断熱材

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断熱材の種類にはどんな物がある?あなたに合った断熱材の選び方

「家の断熱材にどれを選ぶか迷っています。オススメの断熱材があれば記事にしてもらえないでしょうか?」

読者の方からこのようなリクエストをもらいました。

確かに家の断熱材選びというのは家づくりの時しか選ぶことが無いのでどれが良いか分かりにくいため、家づくりの中でも迷ってしまいやすい場所でもあります。

また、断熱材は選んだものによってコストはかなり変わるため、家の予算という面でも家に与える影響は少なくありません。

そこで今回は家に使う断熱材の種類と、あなたに合った断熱材の選び方について見ていきたいと思います。

家の性能やコストが気になる方はぜひご覧ください。

断熱材の種類は大きく3つに分けられる

断熱材には色んな物がありますが、まずは分かりやすく断熱材の種類を素材別で分けていきましょう。

断熱材を素材で分類したとすると、

  • 繊維系断熱材
  • 発泡プラスチック系断熱材
  • 自然系断熱材

以上の3種類に分けることができます。

 

それでは、それぞれの断熱材の特徴とコストについて見ていきましょう。

繊維系断熱材

グラスウール

断熱材の種類(グラスウール断熱材)

Photo:https://www.pgm.co.jp/index.html

グラスウールは日本で一番使われている断熱材で、リサイクルガラスなどを溶かして繊維状にした物がグラスウールとなります。

では、どうして日本の家の断熱材でグラスウールがよく使われているかと言うと、コストと断熱性能のバランスが良いことが挙げられます。

コストも抑えられて断熱性のも確保できるので、日本の住宅でよく使われているんですね。

また、耐火性、耐久性、吸音性が高いので使い場所を選ばないというのもグラスウールがよく使われる理由の1つです。

 

ちなみにグラスウールは透湿性があるため、ひと昔前の家の壁をリフォームの際に開けてみるとグラスウールが湿気を吸ってしまい自身の重みで沈んで断熱材の役割を果たしていないということもよく見かけました。

グラスウールが沈んでしまい断熱材としての役割を果たしていないため、暖房を入れても家の中がちっとも暖かくならないという事になってしまっていたんですね。

ただ、最近の高気密高断熱住宅でしっかり計画換気をしている住宅であれば大きなトラブルもほとんど見られなくなっていますし、最近では湿気を吸わないように防湿層の付いたグラスウールを使うケースもかなり多くなっているので、昔よりもグラスウールの信頼度は高くなっています。

 

一方、グラスウールを使うときに気をつけたいのが細部までグラスウールが入っているかどうかという事です。

たとえば断熱材を入れたとしても、下の画像のようにダクトの周りの隙間に断熱材が入っていないというケースも見かけることがあります。

グラスウールの弱点

グラスウールのように現場で大工さんが施工する断熱材はコストを抑えることができる反面、隙間までしっかり断熱材が入っているか管理体制がしっかりしている会社でないと、断熱に隙間のある家が完成してしまうことがあるんですね。

そのためグラスウールを断熱材として選ぶ場合は施工管理のレベルが高い会社で使うというのが基本となります。

断熱性:★★

価格 :★

施工性:★★

防火性:★★★

(★が多いほど高くなります)

 

ロックウール

断熱材の種類(ロックウール断熱材)

Photo:http://www.jfe-rockfiber.co.jp/index.html

ロックウールは北欧でよく使われる断熱材で、原料に製鉄で発生する高炉スラグや玄武岩などを使っている断熱材です。

見た目も何だかグラスウールに似ていますね。

見た目だけでなく価格も断熱材の中では安価なこと、また耐久性、耐火性、吸音性の高さなど、グラスウールと似たような特徴があります。

施工方法も似ているので、隙間までしっかり施工することがロックウールを使う時のポイントとなります。

断熱性:★★

価格 :★

施工性:★★

防火性:★★★

発泡プラスチック系の断熱材

硬質ウレタンフォーム

断熱材の種類(硬質ウレタンフォーム断熱材)

