ほとんどの方にとって、家づくりというのは初めての体験となるものです。
そして全てが初めてなので、どうしても手探りで家づくりをスタートすることになります。
では、あらかじめ家づくりの注意点を知った上で家づくりをした場合はどうでしょうか?
何に注意すれば良いかがあらかじめ分かっているので、格段に家づくりがしやすくなりますよね。
このように家を建てる時、家づくりの注意点をあらかじめ知ってから家を建てるのか、それとも家づくりの注意点を知らないまま家を建てるのかで、完成した家のクオリティはかなり変わってきます。
家を建てる時の注意点を知っておくことで、「とにかく家を建てる」のではなく、「よりあなたに合った家を建てる」ことができるようになるんですね。
そこで今回はそんな家を建てる時に必ず知っておきたい注意点をまとめました。
これから家づくりをする方も、いま家づくり中の方もぜひご覧ください。
家を建てる会社選び
家を建てる場合、一番大切なのがどの住宅会社で家を建てるかということ。
その一番の理由は、住宅会社選びで家づくりで成功するかの80%くらいは決まってくるからです。
例えば、腕の良い住宅会社で家を建てれば完成する家というのは当然クオリティが高い家が建つ可能性が高くなり、腕の悪い会社で家を建てればクオリティがあまり高くない家が建つ可能性が高くなる傾向があります。
腕の悪い会社で家を建てたとして、あなたの家だけクオリティが高い家になるというのは奇跡に近くなり、住宅会社を選んだ段階で家のクオリティというのはある程度決まってきてしまうんですね。
そのため、良い家を建てる場合は腕の良い住宅会社で家を建てることが一番の近道となります。
腕の良い住宅会社で家を建てる以外では、住宅会社との相性というのも大切になります。
いくら腕が良い住宅会社であっても、目指すデザイン性や間取りなどの考え方が違っていればあなたが建てたい家とはどうしても違ってきてしまいますよね。
そのため、住宅会社選びではレベルの高い会社で家を建てることにプラスして、会社の相性というのも家を建てるのにとても重要な部分になってきます。
このように、家を建てる時は会社選びでほとんど決まると言っても過言ではありません。
では、実際にレベルの高い住宅会社や相性が良い住宅会社を見つけるにはどういう点について見てみればいいのでしょうか?
次に住宅会社を見る時のポイントについて見ていきましょう。
家のデザイン
家の雑誌やSNSでいろんな家を見ていると、「この外観やインテリアはいいなぁ」、「この雰囲気が好み」など、見ていて良いなと思うことがありますよね。
デザインにこだわりがある方はもちろん、そこまでデザインにこだわりが無い方でも、色々見ていると少なくとも1つや2つは好みのインテリアや外観の家が見つかると思います。
このように、家にはデザインという物も必ずセットになってきますが、実はこのデザインというのは家づくりでも中々難しい部分でもあります。
家づくりでは意外とイメージ通りにならないこともよくあるんですね。
例えば、好みの写真や画像を見せれば同じように家を建ててくれるように感じますが、同じようなデザインにできるかどうかというのは、実はその住宅会社の腕次第となります。
その理由はデザインにこだわればこだわる程、細部の作り方を工夫するなど、その会社がどれだけデザインにこだわってきたか、また設計者のセンスが問われることになるからなんですね。
「こんな雰囲気に」と伝えたとしても、実際に同じような雰囲気になるかどうかはまた別問題というのが、家づくりで意外と多い失敗です。
言い換えると、これまでその住宅会社が作ってきた家にどうしても雰囲気が似てしまうケースが多いんですね。
そのため、その住宅会社が建ててきた家の外観や内観が好みと感じられるかどうか。
この部分がとても大切になってきます。
デザインがあまり好みでない住宅会社やセンスをあまり感じられない住宅会社で家を建てると、思っていたのとデザインが違う家が建ってしまうなんてことも。
その住宅会社がこれまで建てたことの無いデザインの家を建てる場合、かなりの根気と忍耐強さ、そして住宅会社の協力が必要となってきます。
住宅会社は気に入ったけどもデザイン性が合うかどうか分からないという場合は、事前に目指す家にできるかどうかしっかり確認し、納得してから住宅会社を決定するというのが重要なんですね。
もちろん、デザインをどれだけこだわるかは人それぞれです。
少なくともその会社のセンスに任せても大丈夫かなと思える住宅会社で家を建てることが、満足する家を建てるためにとても大切なことなんですね。
また、間取りを含めたデザイン全般に担当の設計士やインテリアコーディネーターが受身なのか、それとも積極的に提案してくれるのかというのも大切なポイント。
