「ハイサイドライトを付ける予定なのですが、あまりカッコよく無くてなかなか思うような部屋になりません。ハイサイドライトを上手く付ける方法があれば教えてもらえないでしょうか?」
このような質問を読者の方からもらいました。
ハイサイドライトとは別名で「高窓」とも呼ばれ、部屋の高い位置に付けた窓のことをハイサイドライトと言います。
ハイサイドライトは窓を高い位置に付けることでメリットも大きくなるのですが、その分だけ使い方も難しい窓で、読者さんのようにイマイチ上手く窓が付かないというケースもよく見られます。
では、ハイサイドライトを付ける場合はどの部分を意識するといいのでしょうか?
今回はハイサイドライトの効果的な使い方について見ていきたいと思います。
家の窓が気になる方はぜひご覧ください。
トップライトとハイサイドライトの違いって何?
ハイサイドライトに付いて詳しく見ていく前に、まずはトップライトとハイサイドライトの違いについて見ていきましょう。
どちらも言葉のひびきが「高い位置にある窓」というようなひびきなので、同じような意味で使ってしまうことがあるんですね。
でも、トップライトとは屋根についた窓のことで、ハイサイドライトは壁の高い位置についた窓となるので、実際には意味合いは結構違ってきます。
たとえばトップライトを家に付けると下のような感じになります。
Photo:https://alumi.st-grp.co.jp/products/window/starfullv/index.html
天井に窓が付いている感じになるんですね。
一方、ハイサイドライトを付けるとこのような感じに。
出展:設計事務所アーキプレイス
家の中の印象がだいぶ違うのが分かりますね。
トップライトの方が光が強く、ハイサイドライトの方が柔らかい光になっていることが分かります。
これは、トップライトの方が直接光が入りやすいというのが大きな要因です。
ただ、光が入りやすいという事は、その分だけ色んな影響が出やすいということになります。
窓の効果としては「光を入れて家の中を明るくしてくれる」という効果と「家の中に太陽の熱を入れる」という効果がありますが、トップライトで特に気をつけたいのは「太陽の熱」について。
たとえば、南向きの屋根にトップライトをつけた場合、トップライトを通して家の中に太陽の熱が直に入ってくるようになります。
そうなるとトップライトがあることで部屋がどんどん暑くなっていき、トップライトの真下というのは暑くてジッとしていられないくらい暑くなるなんて事が起こってしまうんですね。
そうならないよう、トップライトを付ける場合は屋根の向きというのがとても大切になり、基本的には北向きの屋根以外はトップライトは避けた方が無難ですし、家の中でもソファやダイニングテーブルなど人がいつもいる場所は避けて配置するのが基本となります。
また、トップライトで気を付けたいのが雨漏れについて。
トップライト自体は雨漏れしにくい作りになっていますし工事の際にも雨が入らないように工事をしますが、屋根は家の中でも雨風や紫外線が当たる過酷な環境です。
その結果、どうしても雨漏れの可能性というのは高くなってしまうんですね。
そのため、トップライトはどうしても使う必要がある場合は仕方ないですが、安易に付けるのではなく他に代替案が有るかどうか検討してみるのが後悔しない家づくりにするためにはとても大切になります。
では、光が入りにくい場所はどうすればいいのでしょうか?
