を買うことになりますが、注文住宅の場合は間取りや仕様を自由に決められるというのは大きな魅力と言えます。
建売住宅やマンションは「家を買う」。
注文住宅は「家を造る」。
同じ家でもこのような違いがあるんですね。
例えば「共働きで忙しいから家事が楽にできる家がいいな。ついでに夜に洗濯をするから家の中で室内干しできるようにしたい」といった日常生活に関わるものから、「友達を呼んでホームパーティをしたいので料理がしやすいキッチンと人が集まれるリビングにしたい。アイランドキッチンなんかも良いかも」と言ったちょっとした楽しみの部分まで、注文住宅はあなたの生活スタイルに合わせて建てることができます。
そうなんです。
注文住宅はこの世に同じ家は無く、あなただけの、あなたの家族のためのオンリーワンの家になるんですね。
そんな注文住宅での生活は、考えただけでも毎日が楽しそうですよね。
このように、あなたに合った家を建てられるというのは注文住宅の大きな魅力です。
注文住宅はクオリティの高い家になる
注文住宅には一般的な建売住宅と比べてクオリティの高い家になるというメリットもあります。
例えば建売住宅であれば家の工事中を確認することができませんが、注文住宅の場合は家の工事が始まったら、家の工事現場に行くことができます。
この効果は意外と大きく、建売住宅の場合は職人さんにとってはとにかく数をこなさないといけないので中には仕事が雑な現場というのも目にすることがありますが、注文住宅は実際にお施主さんが工事現場を見ることができるので、雑な仕事で家を建てるというケースはかなり少なくなります。
また、私はこれまで多くの方の家づくりを見てきましたが、良い家というのは職人さんとお施主さんの関係が良好な家であることが多くありました。
やはり職人さんにとっても知っている人の家を建てるのか、それとも全く知らない人の家を建てるのかでは仕事の質というのは違ってくるものなんですね。
また、工事現場だけでなく、家の間取りや仕様の打ち合わせというのも注文住宅では家のクオリティを上げる大切なものです。
打ち合わせを重ねることで、どんな家を建てたいかという家の優先順位がしっかりまとまってきますし、場合によっては思ってもみなかったアイデアを提案されて家の間取りの完成度がグッと上がることもあります。
時には間取りに悩んだり予算と睨めっこしたりなど大変なこともありますが、打ち合わせを楽しみながら家のクオリティを高められるというのはやはり注文住宅の魅力です。
(何度も打ち合わせを重ねて一緒に苦楽を共にした担当者との繋がりができるというのも魅力の1つと言えます)
予算をあなたに合わせられる
注文住宅というと何だか価格が高いように感じてしまいますが、実はそんな事はありません。
注文住宅ではあなたの予算に合った家を建てることができるんですね。
例えば建売住宅は完成品として売られているので時には必要の無い設備や部屋が有ったりしますが、注文住宅ではこだわるところに予算を掛けて、優先順位の低いところはコストダウンするなど、予算に合わせて家を調整をすることができます。
注文住宅は必要な部分に予算を使い、必要で無い余分な部分を削ぎとることによって、メリハリの効いた家を建てることができるんですね。
また、注文住宅では家を建てる会社も選ぶことができます。
同じ注文住宅でも高級志向の住宅会社もあれば、使う部材を工夫して価格を抑えた注文住宅を建てている会社もあります。
やはり人によって建てたい家というのは違うもの。
それぞれの方の予算に合わせた会社を選んで家を建てられるというのも注文住宅の魅力です。
注文住宅のデメリット
ここまで注文住宅のメリットについて見てきました。
でも、注文住宅にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
注文住宅の主なデメリットとしては、
- 家が完成するまで時間がかかる。
- こだわりすぎると思わぬ予算オーバーに。
- 自由な分だけ決めることが多い。
この辺りが注文住宅のデメリットと言えます。
それでは具体的に見ていきましょう。
家が完成するまで時間がかかる