あなたが「こうしたい」と思っても受身の担当者はただそのまま図面に落とし込むだけで終わりですが、しっかりした担当者はより良い案を提案してくれたり、難しい場合は代替案を提案してくれるんですね。
この部分は意外と後々ストレスになってくる部分なので、特にデザインが気になる方は必ずチェックしておきたいポイントになります。
家の性能(省エネ、耐震)
せっかく家を建てるなら快適な環境で生活したいと誰でも思いますし、家は雨風や地震といった災害から家族を守るための物でもあります。
そのため、家にはデザイン性だけでなく「性能」も当然求められます。
そんな家の性能の中でも重要なのが、「省エネ性能」と「耐震性能」の2つの性能です。
それではこの2つの性能を具体的に勉強していきましょう。
家の省エネ性能
家の省エネ性能というと光熱費が安くなるというイメージですが、光熱費が安くなるということは家の「断熱性能」や「気密性能」といった家の基本的な性能を高める必要が出てきます。
断熱性能は家の断熱材や窓など基本的な部材の性能に左右され、気密性能とはどれだけ家の中の空気が外に漏れないかということで、家の構造のことをいかに理解して家を建てているかでかなり変わってきます。
そのため、省エネ性能を上げるためには使う部材と家を建てる技術、両方が必要になってくるんですね。
このように省エネ性能を上げることで家の性能も上がってくることになりますが、実際にどれくらいの省エネ性能の家かを知る場合、数値としては「UA値」、「ηA(イータエー)値」、「C値」という3つの数値を見ることで判断することができます。
詳しい説明は長くなるのでここでは省きますが、簡単に言うとUA値は家の外にどれだけ熱が出ていくかという数値でUA値が低いほど断熱性能が高い家ということになります。ηA値は数値が低いほど外からの日射熱の侵入を防ぐことになり、C値は家の気密性能を表す数値となります。
日本は寒い地域から暖かい地域まで様々なので必要な基準は地域によって変わってきますが、少なくとも建てている家がどれくらいの数値の家か、さらには仕様変更でどれくらいまで数値を良くできるか説明してくれる住宅会社で家を建てることが、省エネ性能が高い家にするための大前提となります。
また、具体的な性能の数値が出るということは、実際にその家で生活した場合にどれくらいの光熱費が掛かるかというのもある程度シミュレーションすることができるという事になります。
昨今のエネルギー料金の高騰も踏まえると、どれくらいの光熱費が掛かるかというのは把握しておきたいポイントと言えます。
その他、ZEH(ゼッチ)と呼ばれる国が推奨している省エネ住宅をどれくらい建てているかも省エネ性能の1つの基準とすることもできますし、性能をG1、G2、G3という3つのグレードで表した「HEAT20」と呼ばれる基準もあるので、ZEHや「HEAT20」についてどう対応しているのか聞いてみるのも良いですね。
家の耐震性能
家は家族を地震や台風などの災害から守るためのもの。
そのため、家の耐震性能というのはやはり意識しておきたい部分になります。
家の耐震性能は1等級〜3等級まで評価が分かれ、3等級が1番耐震性能が良くなり、次に2等級、最後に3等級というような順番となります。
具体的な性能を見てみると、
耐震等級1で
- 数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度)に対しても東海屋崩壊しない
- 数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度
という基準となり、
耐震等級2で
- 等級1で想定される1.25倍の地震が起きても耐えられる
耐震等級3で
- 等級1で想定される1.5倍の地震が起きても耐えられる
というように基準が変わってきます。
もちろん、特に地震の場合は家を建てる土地の地盤が強いか弱いかという影響も受けるので、耐震等級3だから絶対に安全という訳ではなく、耐震等級1であっても耐震等級2、3と同じくらいの強度を持った家になっている場合もあるなど、あくまで数値は1つの基準という形になりますが、耐震等級は高い方が災害に対する備えという点では優れていると言えます。
そしてこの耐震等級は家を建てる人がどの等級を目指すかを決めることができという特徴もあります。
耐震性を特に気にしなければ耐震等級1の家を建てることができますし、耐震性を気にするなら等級2や等級3の家にするというように選ぶことができるんですね。
(ちなみに、耐震等級が高いほど間取りに制限が出やすくなります)
建築士としての私の感覚から言うと、できるかぎり耐震等級は2以上確保しておきたいというのが本音のところです。
