廊下の無い間取り

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廊下のない間取りにするための5つのポイント

「廊下のない間取りにしたいんですが、なかなか上手くいきません。廊下のない間取りにするためのアドバイスをもらえないでしょうか?」

読者さんよりこのような質問をもらいました。

確かに廊下が多い間取りだと、ムダなスペースが多くてもったいない感じがしますよね。

限られた家の面積の中で廊下が占める割合が多いとその分他の部屋の広さにしわ寄せがいってしまい、個室やLDKといった部屋の広さを思うように取れなくなってしまう原因にもなります。

 

そこで今回は、ムダな部分となる廊下が少ない間取りにするためのポイントをご紹介したいと思います。

これから間取りの打合せに入るという方はもちろん、すでに間取りがある方は、ぜひ間取りを見ながら廊下が長くなる間取りになっていないかどうか確認してみてくださいね。

廊下のない間取りのメリット

まず、廊下がない間取りの1番のメリットって何でしょうか?

それは家の中を最大限活用できるということです。

 

廊下になるスペースを無くした分だけ他の部屋を広くできますし、部屋も廊下のせいで細切れに区切られることがないので家の中の視界も広く感じられるようになります。

特に面積があまり大きくないコンパクトな家の場合、廊下があるか無いかで家の使い勝手や家の広さが驚くほど変わってきます。

たとえば具体的な例を見てみましょう。

廊下の多い間取り

上の画像は、以前書いた「ツッコミどころ満載の住宅チラシが入っていたので、ツッコミを入れます。」という記事に出てくる間取りになります。

この家は30坪ほどの家になりますが、間取りを見てみると妙に廊下が長い間取りになっているのが分かりますね。

その分、LDKなど本当に必要なスペースが圧迫されて、何とも住みづらい家になってしまっています。

(LDKの中に家具を置いてどのように生活するかイメージしてみると、どれだけ使いにくいLDKになっているかがより分かります)

 

このように、廊下次第で部屋の広さや家の住み心地は変わってきますし、できるだけ無駄なスペースは家を建てるならできる限り無くしたい物です。

では、どうすれば廊下のない家にできるのでしょうか?

それでは次に、廊下をつくらない間取りにするためのポイントを見ていきましょう。

LDKを有効活用する

廊下のない間取りにする方法

廊下のない間取りにするために一番効果的な方法は、LDKなど部屋の中を移動スペースとして兼ねることです。

LDKを動線の一部にしてしまうという訳ですね。

(動線とは人が主に移動する場所のことを言います)

その間取りは動線が考えられていますか?家の間取りと動線について

 

たとえばLDKと動線を兼ねることができれば廊下は必要なくなりますし、その分より広いLDKにすることも可能になります。

もちろん、ただ廊下を無くしてLDKに入れてしまえば良いという訳ではなく、LDKの中に動線を作る場合はキッチンで作業している人やリビングでくつろいでいる人の邪魔をしない場所に動線をつくるのが重要です。

TVを見ている人の前をしょっちゅう誰かが横切るなんて間取りは、ケンカの火種をあえて家の中に作った間取りと言っても過言ではありませんよね。

リビングのTVってどこに置きますか?

 

廊下をLDKの中に取り込みつつ、LDKでくつろぐ人の邪魔にならない動線計画にする。

廊下を無くす家にするなら、LDKと動線をうまく組み合わせた間取りにするのが第1のポイントになってきます。

玄関〜LDKまでの動線を短くする

LDKを有効活用することで廊下を少なくすることができるようになりますが、その肝心のLDKから玄関までの距離も廊下が増えるかどうかに影響してきます。

玄関からLDKまでの動線ができるだけ短い方がムダな廊下スペースを少なくできるんですね。

 

この部分を意識していない間取りは意外と多くあり、何となくムダなスペースが多くてしっくりこないという時は、大概LDKと玄関の距離感が上手くいっていないことが多いです。

そのため間取りが出てきたら、玄関〜LDKまではどのくらいの距離があるのか再確認してみるのも効果的ですよ。

 

また玄関とLDKが離れている場合、廊下の面積は少ないけどもLDKの中に通路にしか使えないスペースが多い間取りというのも存在します。

たとえば20帖のLDKというように記載されていても、実際には通路としてしか使い道がないスペースが含まれていることもあり、数字と本当に使える広さが違ってくる場合があるので、数字だけを鵜呑みにするのではなく実際にLDKに家具を置いて不自由なく過ごせるかの確認も必要です。

