玄関の位置

よもやま話

玄関の位置はどこがいい?あなたに合った最適な玄関の作り方

家の中でも意外と大きな影響があるのが玄関の位置。

どの位置に玄関があるかで家の間取りは大きく変わってきますし、駐車場の使いやすさ、家の見た目なども変わってきます。

また、家相や風水などでも玄関の位置について書かれている事も多く、玄関の位置が気になるという方も多くいらっしゃいます。

では、実際に玄関の位置は家にどのような影響があるのでしょうか?

今回はそんな玄関の位置について詳しく見ていきたいと思います。

南玄関

南玄関の間取り

それではまず、1番人気の南玄関から見ていきましょう。

南道路の土地は日当たりが良いので人気がありますが、同じように光が入る南玄関というのも人気の玄関なんですね。

実際、玄関が明るい家というのはとても雰囲気が良いものです。

 

その一方、南に玄関を配置すれば必ずしも明るくなる訳では無いという点は注意したいところ。

玄関に光が入る窓が無いと結局は暗い玄関になってしまうので、間取りで上手く窓を設置することで、はじめて南玄関が活きてくるんですね。

もし窓を設置するのが難しい場合はガラスの入っている玄関ドアにするなど、せっかくの南玄関が上手く活きているかどうかというのは確認しておきたいポイントです。

また、南玄関の場合は玄関のアプローチからLDKが見えやすいという点もあるので、落ち着いた家にするには庭の作り方というのも重要になってきます。

 

ちなみに、南玄関と言っても南東や南西といった家の端に玄関がある場合と家の真ん中に玄関がある場合など、いろんな形があります。

たとえばオーソドックスなのは南東や南西など家の端に玄関があるケースです。

南玄関のゾーニング1

LDKは広いスペースが必要となりますが、玄関を家の端に配置する事で広いスペースを確保することができるんですね。

そのため、南玄関の場合は敷地の南西か南東付近に玄関を配置するというのが1つのセオリーとなってきます。

 

その一方、反対に家の真ん中付近に玄関を配置するケースもあります。

こんな感じですね。

南玄関のゾーニング2

この場合、玄関から各部屋への移動しやすくなるのですが、玄関で家が2つに分断されて、「LDK」と「個室や水回り」と言ったように分かれるケースが多くなります。

そのため、ある程度土地や家の広さが必要となり、合う合わない間取りというのが出てくるんですね。

たとえばこのようなケースによく合う代表例が平家の家。

玄関を挟んで個室などのプライベートスペース、LDKなどのパブリックスペースというように分けやすくなりますし、各部屋から玄関へのアクセスというのも良くなります。

 

また、真ん中玄関は2階リビングにする場合も好相性です。南玄関のゾーニング3

玄関の近くに階段を配置することで動線をコンパクトにまとめることができるため相性が良いんですね。

 

このように同じ南玄関でも、設置する場所によって間取りの性質というのは大きく変わってきます。

間取りと玄関の位置が上手くマッチする。

それが良い間取りにするための鉄則となるんですね。

北玄関

北玄関の間取り

それでは次に、北玄関についても見ていきましょう。

北玄関の1番のメリットは、日当たりのよい南側にLDKを配置しやすいという点が挙げられます。

また、南玄関では玄関の位置によって間取りの性質というのは大きく変わりましたが、北玄関の場合はそれほど影響してくることはありません。

北玄関のゾーニング

玄関をどこに配置したとしても、南側のスペースをしっかり確保しやすいんですね。

そのため、車の止めやすさや周辺環境に合わせて玄関の配置を変えられるというのも北玄関ならではのメリットとなってきます。

 

その一方、冬場は北側玄関にとって要注意の季節となってきます。

たとえば北側玄関のデメリットで多いのがドアを開けると北風が直に入ってきてしまうというケースです。

関東地方など冬場は北風がよく吹く地域というのは意外と多く、住宅地ならまだしも少し郊外だと風を遮るものが無いので玄関の北風がネックということも。

そのような場合、風除けの壁を作って北風を緩和したり、北側に玄関はあるけども扉を開ける方向は風が弱い東や西にするなど、何らかの北風対策を取っておきたいですね。

北玄関は他の玄関よりも、地域性に合わせた玄関にするのが重要になってきます。

東玄関、西玄関

東玄関、西玄関の間取り

では次に、東玄関、西玄関についても見ていきましょう。

東玄関と西玄関というようにまとめたのは、大きな部分で見るとそこまで大差がないというのが理由になります。

(もちろん、東玄関だと朝陽を浴びれるなど細かい部分で違いはあります)

 

そんな東玄関、西玄関の大きなメリットとしては、いろんな間取りに合わせやすいという点です。

間取りの融通が効きやすいんですね。

たとえば、1番オーソドックスなのが北東や北西に玄関を配置したケースです。

東玄関、西玄関のゾーニング1

南側にLDK、北側に玄関や水回り、玄関をまとめられるので、特にコンパクトな住宅の場合によく使われるゾーニングとなります。

 

