ここ最近よく相談をもうらうのが建築条件付きの土地について。
建築条件付きの土地とは簡単に言うと家を建てる建築業者が決まっている土地のことで、土地を購入した際は指定の住宅会社で家を建てることになります。
→建築条件付って書いてある土地を見つけたけど、建築条件って何?
この建築条件付きの土地というのは住宅会社を選ぶ手間が省ける反面、住宅会社が決まるので制約が多くなる傾向があります。
そのため、間取り相談でもそうですし、その他の相談でも建築条件付きの土地を購入された方からの相談はかなりの数にのぼります。
それだけ建築条件付きの土地というのは、ポイントを押さえて購入しないと、あとあと後悔したり悩んだりする可能性が高い土地とも言えるんですね。
このような建築条件付きの土地ですが、いただいた相談の内容を詳しく見てみると、その相談内容は大きく3つに分けられます。
その3つとは
- 家の間取り
- 家の仕様
- 家の金額
以上の3つです。
建築条件付きの土地を購入して後で不満に思う事というのは、上の3つのようにある程度決まってくるんですね。
逆を言えば、そのポイントを押さえておけば家づくり中に建築条件付きの土地で後悔する可能性もかなり低くすることができます。
そこで今回は、読者さんからの相談を元に、建築条件付きの土地を購入する前に注意しておきたいことについてお伝えしていきたいと思います。
建築条件付きを買おうか迷っている方はもちろん、これから家づくりをはじめる方もぜひご覧下さい。
建築条件付きの土地の間取り
冒頭でお伝えしたように、家づくりの相談の中でも建築条件付きの土地を買った方からの相談というのは、かなりの数にのぼります。
詳しくお話を伺うと、間取りがシックリきていなくてこの間取りで家を建てて本当に大丈夫かどうか不安になっているという方が多くいらっしゃいます。
自由設計と聞いていたから希望の間取りになると思っていたけども、中々思うようにいかないという方も多いんですね。
→自由設計と注文住宅の違いって何?自由設計の家を建てる前に知っておきたい話
では、実際に間取りを見てみてどうかというと・・、
一般的な注文住宅と比べると、どうしても問題のある間取りであるケースの方が多いと感じます。
もちろん良い間取りもありますし、使い勝手といった細かい部分だけ修正すれば十分な間取りもありますが、「ホンマにこの家建てんの?」と絶句してしまう間取りもチラホラと・・。
建築条件付き土地だから住宅会社は決まってしまうということで、とりあえず契約してから間取りの詳細を打合せしているけども、思うような間取りにならないというケースが建築条件付きの土地ではとても多いのが特徴です。
ただ、実はこれはすごく当然のことで、「最初に出てきた間取りはいまいちパッとしないけど、間取りの打合せを進めていけば何とかなるだろう」という奇跡は、まず起こらないからです。
例えば、もし最初に出てきたのが惜しい間取りなら、あとで修正するのは十分可能になります。
間取りを少し修正したり、少しアイデアをプラスするだけで間取りのクオリティをグッと上げることが可能だからです。
でも、最初からパッとしない間取りしか出てこない会社は、実はずっとパッとしない間取りしか出てこないという傾向があります。
理由は明確です。
それがその設計者、またはその会社の実力だからなんですね。
そのため、その実力以上のものが出てくることはほとんどありません。
そのため建築条件付きの土地を購入する前に、自分の建てたい家を建ててくれそうな住宅会社なのかどうか。
また、納得する間取りを出してくれるのかどうか。
これは建築条件付き土地を買うなら必ず押さえておきたいポイントなんですね。
また、建築条件付きの土地を購入する場合、注文住宅が建てられると思っていたのに、実は注文住宅ではないという場合もあります。
家は注文住宅だけではなく、規格型住宅やセミオーダー住宅などいくつか種類に分かれていて、自由に選べるものに制限があることが多いんですね。
そのため、建築条件付きの土地を検討するならその会社で建てられる家がどの家に当てはまるのかを予め確認しておく必要があるんですね。
→あなたに合っている家はどれ?家は注文住宅だけでは無いんです
建築条件付きの土地の場合、特に「土地を早く押さえておかないと売れてしまう」なんて言われてしまうと「間取りは後でもいいから取り合えず契約して土地を確保して、あとでしっかり間取りの打合せをすればいいかな」と思いがちです。
でも、その前に冷静にこの会社で建てたい家が建てられるかどうか。
この部分を1度振り返ってみる必要があるんですね。
これは建築条件付きの土地で家を建てる場合はとても大切なことになります。
建築条件付きの家の仕様
建築条件付きの土地を買った場合、建築条件という名前の通り、家を建てる会社や工務店も必然的に決まります。