注文住宅はオーダーメードで家を建てるので、完成するまで時間がかかってしまうという特徴があります。
例えば家が欲しいと思って住宅会社を探し始めてから家が完成して住み始めるまで1年ほど掛かってしまうこともよくあります。
一般的な例で見てみると、家の間取りや仕様決めで3ヶ月、家の工事で4ヶ月ほど必要になることが多く、それに住宅会社を探す時間を加味するとそれなりの時間がかかってしまうんですね。
そのため、例えば子供が小学校に入学するタイミングで家を建てて引っ越したいというように期限が決まっている場合なんかでは、かなり余裕を持って家づくりをする必要があります。
また、家を建てるのに土地探しから始めるという方もよくいらっしゃいます。
そのような場合は土地探しの期間も見ておく必要があるので、長い目で見ながら土地を探しつつ注文住宅を建てる会社も見るというのも1つの方法と言えます。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
こだわりすぎて思わぬ予算オーバーに
変な言い方になりますが、注文住宅の場合は少なくとも1度は予算オーバーすることが一般的です。
注文住宅だからということで要望をいろいろと詰め込んでしまうことで、ついつい予算オーバーしてしまうんですね。
そして、予算と間取り、仕様を見ながら家を調整していくことがほとんどです。
そのため、何の優先順位が高くて何の優先順位が低いのかをブラッシュアップしながら家づくりをして行くことが注文住宅では大切になってくるんですね。
(逆に言えば、その分だけ必要なものが詰まった家を建てられるということになります)
また、注文住宅と言っても基本的には多くの会社で標準仕様というものが決まっていることがあり、そこからこだわりに応じて変更していくというケースがよくあります。
これは標準仕様を決めておくことでスケールメリットが働いて建材の仕入単価を安くできたり、工事現場を効率化してコストカットするというのが大きな目的です。
(そして大きな会社ほどこのような傾向が有り、小さな会社の方が小回りが効いて融通がつきやすいという傾向もあります)
このようなケースでは標準品やオプションで選べる物は安いけども、標準品以外で造作で作ったり別途仕入れる必要が有るものは高くなるケースというも有ります。
そのため、特に内装などにこだわりが有る場合はどれくらい対応してくれて、どれくらい価格が上がるのかは早い段階で確認しておきたいポイントと言えます。
その他に、注文住宅は定価が無い物なので最終的にいくら必要になるかがよく分からなくなってしまうケースも見受けられます。
そうならないよう、家づくりで総額どれくらい必要になるかが分かる「資金計画書」を住宅会社に作成してもらい、予算がオーバーしていないかどうか確認するのも満足いく注文住宅を建てるためには大切なことになります。
→家を建てるには費用はどれくらい必要なの?建築士が教える家の費用のポイント
→家の資金計画はどうすればいい?資金計画書の見方と押さえておきたいポイント
自由な分だけ決めることが多い
注文住宅ではあなたの建てたい家を建てることができますが、その分だけ決める事が多くなるというのも注文住宅のデメリットと言えます。
例えば、大きいところでは住宅会社を決めることや間取りを決定することもそうですし、床やドアに何を使うか、さらに細かい部分ではドアのノブに何を選ぶか決めるケースなんかも有ったりします。
(どこまで決めるかは注文住宅を建てる会社次第で様々です)
何かを決めるというのは意外とエネルギーがいるものです。
注文住宅の自由度の高さが逆にデメリットになってしまうケースもあるんですね。
一番もったい無いのは何を決めたか分からずに、家ができて初めて気づいたということ。
そうならないためにも決めるのが大変に感じてしまった場合や決めきれない場合は担当者にオススメを聞いて見るのも良いですね。
センスが高い担当者や好みが合う担当者の場合は、ある程度任せてしまうのも有効な方法です。
また、注文住宅は自由な分だけイメージがしにくいケースもよくあります。
