「家づくりのスタートからブログを参考にさせていただいております。家の工事も無事に終わり、あとは引き渡しを待つばかりとなりとなりました。そこで最後に1つリクエストさせてください。今度、工務店立会いのもと『施主検査』があるのですが、『施主検査』について記事にしてもらえないでしょうか?」
このようなリクエストを読者の方からいただきました。
「施主検査」という言葉は日常生活ではあまり聞きなれない言葉ですが、「施主検査」とは家の工事が終わった後にお施主さんが家の出来具合をチェックする重要な検査となります。
では、そんな「施主検査」ではどんな部分に注目すればいいのでしょうか?
今回は「施主検査」をする時のポイントやチェックしておきたい部分について詳しく見ていきたいと思います。
これから家を建てる方や家の工事中という方はぜひご覧ください。
施主検査って何?
それではまず、施主検査はどういう物か見てみましょう。
施主検査とは冒頭でお伝えした通り、家の工事が終わった後にお施主さんが家の出来具合をチェックする検査となります。
では、具体的に施主検査でどんな事を検査するのかと言うと、図面や仕様書通りに家ができているか(打ち合わせした内容で家ができているか)、家の中、外含めて目立つ傷や不具合が無いかどうか。
この辺りが施主検査の主な内容になってきます。
そして不具合があれば補修や手直しを行い、それが終われば遂に念願の家の完成となります。
このように「施主検査」は家の工事内容をチェックする最後の場となるので、家づくりの中でも「施主検査」は重要な検査なんですね。
一方、施主検査と言われてもどの部分をチェックすれば良いかは中々分からないもの。
次に施主検査で具体的にどこを見ればいいか見ていきましょう。
施主検査のポイント
施主検査で確認しておきたい部分。
それはずばり次の3つです。
- 図面、打合せ通りにできているか。
- 見た目に気になる傷はあるか。
- 建具など不具合は無いか。
この3つを確認することで、満足いく施主検査を行うことができるんですね。
それでは、それぞれ具体的に見ていきましょう。
図面、打合せ通りにできているか
図面や打合せ通りに家ができている。
当たり前のことの様ですが、家は間取りだけでなくインテリアや仕様、設備など様々な物を決めることになります。
その結果、打合せ内容が上手く図面や現場に反映されていなかったり、上手く意思疎通ができていないという不幸なケースが起こるケースも意外と多くあります。
(さすがに間取りの間違いというのはほとんど見かけませんが、壁紙や設備のオプションなどは間違いが起こりやすい部分です)
家はいろいろ決めることが有りますし、打合せをしたのは工事が始まる前の事なので全部は覚えきれない部分も当然出てきますが、図面や仕様書を見て当時を思い出しつつ、施主検査で確認していきたいですね。
一方で万が一、間取りや仕様に不具合が有った場合、家が完成してから作り直すと時間がかなり掛かるケースが多くなります。
一度作った物を壊して作り直す必要があるからなんですね。
その結果、引っ越しなどの日程に影響が出てきてしまう事も考えられます。
そうならないためにも、家の工事現場にはたまには顔を出して、家の進み具合や打ち合わせ通りに工事が進んでいるかというのも時々軽く確認しておけるとベストなんですね。
→家の工事中はお茶を持って工事現場へ行くと良い家になる理由って何?
見た目に気になる傷はあるか
家の傷や汚れのチェック。
これは施主検査で一番頑張ってチェックしたい項目です。
では、どうして傷のチェックが重要なんでしょうか?
それは、傷はいつできたか判断するのが難しいというのが大きな理由です。
たとえば、施主検査前の傷は工事の際にできた傷ですが、施主検査以降に気づいた傷は何でついた傷かハッキリ分かりません。
引っ越しの時についた傷かもしれませんし、生活を始めてついた傷ということもありますし、もしかしたら工事の時についた傷かもしれません。
そうなると原因がハッキリとしないので、住宅会社や工務店も簡単に「補修します」とは言えなくなってしまうんですね。
そのため、施主検査の段階で気になる傷は確認して補修してもらうというのが、お施主さんにとっても工務店にとってもベストなタイミングとなるんですね。
では、どんな場所の傷を確認すればいいかと言うと、傷の確認については、家の中、外含めて一通り見るというのが基本となります。
具体的に見ておきたい場所としては、
- 壁紙(傷、壁紙の膨らみが無いかなど)
- フローリング(傷、凸凹など)
- 巾木(仕上がり具合が丁寧かどうか)
- 設備(工事の際に大きな傷ができていないかどうか)
- 玄関のタイル(ヒビが入っていないか、目地に汚れが無いか)
- 外壁(傷や凹みが無いかどうか)
- 基礎(ヒビが無いかどうか)
この辺りは必ずチェックしておきたい場所となります。
この中で巾木が一番目立ちにくい場所ですが、目立ちにくいだけ工事が雑な場合もあり、巾木を止めるタッカーと呼ばれる金具が飛び出たりしている事もあるのでしっかり確認しておきたいですね。
→巾木(はばき)って何?巾木で部屋オシャレにするための5つのポイント
ちなみに、傷以外にも設備機器が正常に動くかどうかもチェック項目ではありますが、設備機器に関してはそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
