家の外壁にはいろんな色を使うことができますが、その中でも人気の高いのが「白」と「黒」の外壁。
「家の外壁を白にするか黒にするか迷っています」
このような声もよく耳にします。
白と黒の外壁では見た目の違いはもちろん、特徴や似合う外壁材も違ってくるからなんですね。
今回はそんな白と黒の外壁の違いについて、デザインや注意点、素材という観点からどんな違いがあるか見ていきたいと思います。
家の外観が気になる方はぜひご覧ください。
白 vs 黒 外壁のデザイン
それではまず、白い外壁と黒い外壁のデザインの違いについて見ていきましょう。
色が違うだけでも見た目の印象はかなり違ってきます。
白い外壁の特徴
白い外壁の1番の特徴としては、シンプルながらどんな雰囲気の家にも合わせやすいという事が挙げられます。
ナチュラルな印象の家からモダンな印象の家まで、どんな家にも白というのは合わせることができるんですね。
たとえばモダンな印象の家にする場合は家の形をスタイリッシュにしつつ白を使うことでモダンな家にすることができますし、少し洋風のかわいい印象の家にする場合は外観に曲線を使うことでやわらかい印象の家にすることができます。
また、アクセントに木目を入れるとナチュラルな雰囲気が強く出るなど、家の形やアクセントで雰囲気を作れるので、どんな家にも白い外壁は合うんですね。
さらには清潔感を感じやすいというのも魅力の1つです。
その他、白い色は膨張色なので、家を大きく見せたいという場合も効果があります。
ただ、大きく見えるということは、反対にのべっとした立体感の少ない外観の場合は間延びして見えやすいという点は注意しておきたいですね。
(意外とこのケースは多くあります)
黒い外壁の特徴
外壁に黒を使った場合は落ち着いた雰囲気の家になり、高級感が出やすいという特徴があります。
特にモダン〜和モダンといった雰囲気の家を作りたい場合、黒い外壁の家というのは強い味方になってくれます。
たとえば黒い外壁の場合はどれも同じような家になりそうな印象がありますが、家の形や素材によってクールな都会的な印象の家にすることもできますし、落ち着いて品のある家にすることもできるなど、家の作り方によって雰囲気を変えることもできるんですね。
色味についても濃い黒の場合はモダンな印象が強くなり、色を薄めてグレーに近くなるほど柔らかい雰囲気が出てくるので、ナチュラルな雰囲気の家を目指す場合は色味を抑えると効果的です。
(特に色を抑えた塗り壁にすると雰囲気がグッと柔らかくなります)
また、黒は白と違って後退色となり、家全体のシルエットが引き締まって見えやすいという効果があります。
そのため黒い外壁を使っても重たい印象になるというケースはほとんどないんですね。
たとえば家の形がボテっとしている場合は白い外壁にするよりも黒い外壁の家にして家の圧迫感を減らすこともできます。
白 vs 黒 外壁のデメリット
白い外壁と黒い外壁では、汚れの見え方や劣化具合などにも違いが出てきます。
それでは、それぞれのデメリットについても見てみましょう。
白い外壁のデメリット
白い外壁と黒い外壁を比べた場合、やはり汚れという点では白い外壁の方が汚れやすくなります。
特に窓枠付近の雨だれなどは汚れが目立ちやすい場所です。
他の色でも雨だれは目立つ汚れですが、白い方が間違いなく目立ってしまうんですね。
また、外壁で雨が乾きにくい部分はカビが生えやすく、白い外壁にカビが生えるとかなり目立つようになってしまうという点も気をつけたい部分です。
たとえば漆喰などアルカリ性が強く抗菌性がある素材でも、時間が経つにつれ中性化するためカビが生える条件が整うとカビが発生してしまうからなんですね。
そのため白い外壁を選ぶ場合、その外壁材、その住宅会社で建てた家の数年後の状態を見せてもらってから選ぶのがベストと言えます。
そうすることでリアルな汚れ方が分かりますし、状況が分かればメンテナンスに必要な予算も計算できるからなんですね。
また、白い外壁の汚れの大元は雨水が多いので、軒をしっかり出す、雨水の排水が垂れにくいように計画するなども効果的あります。
