家の日当たりというのはやはり気になるもの。
光がよく入る明るい家で生活していると気分が晴れやかになりますし、日当たりが良いことで暖かい陽の光の恩恵を最大限活かすことができます。
家に住むなら、やっぱりできる限り日当たりの良い家に住みたいですよね。
そこで今回は、家の日当たりにスポットを当てながら、日当たりの良い家のつくり方について詳しく見ていきたいと思います。
家の日当たりがきになる方はぜひご覧ください。
日当たりの良い家とは
それではまず、日当たりの良い家とはどんな家か見てみましょう。
たとえば、冬場に暖かくポカポカさせてくれるのは良い日当たりと言えますし、夏場の暑い時期にジリジリと入ってくる日差しというのはやはりツラいものですよね。
このように一言で日当たりと言っても、歓迎する日当たりもあれば、避けたい日当たりというのもあります。
また、太陽は東から昇って、南側を通り、西に沈んでいきます。
そして日当たりも東、南、北の3つの日当たりに分けることができます。
では、どの日当たりが一番重要なのでしょうか?
やはり一番重要視したいのは南側の日当たりです。
南側の日当たりは日照時間が長くて明るいというだけでなく、いろんなメリットがあるというのがその理由です。
たとえば寒い時期に家を暖めるには熱源が必ず必要ですが、冬の太陽の日差しというのは暖房器具と同じくらいの効果があるので上手く使えば家の光熱費を大きく下げることができます。
(これから家のエネルギー効率がどんどん重要視されてくるので、日差しの使い方が上手い家、下手な家で価値に差が出るようになっっていきます)
また、南面の日当たりが良いと夏は暑いように感じてしまいますが、実は夏場は太陽高度が高いので南から直接入ってくる日射量というのは意外と少なくなります。
その一方、東西面は太陽高度が低くなって家の中に入りやすいこと、また日が長いので長時間当たるようになり、日射量がかなり増えるというのがデータを見れば分かります。
実際に8月の日射量をグラフで見るとこんな感じですね。
出典:自立循環型住宅への設計ガイドライン
西日が暑いという声は本当によく聞きますが、日射量を見れば納得ですね。
そのため、本当の意味で日当たりの良い家というのは南面からの光がよく入る家ということになります。
もちろん、東西面の日当たりがダメという訳ではなく、朝の光を重視する場合や夕暮れを眺められるようにしたい場合や眺めが良いケース、東西面以外で光が入らない場合などは東西面の日当たりを活かすというのもありです。
東西面の日当たりをメインにする場合は、こういったプラスαがあるかどうか。
ここがポイントになるんですね。
(それ以外で東西面の日当たりの良さを強調する場合もありますが、建築士の視点から見ると家の省エネ性能やランニングコストを考えていないか、ただのセールストークというのが正直な印象です)
ちなみに、日当たりというのは「日影図(にちえいず)」というのを見ると、どれくらい日が入るのかが分かります。
日影図とは何時にどこが影になるかを線で表したもので、影がたくさん重なっている部分は長時間影になる場所ということになります。
そのため、たとえば家を建てる場合はその土地の日影図を見ると、どこが日当たりが良くてどこが日当たりが悪いかを具体的に知ることができるんですね。
それでは、日当たりの良い家にするには南側の光が重要ということを踏まえた上で、実際に日当たりの良い家にするためのポイントについて見てみましょう。
日当たりの良い家にする方法
日当たりが良い家にするには間取りが大切になってきますが、その中でも家の配置と家の形というのが重要な部分になってきます。
配置と形次第で陽の光が入るかどうかがほとんど決まってくるからなんですね。
ではここでちょっとしたクイズを1つ。
下の「A」と「B」という2つの家ではどちらの方が南からの日当たりが良い家になるでしょうか?
