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それは良い土地?悪い土地?あなたに合った土地の探し方

家づくりをする場合、土地探しからスタートする方も多くいらっしゃいます。

そして、土地を買うならできるだけ条件に合った良い土地を見つけたいですよね。

でも、人生の中で土地を買うことはほとんど無いので、良い土地、悪い土地と言われても中々ピンとこないもの。

では、どうすればあなたに合った良い土地かどうか判断できるのでしょうか?

今回はそんな土地を見る時のポイントについて詳しく見ていきたいと思います。

土地探しの悩み

私は建築士として多くの方と一緒に土地探しをしてきました。

その中でよく聞く言葉が、

「自分たちで土地を見に行ったけども良い土地なのかどうか判断できなかった」

という言葉です。

土地を見る時のチェックポイントが明確でないので、良い土地か判断するのが難しくなってしまっているんですね。

そのため、まずは土地の何を見ればいいのか知るというのがスタートになります。

 

では、実際に土地のどんな部分を見ればいいのかを、

  • 土地の資料
  • 現地確認
  • 土地の周辺状況

の3つに分けて見ていきましょう。

土地の資料

土地の販売図面1

上の画像は「土地の販売図面」の一例になります。

そして販売図面というのは土地の情報の宝庫で、物凄く大切な内容が色々と書かれています。

では、実際にどんな点をチェックすればいいのか見ていきたいと思います。

 

土地の形

土地の形というと、正方形に近くて綺麗な形の方が良いと思いますよね。

実際、複雑な形の土地よりも綺麗な形の方が基本的に家は建てやすいです。

ただ、複雑な形でも間取り次第で住みやすい家にすることは十分できます。

そのため、あまりに極端な形の土地でなければ、そこまで気にしなくても大丈夫なんですね。

特に複雑な土地や変わった土地は、アイデアが豊富な建築家や工務店に依頼すると、いろんなアイデアを使って上手く土地に合わせた家を建ててくれますよ。

O型建築士
ちなみに、建築士は複雑な土地の方が燃える人が多いです。

 

土地の大きさ

土地の販売図面2

上の販売図面の面積欄には

  • 公簿面積
  • 実測面積

という2つの面積が書かれています。

公簿面積というのは登記簿上の面積のことで、実測というのは実際に測った広さということになります。

そのため、公簿面積しか書かれていない場合は実際に測った時に面積が大きくなったり小さくなったりします。

O型建築士
古い登記簿だと実際の広さと違う事も多いので、おおよその広さとして捉えておくと無難です

 

都市計画区域、地目、用途地域

土地の販売図面3

都市計画区域で注目したいのが「市街化区域」と「市街化調整区域」の2つです。

そしてその中でも注意したいのが市街化調整区域について。

市街化調整区域はその名の通り、市街化を抑制する地域になり、家を建てるための役所の許可が必要になるんですね。

(その分だけ費用や時間が掛かるようになります)

どのような手続きが必要かはケースで様々なので、最初に確認しておくのが鉄則となるんですね。

 

また、家を建てる場合の「地目」は最終的に「宅地」となっている必要があります。

宅地以外になっている場合はプラスαで費用が掛かるという点も覚えておきたいですね。

 

あとは用途地域について。

ここに「低層住宅地域」という記載があれば、静かな環境な事が多いけども、それだけ規制もある地域となり、その他の地域であればある程度自由に家を建てられる地域となってきます。

O型建築士
用途地域は土地の検討段階であれば低層住宅地域かどうかを確認しておくくらいで大丈夫です

 

建ぺい率、容積率

土地の販売図面4

建ぺい率と容積率は土地の中でも特に重要な部分です。

どれだけの大きさの家を建てられるかが決まってくるからなんですね。

比較的自由に家を建てられる目安の数値としては、

  • 建ぺい率: 60%
  • 容積率 :200%

くらいの大きさです。

 

先ほど出てきた低層住宅地域だと

  • 建ぺい率:40%
  • 容積率 :80% (30坪の土地の場合、24坪までの家しか建てられないことに)

という場合もあり、建ぺい率と容積率の数字が小さい場合は要注意です。

O型建築士
思っていた大きさの家が建てられないケースは絶対避けたいですね。

建ぺい率と容積率を知らずに土地を買うのはちょっと待って!