リビングの広さはどれくらい必要?16帖、18帖、20帖で比べて見ました

廊下に通路以外の機能を持たせる

廊下のない間取りにする方法2

廊下の基本的な役割は、人が目的の部屋へ行くための通路となることです。

でも、ただ通るためのスペースって何だかもったいないですよね。

どうせなら通路の他にも機能も加えてあげて、ただ通るための廊下ではなく多目的な廊下にしてあげることで、廊下はただ通るためのスペースでは無く、他の意味を持ったスペースに変わってくれます。

 

たとえば、廊下に本棚を設けてライブラリーやギャラリーのようにしてあげてもいいですし、吹抜けがあるなら吹抜けと一体の気持ちいいスペースなんかにしてあげるのもいいですね。

それにプラスして室内干しもできるようにしてあげると一石二鳥です。

部屋干しはどこに干す?部屋干しのオススメの場所と注意点

 

このように同じ通路は通路でも、いろんな機能を持たせてあげることで通路を超えた空間にすることができます。

アイデア次第でいろんな可能性があるので、ぜひ楽しい空間にしたいですね。

 

ただ、廊下を活用する場合、1点だけ注意することがあります。

廊下に他の機能を持たせようとするためにカウンターや机を置いて作業スペースや勉強スペースにするということもありますが、普通の廊下にカウンターを設置しても実際に作業や勉強に使われることはほとんどありません。

 

なぜでしょうか?

理由は、わざわざ廊下で作業しなくても、部屋の中やダイニングテーブルなどもっと快適な場所で作業できるからです。

おまけに冬は寒くなりやすいので、わざわざそんな場所に長居する人はあまりいませんよね。

そのため吹抜けに面していて外が家の中や外を眺められるなど、何かしらその場所にいるプラスαの価値をつけてあげて、その場所にいるだけでどれだけワクワクするかどうかが廊下を活用するときのポイントになってきます。

廊下に他の機能を持たせる場合は、本棚やギャラリーなどにする場合は使いやすいかどうか、そこに人が滞在する場合はいかに居心地の良い空間にできるかどうかが大切なんですね。

階段の位置に注意する

廊下のない間取りにする方法3

以前に、間取りの善し悪しを見分ける方法という記事を書きました。

内容を簡単に説明すると、間取りの善し悪しを見分けるには、玄関と階段の位置に注目すればよい間取りかどうかが分かるという内容の記事です。

間取りの善し悪しを簡単に見分ける方法

 

そして廊下のない間取りにする場合、実はこの玄関と階段の位置がとても重要になってきます。

 

たとえば、階段が家の端っこにある場合、各部屋に行くのにかなり歩く必要がでてきます。

階段が家の端なので階段から遠く離れた部屋ができてしまい、どうしても廊下が長くなってしまうんですね。

特に玄関と階段の位置が遠く離れると廊下ができやすくなります。

このような感じですね。

廊下の無い間取りにする方法4

 

反対に、階段が家の真ん中付近にあれば、各部屋に行くのにそんなに歩かないで部屋に行けるようになります。

この歩く距離が長ければ長いほど、廊下ができる可能性が高くなりますし、長い廊下にしないと部屋にたどり着くことができなくなってしまいます。

そのため、廊下のない間取りや廊下の少ない間取りにするためには、階段の位置がとても重要になってくるんですね。

 

特に階段は1階、2階、それぞれの間取りに影響してきます。

1階の間取りを重視して階段を家の隅っこに配置した結果、2階の廊下が妙に長くなっている間取りを見かけることもよくあります。

そうならないためにも1、2階のバランスを上手くとれる位置に階段は持ってきたいですね。

階段にはどんな種類がある?知っておきたい階段の4つの形

 

余談ですが、私も建築士の駆け出しの頃は家の隅っこに階段がある間取りを考えることがよくありました。

LDKなど目立つ場所に意識が集中してしまい、階段を家の隅っこに追いやっていたんですね。

そして何となくまとまった間取りになった気がしていました。

 

