今回のテーマは「後付けのサンルーム」について。
後付けのサンルームとは家の外に付いているガラス張りの部屋のことで、基本的にLIXILなどエクステリアを扱っているメーカーが作っている物を家に取り付けて設置します。
すでに建っている家に後付けができるのでリフォームなどでも使われていますし、新築の家にサンルームが欲しいと言う事で後付けサンルームを取り付けるケースもあります。
また、庭だけでなくバルコニーにも取り付けられるなど、バリエーションの豊富さも後付けサンルームの魅力です。
その一方、後付けサンルームを取り付ける方はリフォーム、新築を含めて減ってきています。
では、どうして後付けサンルームを取り付ける方が減っているのでしょうか?
そして、後付けサンルームの実際のところはどうなんでしょうか?
今回は後付けサンルームについて詳しく見ていきたいと思います。
後付けサンルームのメリット、デメリット
それではまず、後付けサンルームはどんなメリットがあるのか見てみましょう。
後付けサンルームの1番のメリットは、家が建ってからも簡単に後から設置できるという点です。
ユニットで販売されているので、大きな工事をせずにサンルームを作る事ができという点が魅力なんですね。
また、後付けサンルームを作る場合は洗濯物を干すためのスペースにするケースがほとんどです。
そのためサンルームの中を風が通るような作りになっていますし、いろんな角度から陽の光が入るようになっています。
(最近の仕様はもちろんUVカットで、熱もできるだけ抑えるように作られています)
また、洗濯物が干しやすいよう装備も充実しています。
このように後付けサンルームは、室内干しするスペースが欲しいという時に特に活躍してくれるんですね。
その一方、後付けサンルームにはデメリットもあります。
それは、後付けサンルームはあくまで家の外にある部屋なので、夏はかなり暑く冬は寒いということ。
UVカットや熱線吸収のポリカーボネートを使っても、断熱材や気密性がないので太陽の熱や温度など自然環境の影響をモロに受けてしまいます。
そのため、春や秋など季節の良い時期はいいですが、それ以外の時期は部屋として使うのはかなり難しいというのが実際のところなんですね。
イメージとしては、部屋ではなく雨の日も濡れずに洗濯物を干せるスペース。
こういった使い方が基本になるんですね。
後付けサンルームの実情
10年ほど前はリフォームで後付けサンルームを付けるというのもよく見ましたし、新築でも庭に後付けのサンルームを設置したいというケースもたまに有りました。
ただ、ここ最近はリフォームで後付けサンルームを付けるケースはかなり少なくなりましたし、新築では全く聞かなくなったというのが実情です。
その理由としては、
- 外壁に穴を空けるので家にダメージが出やすい
- 洗濯物の干し方が変わってきている
- 意外と総額が掛かる
この3つが大きな要因となっています。
まず、サンルームを後付けで取り付けるということは家に固定することになります。
そうなると取り付けるためにどうしても外壁に穴を開けることになってきます。
もちろん、きちんと施工すれば最初の間は問題ありませんが、長い目で見るとどうでしょうか?
その穴を開けた部分が劣化して放置した場合、雨水が壁の中に染み込むなんてことが起こることもあるんですね。
このようなリスクも考えると後付けでサンルームを作るのではなく、家の一部をリフォームや増築してサンルームを作るという方が家にも優しく、温度も室内なので快適性も高くなるという訳なんですね。
また、洗濯物と言うと南側の陽の光が当たる場所に干すという印象が強いですが、実は洗濯物を乾かすのには日光はそれほど必要ありません。
適度な風と湿度を除去する事ができれば、洗濯物は問題なく乾いて衣類にも優しいからなんですね。
反対に洗濯物を日光に当てすぎると劣化が早くなるという面もあります。
そう考えると、南の日当たりの良い場所に後付けサンルームを設置する理由はかなり少なくなり、洗濯機置き場など家事動線に近い場所に室内干しスペースを設けたりガス乾燥機を設置するといった方が実際には家事は楽になるんですね。
最後に、後付けのサンルームは意外と費用が掛かります。
本体以外にサンルームを支えるための基礎を作ったり取り付けの費用を考えると、それなりの金額が必要になってくるんですね。
この辺りを踏まえると、洗濯物を干せるようにするだけなら庭にテラスと大きな屋根を付けるだけでも代用できますし、その方が庭スペースの快適性も上げられるなど室内干しスペース以外の価値も付けることができます。
必ずしも後付けでガラス張りのサンルームを作る必要はないんですね。
(リフォーム会社は単価の高い後付けサンルームの方を勧めることがあるかもしれませんが、冷静に考えると後付けで作る必然性はかなり少なくなります)
もちろん、新築やリフォームで断熱材をしっかり入れた快適なサンルームを作るのは全く問題ありません。
その一方、後付けサンルームはしっかり作ったサンルームに比べて暑さ寒さの影響を大きく受けるので用途が限られ、コストが掛かる割にメリットが少ない。
これが実情と言えます。
この点を踏まえると、他の方法も検討した上で実際に後付けサンルームを採用するかどうか決めるというのが大切なんですね。
まとめ
今回は後付けサンルームについて詳しく見てきました。
後付けサンルームにはメリットもありますが、デメリットもあります。
後付けサンルームを検討する場合は、本当に後付けサンルームでないといけないのか。
この部分をしっかり見極めた上で、採用するかどうか決めたいですね。
では。
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