 

引渡し条件

土地の販売図面5

引渡し条件で確認したいのが、すぐに家が建てられる更地での引渡しなのか、それとも手を加える必要があるのかという点です。

たとえば古家が有るのに「現況渡し」となっている場合は解体の手配と費用を負担する必要が出てくるんですね。

解体となると少なくとも100万円は必要になってくる点は注意が必要です。

解体工事をする時に重要な3つのポイントをご紹介します

 

設備

土地の販売図面6

土地でいう設備とは、上下水道やガスなどのインフラについて。

この場合は全面道路にインフラが通っているかという点がチェック項目になります。

インフラが通っていれば、あとは家に引き込む工事をすればOKですが、前面道路にないとかなりの金額になってしまうことも。

O型建築士
前に家が建っていた場合はすでに配管が通っているので、古くなければそのまま使えますよ

 

また、都市ガスが通っていれば都市ガスに。

そうでなければ割高なプロパンガスを選ぶかオール電化を選ぶなど、将来のランニングコストにも影響する部分なので忘れずにチェックしておきたいですね。

 

備考欄、その他の制限

これまで見てきたことはどのような販売図面にも書いてありますが、土地によって備考欄やその他の制限がある場合があります。

たとえば「高度地区」と書かれている場合は家の高さに制限が掛かりますし、昔に遺跡があった地域だと「埋蔵文化財法蔵地」となっていて、家の工事の前に届出や発掘調査が行われることがあります。

また、「準防火地域」と書かれていれば、火事になった時に周りに燃え移りにくい家にする必要も出てきます。

このような制限が、備考欄やその他の欄に書かれているんですね。

O型建築士
備考欄に書かれていることは結構重要なことが多いので、どんな意味なのか必ず聞いてみてくださいね

 

建築条件付きの土地

土地を購入する場合、条件が付いている土地というのもあります。

その代表的なのが建築条件付きの土地。

建築条件付きの土地では、売主が指定する建築会社で家を建てるのが条件となってきます。

このような建築条件付きの土地というのは土地と建物のトータルで利益を得るスタンスなので意外と安く売りに出ていたり、分譲地として売りに出されているケースもよくあります。

O型建築士
建築条件付きの土地を検討する場合は、建てる家が満足いくものかどうか確認してから購入するのが家づくりで失敗しないための秘訣です。

建築条件付きの土地で失敗しないために気をつけたい3つのこと

 

 

現地確認(土地を見に行く)

土地情報の次は、実際に土地を見に行くことになります。

では、どんな部分をチェックすればいいのでしょうか?

具体的に見ていきましょう。

 

土地の第一印象

まず、土地の第一印象というのはかなり重要です。

「何となくいい雰囲気」とか「なんか暗い印象だな」など、土地を見た時に何かしら思いますよね。

そして家に帰ってからでもいいので、そう感じた理由が何なのかを思い返してみてください。

たとえば「日当たりが良かったからいい雰囲気に感じた」とか、暗い印象を感じたのは「街の雰囲気」が原因など、何かしら理由は出てくるものです。

そしてそれを活かす家、日当たりなら日当たりの良さがより活きる家に、反対に周囲の雰囲気にマイナスを感じたらな、ある程度は外に閉じた間取りにすれば雰囲気はカバーできそうかどうか、それとも根本的に自分と合わなそうなど、第一印象をブラッシュアップすることで、その土地が合うか合わないかが分かってくるんですね。

さらにはその土地とあなたに合った間取りのヒントというのも見えてくるようになります。

 

日当たり

日当たりはやはり気になる物です。

日の光が当たっている土地というのはやはり良い土地に見えますよね。

その一方、日当たりは特に季節に影響される物です。

たとえば夏は日当たりの良い土地に見えやすく、冬は太陽が低いので日当たりが悪くなります。

O型建築士
実際に、夏至と冬至では日当たりは全然違います

土地の日当たり1

土地の日当たり2

夏に土地を見た場合は、冬はどうなりそうか。

反対に冬に土地を見た場合は、他の季節はどれくらいの日当たりになりそうか。

また、朝と夕方はどうなりそうか。

日当たりというのは一定ではない物なので、イメージを膨らませながら確認しておくとベストなんですね。

 

