「吹抜けって寒いんじゃないの?」
この質問は住宅業界で働いている人なら必ず聞かれた事がある質問です。さらに聞かれる事も頻繁にあります。それだけ家づくりをする人にとっては吹抜けは気になる内容でもあります。今回は、実際に家を建てた人の100人の本音の話「吹抜け編」お送りします。
吹抜けは寒いのか?
家に吹抜けをつくった人、100人に吹抜けをつくって寒かったどうか感想を聞きました。その100人の内訳は、吹抜けを造ったOBさん約60名(私の担当物件です)、会社のOBさん約50名(他建築士担当)、他社で家を建てた人約20名という陣容です。余談ですが、私が今まで担当したOBさんは110棟を超えたくらいなので、そのうち60件も吹抜けを造っているとは、私はかなり吹抜けが好きなようです。
OBさんには引渡してから1年を超えたくらいにアンケートを書いてもらっているので、データとしてはかなり正確です。また、他社で家を建てた人というのは、私に家の相談をされた方や知人、友人から話を聞きました。こちらもかなり正確なデータになっています。
では本題に戻ります。吹抜けは寒いのか?
結論は「家の性能による」です。
吹抜けが寒いかどうかは、家の性能次第
吹抜けが寒いかどうか聞いた人の数は、約130人。吹抜けが寒いと答えた人の数は約40人。詳しく内容を見ていきましょう。
OBさんで吹抜けが寒いと答えた人は、昔に建てた物件かお客さんがかなりの寒がりの人に偏りがありました。かなりの寒がりの人はひとまずおいて置いて、昔に建てた物件が寒いと言うのは思い当たる節があります。うちの会社は4、5年ほど前から家の性能にかなり力を入れるようになりました。理由は時代が省エネ重視になってきたこともありますが、冬寒いと言われない家を造るというのが会社の大きな目標となったからです。その結果、家の性能に力を入れてからの物件は、吹抜けをつくっても寒いと言われる事はほとんど無くなりました。
一方、他社で建てた人の調査結果を見ると、寒いと答えた人は建売の住宅であったり、性能に力を入れていない会社が建てた家で、性能の良い家を建てた人は吹抜けで寒さを感じていませんでした。
性能が良い家が寒くない仕組みとは
なぜ性能が良い家は、吹抜けをつくっても寒くないのでしょうか?性能が良い家は、例えると魔法瓶のような家です。魔法瓶にあたたかいお湯を入れて蓋をすれば、お湯のあたたかさが何時間も持続します。それと同じ仕組みです。性能が良い家は外壁が魔法瓶の役目をはたして、暖かい空気を逃がしません。そのため吹抜けをつくっても、部屋が暖まるまで少し時間がかかりますが暖かい空気が外に逃げる事はほとんどありません。だから、寒さを感じないんですね。
一方、性能が悪い家だと、せっかく暖房で暖めた空気が外に逃げていってしまいます。だから寒く感じてしまいます。
まとめ
吹抜けをつくるなら、性能の良い家でつくるのが必須となります。
逆に言うと、「吹抜けをつくったら寒いですよ」と言う営業マンや会社は、自分の会社の家の性能を自ら悪いと言っているようなものです。もちろん、吹抜けのつくる場所やつくり方によって家が寒くなる事もあり、ちゃんとした理由から「この吹抜けをつくったら寒くなりますよ」と言ってくれるならいいですが、大した説明も無しに「吹抜けをつくったら寒いですよ」と言う会社は大きな減点です。家の性能が悪い可能性大です。
最後に小話をひとつ。高い性能と冷暖房などの熱源があれば、時間がかかっても家の中は暖かくなります。ただ、熱い寒いの感じ方は人それぞれです。寒冷地仕様で性能によっぽどの自信がなければ「絶対暖かくなる」とは言いきれないところがどうしてもあります。私も「絶対暖かくなる」とは言いません。将来、住宅業界が絶対と言い切れるくらい家の性能を安価で上げられるようにできればといつも思います。なかなか難しいテーマではありますが。
次回、ここでいう性能の良い家とはどういう家か詳しくひも解いていきます。
では。
吹き抜けについてはこちらも参考にしてください。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
→吹き抜けのある間取りにする時に必ず知っておきたい5つのこと
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
建築士が教える今日の問題解決
吹抜けって寒いの?
- 吹抜けが寒く感じるかどうかは性能次第。
- 吹抜けを造るなら、性能の高い会社で家を建てるのが良いです。