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建売住宅と注文住宅の違いって何?どっちも造った建築士が分かりやすく解説します。

「建売住宅と注文住宅では、家で何か大きく違うものなのでしょうか?

建売住宅はすでに家が建っているので中が見られるけども、家が完成しているので間取りの変更はできない。

注文住宅は間取りが自由に家を建てることができるというのは分かるのですが、それ以外の違いがあるのかどうか気になってしまいます。」

このような相談を読者の方からもらいました。

 

建売住宅と注文住宅の大きな違いって一体何なんでしょうか?

 

確かに建売住宅と注文住宅の違いって言うと、「建売住宅はたった家が見れる」「建売住宅の方が価格が安そう」というイメージくらいしか浮かばないのではないでしょうか。

今回は建売住宅にするか注文住宅にするか迷っている人はもちろん、建売住宅、注文住宅のどちらかに決めているという人も、ぜひ参考にしてください。

建売住宅と注文住宅について

建売住宅と注文住宅どっちがいい

私はかれこれ長い間、注文住宅の建築士をしておりますが、実はこれまで働いたことのある会社で建売住宅を担当させてもらった事があります。

そのため、建売住宅がどのようにして出来ているとか価格の安い理由も身をもって経験しましたし、建売住宅と注文住宅との違いもすごくよく分かります。

今回は建売住宅、注文住宅の違いをありのままお伝えしますので、家を建てる(買う)判断材料にしてくださいね。

 

まずは建売住宅と注文住宅について、「立地(土地)」、「家の価格と品質」、「家の間取り」という大きく分けて3つの視点で見ていきたいと思います。

それでは「立地(土地)」についてみていきましょう。

立地(土地)について

立地

建売住宅は立地が良い物件も出やすい

建売住宅は不動産会社や住宅会社が土地を仕入れてから家を建てるので、かなり立地が良い建売住宅が販売されることがあります。

なぜ立地が良い建売住宅が出やすいかと言うと、建売住宅の場合は土地の仕入れが大きなウェートを占めるので建売会社は独自の仕入れネットワークを持っている事が多いですし、広すぎて個人では買えないような大きな土地でも細かく区割りをして個人が買いやすい広さ、価格にして販売するという方法もあるので、通常の不動産市場ではあまり出てこない土地に家を建てて販売することができます。

とにかく立地が良ければ家を建ててしまえば誰かが必ず買ってくれて売れ残る事がないので、建売会社は土地情報の収集に力を入れるんですね。

 

また、建売住宅には2、3棟くらいの小規模な物から、100棟単位の大きな分譲地の建売住宅というのもあり、大きな分譲地はメリットも多くあります。

例えば、新しい街をつくる事になるので、皆新しく住む人ばかりになって子供の同年代の友達も多くなります。また、古いしがらみというのがほぼ無いので、そういったのが苦手という方にも向いていますね。

さらには街並みにも力を入れている分譲地なんかもあり、不動産価値を落とさない取り組みをしているところもあります。

 

注文住宅は自分で土地を見つけないといけない

注文住宅の場合、家を建てる土地を探して購入する場合と、親御さんの空き地や畑に家を建てたりや今の家を建替えるというケースがほとんどです。

 

特に注文住宅を土地探しからはじめた場合、家を建てる土地を自分、もしくは住宅会社と協力して手に入れる必要があります。

そのため、家だけでなく土地の最低限の知識も身につけておかないと、土地探しに失敗したなんて事も起こる可能性があるんですね。

また、いつまでに引越したいと思っている人の場合、希望の土地がなかなか見つからないので建売住宅やマンションまで視野を広げるという事もあります。

土地と工務店、どちらを先に決める方が良い家が建てられるの?

 

このように注文住宅は、まずは家を建てる土地をいかに手に入れるかという点では建売住宅よりも難しい反面、すでに土地を持っている場合は建売住宅と言う選択肢は無く、注文住宅やそれに近い家を建てる事が基本となります。

あなたに合っている家はどれ?家は注文住宅だけでは無いんです

 

家の価格と品質

大工

建売住宅は価格が安いがそれなりの品質

建売住宅は注文住宅と比べて、少ない予算で家を手に入れる事ができます。

間取りの打合せや仕様の打合せが必要ないので、人件費の分だけ価格を下げたり、大量発注で部材の単価を下げる事ができるからなんですね。

ところが、建売住宅は人件費や材料費以上の価格を下げて販売していることがほとんどです。

 

なぜでしょうか?

