家を建てる時は人それぞれにこだわりが有るように、家に使う予算というのも人によって違ってきます。
たとえば、家は何度も建てるのが難しい物なのでしっかり予算を掛けて家を建てたいという方もいらっしゃれば、反対に子供の教育費などを考えてある程度お金に余裕を持っておきたいので家に使う予算をできるだけ抑えておきたいというケースもありますよね。
そんな予算を抑えて家を建てる場合はローコストで住宅を建てることになりますが、では実際にコストを抑えて住宅を建てることはできるのでしょうか?
今回はローコストで住宅を建てる方法について見ていきたいと思います。
家の価格が決まる3つの要素
具体的にローコストの住宅について見ていく前に、まずは家の価格を決めている3つの要素について見ていきましょう。
その価格を決める3つのポイントとは、
- 家の材料費
- 家を建てるための人件費
- 住宅会社や工務店の利益
以上の3つで、この3つのトータルが家の価格となるんですね。
そのため、上記のどれかを抑えることができれば家の価格も下げることができますし、もし3つ全てを下げることができれば1番ローコストな住宅を建てられるということになります。
では、「材料費」「人件費」「住宅会社の利益」の3つについて詳しく見ていきましょう。
家の材料費
家を建てるのに無くてはならないのが家の材料。
柱や土台といった構造材から、設備や壁紙といった内装を含めた様々な材料を使って家を造ることになるので、材料費というのは家づくりの中で最も大きなウェートを占めています。
では、そんな家の材料費をどうすれば抑えられるようになるかと言うと、一番効果的なのは仕入れ価格を抑えるということです。
たとえば決まった商品を多く仕入れるので価格を抑えるといった方法であったり、自社製品や直接生産者から仕入れられるなど独自のネットワークを使うことで仕入れ価格を抑えるなどの方法があります。
家の材料は基本的に、オーダー品など加工に時間が掛かる物や少量生産の物は高く、多く生産されている物は価格が抑えられるという特徴があります。
人件費
家を建てるための人件費というのも、家の価格を決める大きな要素となってきます。
たとえば営業マンや建築士と家の打合せをするのにも人件費が掛かっていますし、現場での大工さんが家を作るのにも人件費が掛かっています。
見積書などに人件費が表記されることは少ないので実感することはあまり有りませんが、多くの人の手が入る家づくりの中で人件費というのも結構な額になるんですね。
家の人件費の場合、人の手が入れば入るほど人件費は上がっていくので、打合せや工事の期間が短ければ人件費の割合は下がり、反対に打合せ回数や工事の期間が長いほど人件費は上がるようになります。
(そのため打合せ回数が決まっている住宅会社なんかもあります)
住宅会社の利益
最後に、家には住宅会社の利益という物が含まれています。
(事業としてやっているので当たり前の事と言えば当たり前のことですが)
そして家の場合、1棟に付きいくらの利益というのではなく、家の価格に対して何%というような形で利益率を設定していることがほとんどです。
(たとえば1,000万円の家に30%の利益率であれば300万円が利益となる感じですね)
では実際にどれくらいの利益率なのかという具体的な数字は伏せておきますが、利益率はどこの住宅会社や工務店でも大体同じ。
という訳では実はありません。
業界内での平均的な数値は有りますが、利益率は会社によって結構バラつきがあるんですね。
そして家の価格は大きいので、少しの違いでも意外と大きな金額になってくるんですね。
また、家では値引きの話もよく耳にします。
値引きの実際の所は下の記事を参考にしていただければと思いますが、実際に重要なお施主さんだから値引きをするということもあれば、値引き金額が最初から家の価格にプラスされているなんてケースもあります。
→注文住宅は値引きしてくれるものなの?値引きについての本音の話
そのため、値引きに固執するのではなく「値引きしてくれればラッキー」くらいのスタンスにしておいて、家の総額でどれくらいの金額になるか、納得いく価格で家を建てられるかという点を重視する方が大切なんですね。
