「ビルトインガレージのある家を検討しているんですが、ビルトインガレージの注意点について記事にしてくれないでしょうか?」
このような質問を読者の方からいただきました。
ビルトインガレージのある家というのは家の内部に駐車スペースを設けた家の事で、ビルトインガレージはビルトインガレージという呼び名の他にインナーガレージとも呼ばれることがあります。
そしてビルトインガレージはただ車を止めるスペースとしてだけでなく、家の一部がガレージになっているというのが他の駐車スペースとの大きな違いになります。
では、そんなビルトインガレージは実際の使い勝手はどうなのでしょうか?
また、質問をいただいた読者さんのようにビルトインガレージを作るには何に注意すれば良いのでしょうか?
今回は、このビルトインガレージのメリットとデメリットなどの特徴を踏まえながらビルトインガレージを作る時の注意点について見ていきたいと思います。
ビルトインガレージが気になる方はぜひご覧ください。
ビルトインガレージを作る3つの理由
それではまず、ビルトインガレージを作る理由から見ていきましょう。
ビルトインガレージを作る理由としては、
- 愛車やバイクを家の中から鑑賞したり、大人の秘密基地のようにガレージで車やバイクをいじったり、車を楽しむためのスペースとして使いたい。
- 車を家の中に駐車することで雨風などから車を守り、また防犯対策としてビルトインガレージにしたい。
- 敷地に駐車スペースが取れないためにビルトインガレージにしたい。
以上の3つがビルトインガレージを作る大きな理由となります。
では、1つずつ見てみましょう。
ビルトインガレージを作る理由として多いのが、車を楽しむためのスペースにしたいということ。
家の中に車を止めるということは、使い方次第でガレージを家の一部として使うことができるんですね。
例えば車が好きで家の中から車を眺めたい場合なんかでは駐車場に大きなガラスをつけてリビングや寝室から車を眺める家にすることもできますし、ビルトインガレージにちょっとした作業スペースやロフトなどを設ければ大人の秘密基地のようにビルトインガレージを使うこともできます。
→ロフトのある家って実際どうなの?100棟以上見てきた正解がコチラです。
また、ビルトインガレージにソファなどを置いてガレージとは思えないくらいリラックスできる空間にしてしまうのも有りです。
Photo:https://www.com-haus.net/work/028/
ビルトインガレージは使い方やアイデア次第で、車を楽しめるだけでなく、趣味の空間として使ったり、生活空間の一部として使うことも可能になるんですね。
次に、ビルトインガレージにすることで車の上には屋根が付くようになるので雨や風から車を守りやすくなります。
例えばこのような形状のビルトインガレージにすれば雨風を凌ぐだけでなく、ガレージが家と一体になるので見た目も綺麗に見えるようになります。
Photo:https://www.vegahouse.biz/blog/190628/
さらにはシャッターを設けて家の中に車を収納できるようにすれば防犯面でも安心なガレージにすることができるようになります。
雨や雪が多い地域であれば、玄関などから雨に濡れず直接車に乗れるようにするのも良いですね。
このようにビルトインガレージにすることで車の乗り降りが楽になったり、車を守ることができるようになります。
ビルトインガレージを作る最後の理由が敷地に駐車スペースを取るのが難しいために、ビルトインガレージにするというケース。
車の駐車スペースを確保すると家を建てる面積が小さくなってしまうので、ビルトインガレージにして敷地を有効活用するという場合ですね。
Photo:https://www.vegahouse.biz/blog/190628/
このようなビルトインガレージは特に土地の価格が高い都市部でよく見られます。
以上の3つがビルトインガレージを作る主な理由になりますが、ひとことでビルトインガレージと言っても作る理由は様々なんですね。
では次に、ビルトインガレージの具体的なメリット、デメリットについて見ていきましょう。
ビルトインガレージのメリット
ビルトインガレージの具体的なメリットとしては、
- 敷地を有効活用できる。
- 雨風から車を守り、シャッターを付けることで車の防犯対策にもなる。
