玄関は家の顔となる場所なので、綺麗で片付いた玄関にしたいですよね。
そんな時に候補に上がるのが「ファミリー玄関」。
でも、ファミリー玄関って本当に使いやすいんでしょうか?
今回はそんなファミリー玄関について詳しく見ていきましょう。
家の玄関が気になる方はぜひご覧ください。
ファミリー玄関(家族用玄関)とは
それではまず、ファミリー玄関とはどのような物か見てみましょう。
ファミリー玄関は「家族用玄関」とも呼ばれ、メインの玄関の他に家族が日常生活で使う玄関になります。
間取りで見るとこんな感じに。
メインの玄関とファミリー玄関に分ける事で、玄関をスッキリ綺麗にできるという訳ですね。
特に住宅会社のモデルハウスではファミリー玄関を採用しているケースも多く、実際にファミリー玄関を見てちょっと気になっているという方もいらっしゃると思います。
では、ファミリー玄関の実際の使い勝手はどうなのでしょうか?
次にファミリー玄関のリアルな話をしていきたいと思います。
ファミリー玄関には広いスペースが必要
ファミリー玄関の1番のポイント。
それはファミリー玄関を作るには普通の玄関よりもかなりスペースが必要で、ファミリー玄関を作る場合はある程度の家の広さが必要だということ。
ファミリー玄関を作る場合、玄関に使えるスペースをある程度確保しておかないと間違いなく失敗してしまいます。
その大きな理由としては、メイン玄関と家族用玄関を作るので、ザックリと玄関2つ分の広さが必要になるから。
コンパクトな玄関で2畳ほどの大きさなので、ファミリー玄関を作る場合は少なくても4畳ほどのスペースが必要になってくるんですね。
4畳というと小さな部屋くらいの大きさです。
それだけ玄関に使えるスペースが家にあるかどうか。
これが使いやすいファミリー玄関にできるかどうかの分岐点になるんですね。
たとえば、あまり玄関の広さを取れない場合にファミリー玄関を作るとこんな感じに。
玄関部分はあまり幅が取れずに一人くらいしか通れないスペースになってしまいますし、収納スペースは棚があるので横歩きでしか通れないというとても使いにくいスペースとなってしまいます。
このようにあまりスペースを確保せずにファミリー玄関を作ってしまうと、どっちつかずで、とても窮屈な玄関になってしまうんですね。
特にファミリー玄関の場合はメイン玄関と家族用玄関が壁で仕切られるので、より狭さを感じる要因となってきます。
それであればファミリー玄関で玄関を2つに分けるのではなく、玄関を1つにしてゆったり取った方が広々として見た目も良く、価値の高い玄関にすることができるんですね。
このようにファミリー玄関を作る場合は、どちらの玄関にも広さが確保できるというのが大前提となります。
(先ほどモデルハウスではファミリー玄関を採用している家が多いとお伝えしましたが、モデルハウスは基本的にかなり大きいのでファミリー玄関を作りやすく、また見栄えがするのでモデルハウスでファミリー玄関の採用率が高いという事情があります)
実際にファミリー玄関を作る場合の例を挙げると、延べ床面積で40坪くらいあれば使いやすいファミリー玄関を作りやすく、35坪くらいだと結構厳しく他の要望次第という感じに、30坪ほどだとファミリー玄関を作って玄関を2つに分けない方が良い間取りになるケースが多いです。
とは言っても、実際に家の大きさがどれくらいの大きさになるかは分かりづらいもの。
その場合は「ファミリー玄関が第1希望だけども難しい場合は玄関を分けず1つにする」という伝え方をすればスムーズです。
また実際にファミリー玄関のある間取りを見た後で、もし窮屈で使いにくそうだなと感じた場合は、玄関を1つにまとめてしまうのが正解となります。
ファミリー玄関を作るのが目的ではなく、片付いて綺麗な玄関を作るのが本当の目的です。
この部分はブレないよう柔軟に対応していきたいですね。
価値のあるファミリー玄関にするために
それでは実際に価値のあるファミリー玄関にするにはどうすればいいかについて見てみましょう。
まず、基本的にファミリー玄関を作ると家族の毎日の動線は長くなることがほとんどです。
こうやって玄関をグルッと回ることになるからなんですね。
メイン玄関を綺麗にするためメイン玄関側に物は極力置かず、ファミリー玄関の方に物を置くことになるので、物が見えづらいようにファミリー玄関側の方が動線が長くなるケースが多いというのが大きな理由です。
また、ファミリー玄関の収納力についても見てみると、通り抜けられるファミリー玄関印するよりも収納に特化した方が収納力はアップします。
