「家にファミリークローゼットを作るかどうか検討しています。ファミリークローゼットを作ったらいい場所や注意点があれば記事にしてもらえないでしょうか?」
読者の方からこのようなリクエストをもらいました。
家を建てる時、やはり収納は気になるものです。
賃貸住宅では収納が足りないというケースも多く、家を建てるなら収納力があって使いやすい収納を作りたいですよね。
そこで今回はファミリークローゼットを作る時のポイントや注意点を踏まえた上で、ファミリークローゼットが合う人、合わない人にといった部分も見ていきたいと思います。
ファミリークローゼットや収納が気になる方はぜひご覧ください。
ファミリークローゼットってどんな収納?
それではまず、ファミリークローゼットとはどういう物か見ていきましょう。
ファミリークローゼットとは簡単に言うと「家族みんなが使う広い収納」の事を言います。
ウォークインクローゼットと近いですが、大きな違いは家族みんなが使う収納なのか、それとも部屋を使う人の収納なのかという違いがあります。
また、ファミリークローゼットに収納するものとしては家族が日常で使う服やカバン、小物、季節用品などを収納するケースが多いです。
もっとも、ファミリークローゼットは家族みんなが使う収納という意味以外に明確な定義はなく、ファミリークローゼットの中に服だけでなく着替えができるスペースを作ったり、洗濯物がたためる場所などユーティリティや家事室のような機能も加えた部屋にすることもあります。
ファミリークローゼットと言っても、いろんなファミリークローゼットの使い方があるんですね。
そのため、ファミリークローゼットに何をどれだけ収納するか、またどのように使うかというのを明確にすることが、あなたに合ったファミリークローゼットにするためにとても大切なことになります。
ファミリークローゼットのメリット
それでは次に、ファミリークローゼットのメリットについても見ていきましょう。
効率的に家事ができる
ファミリークローゼットのメリットとしては、効率よく家事がができるということが挙げられます。
たとえば洗濯物を取り入れたあとに各部屋に持っていくよりも1ヶ所に収納する方が効率は良くなりますし、室内干しスペースの近くにファミリークローゼットがあれば洗濯〜収納までがとてもスムーズになり家事の効率はグッと上がります。
このようにファミリークローゼットを間取りの中に上手く組み込む事で家事の動線がすごく楽になるんですね。
特に家族が多い場合なんかはより効果が高くなります。
そのため、あなたの生活スタイルに合った場所にファミリークローゼットを作って時間を有効活用できる家にしたいですね。
→その間取りは動線が考えられていますか?家の間取りと動線について
物の量を管理しやすくなる
ファミリークローゼットの大きなメリットとして、物を管理しやすくなるという点もあります。
たとえばあなたは家の中にどれくらいの量の衣類があるかと聞かれた時、頭の中にパッと浮かびますか?
