家を建てるのであれば家の形や外観というのはキレイに見える方が良いですよね。
そんな家の外観に大きく影響するのが家の屋根。
今回はそんな屋根の中でも「切妻屋根(きりづまやね)」をテーマに、切妻屋根の特徴やオシャレな切妻屋根にする方法について見ていきたいと思います。
家の外観が気になる方はぜひご覧ください。
切妻屋根とは
切妻屋根とは本を伏せたような山形の三角屋根のことを言います。
こんな感じの屋根ですね。
屋根にはいろんな形がありますが切妻屋根は数ある屋根の中でもシンプルな形の屋根となり、「家の絵を描いてみて」と言われれば切妻屋根の家を思い浮かべる方も多いと思います。
では、このような馴染みの深い切妻屋根ですが、切妻屋根にはどんな魅力があるのでしょうか?
切妻屋根の魅力
それでは切妻屋根の魅力について見ていきましょう。
切妻屋根の1番の特徴はそのシンプルな形。
そしてそのシンプルな形がいろんなメリットをもたらしてくれます。
たとえば切妻屋根はシンプルな山形になっているので作りやすく、数ある屋根の中でも雨漏れなど屋根のトラブルが起きるケースはかなり低くなります。
また、雨が降った時も雨が2方向に流れるので排水を分散することができ、ゲリラ豪雨や台風といった大雨の時も軒が雨で溢れるのを防ぎ易いという効果もあります。
このように切妻屋根はシンブルな分だけ構造的に強く、雨風にも強いんですね。
さらにはシンプルな形状なので材料費や人件費も抑えやすいこと、また外壁の面積も抑えることができるのでコストを下げられるというのも切妻屋根の魅力の1つです。(外壁の面積が広くなればなるほど家のコストは上がります)
→新築の家をコストダウンするにはどうすればいい?コストダウンに効果的な場所10選
また、切妻屋根は屋根の形が三角形になるのでロフトや小屋裏収納など作りたいという時も切妻屋根は有効な屋根になります。
屋根の高くなっている場所にロフトや小屋裏収納を作れるという訳ですね。
→ロフトのある家って実際どうなの?100棟以上見てきた正解がコチラです。
その他にも切妻の三角屋根にすることで家の中の空気や外壁、屋根に籠もった空気を入れ替え易いという効果も期待できます。
暖かい空気は上に上昇して行くという特徴がありますが、切妻屋根にして屋根の一番高い場所に換気口を設けることで効率的に空気を入れ替えることができるんですね。
その結果、家の中を快適な温度に調整しやすくなります。
ちなみに豪雪地帯では切妻屋根にすることで雪を人の出入りの邪魔にならない位置に落とすようにしたり、屋根が雪の重さで押し潰れないよう屋根の勾配をキツくして雪が落ちやすくするなど、切妻屋根が生活と密接に関わっているというケースもあります。
切妻屋根の家にする時のポイント
それでは次に、切妻屋根を採用する時の外観のポイントについて見ていきましょう。
切妻屋根にする時のポイントは大きく分けて3つあります。
- 屋根の勾配
- 屋根の軒の出
- 窓の配置
以上の3つを意識することでオシャレでキレイに見える家にすることができます。
では、この3つを意識する事で家の外観はどのように変わるのでしょうか?
切妻屋根の勾配
家の屋根はどれくらいの勾配にするかで家の外観というのはかなり違ってきますが、切妻屋根も同じように屋根の勾配をどれくらいにするかで家の印象はかなり変わってきます。
たとえば屋根の勾配を緩くするとこんなイメージに。
Photo:https://taniguchi-koumuten.jp/experience/showroom_modelhouse/modelhouse.html
落ち着いた柔らかい感じの雰囲気の家になっていますね。
このように切妻屋根の場合は屋根の勾配を緩くすることで家に柔らかさを出すことができます。
また、モダンな印象を出したい場合も緩い勾配の切妻屋根は効果的です。
Photo:https://sfc.jp/ie/style/detail/3205
モダンな家に緩い勾配の切妻屋根を使うことで四角い箱方の家に近づくようになり、シンプルさがより強調されるようになるんですね。
極端な例を挙げると、切妻屋根の勾配を極限まで緩くすることで四角い外観の家にすることも可能になります。
こんな感じですね。
Photo:https://www.muji.net/ie/kinoie/
このように緩い勾配の切妻屋根はナチュラルな家の場合は柔らかさを、モダンな家の場合はシンプルさが強く出るので、目指す家に合わせて上手く使っていきたいですね。
それでは次に、屋根の勾配をもう少しキツくしてみましょう。
Photo:https://suvaco.jp/room/Bih8nrBi0K
先ほどの緩い勾配の時とはかなり印象が違い、屋根がかなり強調されているのが分かります。
このように切妻屋根の勾配をキツくすることで屋根の輪郭をより際立たせることができるようになるんですね。
そのため勾配のキツい切妻屋根はモダンな住宅と相性が良くなります。
また、モダンな住宅以外にもプロヴァンス風や南欧風の家を目指す時も勾配のある切妻屋根との相性は抜群です。
Photo:https://feely.jp/4589992/
プロヴァンス風の住宅にするには三角屋根というのは重要な要素の1つとなり、切妻屋根はマストな選択肢となるんですね。
その他にはロフトや小屋裏収納を作りたいという場合もこれくらいの勾配が欲しいですね。
では、切妻屋根の勾配をもっとキツくするとどうなるでしょうか?