そして同じように、家の仕様もほぼ決まってきます。
もちろん、設備のオプションなど細かい所は選んでいくことになりますが、住宅会社や工務店がこれまで使ったことが無い仕様は、まず使うことはできません。
例えば、フローリングには無垢材を使いたいと思っていたけども、無垢材を使ったことがない会社であったり、傷などのアフターメンテナンスを嫌がる会社なんかだと、無垢材のフローリングは使えないなんてことが起こるんですね。
→おしゃれな家は皆使っている!おすすめ無垢フローリング12選【保存版】
そのため、これまで住宅会社や工務店がどんな家を建ててきたのか家の中を見ておくのが一番ですが、契約までに少なくとも写真などで施工事例を必ず確認しておく必要があります。
そうすることで、「イメージと全然違う家ができた」というミスマッチを防ぐことができるんですね。
あなたの家だけ特別仕様に・・。何てことはまず無いので、家のつくりに納得した上で建築条件付きを買うのが重要となります。
また、これは家の内装だけでなく、断熱性能といった家の性能についても同じことが言えます。
冬は暖かく過ごしたいので断熱性能の高い暖かい家を建てたいと思っていたのに、建築条件付きの土地に家を建てる住宅会社は断熱性能にそこまで力を入れていなく、後で家の断熱性能には泣く泣く目をつむったなんてことも起こることがあります。
そのため建築条件付きの土地を契約する前には、家の断熱性能についてもあらかじめ頭に入れておきたいですね。
建築条件付き土地の家の総額
建築条件付きの土地で家を建てる場合、最初にあなたが建てたい家を建てるのにどれくらいの金額が掛かるのかを把握するのがポイントになってきます。
たとえば建築条件付きの土地を買った場合、指定された会社以外で家を建てることはできません。
そのため、他の会社の金額と比べることもできませんし、指定の住宅会社や工務店が出す金額が全てとなってくるんですね。
だからといって、不当に高い金額を提示してくる住宅会社や工務店はそんなに多く無いので、そこはあまり心配する必要はありません。
大切なのは、総額でいくらになるか把握できるかどうかです。
「家本体は安いけども、オプションをつけていくと割高になる」など住宅会社や工務店で見積もりの特徴というのは違ってきます。
「最初は予算に収まると思っていたけど、後で予算オーバーになってしまった」ということにならないように、あらかじめ採用予定の物は最初の見積もり金額に入れたり、予算取りするなどして総額を把握することが重要になってきます。
建築条件付きの土地の場合は、予算が合わないからといって後で住宅会社を変えられないので、金額を調整するには家の大きさや使用を変える以外方法はなくなってしまいます。
そのため総予算に関しては特に注意が必要なんですね。
とりあえず契約を急かされた場合でも、家で取り入れたい仕様や設備はあらかじめ見積もりの中に必ず入れておくようにするのが、あとでお金のトラブルにならないために重要なポイントになります。
そんな総予算を把握するのにとても役立ってくれるのが「資金計画書」です。
資金計画書には家に必要なお金が全て記載されているので、資金計画書を土地の契約前にしっかり確認しておくことで、家づくりのお金に関する失敗をかなりの確率で減らすことができるんですね。
→家の資金計画はどうすればいい?資金計画書の見方と押さえておきたいポイント
建築条件付きの土地で家を建てるときの見極め方
建築条件付きの土地を買う場合、家を建てる住宅会社や工務店が指定されてしまうので、家の出来は住宅会社や工務店の実力にすごく左右されます。
そのため、家を建てる住宅会社や工務店が日頃よく建てているのはどのような家なのかを把握することで、家のクオリティが有る程度分かるようになります。
たとえば、しっかりした注文住宅の家をつくっている会社の場合が建築条件付きの土地で家を建てる場合は、安心して建築条件付きの土地を買うことができることがほとんどです。
注文住宅のノウハウが建築条件付きの土地で家を建てる場合でも活かされるからなんですね。
一方、建売住宅メインであったり、注文住宅といっても建売住宅に毛の生えた程度の家しかつくっていない会社の建築条件付きの土地を買う場合は、家よりも立地を優先したというようにある程度の割り切りも必要となるケースが多くあります。
これは家の性能でもそうですし、家の間取りについても同じことが言えます。
家を建てる実力のある会社が売りに出している建築条件付き土地なら「買い」。(特にレベルの高い会社が売り出していたらラッキーです)
そうでないなら「よく考えた上で決める」、家が建てたい家と違うなら「止めておく」のが正解となるんですね。
建築条件付きが合う人、合わない人
