日の光を家の奥に取り込んだり、開放感を与えてくれる吹抜け。
土地の日当りがあまり良くない場合や、開放的な家にしたい場合は大きな力を発揮してくれます。
吹抜けは家の間取りをつくるための一種の手法ですが、家の印象を大きく左右するんですね。
特に上手い感じで吹抜けをつくるとカッコいい家になることが多いです。
そんな吹抜けですが、一方で吹抜けを設ける場所を誤ったり、大きさ、形次第で残念な吹抜けとなってしまうこともあります。
「吹抜け無くてもよかった・・」というケースも多々見受けられるんですね。
読者の皆さんにはそんな吹抜けを造ってほしくないので、今回は今まで私が見てきた中で「これは残念」と思う吹抜けを紹介します。
ケース1 周りが壁に囲まれた吹抜け
これは吹抜けの周りが壁に囲まれている事例です。
イメージがつかみにくいかも知れないので次の写真を見て下さい。
吹抜けの周りが壁に囲まれていますね。
吹抜けの周りが壁に囲まれる事で、吹抜けの良さである開放感が活かされなくなってしまっています。
このタイプの吹抜けはよくみかけますが、かなりもったいない吹抜けの1つです。
センスのいいお客さんは、このタイプの吹抜けがイヤだと直感的に分かるみたいで、どこかでこのタイプの吹抜けを見てとても残念だったという話を聞くこともあります。(私も経験上、この吹抜けは残念な吹抜けだと思うので意気投合してしまいます)
対応としては、間取りでこのような吹抜けにならないように工夫するのが一番ですが、どうしても間取りで対応できないときは、一部でもいいので視線の抜けを造って対応したり、できるだけ壁の位置が離れるような広い吹抜けにしたいですね。
先ほどの吹抜けで言えば、窓を増やす等の方法が考えられます。
ケース2 大きさが残念な吹抜け
吹抜けの大きさはどれくらいが良いというのはよく出る話です。
その中でも吹抜けの幅と奥行きの関係はとても重要なポイントなんです。
それでは、さっきの吹抜けの画像をもう一度見てみることにします。
この吹抜けは幅が広くて奥行きが少ない吹抜けになっていますね。
吹抜けは壁に囲まれていると残念な吹抜けになるという話をしました。
けれでも対策として、吹抜けの奥行きが広くなればなるほど残念な感じは減っていきます。
開放感が出てくるからですね。
一方、これ以上奥行きが狭くなると、この吹抜けはほとんど意味が無くなってきます。
窓から入ってきた光がすぐに壁に当たってしまって、部屋の奥にまで光が届かなくなってしまうからなんですね。
奥行きが狭いなら、せめてまわりは壁ではなく手すりにするといった対策が必要になってきます。
反対に、奥行きがあって幅が狭い吹抜けというのもバランスが悪くなります。
家の大きさとバランスを見た上で吹抜けをつくるのが、カッコ良くて実用性のある吹抜けになるポイントなんですね。
ちなみに上の画像は、先ほどの写真とは奥行きが約45センチ違うだけの吹抜けです。
また、周りの壁を減らして格子状に、さらに窓を増やして光と開放感を出しています。
どうでしょうか?
一番最初の写真と見比べてみると随分と印象が違ってきますね。
それだけ吹抜けの大きさと吹抜けまわりをどう仕上げるかが、開放感があって実用的な吹抜けにするのに重要になってきます。
ケース3 位置が中途半端な吹抜け
実は上の画像のような吹抜けは、あまりオススメできません。
では、どの部分が残念なんでしょうか?