高低差

土地の高低差

土地と道路との高低差というのも、確認しておきたい部分になります。

基本的に高低差がある土地の方が、家を建てるためのコストが上がるからなんですね。

また、すでに擁壁ができて整備されている土地なのか、それともこれから高低差を整える必要があるのかでもコストはかなり違ってきます。

高低差がある土地の場合はこういったプラスのコストが掛かるという点も踏まえて、土地の価格を確認しておきたいですね。

O型建築士
高低差を活かす設計というのもあるので、高低差のある土地は建築士と一緒に見るのがオススメです

高低差のある家

 

土地の境界

土地を見た時には境界も確認を。

通常は土地の取引の前に境界を確定させることがほとんどで、こんな感じの杭が境界に入っています。

境界杭

 

また、お隣との境界が分かるということは、ブロックやフェンスがどちらの持ち物かが分かるようにもなります。

境界フェンス

家の外構計画にも関わってくることなので、どこが境界かは確認しておきたいですね。

 

また、大きなブロック塀の有無も確認しておきたい部分です。

ブロック塀

古くて高さのあるブロック塀は、ほぼ100%補強する必要があるからなんですね。

地震なので倒れてしまうと自分の家やお隣さんにも迷惑が掛かってしまうなどリスクもあるので、古いブロック塀のある土地は要注意です。

O型建築士
古い家が建っていた土地は、高さのあるブロック塀が残されているケースが多くあります

あなたの敷地にブロック塀はありますか?ブロック塀で必ず注意しておきたいこと

 

道路の幅と電柱の有無

道路の幅は土地を見に行った時に必ず確認しておきたい場所です。

道路で確認するのは大きく3つ。

  • 道路の幅
  • 道路の交通量
  • 電柱の有無

この3つが押さえておきたいポイントなんですね。

 

道路の幅については特に狭い場合、家への影響が大きくなります。

車を駐車するのに切り返しが必要になりますし、4mの幅がない場合は「セットバック」と言って土地の一部を道路にする必要が出てくる点は要注意です。

セットバックのある土地

あなたの土地が狭くなる?道路のセットバックについて解説します

 

また、交通量というのも土地を見る時に確認しておきたいもの。

頻繁に車が通る場所や広い道路の場合は車の音が気になったり車の出し入れがしにくくなるので、家に防音性能の高い部材を使ったり車が少しでも出し入れしやすいような家にしておきたいですね。

広い道路沿いの土地ってどうなの?知っておきたい5つのポイント

 

あとは電柱について。

電柱がある場合は車の出し入れに邪魔になることが多いので、間取りを見る際は電柱の位置も考慮されているかどうかは必ず確認しておきたいですね。

O型建築士
ちなみに、道路がどの方角にあるかで間取りは大きく変わってきます。

道路の方角によって間取りの特徴が変わってくるので、土地を検討する際には間取りの特徴も頭に入れておけるとベストですよ。

北道路について

南道路について

東道路について

西道路について

 

隣地の状況

周りの家がどんな感じで建っているかというのも見ておきたいポイントです。

例えば大きい窓がどの位置にあるかを見ておけば、お隣さんとバッタリ目が合う間取りというのは避けることができますし、建物の場所を見ることで、午前、午後、いつの光が入りやすいかなども知ることができるからなんですね。

O型建築士
植木や植栽が越境していないかなども確認しておくと安心です。

家の中が近所から丸見え?視線をコントロールするための4つの方法

家の日当たりはどうすれば良くなる?日当たりの良い家のつくり方

 

また、古い家の場合は近い将来に立て替えたり売りに出るというケースも考えられます。

そのため、お隣が今は平家でも将来は2階建てに変わるのを想定して家を建てるなど、将来のリスクを減らしておくというのもいいですね。

土地の周辺環境

交通状況の確認

土地探しをしていて魅力的な土地が見つかった場合、車で現地まで向かうことが多いですが、車で見て終わりというだけでなく、周辺を歩いてみることで新たな土地の側面を見る事ができます。

例えば電車通勤をするのであれば最寄駅まで歩いて見たり、学校やスーパーといった日常よく使う場所へ行ってみるのも効果的です。

歩くことで起伏があるかどうかや、車の交通量や歩く時に車が危険な道が無いかどうか、人通りが多そうな場所なのか、それとも夜道は寂しそうな場所なのかといったこともより実感できます。

車ではすぐに通り過ぎてしまうので見逃してしまうことも、徒歩だと直に感じることができるんですね。

また街中では車が通れない道も多くありますが、徒歩であれば全く問題ありません。

ぜひ敷地周辺を歩いてみて、周辺環境をしっかり確かめてみてくださいね。

O型建築士
日中や夜など、時間を変えて見てみると新たな発見があることも多いですよ

 

