「収納のことを考えたらキッチンに吊り戸棚があると安心なのですが、吊り戸棚がない方がキッチンの見た目は好みなのでキッチンに吊り戸棚を付けるかどうか迷っています。吊り戸棚は付ける、付けないどちらの方が良いのでしょうか?」
このような質問を読者の方からもらいました。
たしかにキッチンに吊り戸棚が必要かどうか迷ってしまうこともありますよね。
そこで今回は吊り戸棚が必要かどうかをいくつかのケースを見ながら検証していきたいと思います。
吊り戸棚を付けるかどうか迷っている方や、キッチンが気になる方はぜひご覧ください。
キッチンの吊り戸棚とは?
吊り戸棚とはキッチンの上部に付く収納のことで、主にキッチン用品を入れる収納になります。
この部分ですね。
今お住いの家にも吊り戸棚があるという方も多いのではないでしょうか。
一見すると吊り戸棚があると収納が増えていいなと思う反面、吊り戸棚の有無でLDKやキッチンの雰囲気が変わるので新築の住宅ではこの吊り戸棚を付けるかどうかは意外と迷う部分でもあります。
キッチンの吊り戸棚は収納だけでなく、家の中の見え方などいろんな要素が絡み合ってくるんですね。
では、まずは吊り戸棚は家のどのような部分に影響するか見てみましょう。
吊り戸棚の有無が影響する場所
吊り戸棚について考える時、大切なのは「収納の使いやすさ」という部分と「キッチンの見た目」という2つの要素について。
吊り戸棚は収納以外に、キッチンの見た目やLDKの見え方にも大きな影響を与えるんですね。
そんなキッチンの見た目でも、キッチンが対面キッチンなのか、それとも壁付けキッチンなのかでも吊り戸棚の見え方というのは大きく違ってきます。
では、具体的に吊り戸棚の見え方について見ていきましょう。
吊り戸棚はどう見える?
対面キッチンの吊り戸棚
対面キッチンにする場合、吊り戸棚を付けるかどうかでキッチンだけでなく、LDK全体の雰囲気というのはかなり変わってきます。
対面キッチンはキッチンがリビングやダイニングの方に向いているので、吊り戸棚が有るか無いかでLDKと一体感が大きく違ってくるんですね。
たとえば、キッチンの内部から見た場合を吊り戸棚が「有り」と「無し」で比べてみると下の絵のようになります。
右と左のキッチンではかなり印象が違っていますね。
吊り戸棚が有るキッチンはかなり視界が遮られますが、吊り戸棚が無いキッチンは視界も広がりスッキリ見えるようになります。
またキッチンからの見た目だけでなく、LDKからキッチンを見た時も壁面が多くなるので空間の広がりという点では対面キッチンの場合は吊り戸棚がない方が広く見えますし、部屋全体もキレイに見えやすいんですね。
そのため、対面キッチンの場合は吊り戸棚を付けずにキッチンの背面にしっかり収納を作る方が部屋の雰囲気が良くなる傾向があるので基本は無しに。
(このような理由から、キッチンのカタログを見ても対面キッチンの写真は吊り戸棚が付いてないものがほとんどです)
そして吊り戸棚を付ける場合は「対面キッチンにしたいけどもある程度のこもり感も欲しい」というようにしっかりした理由がある場合に限定しておくのがベターとなります。
→対面キッチンはどれがおすすめ?5つの対面キッチンとメリット、デメリット
壁付けキッチンの吊り戸棚
それでは次に壁付けキッチンと吊り戸棚について見てみましょう。
壁付けキッチンの場合、対面キッチンとは打って変わって吊り戸棚との相性はグッと良くなります。
対面キッチンの場合は吊り戸棚があることでキッチンとリビングの間に壁が増えてしまいますが、壁付けキッチンの場合は元からキッチンの前が壁なので吊り戸棚を付けても影響が少ないんですね。
そのため、壁付けキッチンは吊り戸棚を作りやすいキッチンと言えます。
また、壁付けキッチンの場合はキッチンの近くに食器棚や収納を配置できるスペースが限られることが多いので、吊り戸棚の収納力が重宝されやすいという側面もあります。
吊り戸棚の使い勝手を考えると高さが低い方が手が届きやすく使いやすいですが、壁付けキッチンだと高さも自由に調整できるというのも魅力の1つです。
(対面キッチンの場合は吊り戸棚を使いやすくするために高さを下げるとキッチンとLDの一体感が少なくなってしまう点がデメリットと言えます)
→壁付けキッチンのメリットとデメリットって何?失敗しない壁付けキッチンの作り方
このように、吊り戸棚は対面キッチンと壁付けキッチンで相性は大きく違ってきます。
まずはこのようなキッチンの違いを頭に入れた上で、吊り戸棚を採用するかどうか検討していきたいですね。
使いやすい吊り戸棚にするために
それでは次に、使いやすい吊り戸棚にするための方法についても見ていきましょう。
ちなみに、家に吊り戸棚がある方は中にどんな物を入れていますか?
