トイレについてよく聞かれるのが、「タンクレストイレ」と「タンク付きトイレ」どちらの方が良いかという質問。
タンクレストイレとは、トイレの後ろに水を貯めるタンクのないトイレのことで、タンクレストイレは新築の家やオシャレなお店で採用される事が多いトイレです。
一方、タンク付きトイレとはトイレの後ろに水を貯めるタンクがあるトイレで、少し前まではトイレというとタンク付きトイレをイメージすることも多く、代表的なトイレの形と言えます。
最近増えているタンクレストイレ。
それに対して、昔からあるタンク付きトイレ。
実際にこの2つのトイレでは、どちらの方が使いやすいのでしょうか?
今回はこの「タンクレストイレ」と「タンク付きトイレ」を比べてみましょう。
デザイン性
それではまず、トイレのデザイン性はどちらの方が良いか見ていきたいと思います。
タンクレストイレ、タンク付きトイレのどちらの方が見た目が良いかと言えば、タンクレストイレの方がデザイン性が勝っていることがほとんどです。
タンクが無い分だけスマートに見え、その結果見た目の良いトイレを作りやすいんですね。
また、タンクレストイレは各トイレメーカーも力を入れている商品なので、有名なデザイナーを入れてコンセプトモデルのトイレを作るなんてこともよくにあります。
その一方でタンク付きトイレのデザインはダメかと言うと、そういう訳でもありません。
特に最近はタンク付きトイレの見た目もスタイリッシュな物が増えており、ひと昔前のタンク付きトイレのことを思うとデザイン性は隔世の感があります。
タンクの見た目の重たさというのもかなり解消されてきているんですね。
ただ、タンクレストイレと比べるとタンクの分だけどうしても重く見えてしまうというのはタンク付きトイレの宿命です。
そのため、デザイン性やスッキリしたデザインに惹かれてタンクレストイレを選ぶという方も多くいらっしゃいます。
コスト
では次に、トイレを導入する際のコストについても見てみましょう。
タンクレストイレとタンク付きトイレでは、基本的にタンクレストイレの方がコストが高くなります。
その理由としては、タンクレストイレの方がグレードの高い商品が多く、その分コストが掛かってくるというのが1つ。
もう1つは、タンクレストイレには手洗いもセットで必要になるということです。
タンク付きトイレであれば手を洗うときにタンクに入る水を使う事ができますが、タンクレストイレの場合は別に手洗いを用意する必要が出てきます。
その手洗いの分も、コストが上がる要因となってくるんですね。
その結果、タンクレストイレとタンク付きトイレを比べると、タンクレストイレの方が数万〜十数万円くらいのコストが掛かるようになります。(定価では数十万円の違いがありますが、実際は定価の半分ほどの価格で設置できます)
ただ、トイレのコストはタンクレストイレだから高くなるという訳ではなく、トイレにどんな機能が搭載されているかで決まってきます。
節水機能であったり、掃除がしやすく汚れが付きにくい仕様など、そのトイレの付加価値で価格というのは決まってくるんですね。
たとえば、タンクレストイレとほぼ同じトイレをタンク付きトイレとして出している場合もありますが、その場合はほとんど価格差はなくなります。
また、タンク付きトイレでも手洗いは別にした場合は、タンクレストイレと価格があまり変わらないことも普通にあるんですね。
このように、機能を省いたタンクレストイレにすれば価格は抑えられますし、タンク付きトイレでも機能をたくさん盛り込めば価格はかなり上がってくるんですね。
ちなみに、トイレの価格を抑えるとすれば、タンク付きトイレ1択となってきます。
タンクレストイレはトイレメーカーも力を入れている商品なので基本的に節水などの機能が付いています。
その一方、タンク付きトイレの場合は機能が最低限しかないけども、その分価格もかなり抑えたトイレというのも存在します。(大体はカタログなどに表立って載せるのではなく、問屋を通して入れる事ができる裏商品になっていることがほとんどです)
そのため、家に2つトイレを設置するけども1つはあまり使わなそうなので価格をかなり抑えたいという場合などは、廉価版のタンク付きトイレを使うという方法もあるんですね。
掃除のしやすさ
次に、トイレの掃除のしやすさについても見ていきましょう。
トイレという場所柄、やはりできる限り掃除がしやすい方がいいですよね。
タンクレストイレとタンク付きトイレを比べると、掃除のしやすさという点ではタンクレストイレの方が掃除がしやすい商品が揃っています。
やはりタンクが無い分だけ掃除をする場所も減りますし、またタンクの裏など死角も減るので掃除のしやすさという点ではタンクレストイレに軍配が上がるんですね。
ただ、掃除のしやすさというのはトイレの作りや機能でかなり違ってくる部分でもあります。