各部屋に服を収納していると具体的にどれくらいの量の衣類があるかというのは中々把握しづらいですよね。
その結果、家にどれだけの物があるか性格に把握できず収納が溢れてしまうというケースも出てきます。
その一方、ファミリークローゼットがある場合は服などを1カ所にまとめて収納することになるので家の中にどれだけ服があるのかを一目で把握する事ができます。
ファミリークローゼット1つで家全体の衣類の量を管理できるようになるんですね。
その結果、限りがある家の収納をより有効活用できるようになります。
服をシェアできる
これは特に女性が多い家庭の場合に多いのですが、ファミリークローゼットがあることで服の貸し借りがしやすくなるというメリットもあります。
たとえば姉妹がいれば服の貸し借りはよくしますよね。
コーディネートの幅も広がりますし、いろんなオシャレを楽しむことができます
さらには親御さんと娘さんの間でも服の貸し借りをしているのもよく見かけます。
最近では親子の関係が友達感覚に近くなったこともあり、服をシェアするケースがとても増えているんですね。
時代も物をシェアすることが当たり前のようになってきていますが、家の中でもファミリークローゼットがあることで自然とシェアすることができるようになります。
ファミリークローゼットを作る時のポイント
それでは次にファミリークローゼットを作る時のポイントについて見てみましょう。
ファミリークローゼットを作る場合、その特徴やポイントを知ることで暮らしやすい間取りにすることができるからなんですね。
ファミリークローゼットを作るには場所が必要
まず、ファミリークローゼットを作る時はデメリットもあります。
それはファミリークローゼットを作るにはある程度のスペースが必要となり、家のボリュームも大きくなってしまうということです。
たとえば1階にファミリークローゼットを作る場合、1階にLDKや水まわりなど比較的広いスペースが必要なものが集まった上にファミリークローゼットのスペースが必要となるので、家のボリューム的に1階がかなり大きくなるんですね。
1階が大きいということは家を建てる土地の広さもある程度の大きさが必要になってきますし、予算や間取りにも影響が出てきます。
そのためファミリークローゼットを作る場合は予算、間取り両方のトータルバランスにも注意する必要があるんですね。
また、1階に作るのが難しい場合は2階にファミリークローゼットを作るなど、場所に関しては柔軟に対応する方が間取りの選択肢というのはかなり多くなります。
用途に合わせて必要な広さが変わる
ファミリークロークを作る場合、どのように使うかで必要な広さと言うのも変わってきます。
たとえばある程度の服が収納できればOKであれば2帖くらいの広さでも大丈夫ですが、ファミリークローゼットで着替えもする場合は最低でも3帖の広さは必要になりますし、全ての衣服を収納するとなれば4帖くらいは欲しいところです。
また、服の数や小物が多い場合はプラスアルファの広さを確保したり、姿見用の鏡を付けるなら全身が見える場所に鏡がつけられるよう場所を確保する必要が出てきます。
このように、ファミリークローゼットはどう使うかで必要な広さは結構違ってくるんですね。
→2畳、3畳、4畳のウォークインクローゼット、服は何枚掛けられる?
収納したい物はmust、wantで伝える
ファミリークローゼットが欲しいと言っても、「実際にどれくらいの広さのファミリークロークを作れるか」というのは中々分からないものです。
土地の広さや予算に余裕があれば別ですが、実際には間取りを見てどれくらいの広さが取れるか初めて分かるからなんですね。
また、ファミリークローゼットを作りたい場合は要望の伝え方も少し工夫が必要です。
たとえば要望を伝える時に「4帖以上の広さが欲しい」、「全ての服を収納したい」と言うような伝え方をしてしまうと、ファミリークローゼットの広さを優先してLDKなどにしわ寄せが行った間取りが出てきたり、家が大きくなって予算オーバーした間取りが出てきてしまうことも。
実は要望を伝える段階で広さを指定することで、間取りの幅というのは狭まってしまうんですね。
このような自体を避けるために有効な方法としては、「必ず収納したい物(must)」、「できれば収納したい物(want)」の2つを要望として伝えるという方法が効果的です。
そうすることで必要な広さのファミリークローゼットを確保しつつLDKなど他の部屋のバランスも考えられた間取りになりますし、他の部屋に影響が出ないのであれば全ての要望を満たしたファミリークローゼットにすることもできます。
