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これだけは避けたい!!間取りで失敗する時の黄金の法則

間取りができたけども、何だか間取りがイマイチしっくりこない時ってありますよね。

間取りがしっくりこない理由はハッキリ分からなくても、

「間取りはこれで大丈夫なのかなぁ」

と思われる方もよくいらっしゃいます。

 

その間取りの不安が取り越し苦労なら問題ありませんが、実際にあまり良くない間取りの時は最悪の場合ヘンテコな間取りで家が建ってしまうなんてことも・・。

そうなると残念ながら家づくりが失敗へとまっしぐらとなってしまいます。

家づくりをするなら、やはりそのような間取りの失敗は避けたいもの。

実はこの間取りの失敗には、「間取りが失敗しやすくなってしまう黄金の法則」という物があるんです。

 

今回は、家づくりをするならぜひ避けて欲しい、この間取り失敗の黄金の法則についてご紹介したいと思います。

家づくりや間取りで失敗したくないという方はぜひご覧ください。

間取りの伝言ゲーム

伝言ゲーム

先日、面白い事が書いてある記事がありました。

とある実験について書かれた記事なのですが、その記事の内容を簡単に説明すると下記のような内容になります。

 

教室に座っている小学生の1人に、先生がある言葉を耳元でささやきます。

次にその生徒は、となりに座っている生徒に先生から聞いた言葉をささやいていく。

これを続けていきます。

そして教室の後ろに座っている最後の生徒まで、順々に言葉を伝えていく伝言ゲームを行ったという内容です。

 

このような伝言ゲームを一度はしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

 

先生が最初の生徒に伝えた言葉は「ハトが飛んだ」という簡単な言葉です。

それではこの実験、最終的にどのような結果になったとあなたは思いますか?

この「ハトが飛んだ」という言葉が最後の生徒まで伝わった時の答え。

 

それは、

「あした。これだけ」

 

もう「ハトが飛んだ」という言葉の名残はまったくありませんね。

このように、情報を伝達するときには「情報の変換」というのはかならず起こってしまう出来事です。

 

先程の話は小学生に対しての伝言ゲームですが、間取りづくりでも似たようなケースをよく見かけます。

 

では、間取りづくりで起きる伝言ゲームって何でしょうか?

それは、要望を伝える時に起こります。

しかも、この伝言ゲームのせいで間取りを失敗する可能性がとても高くなってしまうんです。

では、具体的にどのようなことが起こると間取りが失敗してしまうのか見てましょう。

伝言ゲームは間取り失敗の元

希望の間取りを伝える

家づくりを始めて住宅会社や工務店を訪れると、多くの場合、最初は営業マンが打ち合わせを担当することになります。

そして、しばらく家づくりを進めていくと、「どんな家を建てたいか」というあなたの要望を伝える時がやってきます。

どんな家にしようかと考えるのは家を建てる人であれば楽しい物ですよね。

そのため「どんな家を建てたいか」という要望を伝える時は力が入ります。

 

その時、実際に間取りを造る設計担当者が同席して要望のヒアリングをする場合は問題ありませんが、担当設計士ではなく営業マンがあなたの間取りの要望を聞いて、それを作図担当の設計士に伝えて間取りをつくるという場合もあります。

そして、営業マンが聞いたその要望を設計担当者へ伝える時に、先ほどの伝言ゲームが行われます。

 

営業マンから設計担当者へ伝える方法は様々で、口頭で要望を伝える人もいますし、メモを渡す人もいます。

さらには要望を聞くための専用のヒアリングシートに書き込みをして、それを設計担当者に渡すという方法を取る人もいます。

 

例えばメモの場合、

・20帖のLDK

・シューズクローゼット

・キッチンは広めに、パントリーも欲しい

・・・・・などなど、いくつかの項目が書かれています。

 

そしてこのメモを元に設計担当者は間取りをつくって、次回お施主さんに間取りを提案する事になります。

 

その結果どうなるのでしょうか?

 

出てきた間取りを見てみると、何となく伝えたことは入っている間取りだけども、本当に要望に合っているかは疑問符が付く状態がほとんどです。

少なくとも、「まさにこんな間取りの家が欲しかった」なんて間取りは滅多に出てきません。

 

その理由はもうお分かりですね。

要望を伝えるのに営業マンが間に入っているので、冒頭の伝言ゲームと同じように「情報の変換」が起きてしまっているからです。

 

では、間取りづくりの現場でどういう事が起こっているのか具体的に見ていきましょう。

伝言ゲームだと本当の要望は分からない

要望の伝言ゲーム

じつはこの伝言ゲーム。

営業マンの実力がメチャメチャ問われます。

 

まずは、ダメな営業マンの例を見てみましょう。

ダメな営業マンはお施主さんが言ったことをメモして、それを設計士に渡して間取りづくりを依頼します。

これは家づくりで最悪のケースで、このような営業マンは大概お施主さんのことをコレッぽっちも分かっていないことがほとんどです。

 

