家づくりをする時、かなり郊外の土地でない限り、周りに家が建っていたり人通りのある土地に家を建てることになります。
また、たとえ郊外で家を建てる時なんかでも、最近は林や田畑を開発して家を建てることが増えたので、周りには家が建っているということも良くあります。
そんな敷地のまわりに家が建っている時や道路の人通りが多い場合に気をつけたいのが、周りの家や道路からの視線です。
今あなたがお住まいの家でも、家の中が丸見えにならないように窓にはカーテンなど目隠しするものを付けているのではないでしょうか。
やはり家の中が丸見えだと落ち着かないですね。
さらに場合によっては隣人トラブルにも発展しないとも限りません。
そこで今回は、家を建てる時に知っておきたい、周りからの視線を効果的にコントロールする方法についてお伝えしたいと思います。
周りの視線って意外と気になります
まず、南道路の土地と言うと、あなたはどういうイメージを持たれますか?
南側が道路なので日当りが良さそうというイメージを持っている方も多いと思います。
また、南道路は人気なので価格も他の道路付けの土地(北道路の敷地など)と比べると、高い傾向があります。
そして日当りがいいので南側に大きな窓を付けて、その先に庭が広がったりしていると開放的で気持ち良いものです。
ただ、開放感を得るのと同時に気をつけないといけないのが、道路からの人の視線や目線。
特に人の通りが多い道路沿いだと、「カーテンや窓を開けると家の中が丸見えなので何だか落ち着かない」なんてことにもなりかねないんですね。
そうなってしまうと、何のために大きな窓を付けたのか分からなくなってしまいます。
また、家の窓の真正面にお隣の窓がある場合というのも、窓やカーテンを開けにくい原因となります。
お隣さんもあまり開けない窓だったり、使わない部屋の窓の場合はまだ良いですが、リビングなどいつもお隣さんの誰かがいる窓と向かい合っていると窓を開けづらくなりますし、お隣さんも窓を開けるのに気を使ってしまうという、せっかくの窓の意味が無くなってしまうという1番避けたい事態が起こってしまいます。
反対に、隣に家が建ったと思ったら、家の窓の真正面にお隣の窓がきていた・・。
こんなのはイヤですね。
では、このような事態を避けるためにはどうすればいいでしょうか?
具体的な例を見ていきましょう。
窓の位置、高さに配慮する
まず、1番最初に考えたいのが窓の位置や設置する高さを調整するという方法です。
窓がお隣の家の真正面、いわゆる「こんにちは状態」にならないようにするんですね。
そうすることで、窓を開けてもお隣さんと目が合うと言うことはかなり避けることができるようになります。
そのため、家の建てる場合はお隣の窓がどこにあるのか図面にも入れておくのが基本となります。
(お隣の窓の位置が入ってない図面も意外と多いので、その場合は窓の位置が被っていないか、またお互いの家の中が見えないかは必ず確認してみてくださいね)
また、近くに窓がある場合は高さを変えて窓を配置することで視線も外すことができますし、道路に人通りがある場合も目線の高さとズラした高さに窓を配置することで視線をカットすることができます。
また、窓の開き方に特徴がある横すべり出し窓や縦すべり窓を上手く使うことで、近隣の視線をカットすることも可能です。
型ガラスにしておけば、少し窓を開けてもガラスが視線を上手くカットしてくれるんですね。
特に縦すべり窓は開き勝手によって家の中が見えるかどうかが違ってくるので、家の中が丸見えになる開き勝手にならないようにすると効果大です。
窓を配置するときは、必ずお隣の家の窓の位置を把握。
そして、近隣の窓や歩く人の視線と上手くかぶらないように窓を工夫する。
まずはコレが視線をカットするための基本となります。
目隠しをつくる
先ほど窓の配置や高さを調整して、お隣の視線をカットする方法をご紹介しましたが、その方法も万能と言う訳ではありません。
家同士が近い場合は効果的ですが、家が離れると窓で視線を調整するのは難しくなってくるんですね。
離れれば離れるほど、見える視野が広くなってくるのが大きな原因です。
その場合、次に考えるのが目隠しを作る方法です。
目隠しを作る方法はいくつかあります。
例えば、目隠しフェンスを作る方法なんかは1番オーソドックスな方法です。
家の中が程よく見えないくらいの高さのフェンスをつくってあげれば、周りからの視線はかなりカットできます。
特に低い場所からの視線、例えば道路を歩いている人からの視線などは目隠しをつくることでほとんどカットすることも可能です。
目隠しフェンスを作る場合、できれば見た目にもある程度こだわった目隠しフェンスをつくると、家全体の見た目も上がりますし、家から外を見たときの見た目もよくなります。
また、目隠しを作る場合、目隠しフェンスだけでなく植栽を植えてあげることでも、目隠しと同じような効果を上げることができます。
昔からある生け垣なんかも、目隠しとして効果的ですね。
ただ、今は和風の家が減ったこともあり生け垣をつくる家というのはあまり無いので、低いフェンス+植栽で目隠しをつくると、いろんな外観の家にもよく合うのでオススメです。
目隠しを作る場合の注意点として、フェンスの高さをかなり高くしたりフェンスの距離が長いと、かなりの費用がかかってしまうという点です。