そういう場合はイメージパースという家の中を立体的に見れる絵を作ってもらったり、家の中が見れる模型を作ってもらえる会社を選ぶというのも1つの方法と言えます。
(家の模型は実際に見てみるとかなり楽しく感じますよ)
注文住宅の2つの形
注文住宅とひとことで言っても、注文住宅には決まった形が無いため様々な注文住宅が存在しますが、注文住宅は大きく分けて2つの形に分けることができます。
それは「フルオーダーの注文住宅」と「セミオーダーの注文住宅」の2つです。
それでは具体的に「フルオーダーの注文住宅」と「セミオーダーの注文住宅」の違いについて見てみましょう。
フルオーダーの注文住宅
「フルオーダーの注文住宅」とはその名の通り間取りも内装や外装で使う素材も自由に選べるのが「フルオーダーの注文住宅」です。
「フルオーダーの注文住宅」は、あなた好みに合わせて家を建てることができるんですね。
多くの方がイメージする注文住宅も「フルオーダーの注文住宅」という方が多いのではないでしょうか。
その一方で何でも自由に決められるということは、言い換えればそれだけ手間と時間が掛かり、選択肢も沢山あるということになります。
さらにはいろんな住宅の中で1番費用も必要となってくるので、人によっては「フルオーダーの注文住宅」は少しハードルが高く感じてしまうこともあります。
もちろん、何でもかんでも1から決めるとなると相当な時間が掛かってしまうので、注文住宅を建てる住宅会社では通常は基本的な仕様はあらかじめ決めていて、あなたのこだわりたい部分の仕様を変えていくのが一般的です。
そのため、それまで住宅会社が建ててきた家を見て「この会社の家いいな」と思えることが、「フルオーダーの注文住宅」が成功するポイントになってくるんですね。
時間も手間も予算も必要となってくるけども、あなた好みの家にできるのが「フルオーダーの注文住宅」です。
そのため家にこだわりのある方には「フルオーダーの注文住宅」というのはとても魅力的な選択肢となります。
セミオーダーの注文住宅
注文住宅には先ほどの「フルオーダーの注文住宅」の他に、「セミオーダーの注文住宅」というものもあります。
「セミオーダーの注文住宅」とは簡単に言うと、間取りは比較的自由にすることができる一方、使える仕様がある程度決まっている住宅のことを言います。
家の間取りは設計士や営業マンが作成しますが、家で使える仕様がある程度決まった範囲の中から選ぶという家が「セミオーダーの注文住宅」なんですね。
「セミオーダーの注文住宅」のメリットを挙げるとすると、間取りは自由がきくけども仕様が決まっているので「フルオーダーの注文住宅」と比べると必要な手間や時間が少なくなること、またある程度安い価格で注文住宅を建てられるという特徴があります。
家を建てるためのハードルが「フルオーダーの注文住宅」に比べて「セミオーダーの注文住宅」はかなり低くなるんですね。
反対に「セミオーダーの注文住宅」のデメリットとしては、間取りに自由がきくので最初は「フルオーダーの注文住宅」との区別がつきにくく、後で選べる仕様が限られていたり好きに色んな物を選ぶ事ができずに「アレっ?これが注文住宅?」とギャップを感じてしまう方もいらっしゃいます。
最初の段階では「フルオーダーの注文住宅」と「セミオーダーの注文住宅」との区別がつきにくいためにこのようなギャップができやすく、会社選びの段階であなたが契約しようとしている家は「フルオーダーの注文住宅」なのか、「セミオーダーの注文住宅」なのかの見極めが必要になってくるんですね。
また、内装や外装で使える仕様が決まっているため間取り以外は建売住宅と大差のない家ができてしまうこともあるので、建売住宅とは違う感じの家にしたいと思っている方や家にこだわりがある方はその会社が建てている家を確認することが後で後悔しないための必須項目となります。
このように「セミオーダーの注文住宅」は「フルオーダーの注文住宅」に比べて手間と時間、価格を抑えられるのがメリットで、そこまで家にこだわりは無いけども、間取りは自分に合った家になるように自由にしたいという方には魅力的な選択肢になります。
フルオーダー、セミオーダー、どちらの注文住宅が良い?