 

答えは、工事の品質も下げていることが多いからです。

 

工事の品質が下がる原因として、建売住宅は家の数をこなすことで利益が出るような仕組みになっています。

そしてそれは、工事をする大工さんや職人さんにも同じ事があてはまります。

 

例えば大工さんの報酬は、1棟建てて〇〇万円と言うように決まります。そしてこの金額は建売住宅の場合、注文住宅よりもかなり安い単価に設定されます。

そのため大工さんにとっても建売住宅の場合は数をこなさないと利益が出ず、良い家を建てるのが目的ではなく、早く家を建てて数をこなすことが目的となってしまいやすいんですね。

同じように現場をチェックする現場監督も大量の家を少人数で監督する必要があるので、品質チェックよりも発注業務や職人の段取りがメインの仕事となり、家の品質は二の次になることがとても多い傾向があります。

建売住宅では現場を見に来る施主さんもいないですし、壁をふさいでしまえば中はもう見えません。

こうして価格は安いけども、質も悪い家が出来上がっていきます。(アパートなんかも同じような感じです。)

 

ちなみに、私の会社でもごく稀に分譲住宅をつくりますが、注文住宅と同じ仕様、品質、同じ施工面積なら人件費分と量を発注して安くなった部材くらいしか原価は下がりません。相場よりも数百万円安い建売住宅の場合、必ず何かを下げているんですね。

施工面積って何?よく分からない建築用語を解説します

 

注文住宅の価格と品質

注文住宅の場合、品質が悪いとクレームになり下手をすると評判も落ちて死活問題になりかねません。

そのため、ちゃんとした住宅会社や工務店は職人に対しても一定レベル以上の品質を求め、教育したりもします。

もちろんその分、発注する単価は品質がほとんど問われない建売住宅よりも高くなりますが(当たり前といえば当たり前ですね)、丁寧に家が長持ちするように家をつくるようになります。

(ちなみに、一定レベルを超えない職人や、良い家をつくるより数をこなす事が好きな職人が建売現場へと流れていく傾向があります。)

 

また、注文住宅の場合は工事中に施主さんが来る事もありますし、大工さんと施主さんが話す機会もあります。

このお互いの顔が見えるというのが結構重要で、顔見知りの人の家を手を抜くという事は性格がねじ曲がっていない限り普通はしません。反対に仲良くなって棚板や踏み台などをサービスしてもらったという話も良く耳にします。

このように、建売住宅と注文住宅では根本的な考え方が違うため、価格も品質にも大きな差が出るんですね。

家の建築中は工事現場に行くべき?良い家を建てるための法則

 

注文住宅でも注意!!

一言で注文住宅といっても、様々な種類の注文住宅があります。

建売住宅メインの会社がつくる注文住宅は、建売住宅と品質はほとんど変わらないことがほとんどなので注意してくださいね。(建売住宅の職人が家を建てるので)

こだわった注文住宅を建てるなら、注文住宅に力を入れている住宅会社や工務店で建てないと「これが注文住宅?」という事になってしまうこともあるので注意が必要です。

あなたに合っている家はどれ?家は注文住宅だけでは無いんです

家の間取り

家の間取りと動線

建売住宅の間取り

建売住宅はすでに家が完成しているので、実際の家の中を見学してから買うか買わないかの判断をする事ができます。

その結果、注文住宅であるようなイメージと違ったという事はありません。(良い意味でも悪い意味でもです)

 

建売住宅の間取りについては、建売会社は建売住宅が在庫となるのを嫌います。

資金をつぎの案件にまわせないからなんですね。

そのため建売住宅は売りやすい家がメインとなります。売りやすい家にするとなると、誰でも一応は住むことができる無難な〇LDKと言った家になります。

誰でも住めると言えば住めますが、ただの箱のような家と言われれば確かにそんな感じもしますね。

 

もちろん使いやすそうな間取りもありますが、使いにくそうなヘンテコな間取りもあります。

やはり建売住宅の魅力は中を見てから決められる事です。変な間取りの家でも中を見て納得して買う訳なので、注文住宅のように間取りでの失敗は少ないと言えます。

 

一方、建売住宅で多いのがコンセントが変な位置についているとか、家具が収まらないという住んでからの不便さです。コンセントは設計者が家具を想定して配置していますが、実際に住む人がそこに置くとは限らないですよね。