黒い外壁のデメリット
それでは次に、黒い外壁のデメリットについても見てみましょう。
汚れの面で比べると黒い外壁の方が汚れは目立ちにくいので、汚れという点では黒い外壁の方に軍配が上がります。
ちなみに、外壁の黒、茶、白の汚れの付きやすさを比べるとこんな感じに。
白い外壁の方は雨が跳ねたり湿気が残りやすい庇付近を中心に汚れが出やすいのが分かります。
このように、白と黒では汚れ方に結構違いがでるんですね。
一方、黒い外壁の場合は黒と対比する明るい色の汚れ、たとえば鳥のフンなどは結構目立つので、鳩など鳥がすごく多い場所だと黒い外壁を使うのはちょっと怖いなというのが建築士としての正直な感想です。
(鳥のフンくらいならすぐに落とせますが、見つけるたびに落とすのは長い目で見ると結構手間になってしまいます)
また、黒い外壁は白い外壁よりも注意したい部分があります。
それは日光の紫外線です。
黒い外壁の方が紫外線の影響を受けやすく、劣化の度合いでいうと黒い外壁の方が早くなります。
その結果、色あせしやすくなってしまうんですね。
同じように、夏場は外壁がかなり熱くなってしまうというのも黒い外壁のデメリットと言えます。
その他、黒は外壁としては少し個性が強い色なので、場合によってはお隣さんからあまりいい顔をされないケースもたまにあります。
たとえば住宅密集地でお隣さんから窓を開けたすぐ目の前に真っ黒い外壁が見えて嫌だというクレームなども稀にあるので、地域性や近隣環境を見ながら調整したいですね。
白 vs 黒 似合う外壁材
白い外壁と黒い外壁では、似合う外壁材というのも違いがあります。
では、それぞれどんな外壁材が似合うのか見てみましょう。
白い外壁材
白い外壁の場合、漆喰などの自然素材や吹付、塗装、サイディングといった物が中心になります。
そんな中でも、やはり綺麗に見えるのは自然素材や吹付など継ぎ目のない外壁材。
一面がスッキリ白く見えるので、綺麗さという点ではダントツで綺麗に見えます。
サイディングの場合は色んな物を選べますが、白い外壁の場合は継ぎ目が目立ってしまう場合も多く、その点が気になるかどうかは確認しておきたい部分です。(後で継ぎ目を消すことはできないので)
一方、メンテナンス性の高さから外壁にガルバリウム鋼板を使うというのも人気がありますが、白いガルバリウム鋼板を使うのは注意が必要です。
見た目が少しオモチャっぽい白に見えやすいというのがその理由です。
そのた、えガルバリウム鋼板を使うならシルバーや黒を選ぶ方がベターと言えます。
黒い外壁材
黒い外壁で1番よく使われるのがガルバリウム鋼板。
Photo:https://kabesite.com/contest/2017/index.html
白だとオモチャっぽく見えがちですが、黒だと色も綺麗で引き締まった印象の家にすることができるんですね。
耐久性、価格、デザインのバランスが良く、ガルバリウム鋼板は黒い外壁にする時の定番と言えます。
デメリットとしては、金属なので夏場はかなり熱くなってしまうということ。
そのため自転車置き場など日常使いする場所は少し外壁から離れた位置に配置したり日当たりの良い場所はできるだけ人が触れにくいようにするなど、外構計画も外壁が熱くなることを想定しておきたいですね。
次に、吹付や塗装するというのも黒い外壁にする時によく使われる方法です。
Photo:https://irzukuri.muragon.com/entry/1.html
吹付や塗装する場合、樹脂製の物から自然素材系の物まで様々な物がありますが、樹脂系の方が濃い色にすることが可能で自然素材系の方が黒といってもグレーに近い色になる傾向があります。(自然素材なので顔料を入れても色に限界があるため)
また、表面の仕上げを抑えたスッキリとした外観というのは他の素材では難しく、吹付や塗装仕上げならではの方法となります。
一方、吹付や塗装の場合で注意しておきたいのが時間が経つと白っぽくなりやすいことと、クラックと呼ばれる小さなひび割れが目立ってしまうということです。
