「事件築条件付きの土地を買うかどうか迷っています。土地は魅力的なのですが、建築条件付き土地を販売している会社が建てた家にはあまり魅力を感じません。このような建築条件付きの土地を買っても建てたい家を建てられるのでしょうか?」
読者さんからこのような質問をもらいました。
「建築条件付きの土地」とは簡単に言うと、土地を買えば家を建てる会社がセットで決まってしまう土地の事です。
「この土地を買うなら、うちの会社で家を建ててよ」
というような条件が付いている土地が建築条件付きの土地なんですね。
→建築条件付って書いてある土地を見つけたけど、建築条件って何?
実は建築条件付きの土地でお悩みの方は、意外と多くいらっしゃいます。
間取りに不安がある方に向けて間取り診断を行なっていますが、半数くらいが「建築条件付きの土地」を購入したり検討されている方というくらいです。
では、なぜ建築条件付きの土地を買った方は間取りで悩まれたり不安になることが多いのでしょうか。
今回は、その疑問について見ていきたいと思います。
建築条件付き土地での悩み
建築条件付きの土地を購入される方は、建築条件付きならではの悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいます。
それではまず、建築条件付きの土地で多い悩みの例を具体的に見てみましょう。
間取りが不安
間取りが不安。
これは建築条件付きの土地で1番多い悩みです。
とりあえず要望を言って間取りが出てきたけども、出された間取りがイマイチだったりで、この間取りで本当に大丈夫か不安に感じてしまうんですね。
建築条件付きの土地でも、しっかりした間取りを出してくれる会社もありますし、その一方で、建売住宅と全く変わらなかったり、営業担当者がサッと作った間取りを出してくることもザラにあります。
このように建築条件付き土地の場合、出てくる間取りは会社のレベルによってバラツキがかなり大きいんですね。
その分、間取りに不安を感じる方も多くなります。
担当者が間取りに詳しくない
建築条件付きの土地では、担当者が間取りに詳しくないこともよくあります。
間取りの提案が少なかったり、場合によっては自分で次回の打合せまでに間取りをどう変更するか考えてこないといけないということも。
間取りをつくる側が、基本受け身の姿勢というケースが多いんですね。
→プロとしての意見がない設計士、プロとして個性が強すぎる設計士
この理由は、担当者が土地を売るのがメインの不動産出身の担当者であったり、間取りをそんなにつくったことが無い人が担当者となる可能性が高く、そもそも間取りの打合せに力を入れていないことが大きな原因です。
簡単に言うと、建築条件付きの土地では間取りに興味のない人が担当になる事が多かったり、間取りよりもパッパと早く話を進めて家を建て続けて資金の回転を早くするという方針の会社が多いんですね。
家を建てる人は、基本的に家を建てるのは初めてで、家づくりも基本的には素人です。
それなのに、こちらからアクションを起さない限り間取りが変わらないのは、かなりのストレスになるのがお分かりいただけると思います。
すぐに契約を迫られる
これも建築条件付きの土地で多い悩みですね。
「土地を押さえるためには、すぐにでも契約してもらわないといけない。間取りは契約しても少しは変えれらるので大丈夫ですよ。」
という感じですね。
こうして、土地を見てから一ヶ月以内に契約を迫られるようになるケースをよく見かけます。
もちろん、スピードが速いのは悪い事ではありませんが、土地と家の間取りを短い時間で決めるのは結構ストレスになるものです。
何千万円もする大きな決断を急かされるからなんですね。
建築条件付きの土地で不安になってしまうのは、家を建てる人の目線ではなく、土地を売る方の都合がメインになってくるので、不安を解消するためのステップが省略されてしまうのが大きな原因です。
さらに、先ほどの担当者が間取りに詳しくないケースがプラスされると、住宅会社に指定された日までに自分で間取りを考えてこないといけなくなってしまいます。
どれだけ上から目線で自己責任を押し付ける気なのかと思ってしまいますが、これでは、建築条件つきの土地を購入するのに不安になってしまうのも当然ですね。
建築条件付きの土地は売主が強い?
建築条件付きの土地を購入する時によく感じる不安をご紹介しましたが、なぜこのような事が起こるのでしょうか?