家が完成後に目隠しを作ろうとして予算が足りないなんてことになってしまうと大変なので、あらかじめどれくらい予算が必要か把握しておきたいですね。
また、目隠しで壁をつくってしまうと視線をカットできますが、風通しも悪くなってしまうので、少し隙間を空けて空気がこもらないようにするのもポイントです。
下の画像のように互い違いにルーバーを貼ることで、風通しを確保するのも有効ですね。
植栽をメインに目隠しする場合、植栽は落葉樹を植えてしまうと夏場はいいですが、冬は枝だけになって目隠しの効果がほとんどなくなってしまうので、外構工事の時に目隠しの植栽であることを伝えておくと失敗が無くなります。
→おすすめのシンボルツリー17選と、シンボルツリーを植える時のポイント
その他、目隠し塀の場合は作り方でどれくらい目隠しするかが変わってきます。
Photo:https://www.hisatomo-p.com/
たとえば格子状にする場合、縦格子と横格子でも見え方は違ってきますし、格子のピッチをどれくらいにするか、また角度を少しつけるだけでも目隠し具合は違ってくるんですね。
そのため、「目隠し塀」の一言で終わるのではなく、どれくらい外が見える目隠しなのかを確認しておくことも大切なポイントです。
また、家の壁をうまく使って目隠しをする方法というのもあります。
壁をうまく使うことで目隠しにもなりますし、家の外観のアクセントにもできるので、うまく組み合わせることで相乗効果が期待できます。
ちなみに壁で目隠しする場合、台風などの強風にも備えて風の逃げ道というのも確保しておけるとベストです。
家を斜めに配置する
回りの視線をコントロールする方法として窓と目隠しについて見てきましたが、その2つでも対応しきれない場合があります。
家の正面に窓がかなり多くあって目隠しフェンスで対応しきれない場合や、高い位置からの視線がある場合です。
そのような場合、庭が見えてしまうのは仕方ありませんが、家の中が丸見えという事態や常にカーテンを開けられないというのは避けたいですよね。
そんな窓とフェンスで対応しきれない場合、家を斜めに配置する方法というのもあります。
家を道路に対して平行ではなくて、角度をつけて配置するという訳ですね。
斜めに家を配置するというとあまりピンとこないこともあるかもしれませんが、工務店によっては敷地に対して斜めに配置するのが基本という会社さんもあるくらいで、実は意外と使える方法なんです。
家を斜めに配置するメリットとして、お隣と窓が正面にぶつかることがほとんど無くなるので、家の中がお隣から丸見えというのは避けることができますし、家の四方にできる斜めの庭がお隣との緩衝帯としての役割を果たしてくれるようになります。
付かず離れずという感じですね。
また、家を斜めに配置するのはちょっと抵抗があるという方には、リビングなどお隣の家が正面にあると気になる部分だけ斜め壁にしてあげるという方法もあります。
斜め壁にするだけでもお隣の家の窓が正面の位置から外れるので、家の中がお隣から丸見えというのはかなり避けることができるようになりますよ。
家だけでなく、敷地全体を使って視線をコントロールする訳なんですね。
家の全体を斜めにするのは多少勇気が入りますが、一部を斜めにするのはお手軽な手法なので視線をコントロールするのにお勧めの方法と言えます。
2階リビングにする
リビングを2階に配置する2階リビング。
この2階リビングも、視線をコントロールするのに有効な方法です。
2階にリビングがあるので道路からの視線が気にならないという点はやはり大きな魅力となります。
特に、人通りの多い道路に面していたり、庭がほとんど取れずにすぐ目の前がお隣の家という場合は、2階リビングにすることでかなり周りの視線から解放されるようになるんですね。
2階リビングに広いバルコニーも付けてある程度目隠しできるようにしてあげれば、周りをほとんど気にすることがないプライベートな空間も造ることができます。
視線を気にせずにリビングを楽しみたい場合は、2階リビングを検討してみるのもいいですね。
まとめ
今回は落ち着く家にするために、周りの視線をどのようにしてカットすればいいかお伝えしました。
やはり家の中が丸見えの家はちょっとイヤですよね。
でも実は、周りの視線を全く考慮していない家というのはかなりあります。
間取りを見た時に「窓が大きくて明るそう」と思う以外に、その分外から見える可能性があるのも意識していたいですね。
家が出来てから丸見えで後悔しないためにも、また間取りの打合せの時に「まわりの視線をどのようにして対応しているのか」、また「目隠しが必要なのか」、それともレースのカーテンやブラインドを常に使う明かり取り用の窓なのかは必ず確認してくださいね。
では。
外構についてはこちらも参考にしてください。
→おすすめのシンボルツリー17選と、シンボルツリーを植える時のポイント
窓についてはこちらもご覧ください。
→サッシの色は何色にすればいい?色を選ぶ時のポイントと注意点をご紹介します
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
近隣の視線をコントロールするにはどうすればいい?
- 窓の配置や種類を工夫することで、お隣の窓と合わないようにする。
- 目隠しフェンスをつくって視線をカットする。
- 家の配置を斜めにして、窓が正面に合わないようにする。
- 2階リビングにすると、周りの視線が気になりにくい。