家を建てる時、まずは何から始めれば良いのでしょうか?
それは「家を建てる時の流れ」を知るという事です。
私は建築士として100件を超える方の家を担当し、日々多くの方から家づくりの相談をいただいていますが、良い家を建てられた方というのは最初に「家を建てる時の流れ」を把握した上で家を建てた方がほとんど。
では、どうして家を建てる流れを知る事が良い家を建てることに繋がるのでしょうか?
ほとんどの方にとって家づくりは一生に1度あるか無いかの物です。
例えば、初めて行った街で美味しいお店の情報をあらかじめ知っているのと、その場で一から探すのとでは美味しいご飯を食べられる可能性はかなり違ってきますよね。
同じように、まずは家を建てるのにはどういう事かという全体像を知ることが、良い家を建てるための一番の近道になってくれます。
さらには家を建てる流れを頭に入れておくか、それとも知らずに家を建てるかで、できる家の質も変わってくるんですね。
今回はそんな家を建てる時の流れを建築士が分かりやすくまとめました。
家づくり中の方も、これから家づくりを始める方もぜひご覧ください。
あなたはどんな家を建てたい?
家を建てようと思った時、まずは何を最初にすればいいでしょうか?
「住宅会社や住宅展示場に行く事?」、「ネットで家を建てている会社を探して資料請求すること?」
どれも家を建てるのに大切なことではありますが、まだ必要なことではありません。
家を建てるのに一番最初にすること。
それは、「どんな家に住みたいか」「家で何がしたいのか」をイメージすることから家づくりは始まります。
家を建てる前に、まずはあなたがどんな家に住みたいのか、そしてどんな生活を送りたいのかをイメージすることで、あなたの家づくりの目指す方向が見えてくるようになるんですね。
もちろん、まだ最初の段階ですので〇〇LDKの家とかオシャレなキッチンを入れたいなど具体的なところまでしっかり考える必要はなく、「どんな家に住みたいか」や、「どんな暮らしをしたいか」など、ざっくりとしたイメージの段階で十分です。
(具体的な間取りは建築士がそのイメージを元に間取りを作ってくれます)
また、どんな家に住みたいかイメージするのと同時に、「どうして家を建てようと思ったのか」というのを明確にしておくのも家づくりの中でとても大切なこと。
例えば、「まわりを気にせず子供にノビノビと育って欲しいから」とか「安全で健康な家に住みたいから」など、あなたは家を建てるための何かしらの理由があり、それを叶えるために家づくりをしているはずです。
でも、家を建てるというのは長い時間がかかるもの。
基本的に家づくりは楽しい物ですが、その中で迷ってしまう事もありますし、悩むことも必ず出てきます。
そんな時、家を建てる前に「どうして家を建てるのか」という理由をしっかり持っておく事で、長い家づくりの中の道しるべとなってくれるんですね。
このように家を建てる時には最初に「どんな家を建てたいのか」「どうして家を建てるのか」を考えてみるのが成功する家づくりの第一歩となります。
家の予算を考える
ある程度建てたい家のイメージが固まってきたら、次に考えたいのが家の予算について。
家の予算を考える場合は住宅ローンを組むことがほとんどですが、ここでのポイントは住宅ローンを借りられる金額から家の予算を考えるのではなく、月々の返済額から逆算して建てる家の予算を決めるということ。
今の生活にちょっと余裕があるのなら今の家賃よりも少し高い返済額でも可能ですし、今の家賃が日常生活とのバランスがよいのであれば今の家賃を目安に、今より家賃を下げたいなら家賃より安い返済額を目標にするのが理想です。
この場合の注意点としては、住宅ローンは借りる種類によって月々の返済額が違ってくるということ。
月々の返済を考える場合は、変動金利と固定金利の違いを頭に入れておくことも大切になります。
→住宅ローンは変動金利?固定金利?知っておきたい住宅ローンについての考え方
また、家の予算を考える場合は家本体だけではなく家全体の予算で考えるのもポイントになります。
家ができたけども家電や家具が買えなかったり、庭の工事ができないなんてことになると困りますね。
そうならないためにも家を建てる場合は家の総額で予算を考えるのが重要になります。
→家の資金計画はどうすればいい?資金計画書の見方と押さえておきたいポイント
家の知識を身につける
理想の家を建てるには、家の知識を身につけるのも大切な事です。
まずはポイントを押さえた情報収集から始めてみると、貴重な時間を効率的に使うことができますし、営業マンに言われるまま家を建てるということも防ぐことができるんですね。