一方、玄関を明るい位置に配置したい場合は下のような感じに南東、南西に配置することもできます。

東玄関、西玄関のゾーニング2

もちろん、どんな時でも玄関の位置を自由に配置できる訳ではありませんが、アレンジのしやすさという点では東玄関、西玄関というのはかなり自由度の高い玄関なんですね。

 

また、南東や北東ではなく、家の真ん中付近に玄関を配置すると下のような感じに。

南北の間口はある程度必要になりますが、階段を中心に回遊できる間取りにするなど、色んな間取りが作りやすいというのが最大のメリットになります。

間口(まぐち)って何?間口によって建てる家は変わってきます

 

このように東玄関、西玄関は要望に合わせて玄関の位置を移動させやすいので色んな間取りに対応しやすいんですね。

 

一方、東玄関や西玄関のデメリットを挙げるとすると、玄関と道路が近くなりやすいという点が挙げられます。

詳しくは後述しますが、玄関出てすぐ道路はできるだけ避けたいので、アプローチの作り方などを工夫したいですね。

 

ちなみに、下のようにちょっとイレギュラーな東玄関や西玄関の間取りになることも。

東玄関、西玄関のゾーニング3

間口の小さな敷地の場合、玄関が南側にあるとリビングを圧迫してしまうため、玄関をあえて南に作らず東や西に玄関を作るケースもあるんですね。

このような選択も、時に大きな効果を発揮してくれます。

玄関の位置は道路と少し距離感を

ここまで玄関の方位について詳しく見てきましたが、玄関は道路からすぐ玄関という作りよりもワンクッション挟んだ方がベストです。

たとえば、玄関を開けてすぐ道路だと子供が飛び出してしまった時にも危ないですし、家の外観の面でも玄関と道路が離れている方が家に奥行き感が出るようになるからなんですね。

奥行きのある玄関

玄関からストレートに道路に出るのでなく、植栽などでワンクッション挟むのも効果的です。

 

また、下の家では敢えて道路側でなく駐車場側に玄関を作ることで玄関扉の存在感を無くしつつ家に落ち着き感が出るようになっています。

玄関の位置

玄関扉は存在感も大きいので、道路の近くに扉があると外観のバランスを取るのが難しいという特徴があるんですね。

 

その他、玄関と道路が近い場合でも玄関から直接道路に出るのではなく、少し目隠し壁を作ってあげることでワンクッション挟むという方法もあります。

そうすることで、たとえ玄関と道路が近くても奥行き感が出るようになりますし、外観のアクセントにもなってくれるんですね。

玄関の位置は北玄関や南玄関といった方角だけでなく、道路との距離感についても意識して見ておく。

そうすることで、より魅力的な玄関にすることができるんですね。

玄関の位置は家相に合わせる?

それでは最後に、玄関と家相についても少し見ておきたいと思います。

普段あまり家相は気にしないけども、玄関の位置は家相が少し気になる。

こういったケースは実際によくあります。

家相で玄関に影響があるのが、鬼門、裏鬼門となる北東と南西の玄関。

家相が気になる場合は、この方角の玄関は避けるという形になるんですね。

 

建築士である私は基本的に家の要望を聞く際に必ず「家相」がどれくらい気になるかと、「家相」についての概要をお話しています。

では、実際にどれくらいの方が家相を気にされるかと言うと、

  • 家相は気にならない:約6割
  • 家相が少し気になる:約3割
  • 家相が絶対気になる:ごく少数

大体これくらいの割合になります。

若い方で家相を気にされる方は年々減っているように感じますが、家相が気になる方は親御さんなどから玄関の位置について一言あったので一応気にするというケースも多いです。

 

「家相」については昔の建築基準法と呼ばれるくらい理に叶った部分も多く、水はけの悪い時代であれば水回りを北側に配置すれば病気の原因となるなど納得の部分も多いのですが、性能が大きく向上した現代の家に必ずしも当てはまる訳ではありません。

「家相」は信じる。信じない。といった思想の世界なので、周りがあまり「兎や角」言う事ではありませんが、私の考え方としては、

新しい家で良い事があれば、それは「家相」のおかげではなく家族が努力をした結果。

反対に悪い事が起これば、それは誰にでも起こりえる事であり、「家相」のせいでもありません。

どうしても気になる場合は家相も取り入れますが、そうでない場合はあなたに最適な間取りを提案するというスタンスを取っています。

(実際、間取りの打合せが始まると、「家相」よりも住み心地優先で「家相」の話が全く出なくなるケースがほとんどです)

 

「家相」を気にしてしまうのは仕方ない部分もありますが、

「家族が楽しく健やかに住める家をつくるのが目的」

これを忘れないようにしたいですね。

家の間取りは家相に合った間取りにした方がいいの?

まとめ

今回は玄関の位置について詳しく見てきました。

玄関は作る場所によって間取りというのはかなり変わってくるんですね。

そのため間取りがシックリこない場合、玄関の位置を再検討して見るというのも効果的です。

また、玄関と道路はワンクッション挟んで、できるだけ距離感を取る。

そうすることで家全体に奥行きが出て雰囲気の良い家を作ることができるんですね。

玄関は家の顔となる場所です。

今回の内容を参考に、ぜひ素敵な玄関を作ってくださいね。

では。

 

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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