答えは「A」の四角い家です。
「B」の家の場合、L字になっている部分が日当たりを遮ってしまい、そこに影ができやすくなってしまうんですね。
そのため、南側の形はできるだけシンプルな方が南からの日当たりは良くなります。
広い土地であったり南側に道路があって南の光を遮るものがない場合はそこまで気にする必要はありませんが、住宅街で南からの光がある程度限られる場合、自分の家の影というのは意外と影響が出てくる部分なんですね。
似たようなケースとしては、中庭を作る場合に特に影響が現れます。
中庭が家の影になるような間取りにしてしまうと、日当たりという面で中庭の効果が期待できなくなってしまうからなんですね。
そうならないためにも日当たりを考える場合は、自分の家の影というのも意識しておきたい部分になります。
→中庭で明るい家にする方法と知っておきたい中庭のメリットとデメリット
次に、間口が小さい土地というのも日当たりという面では気をつけたい土地になります。
(間口とは敷地や建物の幅のことです)
たとえば南道路は日当たりが良いので人気ですが、間口が小さい南道路の土地だと下のような間取りになるケースもよく見かけます。
せっかく日が入りやすい南道路なのに、窓が全然取れなくなってしまうんですね。
そうなると日当たりの面でも不利になり、陽の光があまり入らず光熱費が掛かる家となりがちです。
そうならないためにも、たとえば玄関の位置を変更して南面に窓が取れるようにするなど間取りを工夫するというのも1つの方法になってきます。
間口が小さい場合は南面の日当たりをどれだけ確保できるか。
難しい場合は間取りをできる限り工夫したいですね。
それでは他のケースも見ていきましょう。
たとえば、下のようにお隣の家が建っている土地があるとします。
それでは、このケースでは「A」「B」どちらに家を配置するのが正解でしょうか?
答えは「A」。
右側の家の方が影になりやすいので、「A」の位置に家を配置して、東側を空けるというのが「ほぼ正解」になります。
どうして「ほぼ正解」になるのかと言うと、たとえば方位が真南になる土地の場合、お隣の影というのは南の日当たりにそれほど大きな影響は与えないからです。
もちろん、朝や夕方には影響を受けることになりますが、実際に日影図を作ると影になる時間はそこまで多くないケースがほとんどです。
そのため、先ほどのケースでは正解は「A」となりますが、たとえば「B」の配置の方が車が止めやすいなど他に理由があるなら「B」の配置も正解となるんですね。
また、もっと注目したいのは南側の家の配置がどうなっているかという点です。
その理由は、東西のお隣よりも南側の隣家の方が日当たりという点で見ると圧倒的に影響が大きいからです。
たとえば先ほどの問題で下のような位置に南側の家が建っているとすると、家の配置の正解は断然「B」ということになります。
「A」の位置だと家の日当たりがかなり悪くなりますが、「B」の位置だとお隣の家の影を避けやすくなるんですね。
このように家の日当たりというのは周りの環境に大きく左右され、周辺環境を入れた日影図を見ることで敷地のどこが日当たりが良いかが分かるようになります。
そして日当たりの良い場所に家族が1番長い時間過ごすリビングを、そして大きな窓を付けて日射を取り入れるというのが、快適さと家のランニングコストを考えた時のセオリーとなってきます。
ちなみに、最適な配置を考える場合、建物の配置を斜めに振るというケ方法もあります。
日影図を見ればどこが日当たりが良いかが分かるので、必然的にその土地に合わせたマストな家の配置になるんですね。
南側はどれくらい空ければいい?
それでは最後に、南側はどれくらい空いていると陽の光が入るかも見てみましょう。
たとえば南側に6mの家が建っていたとして、5mほど空いていれば春や秋に陽の光が入ってくるようになります。
一方、真冬の場合は5mだと家まで日の光が届かないケースが増えます。
やはり冬場の陽の光は家に入れたいので、もう少し距離を取るか吹き抜けなど間取りを工夫して陽の光が入るようにしておきたいですね。
また、南側が古い平屋の場合は近い将来建て替わる可能性も高いので、その場合は現状の環境ではなく、将来家が建て変わったのを想定しておけるとベストです。
まずは敷地周辺の環境をしっかり把握する。
そうすることで家の最適な配置というのが見えてきます。
そしてこれが、日当たりの良い家にするための最善の方法となるんですね。
まとめ
今回は家の日当たりについて詳しく見てきました。
明るさと家のランニングコスト、家の価値も踏まえると日当たりは南側がマスト。
そしてプラスαの要素があれば東西の日当たりを活かすというのが基本的な考え方となるんですね。
そのためには敷地周辺の環境をしっかり把握する。
それが日当たりの良い家にするための最短の方法となります。
ぜひ今回の内容を踏まえて、明るく暖かく、そしてお財布にもやさしい家をつくってくださいね。
では。
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