家を建てる時、何を基準に見れば良いかという「物差し」を持つことで、言われるままの誰の家か分からない家を建てるのではなく、あなたに合った家を建てることができるようになります。
このような物差しを身につけるには家づくりの最低限の知識が必要になりますが、世の中にはいろんな情報が溢れていますし、中にはただの素人が書いているウソか本当かよくわからない情報もあります。
限られた時間を最大限有効に使うには、有益な情報をいかに効率的に身につけらえるかというのも重要になります。
これまで100を超える家を建ててきた建築士の視点から見た家を建てるのに必要なことは全てこちらにまとめていますので、一緒に勉強していきましょう。
家の種類を知る
家を建てる場合、大きく4つの種類に分けられます。
「建売住宅」、「規格型住宅」、「セミオーダー住宅」、「注文住宅」の4種類です。
この4つの違いとしては、
- 建売住宅はその名のとおり、完成した家を買う。
- 規格型住宅は間取りがある程度規格化されていて、気に入った間取りを選ぶ。
- セミオーダー住宅は間取りはある程度自由だけでも、仕様に制限がある。
- 注文住宅は間取りも仕様も自由。
このような違いがあります。
家を建てるのに後悔しやすいポイントが、家を契約した後に「こんなはずではなかったのに」と思うことです。
例えば何でも自由にできる注文住宅だと思っていたのに、実は仕様があまり選べないセミオーダー住宅で契約してしまうと大きな不満が残ってしまいますよね。
このようなことを避けるために、家の種類を頭に入れておくことはとても大切となります。
4つの違いについて詳しくはこちらの記事に書いてあるので、家を建てる前に一度は目を通して見てくださいね。
→あなたに合っている家はどれ?家は注文住宅だけでは無いんです
家の依頼先を決めるポイント
「暮らしのイメージ」「家の予算」などがある程度決まったら、いよいよ住宅会社探しの開始です。
あなたの理想の家を建ててくれる住宅会社の探してみましょう。
ちなみに家を建てる場合は大きく分けて3つの依頼先に分けられます。
- ハウスメーカー
- 工務店
- 設計事務所
の3つです。
簡単に違いを挙げると、
- ハウスメーカーは大手の安心感や品質のバラツキが少ないが、間取りの自由度が低く価格も高い。
- 工務店は良い工務店もあれば悪い工務店もあったりと、振れ幅がかなり広い。
- 設計事務所は家に凄くこだわれる反面、良くも悪くも建築家の腕と相性次第。
このような違いがあります。
それぞれ特徴がありますが、最初の段階では気になる依頼先に話を聞きにいく感じで大丈夫です。
ハウスメーカーに行ってちょっと自由度が少ないなと思えばデザインや間取りに力を入れている工務店に方向性を変えれば大丈夫ですし、さらに家にこだわりたい場合は設計事務所で家を建てるというように依頼先を修正していけば良いからなんですね。
また、価格も会社によって様々なので、坪単価など価格の目安も聞いておくのも忘れずに。
ちなみに、建築士の私の個人的なオススメ順に並べると、工務店、設計事務所、ハウスメーカーという順番となります。
その理由として、最近はデザイン、性能にこだわったレベルの高い工務店が増えてきているのが大きな理由です。
また、最初に工務店を見に行けば、もっと会社の規模や安心感が欲しいと思えばハウスメーカーを見にいけばいいですし、もっと家のデザインにこだわる場合は設計事務所に行くなど、工務店は良い意味でハウスメーカーと設計事務所の中間という立ち位置になるので、あなたに合った依頼先を探しやすいという部分もあります。
→設計事務所って実際どうなの?家を建てる前に知っておきたい住宅業界。
その他、住宅会社を見る際は、気に入った住宅会社があったからと言って1社しか見ないのではなく、複数の住宅会社を見てみるのがポイント。
いくつかの住宅会社や工務店を見ることで住宅会社を見る目も養われますし、あなたの中での住宅会社の基準もしっかり持つことができるようになるんですね。
→注文住宅に相見積もりは必要?相見積もりをする時の3つのポイント
また、家づくりは住宅会社選びで成功するかどうかの80%くらいは決まってきます。
レベルの高い会社で家を建てること、また会社の相性というのは家を建てるのにとても重要な部分になってくるんですね。
土地探し
家を建てる場合、実家を建て直したり元からある土地に家を建てる場合以外は土地を購入して家を建てることになります。
このように土地探しから家づくりを始める方は、まずは「土地を見つけよう」と思って、とりあえず不動産屋へ行くという方がとても多くいらっしゃいます。
ですが、ちょっと待ってください。
どういう基準で土地を選べば、あなたの理想の家が建てられるか分かりますか?
