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よもやま話

階段下トイレを快適にする6つのアイデア

家の間取りを作る時、限られた空間を有効活用するためにトイレを階段下に配置した、という間取りもよくありますよね。

特にリビングなどを広く取ったり、他にスペースを使いたい時は階段下トイレというのは効果的な方法となります。

 

その一方、階段下トイレは階段下であるがゆえに通常のスペースよりも小さく、収納が取れなかったりといった機能面やデザイン面としても物足りなさがあるという話もよく聞きます。

では、そんな階段下トイレはどうすれば魅力的な空間にすることができるのでしょうか?

今日は、階段下トイレを少しでも機能的に使えるアイデアをご紹介したいと思います。

階段下トイレはなぜ物足りないのか

それでは早速、なぜ階段下トイレが物足りなく感じてしまうかについて迫っていきましょう。

それにはいくつかの理由があります。

 

通常のトイレよりも天井高が低く、狭く感じる

まずは、階段下トイレの画像をご覧ください。

階段下トイレ

どこが天井として一番高く、どこが一番低くなっているでしょうか?

階段下トイレでは入り口付近の天井が高く、便座付近の天井が低くなっていますね。

特にチェックしておきたいのは、一番低い天井の、床からの高さ。

一番低いところで床から1m40cmとか、想像していたよりも低い天井があることに
びっくりされるお施主さんも多くいらっしゃいます。

パッと見ただけだと何だか頭をぶつけてしまいそうな天井の高さですが、トイレの便座付近は座ることになるので天井を頭にぶつけずに済んでいるんですね。

 

また、階段下の天井形状は、階段なりと言われる段々となっているか、斜めの天井の勾配天井どちらかで仕上げるケースがほとんどです。

階段下トイレ2

天井を斜めに仕上げるとこんな感じですね。

階段なりに天井を仕上げると階段に沿って天井が作れるので天井が少しでも高くなり、勾配天井で仕上げると天井のラインが綺麗に見えるようになります。

勾配天井ってどうなの?勾配天井の魅力とデメリット

 

この辺りは天井の高さがどれだけ確保されているか、またどう見せたいかでどちらかの天井を選ぶことになります。

 

収納スペースがほとんど無い

もともと階段下といういわゆる「デッドスペース」になりがちなスペースをトイレスペースにしているため、収納スペースがほとんど確保できないのが階段下トイレの悩みの一つ。

「それならば、高い位置に棚をつりたい」というご要望もきこえてくるのですが、天井が低く限られているのと、すぐトイレのドア(建具)がせまってくるため棚をつるのはなかなか現実的ではありません。

ということで、トイレットペーパーや生理用品やタオルの替え、掃除用具といった「トイレの中にあってほしい」物の収納にはひと工夫必要となってきます。

 

使用できる照明器具がいまいち

階段下の天井というのはできるだけ天井の高さを確保する設計をしていることが多く、この真下に電気配線を通して照明を入れるというのは、天井がその分低くなるためほとんど行いません。

そのため、照明用の配線位置は、一番天井が高く平らな部分に配線を通すか、もしくは壁の高い位置にブラケット照明という壁付タイプの照明器具を取り付けるかが一般的です。

 

その結果、階段下トイレに取り付ける照明器具は、サイズ、配灯位置ともに非常に限定されています。

インテリアのイメージにあわせた素敵な照明器具をつけたかったけども「つけたい照明器具がつけられなかった」という話や、「照明器具がトイレのサイズに比べて圧迫感に感じる」という話が出てくるのも、階段下トイレならでは。

 

階段下トイレで凝った照明計画にする場合は間接照明にするなど工夫が必要となります。

 

トイレドア(建具)の横幅(間口)が通常サイズよりも小さいことが多い

階段下という小さなスペースをトイレとして使用するため、トイレドアも通常サイズよりも小さめの特殊な寸法になることが多く、その結果、横幅が狭いトイレドアになってしまうケースが多くなります。

このため、大柄な方や足腰が不自由な方には、トイレへの出入りの段階から少し窮屈に感じてしまう可能性もあります。

また、階段下トイレの場合は天井が一部下がっているため引き戸も取り付けにくく、ドアになることがほとんどです。

引き戸とドアのメリットとデメリットと後悔しない使い方

 

ここまで階段下トイレのデメリットを見てきましたが、方法次第で階段下トイレも快適にできるようになります。

それでは次に、階段下トイレを少しでも機能的に快適にするアイデアについて見ていきましょう。

階段下トイレを少しでも機能的に快適にするアイデア

タンクレストイレを導入し、縦への圧迫感を減らす

天井高が低いので、なるべく縦ラインの圧迫感を減らしたいという方は、トイレの奥行きをなるべく小さな、コンパクトタイプのタンクレスタイプを選ぶのがオススメです。

高さを抑えたデザインにすることによって、すっきり感が出てくるんですね。

 

例えば、奥行きがコンパクトなタンクレストイレはこれくらいのサイズ感に。

トイレ

出展:https://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/satis/

タンクレストイレのすっきりとしたデザインと、便座と便器の間が掃除できる電動リフトアップがついており階段下トイレの狭小スペースでもお掃除が楽なのでオススメです。

ただし、タンクレストイレは手洗い機能がついていないため、トイレ内に手洗いスペースを別途設ける必要があります。

 