それは、住宅会社が土地を押さえているからです。
普通の住宅会社選びで先ほどのような不安を感じた場合、
「どうもこの会社は違うかな」
と思って住宅会社を変える事は比較的簡単です。
他に合いそうな会社をまた探すことができるからなんですね。
一方、あなたが気に入った土地を住宅会社が建築条件付きで出している販売している場合、他を選ぶという選択肢は無くなってしまいます。
60点か70点くらいの土地なら「まだ他を探せばいいか」と思えますが、これが80点や90点の土地となると「ここしかない!」という気持ちに偏りがちです。
その結果どうなるかというと、土地という家を建てるために根本的に必要な物を販売会社が押さえているので、その販売会社が主導権を持った形で家づくりが進んで行くことになるんですね。
そして、販売会社もそのことは十分承知しています。
他の住宅会社や工務店で家を建てたいと思っても建てることができないので、価格、間取りなど自社のルールを作って家づくりを行っているケースも多いんですね。
悪い言い方をすれば、建築条件付きの土地では凝った間取りでも、変な間取りでも売上には大差ないので、
「間取りで時間を掛けずにさっさと家を建てて売れればいい」
という住宅会社があるのも事実です。
これが建築条件付きの土地で間取りを不安に感じる方が多い1番の原因となります。
建築条件付き土地は買わない方がいいか?
建築条件付きの土地は、なぜ間取りを不安になることが多いのかという理由を見てきましたが、それでは建築条件付きの土地は買わない方がいいのでしょうか?
答えは、あなたが何を優先したいかによります。
あなたの「家に対する要望」と、「土地の優先度」、「住宅会社のレベル」、この3つの視点で見ることが重要となってくるんですね。
例えば、「土地の優先度」が高く「家に対する要望」があまりなければ、建築条件付きの土地とはとても相性が良い土地になります。
土地がメインで、家は少し手を加えられればいいかなという感じなので、手間の掛からない建築条件付きの土地と合いやすいんですね。
さらに、住宅会社の建てる家を見て、「自分的に大丈夫そう」と思うか「いやー、これはキツそう」と思うかで判断を下せば失敗する可能性はかなり少なくなります。
それでは次に、他のケースを見てみましょう。
「家に対する要望」と「土地の優先度」どちらも高い人はどうすればいいでしょうか。
答えは、「住宅会社のレベル」次第で、建築条件付きの土地を購入して大丈夫かどうかが決まってきます。
建築条件付き土地を販売している会社でも、しっかりした注文住宅を普通につくっている住宅会社であることもありますし、なんちゃって注文住宅をつくっている会社もあります。
その2つで間取りもそうですし、完成する家の出来具合も当たり前のように違ってくるんですね。
私も多くの間取り相談をいただいてきましたが、同じ建築条件付きの住宅でも「間取りがいいな」と思う会社と「うーん・・」と思う会社は、かなりハッキリ分かれてきます。
家と土地の優先度を考慮しながら、住宅会社のレベルを見てみる。
これが建築条件付きの土地を購入する時に失敗しないためのポイントなんですね。
また、建築条件付きの土地は「注文住宅」ではなく「セミオーダー住宅」というものもよくあります。
「セミオーダー住宅」とは注文住宅のように何でも選べる訳ではなく、間取りや仕様に制限がある家になるので、注文住宅と思っているとギャップが生じてしまうことがあるんですね。
そのため建築条件付きの土地を購入する前には、何が自由に選べて何が選べないのか、また、間取りは建築士と打ち合わせができるのか、それともできないのか。
この部分をしっかり確認して納得した上で購入することが、建築条件付きの土地ではとても大切なんですね。
→あなたに合っている家はどれ?家は注文住宅だけでは無いんです
まとめ
今回は建築条件付き土地では「なぜ間取りで失敗しやすいのか」についてその理由をご紹介しました。
建築条件付きの土地を購入する時に注意したいことを挙げると、
- 家を結構こだわりたいという方は、間違っても土地だけを見て建築条件付きの土地に手を出さない。
- 建築条件付きの土地を買う場合は住宅会社のレベルを見る。
これがとても重要なんですね。
建築条件付きの土地は魅力的な土地が出てくる可能性が高い反面、家を建てることまで考えると中々難しい土地でもあります。
あとで後悔しないためにも、契約する前にあなたに合った家が建てられるのかどうかを必ず確認して見てくださいね。
それが建築条件付きの土地であなたに合った良い家を建てるための、一番の秘訣となります。
では。
建築条件付き土地についてはこちらも参考にしてください。
間取りについてはこちらも参考にしてください。
→一軒家の間取りで失敗しないために気をつけたい7つチェックポイント
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
建築士が教える今日の問題解決
なんで建築条件付きの土地は間取りで失敗しやすいの?
- 土地を住宅会社が押さえているので、住宅会社主導で家づくりが進むから。
- 家と土地の優先度を考慮しながら、住宅会社のレベルを見てみるのがポイント。