私たち建築士は要望に応える間取りにしようと常に考えていますが、要望に強弱が無いと全て叶える間取りにするしかなく、結果的に予算オーバーしたりバランスの悪い間取りになってしまうこともあるんですね。
一方、要望に幅を持たせることで提案の幅も広がりますし、より土地や予算に合った間取りにすることができます。
特にファミリークローゼットは広さが必要なもので間取りへの影響が大きいため、must、wantを上手く使うことがバランスの整った間取りにするための秘訣となります。
ファミリークローゼットの用途は絞る
ファミリークローゼットを作る場合、家事の効率などを考えて色んな用途をファミリークローゼットに組み込みたくなってしまう場合もあります。
でも、ちょっと待ってください。
たとえば家事室などをファミリークローゼットに組み込んだ場合は部屋の広さがどんどん大きくなってしまい、将来あまり使わないなんてことも起こる可能性があります。
その理由は家族は成長していきますし、家族構成も変化していくからです。
そして子供が大きくなり独立してしまうと、あまりに広いファミリークローゼットというのは持て余すことになってしまうケースが多いんですね。
特にファミリークローゼットは服が日に焼けないようあまり大きな窓を設けることは少なく、収納以外の用途に使いにくいという特徴もあります。
そうならないようファミリークローゼットの用途は収納に絞り、他の要素を付け加えたい場合はファミリークローゼットの近くに別スペースとして設けるようにしておきたいですね。
また、ファミリークローゼットを必ず通らないと洗面室やお風呂などに行けないという間取りも見かけることもありますが、そうなるとお客さんが来て手を洗う場合に必ずファミリークローゼットを通るなど何だか落ち着かない間取りになってしまうことも。
たとえば間取りの関係で通路としてもファミリークローゼットを使う場合はファミリークローゼットを通らなくても各部屋に行けるように別動線も確保しておくことで、毎回収納の中を通るというケースを避けることができます。
また、ファミリークローゼットの通路の幅は余裕を持たせておくとグッと使いやすくなりますよ。
→ウォークインクローゼットの失敗しない作り方とベストな収納方法
各部屋にも収納は必要?
ファミリークローゼットを作った場合、寝室や子供部屋にも収納を作るかどうか迷うこともあります。
では、各部屋に収納は作った方がいいのでしょうか?
たとえばファミリークローゼットに服全部を収納できるようにした場合は部屋に収納を作る優先度が低くなりますし、ファミリークローゼットに主な服を入れるだけであれば各部屋に収納が有った方がやはり便利です。
ファミリークローゼットの使い方次第で、部屋に収納を作った方がいいかどうかは変わってくるんですね。
また、子供部屋では子供が成長するにつれ服以外の物も増えてきます。
たとえば学校で使う物や本などは必ず必要になってきますよね。
収納家具などで対応も可能ですが、何かしら収納できる場所が有った方が便利というのは覚えておきたいですね。
ファミリークローゼットはどこに作ればいい?
それでは次に、ファミリークローゼットはどこに作れば便利なのか見ていきましょう。
ファミリークローゼットを作る場合は主に3つの場所を意識すると上手くいきます。
その3つとは、
- 洗面や室内干しスペース、バルコニーなど洗濯動線を重視した場所
- 玄関付近など帰宅や出勤の時に使いやすい場所
- 子供部屋や寝室など複数の場所から使いやすい場所
以上の3つです。
それでは具体的に見ていきたいと思います。
洗濯動線を重視したファミリークローゼット
洗濯をする時の一連の流れは、
洗濯する → 干す → 取り入れる → 収納する
という4つの流れになります。
この4つの流れがスムーズになるようにファミリークローゼットを配置する事で洗濯を効率的に行うことができるんですね。
具体的には洗濯物を干す場所の近くにファミリークローゼットを作ることで、洗濯物を簡単に片付けることができるようになります。
また、頻繁に服を着たり脱いだりする洗面室の近くにファミリークローゼットを作るのも効果的です。
服の出し入れが簡単になるからなんですね。
そして一番効率的なのは、洗面室、洗濯物を干す場所、ファミリークローゼットを近くにまとめるという方法です。
そうすることで洗濯の動線をとてもコンパクトにできるんですね。
さらには回遊動線にしておくことで、より使いやすい家事動線にすることができます。
→回遊できる間取りって使いやすいの?メリットとデメリットをご紹介します
玄関近くのファミリークローゼット