簡単に言うと時間の経過とともに塗装が劣化して白っぽくなってしまい、外壁が黒色だとより目立ってしまうんですね。
そのため、塗装で外壁を黒色にする場合は少し金額が高くなっても劣化しにくい物を使うのが必須となってきます。
また、クラックも入ってしまうので定期的なメンテナンスは必ずしておきたいですね。
黒に塗装すると綺麗だけども、それだけ手間も必要になるという点で悩ましい外壁材と言えます。
その他、ちょっと変わったところだと木材(焼き杉)を使う方法も。
焼き杉とは杉を焼いて表面を炭化させた板のことで、昔ながらの家が多い街では焼き杉で作られた街並みも見られます。
見た目も自然の風合いなので、黒い外観だけども優しい印象の家にしたいときは焼き杉を検討してみるのもいいですね。
最後に黒の外壁材の共通点として、艶が少なくマットな程、上品な雰囲気が出ます。
白と黒を混ぜてみる
ここまで黒と白の外壁の違いについて見てきましたが、白と黒をうまくMIXした家というのもオシャレなものです。
白と黒という正反対の色を組み合わせることでそれぞれの色をより際立たせることもできるからなんですね。
これはモダンな家にする時に特に効果的で、白と黒の対比がよりモダンな印象を与えてくれます。
そんな白と黒を使う場合も、ただ白と黒を闇雲に使うのではなく、ベースの色を決めてどちらかをアクセントにするというのが鉄則です。
たとえば、白をベースに黒を混ぜるとこんな感じに。
Photo:https://www.sumailab.net/P22/A5/arrch_h/works/works8/
白の中に黒が浮かび上がる感じになり、全体の対比が綺麗に見えますね。
外構にも黒を使い、統一感を出しているのも効果的です。
また、黒をベースにアクセントで白を使うとこんな感じに。
Photo:https://ameblo.jp/megg-339/image-12255786860-13888352918.html
あくまで白はアクセントなので広範囲に使うのではなく、下から見上げた時に白がアクセントとして綺麗に見えるようになっています。
このように白と黒を混ぜて外壁に使う場合は色の面積を半分半分に分けるよりも、主役、脇役という風にしっかり役割を分けてあげるというのが上品で綺麗に見えるポイントなんですね。
また、白と黒だけでなく木目をアクセントに入れるのも効果的です。
たとえば白をベースに黒、木目をアクセントにしするとこんな感じに。
白と黒だとモダンな印象が強くなりますが、木目を入れることで全体の雰囲気が柔らかくなるんですね。
また、落ち着いた雰囲気と高級感も出るので、この3つの組み合わせはオススメの組み合わせと言えます。
色を混ぜる場合はベースをしっかり決めた上で、アクセントで色味をうまく入れるというのがオシャレな外観にする秘訣なんですね。
まとめ
今回は白い外壁と黒い外壁の違いについて詳しく見てきました。
デザインの違いはもちろん、特徴や似合う外壁材というのも結構違いがあるんですね。
家の色を選ぶ目的は見ていて毎日が楽しくなる家にすることです。
外から帰ってきて家が見えた時に、「ウチってオシャレな家だな」と思えたら毎日家に帰ってくるのが楽しくなりますよね。
そんな家にするために、色をどう上手く家に活かせるか。
この部分を意識しながら、あなたに合う外観の家に仕上げていきたいですね。
では。
外観についてはこちらも参考にしてください。
→南欧風(プロバンス風)の家にするなら必ず知っておきたい10のポイント
→四角い家の外観はどうすればオシャレに見える?四角い家を作る時の5つのポイント
→おしゃれな白い家にするにはどうすればいい?外観と内装を白にする時のポイント
→サイディング外壁の張り分けをする際に知っておきたい5つのポイント
→屋根の勾配ってどれくらいが最適?バランスの良い外観にするために知っておきたい屋根勾配の話
→ネイビーの外壁ってオシャレ!ネイビーの外壁を上手く使うコツ
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