答えはコチラです。
どうして中途半端かと言うと、LDKの一部が吹抜けになっていて一部が平天井になっているため、吹抜け部分がポッカリ空いた穴みたいに見え、ゴチャゴチャしているように見えてしまうからです。
吹抜けはスッキリとした感じを出すのが重要なので、位置が中途半端だとスッキリ感が出ないんですね。
先ほどの家の場合、外壁に寄せて吹抜けをつくるのが正解となります。
そうすることで家の中のラインが整ってスッキリ見えるようになるんですね。
→巾木の次第で部屋の印象はすごく変わる!巾木の種類と見え方の違い
また、先ほどの吹抜けのように中途半端な位置に吹抜けがある時に注意したいのが、カーテンやブライドなどのウィンドウトリートメントを付ける場合です。
→間取り段階から気をつけたい、ウィンドウトリートメント計画の2つのポイント
高い位置にウィンドウトリートメントを付ける場合、一般的にはヒモなどを下に垂らして開閉を行うのですが、先ほどのように中途半端な位置にある吹抜けの場合、ヒモを垂らすとリビングの真上からヒモが垂れてしまうなんてことも普通に起こってしまいます。
天井からヒモがヒラヒラしているリビングは何か変ですよね。
歩くたびにヒモにぶつかる可能性も出てきます。
そのため、ウィンドウトリートメントは電動にする以外に選択肢は無くなり、あらかじめ電源を用意しておく必要があるんですね。
家が出来てから気付いた時は遅いので、まずは中途半端な位置の吹抜けにしないこと。
どうしても中途半端な位置になった場合はカーテンやブラインドなどが問題なく開け閉めできるのかどうか確認するのが重要になってきます。
ケース4 玄関の上の吹抜け
これは言葉のとおり、玄関の真上にある吹抜けです。
建売住宅などでたまに見かける吹抜けですね。
悪い事は言いませんので、「ちょっとだけ吹抜け欲しいから玄関に」とか「玄関を明るくしたいから」、「空いたスペースがあるから吹抜けに」くらいの理由で玄関の上に吹抜けを持ってくるのは止めた方が無難です。
玄関に吹抜けを持ってくるなら、玄関の上に吹抜けが必要となる特別な理由があるか、豪邸と思われるくらいの家でないと残念に感じる可能性はかなり高くなってしまうんですね。
理由はまず、一般的な家だと玄関はそれほど広くありません。
ですので、そんなところに吹抜けを持ってきても、大した効果は生まれず玄関が少し明るくなるくらいのことが多いです。
(そのため、ケース1、ケース2で見てきたように大きさが残念だったり壁に囲まれた吹抜けになりやすいんですね)
また、玄関に長時間いる人などはそういません。
それなら人が長くいる場所に吹抜けを持ってきた方が、よほど効果的となります。
さらに、玄関の土間というのは家の中でもかなり断熱性能が落ちる場所です。
土間に床暖房を入れたりして何らかの対策をしない限りは、家の中で冷え込みの大きい場所となってしまうんですね。
そのため、いくら家の性能がよくても、吹抜けで2階のホールなどと繋がっている場合、コールドドラフトが起こる原因ともなってしまいます。
このようなことから、玄関に吹抜けをつくる場合は何かしらの理由が無い限りはおススメしません。
うちの会社でも、玄関に吹抜けをつくる場合、しっかりした理由が無い限りは「玄関の上に吹抜けをつくってもOK」は出ないようになっています。(そもそも玄関に吹抜けをつくるケースは稀ですが)
「吹抜けを玄関につくるしっかりした理由がある」または「吹抜けがあって成り立つ」といった間取り以外は、玄関に吹抜けをつくるのは注意してくださいね。。
まとめ
今回は残念な吹抜けになる4つのパターンをお伝えしました。
吹抜けは図面だとイメージが中々つきにくいので、家が出来上がってから初めて気付くことも多い場所と言えます。
吹抜けをつくる時は経験が重要な要素となるんですね。
また、意味の無い所に吹抜けを造れば、失敗する可能性は高くなってしまいます。
そのため、吹抜けをつくる場合は今回のような4パターンにならないよう注意して、あとはプロにお任せするのが吹抜け成功の一番の近道となります。
吹抜けをつくる場合は、ぜひ設計担当者と相談しながらカッコいい家を造ってくださいね。
では。
吹抜けについてはこちらも参考にしてください。
→吹き抜けのある間取りにする時に必ず知っておきたい5つのこと
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
家の内装が気になる方はこちらも参考にしてください。
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
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家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
残念な吹抜けってどんな吹抜け?
- 周りが壁に囲まれた開放感の無い吹抜け
- 大きさが計算されていない吹抜け
- 意味の無いところについている引抜け