→家の資金計画はどうすればいい?資金計画書の見方と押さえておきたいポイント
ローコストで家を建てる方法
それでは次に、ローコストで家を建てる具体的な方法について見ていきましょう。
ローコストで家を建てる方法としては、
- パワービルダーで家を建てる
- 地域の小さな工務店で家を建てる
- 建築家と家を建てる
この3つが主な方法となります。
それでは、順番に見ていきたいと思います。
パワービルダーで家を建てる
パワービルダーとは、
- 床面積30坪くらいの家を得意としている。
- 土地付き一戸建て住宅を2,000〜3,000万円程度の価格を中心に販売している。
- 年間1,000戸以上家を建てている。
このような特徴を持っているのがパワービルダーです。
簡単に言うと、家の大きさや価格を抑えつつ、たくさん家を建てている住宅会社がパワービルダーなんですね。
パワービルダーの代表的な会社名をあげると、「一建設」「アーネストワン」「飯田産業」「アキュラホーム」「三栄建築設計」「オープンハウス」といったあたりの名前がよく知られています。
では、パワービルダーはどうしてローコストな住宅を提供できるのかというと、
- 家づくりが高度にシステム化されている
- 大量仕入れによる割安な仕入れ価格
- 土地と一体の開発で、土地の価格を抑える
ザックリ言うとこの3つによりローコストな住宅を実現しています。
たとえばシステム化について見てみると、TOYOTA自動車のように日本の企業は仕組みを改善することを得意としています。
同じようにパワービルダーも家づくりという工程をシステム化して無駄を省き、効率的に家を建てられるようにしています。
そうすることで、打合せや工事の工期が短くなって人件費が下がり、その結果、家の価格も下げることができるんですね。
また、設備などの仕入れも、大量に仕入れるため一般的な工務店よりもかなり割安な価格で仕入れることができるというのもパワービルダーの強みです。
その他、そのままでは家を建てるのに向かない土地でもいくつか分割することで家を建てやすい大きさにしたり、広い土地を一気に造成することで費用を抑えて造成するなど、家と土地をセットにして家を建てることができるため、土地探しから家を建てる方にとっては土地を購入すると言う手間を省くことができます。
(不動産会社から土地を買った場合は手数料が掛かりますが、土地と家がセットであれば手数料は掛からないので、その分コストを下げることができます)
このよう、家を建てる棟数が多いという特徴をフルに活かしているのがパワービルダーなんですね。
その一方、高度にシステム化されているので、その仕組みから外れると価格は大きく上がります。
システム化されているので価格を抑えられている反面、イレギュラーなケースだとその分だけ価格に反映されてくるんですね。
そのため、家にこだわりが有る方には割高になったり物足りなく感じてしまうこともあります。
パワービルダーでローコストな住宅を建てる場合は、
「仕様にこだわりがあまり無く、間取りに少し手を加えられればいい」
このようなケースが1番活きてくるんですね。
ちなみに、最近ではある程度性能も踏まえた家を建てている会社が多いですが、場合によっては価格は安いけども家の性能も低いというケースもあります。
そうなると「安物買いの銭失い」となってしまい、できる限り避けたい物です。
そんなケースを避ける方法としては、性能などの質問をしてみて、どのような答えが返ってくるかで避けた方がいいかどうか判断できるようになります。
うやむやな返答であれば力を入れていないケースが高くなりますし、しっかりした返答であれば性能についての会社の考え方も知ることができます。
ローコストで家を建てる場合も最低限の家の知識を身につけておく。
そうすることで失敗を防ぐことができるんですね。
→住宅会社、工務店選びで失敗しない!必ずチェックしておきたい8つのポイント【絶対保存版】
地域の小さな工務店で家を建てる
地域の小さな工務店で家を建てるというのも、ローコストな住宅を目指す場合に有効な方法です。
工務店というと家を建てる棟数も少ないので、「材料費」という面では割高のように思ってしまうかもしれません。