ハザードマップ

ハザードマップは土地を検討する時に必ず確認しておきたい資料です。

ハザードマップを見ることで大雨が降った場合にどれくらい浸水する可能性が土地なのかや、土砂崩れなどの災害が起きやすい地域かどうかも分かるからなんですね。

ハザードマップ

Photo:https://www.city.setagaya.lg.jp

ハザードマップから外れている土地がベストとなりますが、気に入った土地が洪水などの可能性がある土地という場合もあります。

その場合は災害が起こった時にできるだけ被害に遭いにくい家にするなど、家を建てる際に災害対策も盛り込んでおきたいですね。

水害に強い家にするために知っておきたい5つのポイント

 

地盤状況

家を建てる前には必ず「地盤調査」を行います。

地盤調査とは家を支えられるだけの地盤の強さがあるかどうか調査し、もし強さが足りない場合は地盤を強くするための補強工事を行います。

家が建ってからも安全に暮らせるようにしているんですね。(地盤を補強する工事のことを地盤改良工事と言います)

 

そしてこの地盤調査は、土地を購入してから行うケースがほとんどです。

土地の購入前には地盤の強さというのはハッキリとは分からないんですね。

ただ、これまで地盤調査をしたデータを掲載してくれている調査会社もあります。

周囲の結果を元に、地盤が強い地域なのか、それとも弱い地域なのかを知る事ができるので、土地を購入する前に一度は目を通しておきたいですね。

O型建築士
注意点としては、周辺のデータなのであくまで目安となります。実際、お隣同士でも一方は地盤改良が必要、もう一方は不必要というように違う結果が出るケースもあります。

地盤安心マップ

地盤改良の費用がいらない?地盤の良い土地の見分け方

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近所の人に話を聞いてみる

土地を買ってから1番後悔するケースとして多いのが、思っていたのと全く違ったというケースです。

例えば、「ゴミ屋敷のような家があったり」、「近所同士で揉めている家があったり」、「近所に住んでる人がクレーマー気質で何かと文句を言ってきたり」などなど、近隣トラブルにはいろんなケースがあります。

家を建てて、さぁこれから新生活のスタートという時に近隣とのトラブルやトラブルの火種を抱えると大変ですよね。

 

そうならないためにも、土地を見に行った際に隣や近所の人にあいさつをして情報収集をするのも効果的です。

親切な方なら、近所の情報だけでなく、日当りなど土地に関する情報も教えてくれる場合もあります。

(ちなみに、ゴミ捨て場などの当たり障りのない情報から聞いてみると話がスムーズに進みやすいです)

 

また、動きの良い不動産会社の営業マンなら(もしくはその土地で絶対決めたい営業マンなら)、隣近所からすでに聞き込みをしてくれている営業マンもいます。

または、土地案内時に聞き込みをしてくれる営業マンもいますので、営業マンに一言声掛けてみるのも良いですね。

O型建築士
少しの手間で一生の後悔を回避できるので、気になる土地の場合、近所の人に話を聞くというのはマスト項目です。

まとめ

今回は土地の見方について詳しく見てきました。

土地を見る場合、いろんなチェックポイントがあるんですね。

そしてまた、良い土地の基準というのは人によって違うものです。

たとえば駅までの距離といった交通の便を重視する場合もあれば、日当たりや広さといった家での生活を重視するなど、優先順位というのはその人によって様々なんですね。

そのため、土地のチェックポイントの中から優先順位の高い物の評価を上げてメリハリをつけることで、よりあなたに合った土地探しをすることができるようになります。

(そして100点満点中、何点以上なら購入するというように目安を決めておくと意思決定がしやすいです)

 

また、土地の売買というのはそう何度も経験するものではないので良い土地かどうか判断するのが難しいケースもあります。

そんな場合、住宅会社や工務店と一緒に宅地を探すというのも効果的な方法です。

家を建てるプロからアドバイスしてもらえるので、あなたが建てたい家が建つ土地なのかどうかの判断が付きやすくなるんですね。

そのため土地も探しつつ住宅会社を訪れてみるのも効果大です。

土地と工務店、どちらを先に決める方が良い家が建てられるの?

 

ぜひ今回の内容を参考に、あなたに合った土地を見つけてくださいね。

では。

 

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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