「東道路の土地」や「南道路の土地」など、道路の名前がついた土地の呼び名を聞いたことがあるという方も多いと思います。
土地の東側に道路が面しているので「東道路」、土地の南側に道路が面しているので「南道路」というように、道路の位置次第で土地の呼び名は変わってくるんですね。
また、土地の呼び名だけでなく道路の位置によって間取りの特徴というのもかなり変わってきます。
それだけ道路がどの位置に有るかというのは家づくりの中でも大きなポイントになってくるんですね。
今回はそんな土地の中でも「東道路」にスポットを当てながら、「東道路」のメリットやデメリット、間取りを見る時に知っておきたいポイントについて見ていきたいと思います。
東道路を検討されている方や、間取りが気になる方はぜひご覧ください。
東道路の土地のメリット、デメリット
それではまず、東道路の土地にはどのような特徴があって、どういうメリットとデメリットがあるかについて見てみましょう。
東道路の土地のメリット
東道路の土地のメリットを挙げるとすると
- 東側が道路なので朝日を浴びながら生活できる。
- 南面を広く取りやすく、プライバシー性の高い家になりやすい。
- 住宅街の場合は西日をカットできる。
この辺りが東道路の代表的なメリットとなります。
それでは具体的に見ていきましょう。
東道路の土地の一番のメリットは「朝日を浴びながら生活できる」ということです。
東側が道路で開けているので、家の中に朝の陽ざしが入りやすくなるんですね。
朝日を浴びるのは単純に気持ちいいものですが、それ以外にも体内時計がリセットされて体のリズムが整ったり、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が分泌されてストレスに強くったりポジティブになったりなど、日常生活でうれしい効果が期待できます。
特に朝日の入る子供部屋や、毎日光が入るダイニングで朝ごはんを食べるというのは子育て世代の方にとっても魅力ですね。
その他に考えられる東道路のメリットとしては、「南面を広く取りやすくプライバシー性の高い家にできる」というメリットもあります。
例えばよく見かける東道路の例を見てみると、下のような配置の間取りをよく見かけます。
南側のスペースを確保するために間取りは東西に長くなることが多く、その分だけ南面を広く取れるようになるんですね。
さらには1階のLDKだけでなく、2階の寝室や子供部屋も南側に配置しやすくなります。
また、道路がある東側の窓を高い位置に配置するなど、道路から家の中があまり見えないようにすることでプライバシー性の高い家にできるというメリットもあります。
LDKが道路から見えにくくなるのでプライバシー性が高くなるんですね。
やはりいくら光が入る明るい家と言っても、道路から丸見えだと落ち着かない家になってしまいます。
東道路の土地の間取りはある程度プライバシー性を保ちつつ、光も入りやすいバランスの取れた間取りになりやすいというのも魅力の1つなんですね。
その他、住宅街の場合は西日が家に入りづらいというメリットもあります。
西日は太陽の角度が低いので家の中に入ってきやすく、特に夏場の暑い時期は西日は避けたいものです。
そんな西日も東道路の土地の場合は西側に家が建つケースが多いので自然と西日をカットしやすくなるんですね。
このように積極的に家の中に取り入れたい朝日は家の中に入れつつ、できるだけカットしたい西日は家の中に入りにくいというのも東道路の土地の魅力です。
東道路の土地のデメリット
それでは次に東道路の土地のデメリットについて見てみましょう。
東道路の代表的なデメリットとしては、
- 午後の光が入りにくい。
- 車が縦列駐車となり、庭と駐車場が一緒になってしまうケースがある。
この辺りが東道路のデメリットとなります。
それでは1つずつ見ていきましょう。
まず、東道路の土地の場合、敷地条件によっては午後の光が入りにくいというケースも出てきます。
特に南側すぐにお隣の家が建っている場合などはお隣の家の影になってしまうため、午後の光が期待できなくなってしまうんですね。
それでは、お隣の家とどれくらい離れていれば家の中に陽の光が入るのでしょうか?
一例として東京のお昼12時の光の入り方を、太陽が一番高い「夏至」、中間期の「春分、秋分」、一番太陽が一番低い「冬至」で比べてみたいと思います。
窓が真南に向いている時、お隣の家と太陽の高さが重ならなければ日当たりのよい部屋になるという訳ですね。
お隣の家の高さを「6m」、お隣の家との距離が「5m」空いているとすると、夏至の時期の日当たりは下のようになります。
太陽の角度が高いので全く問題なく陽の光が入ってくるのが分かりますね。
それでは春分、秋分の日はどうでしょうか?