Photo:https://www.achilles.jp/product/construction/insulation/q1-board/

硬質ウレタンフォームの特徴としては、高い断熱性能が有るため薄い厚みでも高性能を発揮できるという点です。

断熱材の厚みが薄くても効果を発揮できるので、壁の外に断熱材を入れる「外断熱」でも良く使われています。

 

また、硬質ウレタンフォームは現場で発泡して吹き付けるタイプの断熱材もあります。

こんな感じですね。

断熱材の種類(アクアフォーム)

Photo:https://www.n-aqua.jp/

現場で専門の職人が吹き付けて施工するので隙間を作らず断熱材を入れることができるというのが最大のメリットとなり、ここ10年ほどでこのような現場発泡の硬質ウレタンフォームの断熱材を入れる家はかなり多くなりました。

専門の職人が断熱材を入れる事で、品質のバラツキが少なくなるんですね。

発泡硬質ウレタンフォームの価格はグラスウールよりも高くなりますが、施工性、性能のバランスが取れている断熱材と言えます。

断熱性:★★

価格 :★★

施工性:★★★

防火性:★★

(上記の★は発泡硬質ウレタンフォームの物になります)

 

ポリスチレンフォーム

断熱材の種類(スタイロフォーム)

ポリスチレンフォームには「ビーズ法ポリスチレンフォーム」と「押出法ポリスチレンフォーム」の2種類があり、作り方の違いで「ビーズ法」、「押出法」に分かれます。

ビーズ法は簡単に言うと発泡スチロールをイメージしてもらえば分かりやすく、発泡スチロールの入れ物はクーラーボックスの代わりによく使われますよね。

そして発泡スチロールはよく見ると丸いビーズが沢山固まっています。

そんな丸いビーズを固めたものなのでビーズ法ポリスチレンフォームと呼ばれているんですね。

そして軽量で緩衝性が高いので家の断熱材としても使われています。

 

また、押出法ポリスチレンフォームは板状の断熱材となり、加工しやすい割に硬質で圧力に耐えられるため、外断熱や床下断熱材によく使われます。

断熱性もビーズ法よりも高くなります。

断熱性:★★★

価格 :★★

施工性:★★

防火性:★★

(上記は押出法ポリスチレンフォームの評価となります)

 

フェノールフォーム

断熱材の種類(フェノールフォーム断熱材)

Photo:https://www.fukuvi.co.jp/product/3/01/1078

フェノールフォームはフェノール樹脂を発泡させた断熱材で、高い断熱性のが魅力の断熱材となります。

また、フェノールフォームは防火性に優れていて火を当てても炭化するだけで煙や有毒ガスを発生させることがほとんどないため、家の断熱材として使われるケースが増えてきています。

形状は板状のもので、石膏ボードと一体になったものや予め必要なサイズにカットされた物など工事の手間を減らすような商品も有ります。

断熱性:★★★★

価格 :★★

施工性:★★

防火性:★★★

 

自然系の断熱材

セルロースファイバー

断熱材の種類(セルロースファイバー)

Photo:https://www.decos.co.jp/cellulose

自然系断熱材の代表的なものと言えば、やはりセルロースファイバーが挙げられます。

セルロースファイバーとはパルプや新聞古紙を綿状に加工したリサイクル素材が原料で、専門の職人が機械を使って現場で壁の中に吹き込んでいく断熱材となります。

 

セルロースファイバーの特徴としては、自然素材ならではの調湿性能を持ち、グラスウールよりも高い防音効果を備えつつ、火にも燃えにくいという特徴があります。

セルロースファイバーは自然素材の断熱材という特徴に加えて断熱性の以外のプラスアルファの効果が多いんですね。

そのため、断熱性能以外のプラスアルファに魅力を感じる方にとっては魅力的な断熱材となります。

 

一方、セルロースファイバーのデメリットとしてはコストが高くなることが挙げられます。

素材にプラスして施工も専門の職人が担当するのでコストが高くなってしまうんですね。

 