一体型トイレでタンクと収納スペースと手洗いスペースを壁化させる

こちらもトイレのタンクを見せないというアイデアとして、収納スペースとタンクを一体化させるという方法です。

階段下トイレと収納

出展:https://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/refore/case/plan01.htm

タンクや配管、そしてトイレ両サイドの収納スペースを壁のように隠し、かつ手洗いスペースがあまり目立たない配置になっているのも良いですね。

少しでも収納スペースをしたい方にオススメです。

 

ニッチ(壁面埋込型収納)を活用し収納スペースを確保する

間取りにもよりますが、壁面に埋込型収納を入れニッチ化させることで収納を確保するという方法もあります。

断熱材が入っている外壁面はニッチを配置することができませんが、それ以外の壁では既製品のニッチを入れたり造作で棚を作ることができます。

 

また、このような感じで手洗いと収納がセットになった壁面埋込収納もあるので、スッキリと機能的な手洗いコーナーが欲しい方にオススメです。

階段下トイレと手洗い

出展:https://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/cofureru/feature/

手洗いが必要なタンクレストイレとセットで考えてるのも良いですね。

 

縦もしくは横に伸びるライン型間接照明を入れ照明のスリム化をはかる

通常階段下トイレの照明は天井もしくは壁付の照明をつけますが、トイレで雑誌や本を読んだりすることがなく手元が明るい必要がないということであれば、ライン状の間接照明を入れてみるとトイレがスタイリッシュな空間に生まれ変わります。

たとえば、トイレ便器奥の階段下の天井をすこしふかして天井下に間接照明を入れてみたり、便器奥に腰壁がある場合は腰壁の中に照明を入れてアクリル板を上からかぶせて間接照明にしたり、やり方はいくつかあります。

こんな感じですね。

階段下トイレの照明

出展;https://roomclip.jp/photo/eB50

「間接照明は暗いのでは?」という相談もたまにありますが、ここ数年のLED使用の間接照明は明るいタイプのも発売されていますので、長いラインで入れることによって普通のトイレ照明よりも明るくなることもあります。

 

空間を「広くみせたい」には膨張色か後退色を使う

階段下トイレ

色彩の心理効果として、膨張色(ぼうちょうしょく)というものがあります。

明るい白系の色で空間を構成すると、白いセーターを着ている人が黒セーターの人よりも大柄に見えるように、本来のサイズよりも広く大きく感じるというものです。

広さ感をより強調したい方は、トイレの床・壁・天井面を明るい白系の色で構成し、トイレドアや窓枠もなるべく白系に統一すると広く見えます。

また、後退色(こうたいしょく)というのは、実際にある位置よりも一歩遠くに感じる色ですので、奥行き感を出したい時は、寒色系のグリーンやブルーをうまく組み合わせて使うのもオススメです。

また、階段下のトイレはその形状とサイズゆえにせっかく入れたアクセントクロスがいまいちかっこよく決まらなかったり、空間を狭く暗く見せてしまうこともあるので、心配な方は設計士さんやインテリアコーディネーターさんにCGを描いてもらうなどして相談してみてくださいね。

また、階段の裏側が見えてしまうなら、あえて階段を目立たせるようにするというのもアクセントになって効果的です。
階段下トイレ

階段は木目のケースが多いので、強調する場合も木目にすれば自然な感じでアクセントになってくれるんですね。

 

トイレドアを折れ戸にして開口スペースをより大きくする

トイレドアは通常片開きドアか引き戸タイプにわかれていますが、それぞれ一長一短があります。

間口が通常よりも狭いタイプの多い階段下トイレですと、引き戸タイプよりも開きドアが多いようですが、そうなると大柄の方やご高齢の方がドアを開閉する際に後ろに下がって狭い思いをすることにも繋がります。

こういうケースには、通常の片開きドアに比べて約1/3程度のスペースでドアを開閉できる折戸ドアも検討してみるのも良いですね。

階段下トイレの扉

出展:https://www.daiken.jp/product/detail/door/17100232.html

 

トイレ奥の壁を収納に使う

階段下トイレの場合、基本的にトイレ奥の壁は腰壁のように少しトイレ側に出すのが一般的です。

階段下トイレの1番奥の部分は天井が低くて頭をぶつける恐れがあるため、頭が当たらない自然な位置にトイレを配置するためにそのような作りになっているんですね。

階段下トイレの収納を強化するなら、この部分を活用しない手はありません。

こんな感じですね。

階段下トイレの収納2

この壁の中は基本的に空洞になっているので、その中をトイレットペーパーのストックを入れる収納にしたり、一部を凹まして掃除道具などを置ける空間をつくるなど、自由に設定することができます。

階段下トイレは空間が限られるので、こうしたスペースを有効活用して収納力を強化するのもオススメです。

たとえば、棚部分を物を置くスペースとして使いながら、小物で少しオシャレな感じにしてみるのもいいですね。

階段下トイレ

このように、階段下トイレは空間が限られる分、スペースをできるだけ有効に使えるようにするというのが大切になってくるんですね。

まとめ

今回は階段下収納について見てきました。

階段下のトイレは、イメージがしにくいだけに「どうすればかっこよく快適な空間になるかわからない」という相談がよくあります。

間取りに合った快適で実用的、すてきなトイレ空間を目指してみてくださいね。

 

トイレについてはこちらを参考にしてください。

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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