ここまで建築条件付き土地についての注意点を見てきました。
それでは最後に、建築条件付きの土地に合う人、合わない人について見ていきましょう。
建築条件付き土地が合う人
家に対してそこまでこだわりがなく、土地の立地条件が一番重要な人は建築条件付きの土地はとても合っています。
建築条件付きの土地は、普段あまり土地が売り出されない地域であっても建築条件付きの土地であれば売りに出されることが多く、立地条件優先の方にとっては魅力的な選択肢となるからなんですね。
(たとえば個人で買うには広すぎる土地も、住宅会社がその土地を買うことでいくつかの土地に分けて販売することができるようになるので、土地が出にくい地域でも建築条件付きの土地というのは出やすくなります)
また、土地の立地条件が最優先で家にあまりこだわりがない場合、場合によっては家の打ち合わせというのが億劫に感じられることもあります。
建築条件付きの土地の場合は間取り、使用がある程度決まってくるので家の打ち合わせ回数はかなり減らすことも可能となり、あまり家づくりに時間を掛けたくない方にとっては家づくりに必要な時間を削減することができるようになります。
このように、どちらかと言えば注文住宅よりも建売住宅でいいという人の方が、建築条件付きの土地に向いていると言えます。
建築条件付き土地を買うのかよく考えた方がいい人
ものすごくこだわった家を建てたい訳ではないけれど、家を建てるならやっぱり使い勝手のよい家に住たいし、一定レベルの性能もある家に住みたいと思う方は多くいらっしゃいます。
このように考える方は、建築条件付きの土地を安易に買ってしまうのではなく、まずは販売主の建てる家をしっかり見て納得した上で建築条件付きの土地を買うのがおすすめです。
建築条件付きの土地を契約したあとに、やっぱり家が合わないので契約破棄したいと思っても、契約破棄するにはそれ相応のお金が必要になってきます。
あとになって「こんなはずではなかったのに・・」、「こんな家を建てて大丈夫なんだろうか・・」と後悔しないためにも、必ず納得した上で建築条件付き土地を買うのが失敗を減らすために重要となってくるんですね。
家の間取りであったり、仕様、性能など人によってこだわる部分は様々ですが、必ずこだわりたい部分、ある程度ゆずれる部分を明確にした上で建築条件付きの土地を検討すれば後で後悔する可能性も少なくなり、建築条件付きの土地というのも魅力的な選択肢の1つとなってきます。
建築条件付きの土地が合わない人
家の性能、デザイン、住み心地、その他何でもいいですが、家に強いこだわりをもっている人は建築条件付きの土地は合わないというケースがほとんどです。
家に求めている物と実際に建つ家とのギャップが大き過ぎるんですね。
そのため家に強いこだわりを持っている方は、基本的に建築条件付きの土地は買わない方が無難です。
ただ、稀にレベルの高い工務店や住宅会社が販売している建築条件付き土地も出てくることがありますので、アンテナは広く張っておくと土地の選択肢は広がるようになります。
まとめ
今回は建築条件付き住宅を買うときの注意点をご紹介しました。
建築条件付きの土地を買う場合は家を建てる会社を変えることができないので、普通に家を建てるよりも注意しないといけないことがあるんですね。
私もこのブログを始めるまで、ここまで建築条件付き土地を買って困っていたり、後悔している人が多いとは思っていませんでした。
建築条件付きの土地の購入を検討する場合、ほとんどの方は土地や立地条件はかなり気に入られて購入を検討されているはずです。
そこで止まらずに、次にそこで建てたい家が建てられそうかどうか。
契約をする前に、この部分も1度しっかり考えてみたいですね。
また、契約した後に間取りが上手く行かないなんてこともあります。
そんな時もそこで諦めず、限られた条件の中でもベストな家を目指したいですね。
建築条件付きの土地を検討される方は、ぜひ今回の内容を参考にして、満足できるより良い家を建ててくださいね。
では。
建築条件付き土地についてはこちらも参考にどうぞ。
→建築条件付って書いてある土地を見つけたけど、建築条件って何?
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建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
建築条件付きの土地を買う時に気をつけることって何?
- 間取りのレベルを見極める。
- 家の仕様を見極める。
- 家の価格を見極める。
- 良い家を建てる実力のある会社の建築条件付き土地は「買い」。そうでない場合は慎重に。
- 家にこだわらないなら建築条件付き土地も「有り」。こだわりが強いほど、建築条件付きの土地とは合わなくなる。