- 趣味のスペースとして使うことができる。
- 玄関とビルトインガレージをつなげれば雨に濡れずに車に乗り降りできる。
- 駐車スペースを家に取り込めるので外観が整いやすい。
- 車を移動させれば、雨や日差しの影響を受けないスペースとして使える。
このようなメリットが挙げられます。
敷地の有効活用や車の防犯対策、趣味のスペースとして使うというのはビルトインガレージを作る理由でも出てきましたね。
やはり上記の3つは家の中にガレージを取り込むビルトインガレージならではの大きなメリットと言えます。
その他では雨に濡れずに車に乗り降りできるというのもビルトインガレージのメリットになります。
ただ、これはビルトインガレージを作れば必ず雨に濡れずに車に乗り降りできるという訳ではなく、玄関とビルトインガレージが繋がっていたり、家の中からビルトインガレージに行けるように動線を作る必要が出てきます。
→その間取りは動線が考えられていますか?家の間取りと動線について
そのため、場合によってはビルトインガレージではなく玄関近くに別にカーポートを作った方が雨に濡れずに車に乗り降りしやすいケースなどもあるので、雨に濡れずに車に乗り降りしたいと言う場合はビルトインガレージとカーポート、どちらが良いか敷地の大きさ、要望、予算などのバランスを見ながらどちらか選択したいですね。
一方、ビルトインガレージとカーポートを比べると、やはりビルトインガレージにした方が家の外観が綺麗にまとまりやすいというのはビルトインガレージのメリットになります。
建物とガレージを一緒にデザインできるので、家の外観がまとまりやすいんですね。
また、車を動かすとビルトインガレージがちょっとしたアウトドアスペースとして使えると言うのもビルトインガレージのメリットです。
ビルトインガレージで日差しを遮りながらバーベキューをしたりお子さんがプールで遊んだりなど、天候を気にせず外を使えるというのは意外と便利で、ビルトインガレージの隠れたメリットなんですね。
ビルトインガレージのデメリット
では、次にビルトインガレージのデメリットを見てみましょう。
ビルトインガレージのデメリットを挙げるとすると、
- 費用が意外と掛かる。(カーポートを作るよりも割高です)
- 構造上、強度の強い家を作りにくい。
- 間取りの配置がある程度限られてくる。
この辺りがビルトインガレージのデメリットになってきます。
まず、ビルトインガレージを作る場合、意外と費用が掛かってきます。
ガレージを家の中に取り込むのでその分だけ外壁の面積や駐車スペース部分のコンクリート、基礎などの費用が掛かってきますし、ビルトインガレージにシャッターを付けるのもコストアップの要因となってきます。(シャッターは手動、電動でかなり金額も違ってきますが、シャッターの開け閉めの際に車の乗り降りが必要になることを考えると電動がやはり便利です)
さらにはビルトインガレージの造りにこだわると金額はかなりの勢いで膨らんでいきます。
その結果、「男の夢」 VS 「現実を見る奥さん」という構図を見るケースもよく有ります。
(だいたい、お互いの妥協点でまとまりますが)
また、ビルトインガレージはお世辞にも強い構造とは言えません。
たとえば木造住宅の場合、あまり大きな大空間をつくるのは難しいですし(特殊なフレームを使えばある程度可能です)、特に間口が狭い家の場合は「耐力壁」という家を支える壁を確保するのが難しく構造上バランスの悪い家になりやすいので注意が必要です。(地震の時によく揺れたという話も聞きます)
→間口(まぐち)って何?間口によって建てる家は変わってきます
さらには、1階部分にガレージが来るので、間取りの配置がある程度限られてしまいます。
広い敷地の場合は問題はありませんが、そうではない場合は1階で部屋として使える場所が限られてしまうため、場合によってはリビングを上の階にもっていくとか、水まわりを2階に上げるなど、柔軟な対応が必要となるんですね。
それでは、以上のようなビルトインガレージのメリット、デメリットを踏まえた上で、ビルトインガレージをつくる時の注意点について見てみましょう。
ビルトインガレージを作る時に気をつけたいこと
ビルトインガレージを楽しむためにつくる場合、その用途によって造り方や注意点が変わってきます。
それでは具体例を挙げながら詳しく見ていきましょう。
愛車を家から鑑賞する場合
家の中から愛車を眺める。