ファミリー玄関の場合は人が通れるスペースを作る分だけ、収納力が減ってしまうからなんですね。
また、人が無理なく通れる幅は必ず確保しておきたい部分になります。
また、ファミリー玄関にただ通るだけのスペースを作るだけでは、やはりもったいないものです。
ファミリー玄関を作る場合は、ファミリー玄関を通ってどこかへ回遊できる動線があると、ファミリー玄関の価値というのはグッと高くなります。
たとえばファミリー玄関を通ってキッチンへ行ける裏動線を作った間取りだとこんな感じに。
買い物から帰ってきた時にパントリーやキッチンへすぐ行けるようになるので、家族用玄関があることで移動がスムーズになるという感じですね。
このようにファミリー玄関を作る場合はただファミリー玄関を作るのではなく、ファミリー玄関があるからより毎日の生活が便利になる。
そんな家を目指したいですね。
その他、ファミリー玄関と相性が良いのが二世帯住宅。
玄関というのは家族のスタイルが出やすい部分でもあるので、親世帯、子世帯それぞれの玄関を分けることで無駄な気遣いを避けることができるんですね。
たとえば下のようにメイン玄関とそれぞれの世帯の玄関を作るというのはお互い丁度良い距離感となるのでかなり好評な玄関の作り方です。
玄関のスペースがどれだけ取れるかにもよりますが、二世帯住宅にする場合はファミリー玄関も1度は候補に入れておきたいですね。
ファミリー玄関に扉は必要?
ファミリー玄関を作る場合、扉を付けて仕切るかどうかというのは迷いやすい部分でもあります。
扉があれば、ファミリー玄関に収納している靴などが見えず、メインの玄関がよりすっきり見えるからなんですね。
では、ファミリー玄関に扉は必要なのでしょうか?
実際に生活をしてみると、「ファミリー玄関に扉は必要ない、もしくは必要なかった」というケースの方が多いというのが建築士としての感じるところです。
その理由としては、ファミリー玄関は日常で使う場所なので扉を毎回開け閉めするというのはどうしても手間になりがちで、子供が使うとそのまま開けっぱなしという事も多いんですね。
そのため、扉を付けても実際にはあまり使わずに開けっぱなし、というケースもよく見かけます。
扉を付けるのであれば、開け放しにした時も扉の存在感が目立たない引戸を使うというのが一番ベストなんですね。
また、扉を付ける場合は目立つ玄関扉側だけ扉を付けて、ホール側は扉なしというケースが一番多くなります。
ゴチャゴチャと見えやすい部分だけ必要に応じて隠せるという訳ですね。
ホール側は靴など雑多に見えがちな収納よりも、コートなどを収納できるようにしておくと、より自然なスペースに見えるようになります。
その他、壁でファミリー玄関を上手く目隠しできるようにするという方法も効果的です。
Photo:https://www.reposhouse.com/
扉が無くても中が直接見えないので、スッキリとした玄関にできるという訳ですね。
間取りによって可能かどうか左右される部分はありますが、スペースにゆとりがあればオススメのファミリー玄関です。
あとはファミリー玄関の扉の有無は、中に何を収納するか、また「見せる収納」が好きかどうかというのも意外と影響してきます。
ファミリー玄関に外で使う雑多な物を何でも収納する予定であれば、やはり扉はある方が玄関がスッキリ見えますし、反対に靴をコレクションしていたり物を綺麗に並べるのが好きという方であれば扉の必要性というのはほとんど無くなります。
このように、ファミリー玄関をどのように使うか。
この部分がファミリー玄関に扉を付けるかどうかの大きな判断材料となってくれるんですね。
まとめ
今回はファミリー(家族用)玄関について詳しく見てきました。
モデルハウスなどのファミリー玄関は見栄えも良いのでついつい欲しくなるものです。
でも、ファミリー玄関は家の大きさや間取りの要望などに左右される部分も大きく、どんな家にも合うという訳ではありません。
そして1番迷路に迷い込んでしまうのはファミリー玄関にこだわりすぎてしまうこと。
ファミリー玄関は綺麗で片付く玄関にするための1つの方法です。
これくらいのスタンスがベストなんですね。
また、ファミリー玄関は作り方によって便利にも不便にもなります。
家族用玄関とメイン玄関がうまく活きている家かどうか。
この部分をしっかり見ることがとても大切なんですね。
ぜひ今回の内容を参考に、素敵な玄関を作ってくださいね。
では。
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