コンセントの数も原価の関係で多くつける訳にいかないので、必然的に少なくなっています。

 

また、建売住宅しか担当しない設計者は実際に住んだお客さんの声を聞く事がほとんど無いので、何が良くて何が悪かったかという経験値を積み上げる事ができません。

そのため、使い勝手が良いか悪いか本当のところが分からないまま、次々に同じような家をつくることになっているのもよく見かけます。

そのため住む人の立場になって考えるという顧客目線が欠落した間取りも多く、そのような間取りの家を買わない目利きも必要になってくるんですね。

良い家をつくる設計士が必ずもっているもの

 

ブランド建売住宅で体験した事

少し余談になってしまいますが、あるブランド建売住宅で私が体験した事を少々お伝えします。(あくまで私の体験です)

以前、誰でも聞いた事がある大手の〇〇建設とか〇〇不動産とかが販売している建売住宅の間取り会議に参加したことがありました。最初は私も気合いを入れて参加していましたが、毎回何時間もどうでもいいことに大の大人が何人も集まって、家に大した影響が無い事について不毛な会話を繰り広げていました。(まともな人に聞いたところ、他に仕事が無く暇らしいです)

有名な会社が販売するブランド建売住宅?は、そんな不毛な会議に参加している高給取りの人件費分が上乗せされているんですね。

そのため建売住宅を買うなら、良い建売会社を見極めるのが一番のポイントと言えます。(販売は外部委託されている事が多いですが、建売会社から直接話を聞ける場合はしっかり聞いてみてくださいね)

 

注文住宅の間取り

注文住宅の間取りをつくるには、家の要望を聞いてから間取りをつくるという、建売住宅には無い工程がプラスされます。

また間取りだけでなく家の仕様なんかも決めていくので、家づくりの楽しさも存分に味わえます。(その分、悩みもします)

その結果出来上がった家は、あなたの生活に合った家であるのはもちろん、家で暮らす事の楽しさも気付かせてくれるはずです。

 

その一方で注文住宅は時間もかかりますし、住宅会社や担当の設計者のレベルによって家の出来が左右されるという側面もあります。

また、注文住宅とは名ばかりの使い回しの間取りを手直ししただけなんて事もありますので、その土地に本当に合った間取りなのか見極める力が求められます。

注文住宅は手間もかかりますが、その時間を楽しめるかどうか。

この部分があなたが注文住宅に合っているかどうかの判断基準となるんですね。

まとめ

今回は建売住宅と注文住宅の違いについてお伝えしました。

建売住宅と注文住宅の大きな違いは3つ。

「立地」と「家の価格と品質」。

そして最後に「間取り」です。

言い換えると「家に自分を合わせるのか」、それとも「家を自分に合わせるのか」という事なんですね。

 

建売住宅は「家の価格と品質」を低くして「家に自分を合わせる」。

注文住宅は「家の価格と品質」を高くして「家を自分に合わせる」。

(最近流行の中古を買ってリノベーションするという人は、「価格と品質」は下げたいけど、「家を自分に合わせたい」という選択肢である事が分かりますね。中古なので間取りや耐久性に制約はあるけども、建売住宅と注文住宅のいいとこ取りをしたといった感じです。)

 

もちろん、予算がないのに注文住宅を建てるという無理をする必要もありませんし、家以外にお金を使いたいという人もいます。

反対に、家にこだわりがある人が建売住宅を買っても満足できません。

要は自分の優先する項目は、「家の価格」なのか「家の品質」なのか。「家に自分をあわせる」ことでOKなのか、それとも「自分に合った家」である事が重要なのかを考えてみると、自ずと自分が建てる(買う)べき家の姿が見えてきます。

 

あなたもぜひ自分に合った家を選んで、充実した人生を送ってくださいね。

では。

 

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建築士が教える今日の問題解決

建売住宅と注文住宅の違いって何?

  • 建売住宅は「家の価格と品質」は低くして「家に自分を合わせる」。
  • 注文住宅は「家の価格と品質」を高くして「家を自分に合わせる」。
  • 優先する項目は、「家の価格」なのか「家の品質」なのか。「家に自分をあわせる」ことでOKなのか「自分に合った家」である事が重要なのかを考えてみると、建売住宅が合うのか注文住宅が合うのかが分かる。
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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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