あなたが家を建てる時、トイレはいくつ欲しいと思いますか?
たとえば2階建ての家の場合であれば、トイレを1階に1つ、2階にも1つ。
合計で2カ所という方が多いのではないでしょうか。
ここで不思議なことが1つあります。
家を建てるという場合、家を建てる前にはアパートやマンションで暮らしている方が多いですが、アパートやマンションだと普通はトイレは1つです。
これは分譲マンションでも同じで、かなり豪華なマンションでない限り、普通の方はトイレ1つで生活されています。
ところが戸建ての家を建となると、トイレは2つに倍増します。
何だか不思議ですね。
また、トイレは家に1つで十分?それとも2つ必要でしょうか?
そんなトイレのベストな個数について、建築士が検証していきたいと思います。
それではどうぞご覧ください。
トイレを2カ所設ける割合
Photo:https://www.homify.jp/photo/2512523
私はこれまで建築士として手がけてきた家や、設計責任者として工務店で携わった家などを合計すると700〜800棟くらいの家を見てきました。
そして、その中でトイレを2カ所設けた家を計算してみると、大体8〜9割くらいの方がトイレを2つ設けています。
そして、残りの2割弱くらいの方がトイレを1カ所にされています。
こうしてデータで見てみると、新築で家を建てる方がトイレを2カ所設ける割合というのはとても高いんですね。
反対に、トイレを1カ所しか設けない家はレアケースとも言えそうです。
では、トイレを1カ所しか設けなかった方は、何故トイレを1カ所にしたのでしょうか?
次にトイレを1ヶ所にした理由について見てみましょう。
トイレを1カ所にした理由
まずトイレを1つにした1番多い理由。
それは、「家に住む家族の人数」です。
たとえば、「夫婦二人暮らしの家」であれば、トイレは2つも必要ありませんよね。
トイレは無駄に増やしても掃除の手間が増えるだけなので、2人暮らしならトイレは1つで十分と言えます。
このように、家族の人数というのはトイレの個数に影響してくる部分なんですね。
次に、「平家」の場合もトイレを1つにするケースが多くなります。
たとえば家族何人かで平屋に住む場合、大きな平屋であればトイレを2つ作ることがありますが、意外と最終的にトイレが1つに落ち着くケースも多くなります。
リビングや寝室から程よく距離感のあるトイレが1つあれば、無理にトイレを1つ増やさなくてもいいかなというケースが多いんですね。
→トイレの場所はどこがいい?避けたい場所と理想的なトイレの場所
こうして見てみると、トイレは各階に1つという傾向が強く、階段でそれぞれの階が分断されているかがトイレの個数に大きな影響を持っていることが伺えます。
その他のトイレを1つにする理由として、「トイレ以外に予算を使いたいから」という理由や「トイレの面積を他の用途に使いたいから」という理由もよく目にします。
たとえばトイレの金額について見てみると、2階にトイレを設ければ安い便器を取り付けたとしても配管工事やトイレの扉や窓などで少なくとも20万〜30万円くらいの予算は必要になってきます。
逆を言えば、トイレを設けなければ20万〜30万円を削減できると言う訳なんですね。
そのため、家の価格を下げたい時はトイレを1つにするというのも候補に挙がってきます。
また、「トイレの面積を他の用途に使いたいから」というケースでは、家全体であまり広いスペースを取れず、トイレを設けるスペースがあるなら部屋や収納にしたいという場合によく見かけます。
このようなケースも、あまり広い土地が確保しにくい都心に近い住宅街であればごく普通に有り得ます。
同じ様なケースとしては、「低層住宅地域」という大きな家が建てられない地域でちょっとのスペースも無駄にできない場合、トイレを1つにするという選択を取る方も多くいらっしゃいます。
→建ぺい率を知らずに土地を買ってはダメ?知っておきたい建ぺい率の事。
具体的な家の広さを見てみると、30坪くらいの家であればトイレが2つ有ってもそんなに部屋の広さは変わりません。
小さいトイレであれば半畳とちょっとで作れるからなんですね。
ところが、20坪少しから半ばの家になると話が変わってきます。
その半畳と少しが部屋の広さを左右してきてしまうんですね。
また、トイレは設置する場所がどこでも良い訳ではなく、音が響きにくく、また落ち着いて使える場所に設けたいので、コンパクトな家だと最適な場所にトイレを2つ作るというのはかなり難しいという側面もあります。
→家の間取り。4人家族の場合、最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?
このように、これまで見てきた4つの要素、
- 家族の人数
- 家の階数
- 家の予算配分
- 家の大きさ
この4つがトイレの個数に大きく影響してくるんですね。
そして、その中でも最も影響が大きいのが「家族の人数」です。
では、何人家族くらいであればトイレは1つでも大丈夫なのでしょうか?
トイレは1つで大丈夫?