その理由としては国が長期に渡って住み続けられる基準としている「長期優良住宅」にするためには耐震等級2以上が必要となってきますし、実際に家の設計をする段階でも耐震等級1と2では必要な計算数値にもかなり違いがあり、より綿密に計算された家となるため、耐震等級2以上をオススメしています。
→あなたの家は地震に強い家?家の耐震性能について知っておきたいこと
また、耐震性能は家をカチカチに固めて地震や風から家を守るという考え方ですが、制振といって力を逃して家を守るという方法もあります。
これは住宅会社によって考え方に違いがあり、採用している会社、採用していない会社と様々なので、地震対策が気になる方は話を聞いてみるのも良いですね。
家は家族の生活を快適にしてくれたり、家族を災害から守ってくれるものです。
そのため、家を建てる注意点としてどれくらいの性能を持った家になるのかどうかも押さえておきたいポイント言えます。
家の価格と仕様
これまで、家のデザインと性能について見てきましたが、家を建てる時に忘れてはいけないのが家の予算について。
無限に予算がある場合は別として、通常は価格と仕様のバランスを見ながら建てる家を決めていくことになります。
家のデザインや性能など、あなたがどこにこだわりを持っていて、さらには住んでから満足いく家にするためには何を優先すればいいかという優先順位をつけながら仕様を決めていくことが大切になってくるんですね。
建築士の視点で見てみると、後から変更するのが難しい部分、例えば構造材や断熱材、外壁などの優先順位はやはり高くしておきたいというのが本音です。
後で変更するには大きな手間と費用が掛かりますし、メンテナンスの費用や光熱費も少なく済み、家も長持ちするようになるので長い目でみると一番効果的で快適な生活を送ることができるからです。
→家のメンテナンス費用はどれくらい必要?家の修繕積立金について
反対に優先順位が低いのが設備機器。
設備機器は10年〜20年で交換する必要が出てくるので、どちらかというと消耗品に近い形になってしまうからなんですね。
もっとも、これはあくまでも建築士の立場から見た一般論です。
例えば好きなキッチンを入れることで料理が楽しくなって家族も喜んでくれるのであれば、それはお金をかける十分な価値があるキッチンと言えます。
何を優先するのか、どんな生活が送れると楽しいかを考えることで、家のコストパフォーマンスというのは大きく変わってくるんですね。
予算で迷った場合、家の総予算を頭に入れつつ、1度優先順位を整理して見てくださいね。
家を建てる時は予算のバランスを見た上で家を建てるというのも重要な注意点の1つです。
→家の予算がオーバーしたときに1番効果的な方法をご紹介します
→それは日々のモチベーションが上がるものですか?家の優先順位の決める方法
担当者と会社の信用度
家を建てるのにはかなり時間がかかるもの。
また、家の予算や間取り、仕様などさまざまな打ち合わせがあるのも家づくりの特徴です。
このように家を建てるためには担当者とも多く顔を合わせますし、一緒に過ごす時間も多いため、担当者が信頼できるかどうかというのも重要なポイントになります。
信頼できる担当者であれば家づくりで何か困ったことがあった時も相談することができますし、的確な答えが返ってくるというのは家づくりをしていても心強いものです。
一方、連絡事項をよく忘れたり行き当たりばったりの打ち合わせばかりする担当者であれば、最初は仕方ないかなと思っていても長い家づくりでは大きなストレスになってきます。
例えば「今週に家のローンの契約をしたいので平日に休みを取ってほしい」などと言われても困りますし、忙しい時間の合間を縫って家の打ち合わせをしているのに内容の無い打ち合わせばかりするのも大変です。
そのため、特に連絡事項や段取りがしっかり取れる担当者かどうかというのはストレスなく家を建てるための必須項目となります。
また、特に間取りや仕様打合せのトラブルで多いのが、言われたことだけしかやらない設計担当者というケースです。
間取りが出てきたけども、「変更したい部分があれば次回言ってください」と言ったケースや、打ち合わせなのに「言われていた〇〇を変更しました」というように言ったことだけ対応されても困りますよね。
家を建てる人のほとんどは一生に一回有るか無いかという素人の方です。
そのため自分の意見が正しいかどうか分からない部分もあるのでプロの意見が欲しいというのが普通ですよね。
プロとしての仕事をしてくれる信頼できる担当者なのかどうか。
この部分も家を建てるなら押さえておきたいポイントです。
→危険な間取りの3つの特徴。あなたの設計担当者はこんな人ではないですか?