でも、そのような間取りを作った時は当時の上司からダメ出しが出て間取りを一からやり直すことに。

たしかに今考えると廊下も長くなるし、あんな間取りで家が完成していたら住みづらいこと間違いなしのというが今だと当然のように感じます。

階段をいかに上手く間取りの中に取り入れるかというのは間取りづくりではとても大切なんですね。

 

このように階段の位置次第で、廊下の長さへの影響が大きく変わります。

逆を言えば、今の間取りがシックリ来ていない場合は階段の位置を変えてみると、他の間取りの可能性が見えてくる事もあります。

どうしても廊下が長くなってしまう場合は階段の位置を再検討するのも効果的ですよ。

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廊下の無い家はトイレの場所もチェック

ここまで見てきたように、廊下の無い家はメリットが多いのが大きな魅力ですが、その分だけ間取りの難易度も高くなります。

たとえば、トイレをどこに配置するかというのは悩ましいところ。

昔の家は廊下があるのが普通だったので、トイレを廊下に配置すればLDKからある程度離れた落ち着いた場所にトイレを作る事ができましたが、廊下が少ないとそれだけLDKに近い位置にトイレを配置する可能性も高くなります。

たとえばLDKから丸見えのトイレというのはちょっと嫌ですよね。

そのためLDKから程よい距離感のあるトイレになっているかどうかは確認しておきたいポイントとなってきます。

廊下が少ない家と言うのは、その分、設計者の腕に影響されやすい家とも言えるんですね。

玄関の側にトイレってどうなの?トイレで間取りの善し悪しが分かります。

外部を効果的に使う

廊下を減らすため、時には外部空間を上手く使うのも有効な方法と言えます。

例えば先ほどお伝えしたように、玄関が家の端に有る場合は各部屋に行くための廊下が長くなる傾向があります。

 

では、反対に玄関を家の真ん中のあたりに配置することができればどうなるでしょうか?

家の中心付近に玄関があるので、各部屋に行く距離は必然的に短くなりますよね。

その分、廊下が必要になるスペースというのも削減して各部屋を大きくしたり有効活用する事ができるようになります。

一例をあげると、下の絵のように外部空間をうまく使って玄関を配置することで廊下のない家にすることもできます。

廊下のない間取りにする方法5

 

このように、敷地条件も考慮しながら外部も上手く使ってあげると、より廊下が少なくて無駄の無い家にすることも可能になるんですね。

特に都市部のコンパクトな敷地の場合、廊下を減らすために玄関を家の中心付近に配置するというのはとても効果的な方法となります。

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それでも廊下ができる場合に

ここまで廊下のない間取りにする方法について見てきました。

ただ、ワンフロアにいくつもの部屋を配置する平屋など、家が平面的に広くなればなるほど、どうしても廊下が長くなる傾向があります。

また、広い家の場合はあえて廊下をつくることで空間にメリハリをつけることもできます。

では、そんな廊下がある間取りでは、どんなこと意識すればいいのでしょうか?

それは「光が入る明るく使いやすい廊下になっているか」ということです。

 

暗い廊下というのは思った以上に重たい雰囲気になりますし、迷路のように曲がりくねった廊下というのも不便なものです。

やはり毎日通る場所であるなら気持ちよく通りたいものですよね。

そのため、廊下を作る、もしくは廊下ができてしまう場合は光が入る廊下なのか、またどのような雰囲気の廊下になるのか。

この部分は必ず押さえておきたいポイントとなります。

廊下があるのであれば少なくとも明るいスペースになるよう心がけておきたいですね。

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まとめ

今回は廊下のない家のつくりかたについてご紹介しました。

廊下があるということが必ずしも悪いわけではありませんが、家の中をできるだけ有効活用するなら廊下がない間取りであったり、廊下が極力少ない間取りの方が家は広く見えますし空間をより有効活用できるようになります。

コンパクトな家の場合はなおさらです。

 

廊下が増えるかは今回ご紹介した方法を意識するとかなり変わってきます。

ぜひあなたの家もスペースを有効活用した使い勝手の良い家を建ててくださいね。

では。

 

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廊下のない間取りにするためのポイントって何?

  • LDKを動線として使い有効活用する。
  • 廊下に通路以外の機能を持たせる。
  • 階段を家の端にもっていかないよう注意する。
  • 玄関とLDKを近くに配置する。
  • 外部空間も動線として上手く使う。
  • それでも廊下ができる場合は、少しでも明るい雰囲気の廊下にする。
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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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