間取り図に書いてある「WIC・CL」などの記号。
間取り図を見る時、図面には日本語でリビングや和室など部屋名を書いていることもあれば、LDKやWICなどアルファベットの略語で表現されていることもあります。
ただ、LDKなど日常生活で使うものならいいですが、アルファベットがいくつか並んでいるだけだと何の意味かよく分からないこともありますよね。
そこで今回は、図面に書かれた記号についてその意味と使われ方について見ていきたいと思います。
あなたは何個の記号が分かりますか?
どうして間取りに記号が使われるの?
それではまず、どうして間取りに記号が使われるか見てみましょう。
「日本で建てる家の図面なんだから日本語で表記してくれればいいのに」と思うこともあると思いますが、どうしてアルファベットを略した記号を使うのかというと、「見やすい図面にするため」というのが大きな理由です。
例えば図面に書いてある記号で代表的な「LDK」。
図面内に「リビング・ダイニング・キッチン」と表現すると図面内に文字が増えすぎてしまい、肝心な間取りを見る時に線と文字が被ってしまったり、文字が部屋からはみ出してしまってどこを表現した文字なのか分からなくなってしまうケースもあるので、LDKというように記号が使われているんですね。
特に1/100といった縮尺が小さな図面や収納などスペースがあまり広くなく文字がはみ出してしまいそうな場所は記号で表現するのが一般的です。
では、実際に図面で使われる記号を見ていきたいと思います。
WIC
「WIC」と書いてウォークインクローゼットと読みます。
WICは「Walk In Closet」の頭文字を取っているんですね。
ウォークインクローゼットと日本語で書くとかなり長くなってしまうのでWICという表現がされている図面はよく見かけるので、WICは図面を見るならぜひ覚えておきたい記号です。
ちなみに、通り抜けられるようになったウォークインクローゼットの事をウォークスルークローゼットと言いますが、ウォークスルークローゼットの場合は「WIC」の他に「WTC」と略す場合もあります。
→ウォークインクローゼットの失敗しない作り方とベストな収納方法
CL
「CL」はクローゼットの略記号。
クローゼットは各部屋にあることが多いので、CLは図面の中でもよく見かけます。
クローゼットとカタカナ表記にすると文字が長くなってしまうので、CLと略すことが多い記号なんですね。
→クローゼットで失敗しない!家のプロが教えるクローゼットの収納術
MBR
MBRは「Master Bed Room」の略で主寝室のことを言います。
基本的には夫婦で使う寝室を主寝室と呼びますが、一番大きな寝室をMBRというように表現することもあります。
BR
「BR」はベッドルームの略。
簡単に言うと子供部屋などの部屋のことですね。
日本語で「洋室」「寝室」と表現する場合もBRという略記号を使います。
→子供部屋の広さはどれくらいが最適?理想的な子ども部屋のつくり方
SR
SRとは「Service Room」の略で、収納や部屋など多目的に使われます。
SR(サービスルーム)はどちらかというと窓のない部屋や日当たりの悪いスペースで使われることが多く、日本語で書くと納戸と表現されることも多くあります。
どうしてこのようなSR(サービスルーム)という表現になるかと言うと、住宅業界では採光や換気など一定の条件をクリアしている部屋のことを「居室」と呼ぶのですが、その条件を満たしていない部屋は「居室」とは呼べないので曖昧な「SR」や「納戸」という表現になるんですね。
そのためSR(サービスルーム)は狭小地や3階建ての1階や奥まった部屋、窓が取りにくいマンションなどで使われることが多い表現です。
WC
これは家だけでなく色んなところでよく見かけますね。
「WC」はトイレの略記号です。
WCは分かりやすい記号ですが、間取り図の場合は図面の中にトイレの絵が入っているのでほとんどで一目でトイレと分かること、トイレはあまり広くないケースが多いことから、WCとわざわざ表現せずに何も書かれていないケースもよくあります。
→玄関の側にトイレってどうなの?トイレで間取りの善し悪しが分かります。
UB
「UB」はユニットバスの略でお風呂の表現に使われます。
今ではほとんどの家のお風呂に工場で作ったユニットバスが使われているので、UB(ユニットバス)と図面でも表現されているんですね。
少しマニアックな話をすると、お風呂は大きく分けてユニットバスと造作のお風呂に分けられ、UBはユニットバスを使った時専用の表現となります。
一方、造作のお風呂の場合はユニットバスではないのでBR(バスルーム)という表現になるんですね。
→浴室はどれが良い?ユニットバスや造作風呂の選び方を解説します
DR
DRは「Dressing Room」の略となり、洗面脱衣室に使われます。
洗面室の場合はPR(パウダールーム)とも略されることもありますが、洗面室には図面に洗面台が描かれていることがほとんどなので、特に読めなくても困らないことが多い略記号ですw。
DEN
これは少し難しいですが、DENと書いて書斎や趣味室のことを指します。
DENを訳すと巣穴や隠れ家と言った意味になり、住宅業界では部屋と呼ぶにはちょっと狭いこもれるスペースで使われています。
そのため、書斎や趣味室など部屋未満のスペースでDENと表現されるケースが多いです。
