あなたは家を建てる時はトイレを何ヶ所設置しようと思いますか?
たとえば2階建ての家の場合であれば、トイレを1階に1つ、2階にも1つ。
合計で2カ所という方が多いのではないでしょうか。
ここで不思議なことが1つあります。
家を建てる方は、アパートやマンションで暮らしている方が多いですが、アパートやマンションだと普通はトイレは1つです。
これは分譲マンションでも同じで、よほど豪華なマンションでない限り、普通の方はトイレ1つで生活されています。
ところが家を建てるとなると、トイレは2つに倍増します。
どうしてでしょうか?
今回はそんなトイレ個数問題について検証してみたいと思います。
それではどうぞご覧ください。
トイレを2カ所設ける割合
私が今まで手がけてきた家や、会社で他のスタッフが設計した家などを合計すると700〜800棟くらいになると思います。
その中でトイレを2カ所設けた家を計算してみると、大体9割くらいの方がトイレを2つ設けています。
そして、残りの1割の方はトイレを1カ所にした方です。
新築で家を建てる方がトイレを2カ所設ける割合というのはとても高いんですね。
反対に、トイレを1カ所しか設けない家はレアと言えるかもしれません。
では、トイレを1カ所しか設けなかった人は、何故トイレを1カ所にしたのでしょうか?
トイレを1ヶ所にした理由について見てみましょう。
トイレを1カ所にした理由
まずトイレを1つにした1番多い理由が、「平屋で夫婦二人暮らしの家だから」です。
特に年配のご夫婦に多いのですが、二人だからトイレは1つで十分というケースですね。
確かに2人暮らしならトイレは1つでも全く問題なさそうです。
では、夫婦2人ではなく家族何人かで平屋に住んだ場合はどうでしょうか。
大きな平屋でもトイレが2つあるケースはかなり稀なケースで、結局はトイレが1つに落ち着くことがほとんどです。
この辺りを見てみると、トイレは各階に1つで、階段でそれぞれの階が分断されているかがトイレの個数に大きな影響を持っていることが見えてきます。
それでは他に、トイレを1つにした方はどのような理由でトイレを1つにしたのか見てみましょう。
まず1番多いのが先ほどの「平屋」という理由ですが、その次に多い理由が、「家の金額を下げたいから」と「トイレの面積を他に使いたいから」という理由です。
例えばトイレの金額について見てみると、2階にトイレを設ければ安い便器を取り付けたとしても配管工事やトイレの扉や窓やらで20万〜30万円くらいの予算は必要になってきます。
逆を言えば、トイレを設けなければ20万〜30万円を削減できると言う訳なんですね。
そのため、家の価格を下げたい時はトイレを1つにするというのも候補に挙がってきます。
また、「トイレの面積を他に使いたいから」というケースを見てみると、あまり家に広いスペースが取れず、トイレを設けるスペースがあるなら部屋や収納にしたいという場合です。
このようなケースも、あまり広い土地が確保しにくい都心に近い住宅街であれば普通に有り得ます。
同じ様なケースとしては、低層住宅地域で建ぺい率、容積率が厳しく、ちょっとのスペースも無駄にできない場合、トイレを1つにするという選択を取る方も多くいらっしゃいます。
→建ぺい率を知らずに土地を買ってはダメ?知っておきたい建ぺい率の事。
具体的な広さを見てみると、30坪くらいの家であれば2階にトイレがあっても無くてもそんなに部屋の広さは変わりません。
小さいトイレであれば半畳とちょっとで作れるからなんですね。
ところが、20坪少しの家になると話が変わってきます。
その半畳と少しが部屋の広さを左右してくるようになってきます。
また、トイレは設置する場所がどこでも良い訳ではなく、落ち着く場所に設けないといけないので、狭い家だと落ち着く場所をつくるのも大変となってくるんですね。
→家の間取り。4人家族の場合、最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?
これまで見てきたように、トイレを1つにする人は、以上の3つが主な理由となります。
では次に、何人家族くらいであればトイレは1つでも大丈夫なのでしょうか?
トイレは1つで大丈夫?