車が大好きな人にとっては、家の中から車を眺めて生活できるというのは憧れですよね。
そんな愛車を鑑賞するような家をつくる場合、ビルトインガレージを如何に見せるか、またビルトインガレージを楽しめるだけの大きな窓が必要になってきます。
車が見えればどの場所でも良いのか、または横から見るのが好きなのか、上から眺めたいかなど、車の魅せ方というのは色んな方法が考えれらるので、まずはどういう見え方にしたいのかというのが重要になるんですね。
さらに、どの部屋から愛車が見たいのかも大切な要素です。
LDKか寝室から愛車を見たいというケースが大半ですが、部屋とビルトインガレージが隣り合っている必要があるので、広い敷地でない場合はリビングから愛車を眺めるのではなく、寝室から愛車を眺めるなど調整が必要となる場合もあります。
この辺りは敷地の広さと相談しながら柔軟に対応すると、間取りの可能性はグッと広がっていきます。
ちょっと変わった愛車を眺める家なんかでは、愛車を電気自動車にして(電気自動車は排気ガスが発生しないので)リビングと同じ空間に車を置くなんていう大胆なビルトインガレージなんかもあります。
ビルトインガレージを秘密基地のように使いたい場合
Photo:https://www.hinokiya.jp/lp/garage/
ビルトインガレージは愛車やバイクの整備をしたり、いろんな工具や趣味の物を置いて大人の秘密基地のように使う事もできます。
なんだか、所ジョージさんとかが似合いそうな感じですね。
凝ったビルトインガレージだと、ガレージの上にロフトをつくって秘密基地スペースに。ロフトから降りたら愛車の作業スペースに。なんて使い方をしている人もいます。
この場合のポイントは、「どんな感じでビルトインガレージを楽しみたいのか」でビルトインガレージのつくり方が違ってくる事です。
秘密基地であれば、小さくて良いので秘密基地のようにつかえる落ち着いたスペースが欲しいですし、ガンガン作業をしたいのであれば、それに耐えれるだけのコンクリート土間の強さや天井の補強も必要です。
中にはジャッキアップ用に床を掘り下げる猛者の方もいます。
趣味でビルトインガレージをつくる時のアドバイスとして、ガレージにいる時間が長いならエアコンを設置して夏と冬でもできるだけ快適にするという方法も結構効果的です。(冷暖房の効率はあまり良く無いですが、作業はグッと楽になりますし居心地も快適です)
車の駐車スペースとして使う場合
ビルトインガレージに車を止める場合、シャッターを付けるのか、それともシャッターを付けないのかで大きく変わってきます。
例えば、ガレージの中を趣味空間にしたりして楽しむ場合はシャッターは必須となります。
ビルトインガレージのシャッターが無いと外から丸見えで落ち着かないですし、工具だけでなく家具などを置いてもシャッターがあれば盗難に合うことは無くなるからなんですね。
また、車の防犯性を重視する場合もシャッターを付けることになります。
そんなビルトインガレージのシャッターですが、ひとことでガレージのシャッターと言ってもイロイロ有り、手動で開け閉めするシャッターや電動シャッター。素材もアルミ製から木製など様々な種類のシャッターがあります。(シャッター専門業者もいるくらいです。シャッターは物によって値段の違いが大きいという特徴もあります)
また、ビルトインガレージにシャッターを付けた場合、ビルトインガレージ内では換気にも注意が必要です。
エンジンを掛けると排気ガスが出るので、排気ガスが溜まらないように空気の逃げ道をつくるのが重要となってくるんですね。
たまにシャッターを開け放しにするなど換気する場合は問題ありませんが、防犯のためシャッターを閉めていることがほとんどという場合は人が通れないくらいのスリットを設けたり、趣味部屋や作業部屋としても使う場合は排気ガス対策として換気扇や窓を付けるなどの方法が考えられます。
他にはビルトインガレージにシャッターをつけるとガレージの中はかなり暗くなりますし、家の中まで外の明かりが届かないようになります。
そのため、ビルトインガレージに面している部屋は明かり対策が必要になりますし、ガレージ内で作業をする場合は暗くならないように照明はしっかり取り付けておきたいですし、車を家の中から眺める場合も間接照明やスポットライトを使って車がより綺麗に見えるようにしたいですね。