ただ、地域の小さな工務店の場合も無駄なものを省いてコストを抑えているというケースをよく目にします。
たとえば、会社のランニングコスト。
限られた地域の中で家を建てているので移動なども効率的に行うことができますし、大きく宣伝しなくても口コミなどで安定的に家を建てている工務店も多く有ります。
その結果ランニングコストを抑えることができ、その分だけ「利益率」などに還元することが可能となるんですね。
(実際に利益率を聞いて驚いた事が何度もあります)
もちろん、工務店はローコスト住宅に対抗するために価格で勝負している所は少なく、何かしら特色を持ったこだわりの家を建てているところがほとんどです。
ただ、無駄なランニングコストを抑えることで、コストパフォーマンスという面で高い家を建てている所も多いんですね。
(たとえば同じ2,000万円の家であっても、上手くコストをコントロールしている工務店であれば2,200万円の価値があるという感じです)
そのため、コストパフォーマンスを考えるなら地域の小さな工務店で家を建てるというのも魅力的な選択肢となるんですね。
ちなみに、工務店は玉石混合でいろんな会社のある世界です。
そのため高級志向の工務店もあれば、コストパフォーマンス重視の工務店、これといって特徴の無い工務店など様々な工務店があります。
そのためミスマッチを無くすためにも平均的な予算を確認すると同時に、仕事の丁寧さや家のテイストなども合うかどうかという点もチェックしておきたい部分となるんですね。
→住宅会社、工務店選びで失敗しない!必ずチェックしておきたい8つのポイント【絶対保存版】
建築家と家を建てる
建築家と家を建てる場合、一般的な住宅会社や工務店で家を建てるのと比べると、少し割高になるのが一般的です。
デザインなど特色を持った建築家が多く、また標準仕様という物がなくゼロから打合せすることになるなど、人件費という部分で少し割高になることが多いんですね。
(住宅会社や工務店では「人件費」は見積もりに項目がなくほとんど目に見えてこないですが、建築家と家を建てる場合は「依頼料」という形で目に見えやすいという部分も多少あります)
では、建築家とローコストな住宅を建てるのは難しいのでしょうか?
答えは「ノー」です。
建築家と一緒に家を建てるからこそ、ローコストで家を建てられるということもあるからなんですね。
実際に家を建てる場合、土地と建物の合計の金額が必要なお金となりますが、たとえば土地の価格をかなり抑えて家を建てられるとどうでしょうか?
家の総額も抑えることができますね。
たとえば普通に家を建てるのが難しいような細長い土地であったり変形地でも、建築家と一緒に家を建てることでアイデアの詰まった家にすることも可能になります。
このように家の総額という観点を見ながら、上手く建築家とタッグを組むことでローコストで住宅を手に入れることもできるんですね。
ローコストに強いという建築家もいるので、そのような建築家と一緒に家を建てるのも効果的です。
お互いのニーズとマッチした建築家と家を建てる。
そうすることで、総額を抑えながらコストパフォーマンスの高い家を建てることができるんですね。
まとめ
今回はローコストで住宅を建てる方法について詳しく見てきました。
家へのこだわりはそれほどなく、価格を抑えて家を建てるのを重視する場合はパワービルダーなどシステム化された住宅を。
価格も重視するけども、家の質も含めたコストパフォーマンスを大切にしたいという場合は地域の小さな工務店も魅力的な選択肢に。
家にかなりこだわりが有り、土地も含めたトータルコストを踏まえるなら、建築家と一緒に家を建てるのも効果的です。
このように、ローコストで住宅を建てると言っても、どんな家を目指すかで依頼先が変わってくるんですね。
ローコストな住宅と言うと「とにかく安く家を建てる」と感じてしまいますが、それが欲しい家と違ってしまったら本末転倒です。
いくつかの選択肢の中で、あなたに合う最適な物を選ぶ。
そうすることで、より満足いく家づくりができるようになるんですね。
では。
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