アフターサービス
家は建てるのが目的ではなく、家が完成してからが本当のスタートとなります。
家づくりは早くて半年、長くて数年ということがほとんどですが、家は完成してから何十年と一緒に暮らしていくことになる訳ですから、そのメンテナンスというのはとても大切になってきます。
例えば、家が完成して最初の頃は家本体は出来たばかりなので大きな問題があることはありませんが、ドアの動きが悪いなど家で使った製品自体の初期不良が起こることがありますし、時間が経つにつれ家は劣化していきます。
また、外壁や屋根といったの大きく劣化してしまうと家に大きなダメージが出る場所をしっかり点検し、不具合が大きくなる前に直してしまうことが一番の老朽化対策になります。
このように家を長持ちさせるためにはメンテナンスが大切になりますが、そんな時、あると心強いのが家のアフターサービスです。
代表的なアフターサービスとしては定期点検で家に不具合が無いかどうかのチェックや、会社によってはアフターサービスに1回分のクロスの張り替えがサービスで付いていたり、棚の取り付けなどちょっとした格安で工事をしてくれるなど、住宅会社によって様々なアフターサービスを行なっています。
何より、家の不具合を気軽に相談できるというのは、実際に家に住み始めてみると思った以上に心強いものです。
さらには、アフターサービスに力を入れている会社というのは、家は建てて終わりという考え方ではなく、家が建ってからもお施主さんとの関わりを大事にする傾向があります。
あなたの家の家のことは、あなたの家を建てた住宅会社が一番分かっています。
家を建てる時には建てる家のことに意識が集中してしまい、アフターサービスのことまで意識が行かない場合も多いですが、できればアフターサービスをしっかりしていて長くお付き合いできる住宅会社か見てみると、家が建ってからの安心感が大きく違ってきますよ。
また、家づくりの際は新しい家に意識が集中して将来必要なメンテナンス費用について調べるというのはついつい後回しにしてしまうものです。
家はどのような部材を使うかでメンテナンスコストはかなり違ってくる部分なので、将来、どれくらいの頻度、費用でメンテナンスが必要かどうかは家を建てる際に大まかに頭に入れておくと、将来も含めた家づくりの資金計画を立てやすくなるんですね。
→家のメンテナンス費用はどれくらい必要で、修繕するタイミングはいつ?
まとめ
今回は家を建てる時の代表的な注意点について見てきました。
家づくりで注意点は色々ありますが、まずは今回見てきた代表的な注意点を押さえておくことで、家づくりが成功するかどうかというのは大きく違ってきます。
また、家づくりのより詳しいことが知りたい方は、家づくりの流れをまとめたこちらも参考にしてください。
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
家を建てる時には色んな情報があるため何が正しいか分からず頭がこんがりやすいもの。
そのため、まずは知っておきたい注意点をあらかじめ知っておくことで、限られた時間を有効的に使いながら家づくりをすることができるようになります。
ぜひ今回の内容を頭の片隅に置きながら、あなたに合った良い家づくりをしてくださいね。
では。
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】