駐車スペースが取れないからビルトインガレージにするケース
都市部の3階建てなど、駐車スペースを確保するためにビルトインガレージにすることはよくあります。
また、家の中に完全に収まるビルトインガレージではなく、家の一部を削ってちょっとしたインナーガレージのようにしている家も都市部ではよく見かけます。
そして、敷地に駐車スペースが取れないためにビルトインガレージにする場合は、シャッターを付ける事がほとんど無いのも特徴です。(敷地を最大限活かすため)
このように敷地に駐車スペースが取れないためにビルトインガレージにする場合、先ほどの楽しむためのビルトインガレージとは意味合いが大きく違い、車を敷地の中に置けるようにする事が目的となります。
そしてビルトインガレージのスペースを大きく取ると家で使えるスペースも減ってしまうため、家とガレージのバランスをどう取るのか。
場合によっては駐車スペースは最低限なんて事もよくあります。
ただ、駐車スペースがあまり狭いのはおススメしません。
ビルトインガレージの場合、車を壁にぶつけてしまうと家の構造に大きなダメージを与えてしまう可能性が高くなってしまうからなんですね。
ですので、駐車がストレスになるかどうかはしっかり考えた方が良く、ビルトインガレージにする場合は多少余裕をもった駐車スペースを取る方が無難です。
そして、将来も含めてどのくらいのサイズの車を止めることが有るのか、また車を止めた時に車以外にどれだけスペースが残るかどうかは必ず確認しておいてくださいね。
また、狭い土地の場合は自転車を置く場所も無い場合があるので、自転車を置く場合は自転車置き場にも配慮が必要です。
その他、敷地に駐車場が取れないからビルトインガレージにする場合は、本当にビルトインガレージにしないと車が入らないかどうかしっかり検討してからビルトインガレージをつくるのをおススメします。
ビルトインガレージは壁に囲まれてしまうため、車を止められる場所が意外に少なくなってしまうのがその理由です。
一般的な駐車スペースは軽自動車で「2m×4m」、大型車で「2.5m×5m」確保することがほとんどですが、これは壁に囲まれていないスペースに駐車する場合の広さで、壁に囲まれた場合は最低でも50㎝は余裕をみておきたいですね。
このようにビルトインガレージは車を止める時に意外とスペースが必要で、実はビルトインガレージにしない方が車が止めやすかったなんて事もあります。
敷地が狭い場合であっても、必ずしもビルトインガレージをつくる事が正解では無いといケースもあるという事なんですね。
どうしても迷った場合、ビルトインガレージがある場合とない場合の間取りを見比べてみるのも、後々後悔しないための重要なポイントとなってきます。
まとめ
今回はビルトインガレージ(インナーガレージ)について詳しく見てきました。
ビルトインガレージはただ車を雨風から守るためだけでなく、車を楽しむ用途としても使えます。
ビルトインガレージを作るなら、そこでやりたいことが実現できるのかどうか。
ビルトインガレージに車を置くためなら、本当にビルトインガレージでないとダメなのかどうかをしっかり検討すると、家づくりが失敗する可能性がグンと減ります。
最後に、ビルトインガレージをつくるならビルトインガレージが得意な工務店を選ぶのも重要なポイントです。
何のためのビルトインガレージなのかしっかり考えて、ぜひあなたに合ったカッコいいビルトインガレージをつくってくださいね!
では。
車の駐車はこちらも参考にしてください
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
ビルトインガレージって何?
- ビルトインガレージは家の内部に駐車スペースを設けた家の事。
- ビルトインガレージには「楽しむガレージ」と「車を止めるためのガレージ」の2種類ある。
ビルトインガレージのメリット
- 車を雨や風、盗難から守る事ができる。
- 敷地を有効活用できる。
- 車を楽しめるような家をつくれる。
- 雨に濡れず車に乗り降りできる。
- カーポートを作るよりも外観が整いやすい。
- ビルトインガレージをアウトドアスペースとしても使うことができる。
ビルトインガレージのデメリット
- ビルトインがレージにするにはお金がかかる。
- 構造上の制約が出やすい。
- 土地が広くないと、1階に広い部屋を持ってくるのが難しい。