たとえば、トイレは縁があるとそこに汚れが溜まってしまいますが、縁がなくツルッとしていれば掃除するのも楽チン。
同じようにトイレの形も凸凹が多ければ多いほど汚れが溜まり、掃除するのに手間が掛かるようになります。
また、便座の隙間は簡単に掃除できるのか。ウォシュレット部分も汚れが溜まりやすい場所ですが、ノズルの掃除も簡単なのかといった部分でも、掃除のしやすさというのはかなり変わってきます。
そのため、トイレ掃除のことを考えるならタンクレストイレ、タンク付きトイレという部分よりも掃除がしやすい機能、作りになっているかを確認することの方が影響が大きいんですね。
特に綺麗好きの方はトイレの機能面というのは必ずチェックしておきたいポイントです。
トイレの使いやすさ
それでは最後に、タンクレストイレ、タンク付きトイレどちらの方が使いやすいのかについて見ていきましょう。
まず、単純にトイレの機能だけ見るとタンク付きトイレの方が使いやすいと言えます。
タンク付きトイレは仕組みが簡単で、トイレさえあれば用を足すだけでなく手洗いまで完結する事ができるからなんですね。
また、タンクレストイレは電気で水を汲み上げているので停電が大きな弱点となります。
電気が無いと普通に使う事ができなくなってしまうんですね。
タンクレストイレの後ろのカバーをはずすと手動レバーが付いていて手動で流す事もできますが、水はバケツやホースで便器の中へ補充する必要があるなど一手間必要となってきます。
その他、タンクレストイレは家に引き込まれている給水管が細い場合、2階以上に設置すると流す時の水量が少なくなってしまうなんてことも。
別にブースターを付けて流す時の水量を確保することもできるので大きな弱点という訳ではありませんが、タンクが無い分だけタンクレストイレは電気に頼ることになります。
トイレ本体よりも水を流すためのモーターなどが先に劣化する可能性もあるなど、タンクレストイレは電気に頼る分だけ家電に近い部分もあるんですね。
その点で言うと、災害時もトイレ一つで対応できるタンク付きトイレの方が使い方を選ばないという強みがあります。
一方、タンクレストイレを選ばれる方で意外と多いのが、タンクの水で手を洗うのがあまり好きではないというケースです。
その場合は手洗いをトイレに設けることになり、それであればタンクレストイレを選ぶということも多いんですね。
最後に、トイレの使い勝手を見る場合に必ずしておきたいことが1つあります。
それは、トイレを選ぶ前に一度は便座の上に座ってみるということ。
理由はトイレによって座り心地がかなり違う場合があり、時にはなんだか座りにくく感じるトイレもあるからです。
そのため、座り心地というのも一度は必ず確認しておいてくださいね。(ちなみに、トイレ名は伏せておきますが、私はどうしても落ち着かないトイレがあります。)
まとめ
今回はタンクレストイレ、タンク付きトイレについて詳しく見てきました。
タンクレストイレにするのか、タンク付きトイレにするのか。
これはトイレの何処にこだわるかで決まってきます。
今回の内容を簡単にまとめると、
タンクレストイレ | タンク付きトイレ | |
デザイン性 | ◎ オシャレなトイレを目指すならマスト | ○ 昔と比べてデザイン性は高くなっている |
コスト | ○ 多機能な分だけコストが掛かる | ◎ 欲しい機能に合わせて、選択肢が広い |
掃除のしやすさ | ◎ タンクが無いので掃除しやすい | ○ タンク周りの掃除のしやすさは要チェック |
使い勝手 | ○ 停電など電気が使えない時が弱点 | ◎ トイレ1つで全て完結できる |
このような感じになります。
項目だけで見ると2対2で引き分けで、良い勝負をしていますね。
ただ、人によってトイレの優先順位は違ってきます。
オシャレなトイレにしたい場合は「デザイン性」が高いトイレの方がいいですし、「掃除重視」の場合もタンクレストイレに軍配が上がります。
その一方、「コスト」や「使い勝手」という面ではタンク付きトイレの方が良い面が多いというように、トイレの重点項目がどれか決めた上で選ぶのがポイントなんですね。
私(建築士)の中でバランスが良いと感じる選び方としては、トイレを2つ設置する場合はタンクレストイレ、タンク付きトイレを1つずつ入れるという方法です。
たとえばリビングのある階のトイレはお客さんが使うことも踏まえてオシャレに見えるタンクレストイレを。
2階など使用頻度も低く、家族以外誰も使わないトイレはタンク付きトイレにしてコストを抑えつつ、もしも停電があっても1つのトイレは問題なく使えるようにしておく。
迷った場合はこのように2つのトイレの長所を上手く組み合わせるのも効果的ですよ。
トイレは毎日使う所です。
ぜひ満足いくトイレを選んでくださいね。
では。
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