ファミリークローゼットを玄関近くに配置し、家に帰ってきた時や出かける時の動線を優先するという方法もあります。
家に帰ってきてすぐに着替えたり、服を着てそのまま出かけることができるようにするという訳ですね。
また、ファミリークローゼットの近くに洗面室を作れば、家に帰ってきてすぐに手を洗ったり出かける前に顔を洗ってすぐに服を着て出かけるなど、朝の忙しい時間をより効率的に使うことができるようになります。
一方、玄関の近くにファミリークローゼットを作った場合に多いのが、玄関の周りに窓が取れず暗い雰囲気の玄関やホールになってしまうというケースです。
そうなると玄関を開けた時の家の雰囲気というのはちょっと重い雰囲気になってしまいます。
そのため効率だけを重視して部屋を配置するのではなく、窓も取れるくらいの余裕を持たせるような配置を心がけたいですね。
複数の場所から使えるファミリークローゼット
寝室や子供部屋近くにファミリークローゼットを設ける場合、上のような形で複数の場所から使えるようにしておくと各部屋から使いやすく、また移動距離も短いファミリークローゼットにすることができます。
部屋だけでなくバルコニーの近くなど、洗濯物が収納しやすい場所に配置するのもいいですね。
その一方、複数の動線を作るという事はそれだけ通路スペースが増えて収納スペースが少なくなることもあります。
そのため収納力を重視するか、それとも色んな場所から使いやすいファミリークローゼットにするか。
どちらの優先順位が高いかを考えながらより使いやすいファミリークローゼットにしたいですね。
ファミリークローゼットを作る場合は、まずはどこにあると便利なのか。
この部分を意識した上で、必要な広さを確保するという流れがベストなんですね。
もし迷った場合は洗面室の近くか洗濯物を干す場所の近くに配置するか、間取りのバランスに合わせて設計士にお任せしてみるというのも1つの方法になります。
ファミリークローゼットが合う人、合わない人
それでは最後に、ファミリークローゼットが合う人、合わない人についても見てみましょう。
ファミリークローゼットは家の物を1ヶ所で集中的に収納、管理するという少し特殊な収納になります。
そのためファミリークローゼットを作る場合は「誰かがルールを作り、しっかり管理できる人がいる」というのが大前提の収納になってきます。
この部分がアヤフヤになってしまったり、家族の中にルールを守るのが苦手な人がいるとストレスが溜まりやすい収納方法と言えます。
反対にしっかり管理されて家族がルールに沿って使うことができればとてもスッキリ片付いた家にすることができますし、洗濯などの家事も効率的に行うことができます。
このように家族構成やそれぞれの性格によってとても使いやすい収納になるか、それとも上手く機能しない収納になるかが分かれてくるんですね。
そのため、今の家の収納が上手く機能しているかどうか。
この部分がファミリークローゼットが合うか合わないかの第一歩となります。
(これはファミリークローゼットが機能している方に共通して言えることで、建築士として家を設計する際にファミリークローゼットを希望される方には必ず確認している項目です)
また、大きな収納というのは何でも入れられるという安心感がある反面、上手く収納するにはそれなりにテクニックも必要になってきます。
そのため一見すると大きな収納は物を沢山入れられるので片付けが苦手な方に合っているようにも感じますが、実は片付けが苦手な人はとにかく物を収納に入れてしまい、その結果収納の中が雑多になってしまうというケースもよく目にします。
ファミリークローゼットのような大きな収納はある程度は収納や整理整頓するのが好きな方に向いている収納なんですね。
ファミリークローゼットは作れば終わりではなく、作った上でしっかり機能するかどうかの方が重要な収納になります。
率先して管理できる人がいるかどうか。
この部分がファミリークローゼットを作る上ではとても大切なんですね。
まとめ
今回はファミリークローゼットについて詳しく見てきました。
ファミリークローゼットは上手く機能すればとても効果的な収納となり、まずは使いやすい場所に配置する、そしてしっかり管理する。
この2つをしっかり押さえることで最大限の効果を発揮してくれるんですね。
ファミリークローゼットを作るには広さも必要となるのでやはり失敗は避けたいもの。
今回の内容を参考に、ぜひあなたに合ったファミリークローゼットを作ってくださいね。
では。
収納についてはこちらも参考にしてください。
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