こちらも問題なく陽の光が入ってくるのが分かりますね。
ただ、お隣の家がもう少し高さがある場合は陽の当たらないケースも出てきそうです。
それでは最後に冬至の日当たりを見てみましょう。
太陽の角度が低いので1階部分はお隣の家の影になることが分かりますね。
そのため陽の光を入れるためにはもう少し南側のスペースを確保するか、吹き抜けを作るなどの対策が必要となってきます。
たとえば吹き抜けを作るとこんな感じですね。
家の奥まった位置に光が入るようになるのが分かります。
このように東道路の土地の場合、南側のスペースをどれだけ確保できるかで午後の光というのはかなり変わってくるんですね。
そのため、東道路で陽の光が入る明るい家を目指す場合は敷地条件を見ながら間取りを工夫する必要が出てきます。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
また、東道路の土地の場合、南側スペースを確保するために駐車場と庭が一体になってしまったり、車を縦列駐車にするというケースもよくあります。
先ほど見た間取りもそうですね。
そのため庭をしっかり確保したい場合や縦列駐車を避けたい場合は、1台は道路に平行に車を止めるなどの方法も検討するなど、家の形や配置というのも重要になってきます。
東道路の間取りのポイント
それでは次に、東道路の間取りのポイントについて見ていきましょう。
まず、南道路の間取りを見る時に確認しておきたいのが玄関の位置について。
敷地がかなり広いなど日当たりの条件がとても良い場合は玄関の位置はそれほど気にする必要はありませんが、一般的な東道路の土地の場合は北側〜真ん中付近にかけて玄関を配置することになります。
こんな感じですね。
基本的に間取りは東西に長く配置して南面を広く取り、北側に玄関を作って南面をLDKなどに有効活用するのが東道路の間取りの定石となってきます。
光が入りやすい南面にLDKなど生活空間を上手く配置できているかが重要になってくるんですね。
特に東道路の場合は南東側が一番条件の良い場所になるので、南東側を活かした間取りになっているかは必ずチェックしておきたいポイントです。
また、東道路の場合は東側の光を積極的に取り込みたいので東側に収納などを配置して東側が閉じた間取りにならないように注意しておきたいですね。
家の前が人通りの多い道路の場合でも窓を無くすのではなく、家の中があまり見えないように高窓にするなど窓の種類で工夫をするのも効果的です。
一方、先ほど出てきたように南側にあまりスペースが取れない場合も出てきます。
そのような場合、吹き抜けなどで光を入れるのも有効な手段になってきます。
吹き抜けを作る場合は家の中央付近に吹き抜け作ると家の中に満遍なく光を入れることができますが、間取りや要望のバランスによって吹き抜けの位置は変わってくるため、光が入るかどうかの視点で吹き抜けを見ておきたいですね。
さらには南側に3階建ての家が建っていたり南側のスペースが取れない場合は2階リビングも候補に入れてみるの効果的です。
→2階リビングのメリット、デメリットをプロの建築士がまとめました【絶対保存版】
その他、東道路の土地の場合、東から入る光をより有効活用する間取りにするのも効果的です。
たとえばこのような感じですね。
光が確実に入る東面を広く取り、東側から安定した光を家の中に取り入れるという方法です。
東道路の土地ならではの光が入る東側を積極的に使った間取りにするという訳ですね。
間口が広い土地の場合はこのような間取りにしてしまうことで車も道路に並行して止められるようになるというメリットも期待できます。
→間口(まぐち)って何?間口によって建てる家は変わってきます
その他、間取りで少し遊ぶ場合はこのような間取りも考えられます。
玄関を広い土間にしてしまい、LDKと一体で使えるスペースにしてしまうという方法です。
明るい土間になりますし、その光をLDK内に取り込めるというのもメリットと言えます。
また、土間は通り土間にするのもいいですし土間の北側は土間収納にするなど間取りをアレンジするのもいいですね。
このように広い土間を作るというのも東道路の間取りでは効果的です。
→広い玄関土間のある家ってどうなの?土間の使い方と3つの注意点
ここまでシンプルな四角い形の間取りを見てきましたが、敷地に余裕があれば玄関だけ独立させて作るという方法もあります。
こんな感じですね。
玄関だけ別に作ることで間取りの選択肢というのはグッと増えてきますし、何より玄関だけ出すことで外観のアクセントになり、家の外観というのもかなり良くなってきます。
総二階だと外観が比較的寂しくなりがちですが、家の一部を出すことで外観にメリハリがつくようになるんですね。
特に東道路の間取りの場合は玄関に手を加えると効果的です。
それでは最後に、広い東道路の敷地の場合の間取りについて見てみましょう。
これまでは玄関は敷地の北側〜真ん中にかけて配置することがほとんどでしたが、敷地が広くなると玄関の位置の重要度というのも下がってきます。
よほど変わった間取りでない限り明るさを確保できるので、玄関の位置を自由に配置しても明るさへの影響が出なくなるからなんですね。
そのため南側に玄関を配置した間取りというのも魅力的な間取りになってきます。
ちなみに南側に玄関を配置するとこのような感じになります。
玄関を南側に配置することで明るい玄関になるというのはやはり魅力ですね。
南側に玄関がある場合、宅配便などの来訪者の人から庭の中が見えてしまうこともあるので、駐車スペースと庭スペースを明確に分けるようにしておくとよりプライベートな庭にすることができます。
まとめ
今回は東道路の土地に間取りを作る場合、どのような点に気をつければ良いか見てきました。
東道路の敷地というのは東側に道路が有るので朝日をたっぷり浴びれるというのが最大の魅力になります。
また、LDKなどの生活空間にどれだけ光が入るようにするかも東道路の間取りのポイントになってくるんですね。
今回ご紹介した特徴を知っておくことで東道路の間取りを見る時の判断材料になりますし、東道路で満足いく家を建てやすくなります。
東道路の土地を検討されている方や、東道路の土地で間取りの打ち合わせ中という方は、今回の内容をぜひ参考にしてみてくださいね。
では。
間取りについてはこちらも参考にしてください。
→一軒家の間取りで失敗しないために気をつけたい7つチェックポイント
→リビングの間取りを見る前に知っておきたい!代表的なリビングの間取り5選
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
建築士が教える今日の問題解決
東道路の間取りは何に気をつければいい?
- 東道路の間取りでは玄関は北側から中心付近にかけて配置するのが基本となる。
- 南側のスペースがあまり取れない場合、吹き抜けを設けたり2階リビングにするのも効果的。