知っておきたい建築用語

建ぺい率と容積率を知らずに土地を買うのはちょっと待って!家を建てる前に知っておきたい建ぺい率と容積率の話

家を建てる時には色んな専門用語が出てきますが、その意味を知っているかどうかで家づくりの質や建てる家というのは大きな違いが出てきます。

その中でも家を建てる前の土地情報として欠かせないのが「建ぺい率(けんぺいりつ)」と「容積率」について。

建ぺい率と容積率を知っていないと、場合によっては思ってた大きさの家が建てられないなんてことも。

では、どうして建ぺい率と容積率を知っていないと思ったように家が建てられないのでしょうか?

今回はそんな建ぺい率と容積率を見ながら、失敗しない土地の見方について見ていきたいと思います。

建ぺい率って何?

それではまず、建ぺい率とはどのような物か見ていきましょう。

建ぺい率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」のことを言います。

建築面積とはザックリ言うと家が建っている広さになるので、建ぺい率は簡単に言うとの敷地の中の何%が家に使われているのかを表した数字になるんですね。

たとえば、敷地の広さが100㎡、建築面積が50㎡の家の建ぺい率は下のような感じになります。

敷地の広さが100㎡、建築面積が50㎡の場合は建ぺい率が50%ということになるんですね。

 

このように敷地面積と建築面積があれば建ぺい率が分かるのですが、では、この建ぺい率はどのような時に使うのでしょうか?

次に建ぺい率を見る時のポイントについて見ていきたいと思います。

建ぺい率のココがポイント

それではまず、次の資料をご覧ください。

土地の販売図面

これは土地の販売図面と言って、土地を売買する際に土地の概要が書かれている資料となります。

土地購入の注意点がたくさん載っている!土地の販売図面の見方を解説します。

 

そして、この販売図面をよく見てみると、建ぺい率と書かれた項目があるのが分かります。

建ぺい率と容積率

この資料では建ぺい率が40%と書かれていていますね。

では、これはどういう意味かと言うと、この土地で家を建てられるのは建ぺい率が40%までということを意味しています。

と言うことは、先ほどの土地は100㎡ほどなので建築面積が40㎡ほどくらいの家しか建てられないことになります。

100㎡の土地に40㎡の家を建てた時の図面のサイズ感で言うとこんな感じですね。

建ぺい率40%の家

40㎡と言うと12坪(24帖)くらいの大きさなので、20帖くらいのLDKを作ったらそれで家が一杯になるという計算になります。

総二階の家を建てたとしても24坪くらいの家なので、ちょっと狭い家になりそうですね。

このように土地にはどれくらいの建ぺい率まで家が建てられるかが決まっていて、建ぺい率次第で家の大きさが変わってきます。

そのため、土地を購入する前に指定されている建ぺい率がどれくらいなのかを確認せずに購入すると言うのは、とてもリスクが高い事が分かります。

土地を契約する時には不動産業者から重要事項説明という土地の内容を説明することが義務付けられていますが、建ぺい率が40%だとしても小さな家しか建てられないということまで教えてくれる不動産屋はほとんど無く、「指定されている建ぺい率は40%です」の一言で終わることがほとんどなので、土地を購入するに建ぺい率を踏まえた家のサイズ感を掴んで置くことはとても大切なんですね。

 

ちなみに、建ぺい率というのは条件が揃えば少し緩和することも可能です。

たとえば住宅地であれば条件を満たした角地であれば10%緩和できるケースが多く、その場合は建ぺい率に少し余裕が出るようになるので、建ぺい率が厳しい地域で少しでも大きな家を建てたい場合は角地を探すと言うのも効果的ですよ。

容積率って何?

それでは次に、容積率について見ていきましょう。

「容積率」も建ぺい率と一緒にセットで覚えておきたい言葉になります。

容積率と言うのは「敷地面積に対する延べ床面積の割合」となります。

建ぺい率の場合は建築面積でしたが、容積率では延べ床面積に変わっているんですね。

延べ床面積とは簡単に言うと家の床面積の合計がどれくらいあるかという事になり、容積率とは敷地の何%が家の床面積に使われているかという数字になります。

建ぺい率は平面的な物でしたが、容積率になると家全体の大きさになるんですね。

たとえば、敷地が100㎡の土地に延べ床面積100㎡の家を建てると、容積率は下のようになります。

たとえば、敷地が100㎡の土地に延べ床面積100㎡なので容積率が100%になるんですね。

3階建ての家にして上に伸ばしていけば容積率が100%を超えることもよくあり、住宅地であれば容積率が100〜200%くらいになるケースをよく見かけます。

目安としては容積率が200%あれば普通の2階建てでは問題ない大きさに、100%だと場合によってはちょっと窮屈になることがあるといった感じになります。

容積率のココがポイント

それでは建ぺい率と同じように、容積率のポイントについても見ていきましょう。

もう一度先ほどの販売図面に目を通して見ると、建ぺい率の隣に容積率が書かれているのが分かります。

建ぺい率と容積率

この場合は80%と書かれているので、敷地面積100㎡に対して延べ床面積で約80㎡までの家を建てられるという事になります。

80㎡と言うと24坪くらいの家になるので、3人家族であれば問題ありませんが4人家族だとちょっと窮屈という感じの広さですね。

家の間取りは4人家族の場合、最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?