設備機器などであれば、正常に動かなかったりすぐに不具合が出た場合は施工不良か品質的に問題が有ったなど責任の所在が明確ですし、メーカー保証なども充実しています。
そのため施主検査では、施主検査以降、責任の所在が曖昧になってしまう傷のチェックが重要となるんですね。
建具などの不具合は無いか
施主検査では、建具や窓も一通り全部開け閉めするのがオススメです。
たまに開け閉めするのが硬かったり、少し音が鳴ることも有るからなんですね。
建具や窓は調整できるようになっていますが、一般の方が手を加えるのはちょっと難易度が高いので、施主検査で調整してもらうのがベストです。
(もちろん、家が完成してから工務店に調整してもらうこともできますが、建具の調整だけに来てもらうのは気が引けるという方も結構いらっしゃり、しばらくそのままというケースもたまに見かけます)
あとはキッチンや洗面など設備の扉も忘れずにチェックをしたいところ。
扉を開けた時に扉が壁にブツかってしまうというケースも稀にあるので、「涙目」などを使って壁紙が傷つかないように依頼しておきたいですね。(涙目とは下のような透明なウレタン性のクッション材です)
施主検査で有ると便利な物
それでは最後に、施主検査の際に有ると便利な持ち物について見てみましょう。
- 図面、仕様書
- メジャー
- カメラ
この3つは施主検査の三種の神器と呼ばれています。
図面、仕様書については工事前にお施主さん用の図面一式が渡されているのが一般的なので、その図面を持っていきたいですね。
現場監督の図面を見せてもらうという方法もありますが、現場監督の図面は色んな書き込みがされていることがほとんどで、一般の方が見るのはちょっと大変。
また、気になる点など忘れない様に書き込みもできるので、図面は忘れずに用意したいですね。
(施主検査の際、お施主さんの図面を用意してくれる会社もあるので、施主検査の日程を決める時に確認しておけるとベストです)
次にメジャー。
メジャーは気になる場所があれば図面通りの広さ高さになっているか確認したり、ちょっとした家具や小物を置くスペースとしてどれくらいの広さがあるか確認するなど、思った以上に活躍してくれます。
必要な場所は図面に寸法を書き込んでおくのもいいですね。
最後にカメラ。
これはスマートフォンでも全く問題ありません。
そして気になった部分を画像として記録として残しておくというのは、色んな面で役立ってくれます。
たとえば、補修後、補修前の状態を確認することもできますし、家の中に何も無い状態というのは実は今しか撮影できません。
引き渡しが終わるとすぐに引っ越しとなるので、物を置いていない状態を記録に残すというのはタイミングが意外と難しいんですね。
そういった面も含めて、家の画像を撮っておくのも楽しいですよ。
ちなみに、施主検査では傷など気になる部分はマスキングテープを貼っていきます。
(マスキングテープは簡単に剥がす事ができるので家に傷がつきませんし、マスキングテープは現場監督が用意してくれます)
マスキングテープを渡されて「気になる部分に貼ってください」と言われることもあれば、現場監督と一緒に回って気になる場所は現場監督がテープを貼っていくケースもあります。
施主検査は時間にして1時間〜2時間ほど。
この時間は家づくりの最後の時間を楽しみつつも、しっかり集中して検査にのぞみたいですね。
まとめ
今回は施主検査について詳しく見てきました。
施主検査は家づくりの最後の検査で、家の出来具合をチェックする重要な検査となるんですね。
そのため、気になる点はしっかり伝えるというスタンスがとても大切になります。
ちなみに最後に余談を少々。
一般的な住宅会社では、家の引き渡しが終わり少しすると、「現場締め」というのを行います。
これはその家の工事に関わるお金の入出金を締めて、原価が〇〇円、利益が〇〇円というのを確定させます。
それまでは現場の責任者が発注などを行なっていましたが、現場を締めた後はそれができなくなってしまうんですね。
そして、現場を締めた後に少し手直しして欲しいとなっても、現場を締めているので現場監督の判断で補修するのではなく、住宅会社のルールに合わせて補修することになります。
場合によっては施主検査の段階だと現場監督の裁量で無料で補修が可能だったのが、後で気づいて補修をする場合、無料だと難しいというケースも有り得るんですね。
特に規模の大きい住宅会社だと、現場監督とアフターメンテナンスの担当者は別々という事もよくあり、補償の範囲外の物であれば有料となってしまうこともあります。
このような状態にならないためにも、施主検査はしっかり行い、気になった事は伝えておくというのが大切なんですね。
もちろん、すべてがすべて補修できる訳ではありませんが、「必要なことは伝えて可能な限り対応してもらった」と気持ち的に思えるとスッキリしますし、それに伴い満足度も違ってきます。
お施主さん、住宅会社、両方がスッキリと気持ち良く引き渡しするために、施主検査というのは大いに役立ってくれるんですね。
引き渡し前の最後の大きなイベントなので、楽しみながら必要な部分はしっかり確認する。
そうすることで、より良い家にすることができるんですね。
では。
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