- ラップやホイルなどのストック
- あまり使わない鍋などの調理器具
- もらった食器
などなど、キッチンであまり使わない物を入れているという方も多いと思います。
言い変えると、吊り戸棚には使用頻度の低い物が入っているケースが多いんですね。
どうしてこうなってしまうかと言うと、それは吊り戸棚が収納として使いにくい位置にあるからです。
腰から肩までの高さが一番収納に向いている位置となりますが、吊り戸棚のように高い位置にある収納は踏み台が必要となってしまうため、普段使いにはあまり向いていないんですね。
そのため、結局使わない物を入れてしまうという悪循環が起こりやすいという訳です。
このように高さの関係で吊り戸棚は使いにくい収納となりやすいですが、逆を言えばこの高さ問題をクリアできれば使える収納に変えることができるということになります。
高さが吊り戸棚を使いやすくできるかどうかのポイントとなってくるんですね。
それでは、吊り戸棚の高さを調整するにはどのような方法があるのか見てみましょう。
吊り戸棚を低い位置につける
吊り戸棚の高さを調整する方法として一番お手軽なのが、吊り戸棚の高さを下げるという方法です。
高さが低くなる分だけ物が取り出しやすくなるんですね。
高さの目安としては、吊り戸棚の下の部分が目線より少し低い高さだと物を出し入れしやすくなります。
具体的にはこれくらいの高さですね。
これはシンクとコンロを別々に作ったⅡ型キッチンのコンロ側になりますが、吊り戸棚の扉を開けても調理の邪魔にならない程よい高さに設定されています。
またこのように吊り戸棚を下げた場合、その分だけ天井を下げたり吊り戸棚の上を飾り棚にするなど、吊り戸棚を下げてもキレイに見えるようにしておきたいですね。
ただ、吊り戸棚の高さを下げるというのは壁付けキッチンでは効果的な方法ですが、その一方で対面キッチンで吊り戸棚を下げてしまうと圧迫感も増えてしまうので注意が必要です。
では、対面キッチンに吊り戸棚をつける場合はどうすればいいのでしょうか?
次に対面キッチンで吊り戸棚を使いやすくする方法について見てみましょう。
昇降式の吊り戸棚
吊り戸棚を有効活用する場合、昇降式の吊り戸棚を使うという方法もあります。
こんな感じですね。
Photo:https://www.lixil.co.jp/lineup/kitchen/richelle/parts/parts10.htm
食器などを収納したい時だけ下げることができるのは、収納のしやすさという点で大きな魅力的です。
また収納そのものを下げるのではなく、このような感じで仮置きの棚を下ろせるようになっている吊り戸棚もあるので、お好みに応じて選ぶのも良いですね。
必要な時だけ引き出せる昇降式の吊り戸棚は、壁面を増やしたくない対面キッチンで特に大きな効果を発揮します。
その一方で価格も昇降できる分だけ高くなるので、予算を見ながら採用するか検討したいですね。
オープンな吊り戸棚
対面キッチンの場合、吊り戸棚は見た目にも重いのがデメリットとなりますが、造作でオープンな吊り戸棚を作ってしまうという方法もあります。
こんな感じですね。
造作でオープンな棚を作ることで見た目も軽やかになり、物を置くスペースも確保できるようになります。
造作なので高さを調整したり、棚数を増やしたりできるのも魅力です。
(低いと棚が目に入ってくるので、目線よりも高い位置に棚を設置するのが基本となってきます)
また、調味料や食材などを置いたり、お酒をよく飲まれるのであればグラスホルダーを設置するのも良いですね。
見せる収納にする場合や対面キッチンにする場合、造作の吊り戸棚はとても相性の良いコンビと言えます。
吊り戸棚は必要?