 

そうなると、4人家族の場合はロフトなど床面積に入らないスペースを上手く使う等かなり工夫が必要となる土地と言えます。

このように建ぺい率と同じように容積率は家の大きさが決まる要素となり、容積率を知らずに土地を買うというのはかなりリスクが高い事なんですね。

(実際に土地を購入してから思った大きさの家が建てられないのを知って困っているというご相談も毎年受けています)

 

ちなみに容積率にも緩和要件があり、次の物が代表的な項目となります。

  • 地下室(3分の1まで容積率の計算から除外)
  • ガレージ(ガレージの面積のうち、延べ床面積の5分の1まで容積率の計算から除外)
  • ロフト、小屋裏収納(その階の2分の1まで容積率の計算から除外)

容積率が厳しい土地の場合は、上記の物を間取りにうまく組み合わせながら家を建てていくことになるんですね。

その他、吹き抜けは床面積には入らないので、大きな吹き抜けを作ったとしても容積率には影響されません。

吹き抜けのある間取りにする時に必ず知っておきたい5つのこと

建ぺい率や容積率はどうすれば分かる

ここまで建ぺい率と容積率について見てきましたが、では実際に家を建てる際に建ぺい率や容積率を知りたい場合はどうすれば分かるのでしょうか?

 

主な方法としては土地の資料を確認するか、建ぺい率と容積率は自分でも調べる事が可能です。

不動産業者やインターネットで土地の資料を見てみると土地の概要欄に建ぺい率と容積率が書かれているので、まずは土地の資料で建ぺい率と容積率は確認するようクセをつけておきたいですね。

 

また、土地の資料の他に自治体でも確認できます。

今では多くの自治体のホームページで建ぺい率や容積率など、その土地や地域で家を建てるのにどのような法規制があるかが分かるようになっているので、一度見てみるのもいいですね。

ホームページに載っていない場合も電話で問い合わせたり建築審査課などが入っている役所へ直接行って確認することも可能です。

 

ちなみに世田谷区のホームページのデータを見てみると、このような感じで地図に容積率と建ぺい率が書かれています。

建ぺい率と容積率の地図

Photo:https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/001/d00185467.html

基本的には丸の中の小さな数字が建ぺい率、大きな数字が容積率となんですね。

建ぺい率や容積率は場所によって違いがあり、繁華街や大きな道路沿いは建ぺい率や容積率の規制は緩くなり、閑静な住宅街ほど建ぺい率や容積率の制限が厳しくなる傾向があります。

建ぺい率や容積率によって敷地一杯まで家が建てられるかどうか変わってくるので、土地を有効活用したい場所は建ぺい率や容積率が緩めに、敷地一杯まで家を建てると日当たりなど周辺環境に悪影響が出やすい地域は建ぺい率や容積率を厳しくして住環境の悪化を防いでいるという訳なんですね。

 

また建ぺい率と容積率は場所によって違うので、場合によっては1つの敷地の中に2つの建ぺい率と容積率が指定されていることもあります。

そのような場合は面積の割合に応じて計算するようになり、建ぺい率と容積率を出すのにちょっとひと手間が掛かるようになります。

たとえば敷地の中に建ぺい率が60%の場所と80%の場所がある場合、面積の割合に応じて65%になったり70%になったりするんですね。

 

ちなみに2階建ての家であれば建ぺい率が60%以上、容積率が200%以上であれば問題なく家が建てられることがほとんどで、それより小さくなると敷地がコンパクトになるほど影響が出やすくなります。

土地は一度購入すると土地代以外に手数料など多くのお金が必要となり、土地を買い直すと言うのはかなりハードルが高いものです。

そのため建てる工務店や住宅会社を決めている場合、土地の購入前にどれくらいのボリュームの家が入る土地なのかを確認するのもいいですね。

また、住宅街で建て替えをする場合も建て替え計画を積極的に進める前にどれくらいの建ぺい率と容積率を確認してどれくらいの大きさの家を建てることができるかを頭に入れておくと、実際に話が進む際にスムーズに家づくりを進めることができますよ。

まとめ

今回は建ぺい率と容積率について詳しく見てきました。

建ぺい率と容積率によって建てられる家の大きさが決まってくるので、家づくりを具体的に進める前に必ず確認しておきたい項目となります。

特に土地を購入してから思った大きさの家が建てられないというのは絶対に避けたいので、土地探しから家づくりをする際は建ぺい率と容積率はしっかり頭に入れておいてくださいね。

では。

 

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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