そんなセルロースファイバーを選ぶときのポイントとしては、一言でセルロースファイバーと言っても様々なセルロースファイバーがあり、家の断熱性能を長期に渡って維持してくれる物を選ぶというのがポイントとなってきます。

たとえば、セルロースファイバーは紙でできている物なので断熱材の中でも重い断熱材となりますが、壁の中一杯にセルローースファイバーを吹き込まないと時間が経つにつれて自身の重さで上の方に隙間ができるということも考えられます。

断熱材としての役割を果たすためには隙間が無いことが必須となるので、このような隙間対策をしっかり取っているセルロースファイバーを選ぶのが大切なんですね。

そのため、セルロースファイバーを選ぶ場合は自重対策がどのように取られているか等しっかり確認した上でセルロースファイバーを選びたいですね。

断熱性:★★

価格 :★★★

施工性:★★★

防火性:★★

 

羊毛(ウール)

断熱材の種類(ウールブレス)

Photo:https://www.itnjapan.com/

自然素材を使った断熱材として、原料に羊毛(ウール)を使った断熱材もあります。

自然系の断熱材はコストが高いものが多いですが、その中でも羊毛(ウール)は比較的安価で施工できるという点が魅力となり、自然素材で家を建てたい方にとっては魅力的な選択肢となります。

(羊毛はニュージーランドやオーストラリアから輸入されているものが多いです)

施工方法としてはグラスウールやロックウールと近く、隙間を作らないように施工するのが断熱材に羊毛(ウール)を使った時のポイントと言えます。

断熱性:★★

価格 :★★

施工性:★★★

防火性:★★

 

木質繊維ボード

断熱材の種類(木質繊維ボード断熱材)

Photo:https://tenomonogatari.jp/work/woodfiber/

木質繊維ボードとは間伐材や樹皮、廃材などの木質資源を繊維化し、ボード状にした素材のことを言います。

このような木質繊維ボードは高い断熱性能と資源の有効活用面から、次世代のエコ建材として注目されている断熱材です。

「サスティナブルな社会づくり(持続可能な社会づくり)」という言葉を最近よく耳にすることが増えましたが、断熱材に使われない木質資源を使う事で環境面で高い効果が見込め断熱材なんですね。

現在はドイツが主流ですが、日本でも生産が開始されているのでこれから増える可能性が高い断熱材と言えます。

施工方法としては柱と柱の間に充填して施工していく形となり、施工性が高いのも魅力です。

断熱性:★★

価格 :★★★★

施工性:★★★

防火性:★★

 

断熱材の選び方

それでは次にあなたに合った断熱材の選び方について見ていきましょう。

断熱材を選ぶ際のポイントは、断熱材だけを見るのではなく、コストも含めたトータルのバランスであなたの家に合った物なのか見てみるということです。

 

たとえば、住宅会社に断熱性能はどれくらいか聞くと「断熱材は◯◯を使っています。」という話をする住宅会社もあります。

ただ、断熱材は単体の性能だけでなく、どれくらいの厚みの物を使うかでも断熱性能は変わってきます。

(どんなに良い断熱材でも薄いと効果は少なく、厚みが増すほど断熱効果は高くなります)

また、これまで見てきたように断熱材を入れるのにどのように施工するかでも家の断熱性能も変わってきます。

大切なのは断熱材に何を使うかよりも、「夏は涼しくて冬は暖かい家」になるように適正な厚みの断熱材が取り付けられることなんですね。

 

では、どのようにすれば断熱材がしっかり入っているか分かるのでしょうか?