RF
「RF」はロフト(小屋裏収納)の略になります。
ロフトだと雑貨のお店でお馴染みの「loft」となりそうですが、「Roof Floor」でRFという略になっているんですね。
住宅ではありませんが、立体駐車場などでは屋上階のことをRFと表現していることも多くあります。
→ロフトのある家って実際どうなの?100棟以上見てきた正解がコチラです。
ENT
「ENT」はエントランスの略で玄関という意味です。
Entrance(エントランス)だと長くなってしまうので最初の3文字が使ってENTとなっているんですね。
また、略さずに玄関とそのまま表記されていることも多くあります。
SB
「SB」はシューズボックスの略となります。
簡単に言うと玄関収納のことですね。
ちなみに、玄関収納にSBと書くと文字と線が重なってしまいどこが玄関収納か分かりにくくなってしまうこともあり、その場合はSBという文字は書かず四角い線だけで表現することも多くあります。
SC
「SC」と書いてシューズクロークと読みます。
シューズクロークとは玄関に付属した土間収納のこと。
SC以外ではSIC(シューズインクローゼット)と略すこともあります。
日本語で表現すると長くなり図面が見にくくなるので、SCやSICは図面でよく使われる記号です。
→シューズクロークで失敗しないために絶対に知っておきたい5つのこと
PH
「PH」はペントハウスと読み、屋上や屋上の出入り口として使われます。
そのため屋上付きの家ではPHと書かれたスペースがあるんですね。
また、先ほどお伝えしたように屋上はまれにRFと表現されることもあります。
Sto
「Sto」とはストレージの略で、収納の意味になります。
貯蔵室や納戸など、Stoは広めの収納に使われる事が多いです。
ただ、ストレージという表現は日常でもそこまで使わないので、結構レアな記号と言えます。
→パントリーを上手く使って収納上手に!メリット、デメリットと理想の収納方法
Void
「Void」とは吹き抜けのことを言います。
吹き抜けはVoidという表現の他に、どこからどこまでが吹き抜けか分かるように×印が描かれています。
ただ、Voidという表現も日常ではあまり使わないので、吹抜と表現されている事も多くあります。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
PS
「PS」とはパイプスペースの略になります。
PS(パイプスペース)って何と思われる方もいらっしゃると思いますが、例えば2階のトイレの排水を1階に流すパイプなど、配管が通っているスペースのことをPS(パイプスペース)と呼びます。
排水管はある程度の太さが必要なので、図面でPSと表現されるくらいのスペースが必要となるんですね。
DS
「DS」とはダクトスペース、またはデッドスペースがある時に使われます。
DS(ダクトスペース)はPS(パイプスペース)と同じように全館空調を採用している家など、空気を送るダクトを通すのに必要なスペースとなります。
また、デッドスペースとは言葉の通り何にも使えないスペースのことを言います。
あまり見ることはありませんが、間取りによっては部屋にも収納にもできないスペースがまれに発生する事があり、その場合デッドスペースと表現されます。
デッドスペースは無駄なスペースなので、DS(デッドスペース)はできれば見ないに越したことはない記号ですね。
R
「R」とは冷蔵庫置き場のことを指します。
また、冷蔵庫置き場はR以外にも「冷」と表現されているケースもあります。
W
洗濯機置き場のことをWと表現します。
冷蔵庫置き場と同じように洗濯機置場もW以外にも「洗」と表現します。
ちなみに、私は図面を描く時、RとかWは日常ではあまり使わないため図面を見た方が意味が分かりにくいので、図面には「冷」「洗」と書いています。
→洗濯機は縦型洗濯機?ドラム式洗濯機?あなたに合った洗濯機の選び方
H
「H」はホールの略記号になります。
たとえば、玄関ホールもHと表現することがありますし、2階の階段ホールなどもHと書かれていることがあります。
H=ホールというのは意外とイメージしにくいので、頭の片隅に覚えておくと、間取り図を見る時に役に立ってくれるんですね。
まとめ
今回は図面でよく見かけるアルファベットの略記号について見てきました。
図面で一番大切なのは見た人が分かりやすいこと。
文字で図面が一杯になってしまうと肝心の図面が見にくくなってしまうので、図面に略記号が使われています。
もちろん、全て覚える必要はありませんが、図面を見る時、特にあまり広いスペースが取れない収納の略記号(WICやCL、SC)を覚えていると、とてもスムーズに図面が見れるようになりますよ。
図面を見る場合は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。
では。
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→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
図面に書いてある略記号ってどんな意味?
- 図面が文字で見にくくならないよう、アルファベットの略記号が図面に使われている。
- 特にスペースが小さい収納の略記号を覚えておくと便利。