実は土地探しから家づくりをする場合、先に土地を購入するよりも住宅会社を見つけてから土地を探した方が失敗が少なくなるんです。
その理由は、不動産屋と住宅会社でお互いのゴールが違うから。
不動産会社は土地を売買することがゴールですが、住宅会社は家を建てることがゴールとなります。
住宅会社に土地探しのアドバイスをもらうことで、「土地を先に購入したけども土地にお金を掛け過ぎて家に使える予算が少なくなってしまったことに後で気付いた」、「法律の規制が厳しい土地で、思った大きさの家が全然建てられ無かったなど、土地ばかりを優先してしまうと土地と家のバランスが上手くいかない」というようなケースを避けることができるようになるんですね。
このように土地を決めるよりも工務店や住宅会社など家を建てる会社を先に決める方が家づくりの失敗を減らす事ができます。
もちろん、全ての住宅会社が土地探しを手伝ってくれる訳ではなく、その姿勢は様々ですが、土地探しから始める場合は土地のこともアドバイスをくれる住宅会社と一緒に家づくりをするのはとても効果的です。
家を建てるために土地を購入する際は、家のことを相談できる人を味方につける。
これが重要なんですね。
→突然ですが問題です。土地と工務店どちらを先に決める方が良い?
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
家の契約
建てる住宅会社が決めて間取りが決まると、家の請負契約を行うことになります。
家の契約は人生に1度あるか無いかくらいという方がほとんどですので、家の契約って何をするのかよく分からなくても当然。
ただ、契約書に一度はんこを押してしまうと、その効力は非常に大きいものになります。
(契約後に家を建てるのを解約しようとすると、100万円単位の費用が掛かってしまいます)
そのため、契約前に仕様はどれくらい選べるのか、何が変更できるのか、また変更にはどれくらいのお金が掛かるのか。
この部分を押さえておくことが大切になってきます。
後で「こんなはずでは」と思わないためにも、契約前には上記のことを必ず確認してみてくださいね。
また、契約前には値引きを提案される場合もあります。
値引きなど目先の物に惑わされるのではなく、その部分をしっかり確信してから家の契約に望みたいですね。
家の打ち合わせ内容
家を建てる場合、理想の家にするために家の打ち合わせというのが行われます。
打ち合わせをすることであなたに合った間取りや仕様の家になっていくんですね。
基本的な家を建てる時の打ち合わせの流れとしては
- 最初にどんな家を建てているかなどの会社説明。
- 間取りのヒアリングと間取りの打ち合わせ。
- 仕様の打ち合わせ。
このような流れになることが一般的です。
基本的には最初に担当の営業マンが付き、家の設計段階や仕様の打ち合わせ段階で建築士やインテリアコーディネーターといった専門家が打ち合わせを行うようになります。
ただ、これは住宅会社によって違いがあり、営業マンが間取りを作る会社もあれば、設計事務所のように全て建築士が担当することもあります。
家にこだわりがあればある程、間取りの打ち合わせは建築士とする方が良いですし、間取りのクオリティも建築士の方が高くなります。
そのため、住宅会社選びの段階でその会社はどういうスタンスで家の打ち合わせをしていくかをあらかじめ確認しておくとベストなんですね。
→設計士さん次第で、どうしてこんなにも違うの?その理由をお答えします。
家の工事着工
家の打ち合わせが終わると、いよいよ家の工事がスタートします。
工事の着工の際には地鎮祭、家の工事中にも上棟式などのイベントも有り、家が完成するまでにどのようなイベントがあるか確認しておきたいですね。
また、良い家を建てる人というのは、工事現場の職人さんとの関係も良好なことがほとんど。
職人さんとの関係を良くする方法は下の記事を参考にしてくださいね。
ここまで来ると家の完成は近づいてきます。
そのため、実際に新しい家で生活するための準備も必要になってきます。
例えば、駐車場や庭などの外構工事であったり、新居に入れる家具、家電というのもすぐに手配できるものではないので、余裕を持って準備しておきたいですね。
(特に家具は意外と納期が掛かる物が多いので、早め早めの対応が大切です)
→お洒落な家具や雑貨が見つかるおススメのインテリアショップ19選
また、家の引き渡し前には家の決済や施主検査、引越しなどいろんな事が一気に重なる時期でもあります。
忙しさのあまり夫婦喧嘩をしてしまう何てことになると、せっかくの家づくりに残念な思い出ができてしまいます。
引き渡し、引越しのスケジュールは営業マンに相談しながらしっかり段取りをつけられると1番スムーズです。
せっかくの新しい家での新しい生活なので、スタートから気持ちよく新生活を始めたいですね。
→転居の手続き一覧。新しい家に引越しする時に必要な8つの事。
家の完成
長かった家づくりも、ついに終了です。
でも、家は完成して終わりではなく、家は完成してからが本当のスタートです。
これから新しい家でたくさんの思い出をつくりつつ、充実した人生を送ってくださいね。
→家は建てるのが目的ではありません。 家族が楽しく過ごすための物です。
まとめ
今回は家を建てる時の流れについて見てきました。
家を建てる時の流れを最初に頭に入れておく事で家を建てるのに何が必要かが分かるようになりますし、
完成する家の質は間違いなく高くなります。
一番大切なのは家を建てるための全体像を把握して、有益な情報を頭に入れておく事。
家づくりは選ぶことの連続です。
家を建てる流れを知ることで、より納得できる選択ができるようにしたいですね。
では。
今回の内容をより詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。