Photo:https://www.soramado-san-in.com/co_photo/
屋根がさらに強調され、インパクトがより強くなっているのが分かりますね。
このように屋根の勾配をかなりキツくするケースとしては、都市部などの間口(道路に面した幅)がそれ程ない敷地で家を建てる時により効果を発揮し、限られた面積の中で小屋裏を有効活用することもできますし、家の幅が取れない分だけ縦の長さを強調することでデザインのバランスを取れるというメリットがあります。
→間口(まぐち)って何?間口によって建てる家は変わってきます
その一方、屋根の勾配が一定以上超えてしまうと、コストが余分に掛かってしまうというデメリットも出てくるようになります。
普通の勾配の屋根なら屋根の上を歩いて工事ができますが、勾配がキツいと普通に歩くことが難しくなり専用の足場を作る必要が出てくるからなんですね。
それに合わせて家の建築費やメンテナンスの際もコストが高くなってしまうので、勾配をキツくするだけの魅力やメリットがあるかどうかという点は意識しておきたいですね。
屋根の軒の出
Photo:https://www.houzz.jp/ideabooks/108487485/list
切妻屋根の場合、屋根の軒の出というのも外観を印象付ける大きな要素となります。
基本的には軒を出すとナチュラルで落ち着いた雰囲気に、軒を短くするとモダンな印象の家となります。
特に切妻屋根の場合は三角屋根でシンプルなこと、また二方向に軒が出てくるので、他の屋根と比べて軒の出が外観に与える印象は大きいという特徴が有ります。
軒の出の基本的な考え方としては、軒を出すことで雨や紫外線による汚れや劣化、夏場の日差しや西日などを防ぎやすくなるので基本は軒を出し、モダンな家を目指す場合や都市部でお隣までの距離がそれほど無くあまり軒を出せない場合は軒を短くするというのがセオリーとなります。
また、軒を出す場合は軒の出が大きい方がキレイに見えますし軒の下を縁側のような使い方もできるようになるので、敷地や面積に余裕がある場合はできるだけ軒は大きく出す方がオススメですよ。
窓の配置
切妻屋根では、窓の使い方でも家の見た目というのは大きく変わってきます。
家の形がシンプルなので窓が家の外観に与える影響というのは大きくなるんですね。
たとえば家でよく使われている引違いを切妻屋根に使ってみるとどうなるか見てみましょう。
シンプルな家に一般的な窓が付いているだけなので、お世辞にもオシャレな外観とは言いづらいですよね。
このようにシンプルな切妻屋根は使う窓の印象にかなり引っ張られてしまうという傾向があります。
そのため切妻屋根の場合は
- 窓はできるだけ省いてシンプルにする
- 窓を敢えてランダムに配置する(意図的に)
- 窓を目立たせる
このどれかで窓を配置するのが基本となります。
たとえばシンプルな切妻屋根の場合は窓もシンプルにするというのは特に効果的な方法。
Photo:https://www.field-h.net/works/suzuya-house/16302/
窓と家の形がキレイに調和するからなんですね。
場合によっては窓には見えなくするなどアレンジして周りと調和させてしまってもオシャレに見えます。
Photo:http://www.yanase-arc.com/house/fujisakinoie/
一方、窓を減らすのとは反対に窓を増やしたいという場合もあります。
やはり南側など日当たりの良い場所には光が入る窓を設けたいですよね。
そんな場合は敢えて窓を意図的にランダムに付けるという方法も。
Photo:https://www.muji.net/ie/kinoie/
普通に窓を付けてしまうと家全体が至って普通の家に見えてしまいますが、ランダムに窓を配置することでアクセントにすることができるんですね。
また、大きな窓を持ってきて反対に窓を目立たせてしまうのも効果的です。
大きな開口部が家のアクセントとなり、シンプルな家の形を引き締める効果が期待できるんですね。
特にこのような大きな窓を配置するというのは間口が広い切妻屋根の場合は効果がより大きくなります。
Photo:https://workswise.com/sub3-54.htm
間口が広い場合は外壁の面積が広くなりますが、その分窓を大きく取ることで外壁と開口部のバランスが上手く取れるようになるんですね。
もちろん、窓の配置というのは間取りが大きく影響してくる部分でもあります。
また、間取りが出来てから窓を変更するというのは選択肢がかなり限られてきます。
そのため、家の外観を整える場合は道路から見た時にどう見えるかも意識しながら間取りを作るというのが大前提となってくるんですね。
そして間口の広さを抑えた切妻屋根の場合は窓はシンプルを基本に、間口の広い切妻屋根は窓を大きく取る。
これが切妻屋根の家をオシャレにするための重要なポイントとなってくるんですね。
まとめ
今回は切妻屋根について詳しく見てきました。
切妻屋根はシンプルな分だけ構造やコストの面でも優れており、家を作るときの基本的な屋根の形となります。
その一方、シンプルだからこそ窓などの使い方次第で外観の印象というのは大きく変わってきます。
このような特徴を頭に入れておくことでオシャレな家にグッと近づくことができるので、たとえばもしあなたの家づくりで切妻屋根の外観の家が提案された場合は今回の内容をぜひ思い出して素敵な外観の家を目指してみてくださいね。
では。
外観についてはこちらも参考にしてください。
→暮らしやすい玄関ポーチのつくり方。家の外観も高級感が出ます。
→おしゃれな白い家にするにはどうすればいい?外観と内装を白にする時のポイント
→南欧風(プロバンス風)の家にするなら必ず知っておきたい10のポイント
→モダンな外観の家にするために知っておきたいポイントを建築士が解説します
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