これまで見てきたとおり、注文住宅とは簡単に言えば家の間取りから内観、外観といった仕様までお施主さんが決められる住宅のことですが、人によって建てたい注文住宅というのは違ってきます。
「家にこだわって何から何まで決めたい」という方もいれば、「そこまで家にこだわりがある訳ではないけども、建売住宅よりも注文住宅の方がいいかな」と思う方もいらっしゃいます。
でも、ひとことで言えば、前者の方も後者の方も「注文住宅を建てる」ということになります。
同じ注文住宅でもイメージしているその中身は全く違うんですね。
そしてあなたが建てたい注文住宅は「フルオーダーの注文住宅」なのか、それとも「セミオーダーの注文住宅」なのかをハッキリさせるのが、あなたの家づくりを成功させるための一番の秘訣となります。
注文住宅で失敗しないためには、あなたがどんな家を建てたいのか、またどんな家に住みたいのかということを明確にすることで、「フルオーダーの注文住宅」がいいのか、それとも「セミオーダーの注文住宅」の方が合っているのかが見えてくるようになります。
そして、まずはどうして家を建てるのか、どんな暮らしをしたいか考えてみる事が、注文住宅を失敗ではなく成功に導くための第一歩となります。
注文住宅を楽しむポイント
それでは最後に注文住宅で家づくりをする時に楽しむ方法をいくつかご紹介したいと思います。
まず1つ目は、家づくりにテーマやコンセプトがあると家づくりが楽しくなります。
どうして注文住宅にテーマがあると家づくりが楽しくなるかと言うと、あなたの家づくりにストーリーができるからです。
これまで見てきた通り、注文住宅を建てるというのは時間が掛かるものですし、ほとんどの方にとって人生で1度あるか無いかの家族で挑む「ビッグプロジェクト」です。
そこにテーマやコンセプトを加えることでストーリー性が生まれ、「あなただけのビッグプロジェクト」に変わります。
ストーリー性があることで、家という「モノ」から家づくりという「コト」に変わるんですね。
家づくりのテーマはどんな物でも良く、「〇〇の家」といった特徴を簡単に表したものでも良いですし、「〇〇できる家」と言うように具体的なテーマを付けるのも有りです。
(テーマを口に出して言うのが恥ずかしいという場合は、心の中でテーマを決めるだけでも十分です)
また、設計士と相談して家のテーマやコンセプトを決めるのも良いですね。
設計士とテーマやコンセプトを共有することでお互い同じイメージを持って家づくりができるというのは、意思疎通の点でとても効果的です。
(私が家を建てる際は必ずコンセプトをお施主さんと決めています)
また、家づくりは必ず迷うものです。
そんな時、家づくりのテーマやコンセプトに合っているか照らし合わせてみることで、今のまま進んで良いのか、それとも一度立ち止まってみた方が良いかの判断もつきやすくなります。
その他に注文住宅を楽しむ方法としては、あなたと相性の良い担当者と家を建てるというのも大きなポイントになってきます。
注文住宅を建てるのというのは時間が掛かるものなので、必然的に担当者とのコミュニーケーションの機会や時間というのも多くなります。
そのため、連絡を取るのも手間と感じてしまう担当者なのか、それとも話していて楽しいと感じる担当者なのかというのは、家づくりを楽しめるかどうかの意外と大きなポイントになるんですね。
注文住宅は工場で作る完成品ではなく、いろんな人が関わって作っていくものです。
そのため人との繋がりというのは思った以上に大切なポイントになってくるんですね。
せっかくの家づくり。
ぜひ楽しみながら家づくりをしたいですね。
まとめ
今回は注文住宅のメリットとデメリットを中心に、注文住宅はどういう物なのか、そしてどのように建てれば良いかについて見てきました。
注文住宅はあなたにライフスタイルに合った家を自由に建てられるという反面、自由すぎてどうすれば分からなくなってしまうこともあります。
そんな時、注文住宅のメリット、デメリットや特徴をしっかり把握しておく事で、注文住宅を建てるという人生のビッグプロジェクトを成功に導く事ができるようになるんですね。
ぜひ、必要な知識を身につけて、暮らして楽しい注文住宅を建ててくださいね。
では。
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。