それでは最後にキッチンには吊り戸棚が必要なのかどうかについて見てみましょう。
人によっても多少違いは出てきますが、キッチンに吊り戸棚を設けた良いかどうかは、
- お菓子をよく作るなど調理器具や小物などが多くある方
- 家族の人数が多く食器などをたくさん持っている方
- 間取り上、食器棚やパントリーなどのスペースがあまり確保できない方
- 収納が多少使いにくくてもそれほど手間に感じない方
- 対面キッチンでも、ある程度籠り感が欲しい方
- 壁付けキッチンの方
上記のうち3つ以上当てはまるのであれば吊り戸棚は有った方が、2つの場合は間取りや予算次第で吊り戸棚も候補に、1つ以下の場合は吊り戸棚は必要ないというケースがほとんどです。
今のキッチンは高い位置にある吊り戸棚でも楽に昇降できるようになっているキッチンが多いですが、やはり高い位置の収納というのは使いこなしにくいものです。
そうなると、食器棚などすぐに手が届く位置の収納を充実させる方が優先順位が高いと言えます。
そのためキッチン本体や食器棚のスペースの確保を優先し、それでもどうしても収納が足りないという場合は吊り戸棚を設置するというのが正解なんですね。
また、対面キッチンの場合は吊り戸棚がない方がLDKとの一体感が出たり空間が広くキレイに見えるようになります。
対面キッチンの場合は基本的には吊り戸棚は無しにして、どうしても必要な場合は吊り戸棚を付けるというスタンスくらいが調度バランスが良いんですね。
一方、壁付けキッチンの場合はキッチン前の壁は自由に使うことができます。
そのため、吊り戸棚との相性はかなり良いので積極的に採用するのも1つの方法と言えます。
また、壁付けキッチンの場合は必ずしも吊り戸棚ではなくても棚を設けて調理器具が置けるようにするなど、上手くアレンジしてあなたに合ったキッチンにしたいですね。
まとめ
今回はキッチンの吊り戸棚について詳しく見てきました。
吊り戸棚はキッチンの収納力を高めてくれる反面、キッチンの見た目やLDK全体の雰囲気にも影響がでる部分でもあります。
そのため吊り戸棚を検討する時は、まずは本当に吊り戸棚が必要なのかどうか、また目指す部屋の雰囲気と吊り戸棚が合っているかどうかを意識して見ることが大切なんですね。
家づくりにおいて、使わない物ほど無駄なことはありません。
ぜひ今回の内容を参考に、あなたに合ったキッチンを目指してくださいね。
では。
キッチンについてはこちらも参考にしてください。
→対面キッチンはどれがおすすめ?5つの対面キッチンとメリット、デメリット
→壁付けキッチンのメリットとデメリットって何?失敗しない壁付けキッチンの作り方
→キッチンのサイズや大きさはどれくらいが使いやすい?キッチンを使いやすくする方法
→アイランドキッチンで後悔しないために知っておきたいメリットとデメリット
→ペニンシュラキッチンで後悔しないために知っておきたいメリットとデメリット
→キッチンの床をタイルにした時のメリットとデメリットを解説します
→おすすめの食器棚やカップボード、4選。あなたはどれがお好みですか?
→ダイニングで美味しいご飯を食べるために気をつけたい3つの事
→木製キッチンってどうなの?あなたに合った木製キッチンを選ぶ方法
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→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
キッチンに吊り戸棚は必要なの?
- 吊り戸棚は収納量だけでなく、キッチンやLDKの見た目に影響する。
- 対面キッチンと壁付けキッチンでは、壁付けキッチンの方が吊り戸棚と相性が良い。
- 手元で出し入れしやすい高さに吊り戸棚を設置すると使いやすくなる。