一方、できる営業マンはお施主さんが言ったことをメモするのはもちろんですが、〇〇が欲しいという要望だけなく、□□な生活がしたいので〇〇が欲しいという理由も付け加えます。

 

これ、実は間取りづくりにメチャクチャ重要なことなんです。

 

例えば、設計士が間取りの要望を書いたメモだけを渡されたとします。

まずは20帖のLDKという項目が書かれてあるとしましょう。

そのメモを見ると設計士は

「20帖のLDKって書いてあるけども、リビングとダイニングは一体になった空間がいいのか?それとも食事する場所とくつろぐ場所は明確に分けた生活が理想なんだろうか?階段はリビング階段?明るい空間が好きなら吹抜けも提案していいの?家具はどんなので揃えるんだろうか?」

などなど、LDKの数字的な広さはあっても、どんな空間でどういう生活を送りたいのかまったく見えてこないんですね。

 

そこで営業マンに質問しますが、大抵は詳しいコトは知らないので、営業マンとしては何となくのイメージを伝えてきます。

(しかも、営業マンが頭に浮かんだことを伝えるケースも多いです)

これではお施主さんが本当に欲しい間取りなんてできるはずありませんね。

 

その結果、とりあえず設計士にとって疑問だらけの間取りが出来上がります。

設計者が自信を持って送り出せない間取りが良い間取りな訳がありませんね。

間取りの伝言ゲームをするなら、あなたの事をよく理解した担当者でない限り、形だけ要望に合わせてた間取りができあがってきてしまうんです。

伝言ゲームで作った間取りでの打合せ

間取りの打合せ

伝言ゲームでできた間取りは、次の打合せでお施主さんに見せることになります。

とりあえずどんな大きさの家ができるのか見たいという場合なら参考にするのも有りですが、気をつけたいのがその伝言ゲームで完成した間取りを元に何度も間取りの打合せを行うということ。

 

なまじ手元に間取りがあるために、その間取りを元にイロイロと要望を組み合わせていくことになってしまうんですね。

その結果どうなるのかと言うと、何だか無理やり要望をくっつけた微妙な間取りができ上がります。

 

そうなってしまう大きな理由は、「ベースの間取りが良くない間取りは修正しても理想の間取りにならない」からです。

ベースの間取りというのは骨格のようなもので、骨格がバラバラな上にさらに色んな要素を足していったら、どう考えてもゴチャゴチャしたものができ上がってしまいます。

 

一方、骨格(ベースの間取り)を整えた上で必要な物を付けていけば、バランスの良い間取りができあがる可能性はとても高くなります。

間取りがしっくりこないという場合、このベースを間違えた間取りに色んな物をひっ付けたり手を加えたりしていることがとても多く見受けられます。(これは本当に多いです)

そして、間取りの伝言ゲームをすることで、このようなベースを間違えた間取りになってしまう可能性がとても高くなってしまうんですね。

間取りが上手く行かないのはゾーニングが原因かもしれません

 

これがヘンテコな間取りができ上がるときの黄金の法則です。

 

もちろん、間取りが建売住宅と同等くらいの家でいいという場合や間取りにこだわらないという場合はこのような伝言ゲームの間取りでも問題ありません。

設計士が多く打合せに入る事で人件費は当然増えてしまうので、コスト重視であれば営業マンが間取りを作る方がコストが抑えられるようになるからなんですね。

ただ、建売住宅と同じような家では満足いかないという方は、この黄金の法則だけは絶対に避けるようにしてくださいね。

建売住宅と注文住宅の違い。どっちも造った建築士が分かりやすく解説します。

営業マンの作る間取りと設計士が作る間取りの違い

 

このように間取りの要望を伝える場合は設計士に直接伝えるのがベストですが、住宅会社によっては営業マンが要望をヒアリングするというケースもあります。

会社の仕組みなので仕方ない部分ではありますが、もし営業マンが打合せをして、その内容を元に設計士が間取りを作るという場合はどうしてその要望を入れたいのか。

その理由までしっかり伝える事が、良い間取りにするための第1歩となってくれるんですね。

まとめ

今回は、間取りが失敗するときの黄金の法則についてお伝えしました。

微妙な間取りになってしまう場合、その原因はいくつかの要因に集約することができます。

その1つが、今回の間取りの伝言ゲームの法則なんですね。

 

住宅会社の担当者がこの間取り失敗の黄金の法則を理解しているのかどうかで、家づくりの成否が大きく違ってきます。

あなたの家づくりはこの伝言ゲームの法則、大丈夫でしょうか?

ぜひ失敗まっしぐらとなってしまうこの法則に当てはまらないような家づくりをしてくださいね。

失敗の可能性を低くする事で、成功する家づくりというものがグッと近くなってきますよ。

では。

 

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間取りが失敗する黄金の法則って何?

  • 家の要望を営業マンがヒアリングし、それを設計担当者に伝える伝言ゲームでは、本当の要望は伝わっていない。
  • さらに伝言ゲームでできた間取りを元に要望を足していくと、ヘンテコな間取りが完成する可能性が高いです。
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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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