私はお施主さんから家の要望を聞く時、必ずトイレの希望個数を聞いています。
大体の方はトイレは2つ欲しいという回答をもらいますが、それと同時に今の生活で使っているトイレで不便していることがあるかどうかもついでに聞いています。
私がトイレで不便しているか聞く理由は、トイレが1つで渋滞が起きたり生活に支障をきたしているか確認するためです。
特にトイレにはゆっくり入りたい人と、用が足せれば十分という2つの人種が存在します。
この2つの人種が家族でどれだけいるかでも、トイレの必要性は変わってくるんですね。
やはりトイレにゆっくり入りたい人はトイレにいる時間が長いですし、順番待ちなどをされるとストレスにもなります。
一方、トイレで用が足せればいいだけの人は使いたい時に使えないのは困りますし、トイレに長居をされるとストレスになることもあります。
それぞれ生活習慣が違うので、家を建てる時にはこのすれ違いを解消する必要があるんですね。
では、ここからは私、O型建築士が独自で調べた調査結果をお伝えします。
まず家族の人数ですが、4人以上の家族になると、トイレが1つだと不便を感じる方が多くなります。
特に子供が小さいうちは気にならなかったけど、子供が小学校へ行くようになってから、トイレにストレスを感じるようになった人が多くいらっしゃいます。
「朝ゆっくりしたくても、家族のプレッシャーを感じる」なんていう意見が多くあるんですね。
また、ニオイが気になる人は、家族が入ってすぐのトイレを使うのを嫌うケースもよく見かけます。
そうなると、4人家族というのがトイレを使う時間からすると、1つの分かれ目になってきます。
例外として、旦那さんが朝6時半とかの早い時間に家を出て行く家庭では、家族の人数は何人でも特にストレスを感じないことが多いです。
そういう人は帰宅時間も10時を過ぎる事なんかも多く、生活の時間帯がかぶらないのでトイレが1つでも大丈夫なんですね。
家族が4人未満の家庭でも、トイレゆっくり派の人が家族に2人以上いる場合、トイレが1つだとストレスを感じることが多くなります。
これは、トイレをゆっくりしたい旦那さんの他に、トイレをゆっくりしたい親御さんが1人同居しているケースや、子供が成長してトイレで本を読み始めるようになった家庭で多く見られます。
トイレをゆっくりしたい人は、トイレを自分の部屋のように使いますので、トイレをゆっくりしたい人が2人になると、トイレは2つあった方が生活のストレスはかなり軽減できるんですね。
最後にちょっと特殊な例を1つ。
お腹が弱い人がいる家庭の場合は、やはりトイレが2つないと結構厳しいです。
トイレが死活問題となってしまうんですね。
まとめ
今回はトイレの個数について検証してみました。
トイレは戸建て住宅だと2つ。マンションだと1つであることが多いです。
このことを考えると、トイレをゆっくりしたい人が多く、家族の人数も多い家庭がトイレが1つしかないマンションを買ってしまうと、後々かなりのストレスになる事が考えられます。
家族が成長して家を巣立っていけばトイレは1つでいい訳ですが、それまでの十数年をストレスを感じながら過ごすのはどうなんでしょうか?
たかがトイレ、されどトイレ。
トイレは毎日の生活と密接に関わるので、トイレが自分たちの生活にいくつ必要なのか1度考えてみれば、マンションか戸建てどちらが良いかのヒントにもなってきますね。
ちなみに、4人家族の場合だと、1日にトイレを使用している時間は平均で1時間くらいです。
1日に1時間も使われるのであれば、快適なトイレをつくるというのも結構意味のあることかもしれませんね。
昔は和式のトイレのようにゆっくりするのが難しいトイレが多かったですが、今では便座が温度調整までしてくれるくらい快適な空間なりました。
それだけトイレが快適な空間になった分、トイレの位置づけも昔と比べて大きく変わっています。
トイレの個数はもちろんトイレをどこに配置するといった点も含めて、より使いやすいトイレにしたいですね。
では。
トイレについての話はこちら。
→トイレの位置はどこがいい?避けたい場所と理想的なトイレの場所
→玄関の側にトイレってどうなの?トイレで間取りの善し悪しが分かります。
→階段下収納や階段下トイレってどうなの?効果的な階段下の使い方
平屋についてはこちらを参考にしてください。
→平屋住宅のメリットとデメリット。知っておきたい家の形状シリーズ。
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
家にトイレは何個必要?
- 4人家族以上なら2つあったほうが良い。
- 家族が4人未満の場合でも、トイレでゆっくりしたい人が2人以上いれば、トイレは2つあった方が良い。