そんな時に役立つのがハイサイドライトです。
トップライトの代わりにハイサイドライトを使うことで光を入れつつ家の中が暑くなるのを防ぐことができますし、雨漏れのリスクも無くすことができるんですね。
たとえば下の図のように高い位置にハイサイドライトを設けることで光を入れたい場所に光を入れることができますし、ハイサイドライトを開く窓にすることで家の中の暑い空気を入れ替えることも可能になります。
直射日光を避けつつ家の中の空気環境をコントロールするのにハイサイドライトというのはとても役に立つんですね。
トップライトを付ける場合、まずはハイサイドライトで代用できないかどうか。
これはトップライトがある間取りの時に必ずチェックしておきたい項目と言えます。
ハイサイドライトのメリット、デメリット
Photo:https://ud2001.jp/works/work-185style/
それでは次に、その他のハイサイドライトのメリットとデメリットを見ていきたいと思います。
ハイサイドライトのメリット
ハイサイドライトのメリットを挙げるとすると、
- プライバシー性が高い
- 光を家の奥まで入れられる
- 視線が抜ける
この辺りが代表的なメリットとなります。
それでは具体的に見ていきましょう。
ハイサイドライトはうまく使うことでプライバシー性の高い家にすることができます。
窓の高さが周りの家と違ってくるので、周囲の視線をコントロールできるんですね。
また、高い位置に窓があるので光が入りやすく、部屋の奥まで光が届きやすいのもハイサイドライトの魅力の1つと言えます。
ハイサイドライトをうまく使うことでプライバシーを確保しつつ家の中に光を取り込めるというのは大きな魅力となるんですね。
→家の中が近所から丸見え?視線をコントロールするための4つの方法
さらにはハイサイド窓は視線の抜けを作ることができるというメリットもあります。
高い位置に窓があるのでカーテンなどを閉めず、遠くまで視線が抜けるようにすることもできるんですね。
視線が抜けることで部屋に数字以上の広さを感じることができますし、空を眺められる部屋にすることも可能になります。
ハイサイドライトをつける場合は、ハイサイドライトからの眺望にこだわってみるのもいいですね。
ハイサイドライトのデメリット
ハイサイドライトはうまく使うことでメリットの大きな窓になりますが、デメリットもいくつかあります。
それでは次にハイサイドライトのデメリットを見てみましょう。
ハイサイドライトのデメリットを挙げると、
- 掃除がしにくい
- 周辺環境を確認する必要がある
- うまく使わないと、部屋がうるさく見える
この辺りがハイサイドライトのデメリットとなります。
ハイサイドライトの一番のデメリットは、やはり掃除がしにくいという点が挙げられます。
ハイサイドライトは高い位置に窓があるので掃除をする時に踏み台にのって掃除をしたり、ホームセンターなどで高所用の掃除道具を買ったりなど、掃除をするのに一手間増えてしまうんですね。
また、ハイサイドライトはプライバシー性の高い部分が大きな魅力となってきますが、どんな状況でもプライバシー性を確保できる訳ではないという点は注意が必要です。
たとえば、すぐ近くにお隣の家が建っているのに窓ガラスを透明にしてしまうと家の中が見えてしまうケースもあります。
このようにハイサイドライトの先に他の家の窓がある場合は逆に見下ろされてしまうことになるので、型ガラスにするなどの対策が必要となってきます。
また、近くにマンションがあったり、すぐ隣に高い家が建つ可能性がある場合も注意が必要です。
特に夜の明かりを付けた部屋の中というのは外からよく見えるものですし、眺望を期待してハイサイドライトを付けたのにお隣の壁しか見えないというケースや、全く光が入らないというケースも避けたいものですよね。
そのためハイサイドライトに透明ガラスを入れる場合は、敷地周辺の環境や将来どのような変化が起こりうるか。
この部分を頭に入れた上で透明ガラスを入れるかどうかを決めるのがポイントとなってきます。
ハイサイドライトを活かす方法
ハイサイドライトは窓の付け方次第で部屋の雰囲気というのは大きく変わってきます。
たとえば、同じ部屋でも下の絵のようにハイサイドライトの付け方次第で部屋の印象はかなり違うのが分かります。
特に窓の枠というのは結構目立ってしまうものです。
そのため小さな窓を沢山付ければ付けるほど見た目はうるさくなってしまうんですね。
(このようなハイサイドライトの付け方というのは意外に多くあります)
そのため、ハイサイドライトを付ける場合は家の中からどれだけ綺麗に見えるように窓が付けられているか。
この部分を意識してみる事で、部屋のバランスや見え方というのもかなり違ってくるんですね。
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
その他、水回りというのもハイサイドライトと高相性です。
たとえば洗面台の上にハイサイドライトを付けるという方法。
ハイサイドライトから光を入れつつ、外からは中の人が見えないという訳ですね。
型ガラスの窓でも明かりを付けるとシルエットが見えてしまうこともよくありますが、ハイサイドライトにすることでシルエットが映らないというのは、水回りというデリケートな部分だからこそ、より価値があるものになります。
同じように、トイレやお風呂というのもハイサイドライトをうまく使う事で光を入れつつプライバシーを守る事ができるんですね。
まとめ
今回はハイサイドライトについて詳しく見てきました。
ハイサイドライトは上手く使うことで家の中の光や風をコントロールすることができますし、部屋にいる時もより広く視線が抜けるようにようになるなどメリットの大きい窓なんですね。。
そのため、ハイサイドライトが活きる2階リビングや勾配天井では積極的に採用していきたいですね。
また、水回りなどあまり中が見えて欲しくない場合もハイサイドライトを使ってプライバシー性を高めるのも効果的ですよ。
→2階リビングの間取りは何をチェックすればいい?建築士が2階リビングの間取りを解説します
では。
窓についてはこちらも参考にしてください。
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