家づくりをする時、家の外観はできるだけ整えたいものですし、できればあなたの好みに合うカッコいい家や、かわいい家にしたいですよね。
そんな家の外観の中でも今回見ていくのは屋根の勾配について。
家の外観で何となくバランスが悪いなと感じる場合は屋根の勾配が影響していることがとても多く、それだけ屋根の勾配というのは家の外観に大きな影響を与えているんですね。
今回はそんな屋根の勾配を見ながら、バランスの良い外観にするための屋根の作り方について見ていきたいと思います。
家の外観が気になる方はぜひご覧ください。
屋根の勾配って何?
最初にまず、屋根の勾配とはどの部分か、また屋根の勾配がどれくらい家の外観に影響するか見ていきましょう。
屋根の勾配とは、簡単に言うと屋根の角度になります。
この部分ですね。
屋根の勾配に合わせて2寸勾配や5寸勾配といった数字で表現され、数字が低い方が勾配がゆるく、数字が大きい方が勾配がキツイ屋根となります。
では、屋根の勾配で家の外観がどれくらい変わってくるか比べて見ましょう。
たとえば2寸勾配、4寸勾配、6寸勾配の家を並べてみると下のような感じになります。
同じ家の形でも結構印象が違ってくるのが分かりますね。
それだけ屋根の勾配は家の外観に影響してくる部分と言えます。
ちなみに、このような屋根の勾配は屋根に使う材料によって、どれくらいの勾配にできるか変わってきます。
たとえばガルバリウム鋼板などの金属製の屋根であれば屋根の勾配はかなり自由に決めることができ、瓦屋根などはある程度、屋根に傾斜がついてないと施工できないなど、一定のルールがあるんですね。
また、屋根の勾配で外観以外に家にどんな影響があるかを見てみると、屋根を緩くした場合は雨が降った時に流れづらくなり、屋根の勾配がきついと職人さんが屋根に登って工事するのが大変になるので足場が必要になるなど、費用が多く掛かるようになります。(5寸勾配を越えると足場が必要になるケースがほとんどです)
そのため屋根の勾配は緩すぎず、またキツ過ぎずの程よい勾配の中で、外観のバランスが取れるようにするのが基本となってくるんですね。
屋根の勾配はどれくらいが最適?
それでは、実際に屋根の勾配はどれくらいが最適なのでしょうか?
まず、基本的に屋根は高くなり過ぎない方が家に取ってプラスになることがほとんどです。
たとえば屋根が高くなりすぎると無駄な外壁が増えるようになります。
そうなると外観のバランスが悪くなるのと同時に、外壁が増える分だけ費用も多く必要になるんですね。
屋根の高さについて簡単な絵にするとこんな感じです。
左側の家は屋根の勾配を抑えることで家全体の重心も低くなっていますが、右側の家の場合は屋根の勾配がきつい分だけ屋根が高くなり、その分バランスが悪い外観になっているのが分かります。
ちなみに、先ほどの家の見る角度を変えるともっと顕著にバランスの悪さが出るようになります。
外壁の上部分が広い家のことを業界では「おでこの広い家」と呼びますが、右側の家はまさに「おでこの広い家」となっており、外観のバランスも悪くなっていますね。
おでこが広くなっているのが道路側から全く見えないのであればまだ良いですが、よく目につく場所はできるだけ高さを抑えるようにする。
これを意識できるかどうかで、外観の良し悪しは大きく変わってきます。
では、実際にどれくらいの屋根の勾配が良いかと言うと、2.0寸〜3.5寸勾配くらいがちょうど良いバランスになるケースがほとんど。
これくらいの勾配だと屋根が高くなりすぎず、全体のバランスが整いやすいんですね。
ちなみに勾配に2.0〜3.5と幅があるのは、家の形や大きさによって綺麗に見える勾配に違いがあるから。
ちょっと外観が物足りないなという場合は、少し屋根の勾配を調整して見るのも効果的な方法ですよ。
間取りと屋根の勾配
屋根の勾配は外観だけでなく、間取りに影響してくることもあります。
たとえば、ロフトや勾配天井にする場合はある程度屋根の勾配が必要となってきます。
小屋裏のスペースが無いとロフトや小屋裏収納を作ることができないからなんですね。
ただ、屋根が高くなってしまう分だけ外観のバランスを取るのが難しくなるので、窓をうまく配置するなど軽さを出してバランスを整えるというのは意識しておきたい部分です。
また、勾配天井にする場合も勾配が緩いと効果が少ないので、ある程度屋根の勾配がある方が綺麗に見えます。
勾配天井と言っても屋根の勾配によって見え方はかなり違ってくるので、あなたの目指す勾配天井がどんなイメージなのかは設計者とコンセンサスを取っておきたいですね。
→ロフトのある家って実際どうなの?100棟以上見てきた正解がコチラです。
屋根の勾配と外観デザイン
ここまで見てきたように屋根の勾配は基本的に緩めにすると綺麗に見えますが、目指す外観によっては勾配無くす、勾配をあえてキツくするというのが効果的なこともあります。
たとえばモダンな外観を目指す場合、屋根がフラットに見えるようにするとグッとモダンな印象に近づきます。
Photo:https://www.riotadesign.com/works/12_donut/#wttl
屋根の勾配が見えず四角い見た目になることで、印象がかなりモダンよりに変わってくるんですね。
このような場合、屋根をフラットな「陸屋根」と呼ばれる屋根にするのが一番簡単な方法ですが、陸屋根にするとメンテナンスの頻度が増えたり雨漏れのリスクも高くなるなど、マイナスな面も少なからず出てくるようになります。
この部分は施工の丁寧さや保証がどれだけつくか、またマメにメンテナンスできるかというのも含めて検討したいですね。
また、陸屋根にする以外にも見せたい面だけ四角く見えるようにする方法もあります。
こんな感じですね。
この方法であれば、屋根を普通に作るのとあまり変わらないので、比較的簡単にモダンな印象を出すことができます。
その他、屋根の勾配を限りなく緩くして四角く見せるという方法もあり、ケースに合わせて使い分けるのもいいですね。
→四角い家の外観はどうすればオシャレに見える?四角い家を作る時の5つのポイント
また、南欧風や北欧風のかわいい雰囲気の家にする場合も屋根の勾配が外観のポイントになってきます。
基本的に洋風の家を目指す場合は、屋根の勾配をしっかり取ることで雰囲気を出すことができるんですね。
Photo:https://feely.jp/4589992/
洋風の雰囲気を出す場合は屋根や素材感をどれだけ上手く出すかがポイントになり、トータルでどれだけ雰囲気を出せるかと言う点がとても重要になってきます。
屋根が中途半端な感じになってしまうと他でフォローするのがかなり大変になってくるので、屋根勾配も含めたトータルコーディネートをしていきたいですね。
→南欧風(プロバンス風)の家にするなら必ず知っておきたい10のポイント
まとめ
今回は屋根の勾配について詳しく見てきました。
屋根の勾配は基本的に2.0〜3.5寸勾配くらいだとバランスがよく、屋根の高さもできる限り無駄に高くならないようにするというのが綺麗に屋根を見せるためのポイントとなるんですね。
同じ外観の家でも屋根の勾配を変えるだけで印象はかなり変わります。
外観がしっくりこない場合は屋根の勾配を変えてみる。
また、屋根の勾配が原因で無駄に外壁面が広くなっている部分があれば、外壁面を減らすような屋根勾配にしてみる。
これは外観を整えるためにとても効果的な方法なんですね。
ぜひ今回の内容を参考に、家に帰るのが楽しみになるような家を建ててくださいね。
では。
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