まず1つ目の方法としては、専門の業者が施工する断熱材は信頼度は高くなります。

たとえば現場発泡ウレタンフォームやセルロースファイバーは現場で専門の職人が断熱材を入れるので、住宅会社の施工レベルに影響されることが少ないんですね。

一方、大工さんが入れるグラスウールなどは大工さんがどれだけ手間を惜しまないか、また施工会社としての管理体制がしっかりしているかどうかで家のクオリティは変わってきます。

そのため断熱材を入れたばかりの工事現場などを見せてもらうのも効果的ですし、細部までしっかり施工しているのが分かる工事報告を作ってくれるような住宅会社を選びたいですね。

(汚い現場かどうか、仕事が丁寧かどうかは一般の方が見ても大体分かりますし、現場に少し不安を感じる場合は発泡ウレタンフォームなど専門の職人が施工する断熱材を選んでおくと安心です)

 

その他、施工がしっかりされているかどうか判断する数値として「C値」というものが挙げられます。

(C値とは家の気密性能を表す数値で、数値が低い方が気密性能が高い家となります)

気密性の高い家にするには家の隙間を減らすためにしっかり施工する技術が必要になり、同じように断熱材も隙間なくしっかり施工している可能性が高くなるんですね。

このような「C値」を参考にする場合の基準としては「C値」が1.0以下というのは1つの基準となり、平均してどれくらいのC値の家を建てているか質問してみるのも判断の目安となります。

(最近では気密性能を確保するための技術も上がってきているので、C値1.0は最低基準くらいの感覚でも良いと思います)

 

また、その住宅会社が得意な断熱材、工法の物を選ぶというのも1つの基準となります。

慣れているものだと施工のポイントが分かっているのでスムーズに断熱材を入れることができますが、めったに使わない物だとその断熱材の弱点が分からず施工してしまうというケースも出てきます。

断熱材の種類や施工方法にはそれぞれ一長一短があり、その断熱材をよく使う事でデメリットを補う方法も蓄積されていくので、得意な断熱材、工法を選ぶというのは効果的なんですね。

 

その他、「夏涼しくて冬暖かい家」にするためには「UA値」という断熱性能を表す数値を見るのも1つの方法です。

(UA値とは家に対してどれだけ熱量が逃げているかを表した数値で、低ければ低いほど断熱性の高い家ということになります)

「UA値」を見る事で断熱材に何を使っているかだけではなく、厚みもしっかり確保されているか判断できるようになるからなんですね。

断熱材のZEH基準

断熱地域区分

この「UA値」の基準は地域ごとで違い、寒い地域ほど基準が厳しく暖かい地域ほど基準が緩くなっており、できればZEH基準の家の数値以下まで目指せるとベストです。

ただ、「UA値」は窓の性能によっても数値がかなり変わってきますし、断熱材を選ぶ段階では断熱材が決まっていないため自分の家の「UA値」は分からないので、今予定している窓や断熱材を使うと平均してどれくらいの「UA値」の家が建っているかを確認し、あなたの建てる家がどれくらいの性能の家になるのか大枠を掴むという感じで確認すると効果的です。

 

このように、断熱材の施工レベルを確認する方法はいくつかあります。

施工レベルを確認した上で、例えばセルロースファイバーの自然素材や防音性に魅力を感じるのであればセルロースファイバーを選ぶと満足度は高くなりますし、コスト重視でグラスウールを選ぶというのもあなたの目指す家に合った断熱材選びとなります。

断熱材を選ぶ場合、断熱材の特性を頭に入れつつ、断熱材だけでなく施工会社の情報もしっかり確認した上で選ぶのが大切なんですね。

まとめ

今回は代表的な断熱材の種類と効果的な断熱材の選び方について詳しく見てきました。

断熱材の種類は今回ご紹介したもの以外にもいろんな種類の断熱材があり、それぞれの断熱材が色んな特徴を持っています。

でも、断熱材を選ぶ目的は断熱材を選ぶことが目的ではなく、夏涼しく冬暖かい快適な家を建てるのが目的です。

そして、快適な家を作るには住宅会社の施工レベルがとても大きなウェートを締めてきます。

断熱材を選ぶときは断熱材だけでなく、施工会社のレベルや得意な工法なども見ながら断熱材を選んでいきたいですね。

では。

 

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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