Photo:https://granhouse.co.jp/
私はお施主さんから家の要望を聞く時、トイレの希望個数というのも必ず確認する項目です。
多くの場合でトイレは2つ欲しいという回答をもらいますが、それと同時に今の生活でトイレで不便に感じていることがあるかどうかも確認しています。
そしてトイレで不便に感じている大きな要因としては、「トイレの使用時間が人によってマチマチ」というケースが非常に多くなります。
「トイレにはゆっくり入りたい人」と、「トイレは用が足せれば十分」というように、家族の中でトイレの使い方がバラバラで、トイレに求める物も人によって違ってくるんですね。
そして、「トイレにゆっくり入りたい方」が家族でどれくらいいるかでも、トイレの必要性は変わってきます。
やはりトイレにゆっくり入りたい人はトイレにいる時間が長いですし、トイレは居心地いい空間にしておきたいものです。
また、順番待ちなど急かされるというのは、日々のストレスにつながってきます。
一方、トイレで用が足せればいいだけの人は使いたい時に使えないのは困りますし、トイレに長居をされると不満に感じるケースも出てきます。
それぞれ生活習慣が違うので、家を建てる時にはこのスレ違いを解消する必要があるんですね。
このようにトイレの個数というのは、トイレでどれだけ時間を過ごすかというのも見過ごせない要素になってきます。
家にトイレは何個必要?
Photo:https://www.reposhouse.com/
それでは、ここまで見てきた内容を踏まえながら、建築士である私の経験から見た、トイレの数に対する見解をお伝えしたいと思います。
まず家族の人数ですが、4人以上の家族になるとトイレが1つだと不便を感じるケースが増えてきます。
特に子供が小さいうちは気にならなかったけど、子供が小学校へ行くようになってから、トイレにストレスを感じるようになったという方が意外と多くいらっしゃるんですね。
「朝トイレでゆっくりしたくても、家族のプレッシャーを感じる」なんていう意見も。
また、ニオイが気になる人は、家族が入ってすぐのトイレを使うのを嫌うケースもよくあります。
そうなると、4人家族というのがトイレの稼働率から見ると1つの分かれ目になってくるんですね。
例外として、旦那さんが朝6時半とかの早い時間に出勤する家庭や夜勤などがある場合では、4人家族でトイレが1つでも特にストレスを感じないケースが増えます。
生活の時間帯がかぶらないのでトイレが1つでも大丈夫なんですね。
その他、家族が4人未満の家庭であっても、トイレゆっくり派の方が家族に2人以上いる場合、トイレが1つだとストレスを感じるケースが増えます。
そしてこれは特に子供が成長してトイレで本を読んだりスマホを見始めるようになった家庭で多く見られます。
トイレをゆっくりしたい人は、トイレを自分の部屋のように使いますので、トイレをゆっくりしたい人が2人になると、トイレは2つあった方が生活のストレスはかなり軽減できるんですね。
最後にちょっと特殊な例を1つ。
お腹が弱い人がいる家庭の場合は、やはりトイレは2つ欲しい物です。
トイレが死活問題となってしまうからなんですね。
まとめ
今回はトイレの個数について検証してみました。
トイレは戸建て住宅だと2つ。マンションだと1つであることが多いです。
このことを考えると、トイレをゆっくりしたい人が多く、家族の人数も多い家庭がトイレが1つしかないマンションを買ってしまうと、後々かなりのストレスになる事が考えられます。
家族が成長して家を巣立っていけばトイレは1つでいい訳ですが、それまでの十数年をストレスを感じながら過ごすのはどうでしょうか?
たかがトイレ、されどトイレ。
トイレは毎日の生活と密接に関わるので、トイレが自分たちの生活にいくつ必要なのか1度考えてみれば、マンションか戸建てどちらが良いかのヒントにもなってくれるんですね。
ちなみに、4人家族の場合だと、1日にトイレを使用している時間は平均で1時間くらいです。
1日に1時間も使われるのであれば、快適なトイレをつくるというのも結構意味のあることかもしれませんね。
昔は和式のトイレのようにゆっくりするのが難しいトイレが多かったですが、今では便座が温度調整までしてくれるくらい快適な空間なりました。
それだけトイレが快適な空間になった分、トイレの位置づけも昔と比べて大きく変わっています。
トイレの個数はもちろんトイレをどこに配置するといった点も含めて、より使いやすいトイレにしたいですね。
では。
トイレについての話はこちら。
→トイレの位置はどこがいい?避けたい場所と理想的なトイレの場所
→玄関の側にトイレってどうなの?トイレで間取りの善し悪しが分かります。
→階段下収納や階段下トイレってどうなの?効果的な階段下の使い方
平屋についてはこちらを参考にしてください。
→平屋住宅のメリットとデメリット。知っておきたい家の形状シリーズ。
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
家にトイレは何個必要?
- 4人家族以上なら2つあったほうが良い。
- 家族が4人未満の場合でも、トイレでゆっくりしたい人が2人以上いれば、トイレは2つあった方が良い。