家を建てる方とお話ししていると、「家をスッキリ見せたい」という声をよく耳にします。
もちろん、家が片付いている事が「スッキリした家」には重要ですが、家の造り方次第でも「スッキリ見える家」になるのか「スッキリ見えない家」になるかが違ってきます。
実はこの違い、住宅会社ではあまり教えてくれません。
その理由は、住宅会社次第でインテリアや内装の考え方が違うからなんですね。
「標準の仕様が決まっているので、標準仕様の中からしか選んでほしくない」といった効率を重視する会社から「デザインにこだわっているから、スッキリ見えて当たり前」、「そもそもスッキリさせる方法を知らない」などなど住宅会社次第で考え方にバラツキがあるんですね。
このように、住宅会社次第で家の内装はかなり変わってくるのですが、お洒落でスッキリ見える方法というのは一定の法則があります。
そこで今回はこの法則にしたがって家をスッキリさせる方法を建具(ドアや引戸の事ですね)の視点でご紹介していきたいと思います。
ハイドアとは?
あなたは「ハイドア」という言葉を聞いたことがありますか?
「ハイドア」とは、天井いっぱいまでドアになっているドアのことです。
そして、家の中をスッキリ見せるには「ハイドア」がとても役に立ってくれるんですね。
家をスッキリ見せる法則を使うのに「ハイドア」はぴったりの建具です。
では、実際に言葉だけでは「ハイドア」はどんなドアか分かりにくいので、実際に「ハイドア」と普通のドアを比べて見ましょう。
まずは下の画像をご覧ください。
photo:https://www.fullheight-door.com/
左側が一般的な高さが2mのドア、そして右側が「ハイドア」になります。
左側はよく見かけるドアですよね。
皆さんの家にもこのようなドアが1つはあると思います。
一方のハイドアは高さがあるので天井一杯までドアにすることができます。
どうでしょうか?普通のドアよりもスッキリ見えますね。
「ハイドア」はドアが天井まであるのでドアを開けた時に下がり壁が無く、スッキリした印象の部屋になっているのが分かります。
こうして普通のドアと「ハイドア」を比べてみると、違いが一目瞭然ですね。
ハイドアのメリット、デメリット
先ほど見たように、普通のドアと「ハイドア」では部屋の印象は違ってきます。
では、どうして普通のドアと「ハイドア」では部屋の印象が変わってくるのでしょうか?
それには、部屋をスッキリ見せる法則に当てはめてみるとよく分かります。
ここでクイズを1つ。
家を簡単にスッキリさせるためには部屋をどう造ればいいのでしょうか?
答えは「無駄なラインを減らす」ということ。
この無駄なラインを減らすというのは言葉だけでは分かりにくいので、実際にハイドアを使った例を見てみましょう。
たとえば「ハイドア」を使うことで天井までドアがあるので下がり壁が無くなり、その結果無駄なラインが少なくなっていますね。
ここが重要なポイントで、部屋をスッキリ見せるには無駄なラインを減らしていくのが大切になってきます。
そしてラインを少なくするためには、建具の場合は普通のドアではなく「ハイドア」というドアを使うのが効果的という訳ですね。
私も建築士の駆け出しの頃はあまり分かりませんでしたが、家を長く見ていると、このような小さな違いが家のデザインに大きな影響を与えているという事が身にしみて分かるようになりました。
皆さんもオシャレな家具や家電を一度思い浮かべてみて下さい。
無駄な物が削ぎ落とされて、シンプルな物が多いですね。
そうした細かいディテールの積み重ねが、デザイン性が高い物を生み出しています。
家も同じなんですね。
ちなみに「ハイドア」のデメリットを上げるとすると、普通のドアと比べて「ハイドア」の方が価格が高くなってしまうということが挙げられます。
ドアのグレードにも寄りますが、普通のドアから「ハイドア」に変えることで1つにつき1万円〜数万円ほどのコストアップになることが多いです。
そのため、ドアが多い家では予算がきつくなってしまうこともあるので、玄関やLDKから見える場所や1階だけ「ハイドア」にするという方法もあります。
ただ、同じ部屋の中でドアの高さがバラバラだとチグハグに見えてしまう原因にもなるので、同じ部屋で「ハイドア」と普通のドアを使う場合は部屋の中がどう見えるかCGパースなどで確認しておきたいですね。
ハイドアをさらにスッキリさせる
「ハイドア」を使う事で部屋をスッキリ見せることができますが、「ハイドア」をうまく使ってさらにスッキリ見せる方法もあります。
その際にポイントになってくるのがドアの「枠」。
たとえば、一般的なドアにはドアの周りに「ドア枠」があります。
こんな感じですね。
ドア枠とドアは基本的にセットになっていて、ドアの色と合わせたドア枠が付くのが一般的です。
ドア枠自体は意味があるので付いているのですが、場合によってはドア枠があることで部屋がゴチャゴチャと見えてしまうこともあります。
先ほど無駄なラインを消す事で部屋がスッキリ見えるとお伝えしましたが、このドア枠が邪魔をしてしまうこともあるんですね。
特に「ハイドア」はドアと壁との一体感やドアを開けた時にドアの存在感を消すといった効果を期待してつけるケースがほとんどになります。
そうなるとドア枠の存在感はできるだけ消したいところですよね。
たとえば、ドア枠を無しにするとこんな感じになります。
photo:https://www.fullheight-door.com/
天井部分がドアで区切られず、すごくスッキリ見えるのが分かりますね。
このように「ハイドア」の場合、枠の存在を消すことでさらに部屋をスッキリ見せることができます。
そのため「ハイドア」の場合、ドアのデザインだけでなく枠もどれだけ存在感を消すかも考慮に入れながら内装を決めていくのがオススメなんですね。
ちなみに、「枠があるハイドア」を使うという選択肢もあります。
「枠があるハイドア」はスッキリさでは「枠無しのハイドア」に少し劣りますが、天井までドアがあるので一般的な扉よりもやはりスッキリ見えます。
価格も「枠無しのハイドア」よりも上がらないので、「そこまでこだわりは無いけど、ちょっとだけこだわりたい」という場合はオススメの建具なんですね。
「ハイドア」の場合は扉も大きい分だけ枠も見えやすいので、枠を付けるなら壁に合わせるのが一番綺麗に見えます。
このような事も踏まえつつ、部屋の雰囲気にどれだけこだわるかで、「枠無しのハイドア」か「枠有りのハイドア」かを選ぶとコストとデザインのバランスが一番良くなるんですね。
ハイドアが似合うケース、似合わないケース
それでは最後に、「ハイドア」が似合うケースとあまり相性がよくないケースも見ておきましょう。
基本的に「ハイドア」はドアの存在感を少なくするのでどんな部屋にも合わせやすく、モダン、和モダンな部屋はもちろん、ナチュラルな雰囲気の部屋にも上手くマッチしてくれます。
また、「ハイドア」と相性が良いのが引戸です。
引戸を「ハイドア」にすることでより大きな効果を発揮してくれるんですね。
たとえば引戸の場合は扉を閉めずに開け放っている事も多く、そのような扉を「枠なしのハイドア」にすれば、開けている時は扉の存在感が消えるのでとてもお洒落に見えるんですね。
このようなケースは特に、「日頃は開けたままだけども必要に応じて閉めたい」というケースに最適です。
扉を開けている間は扉の存在感がほとんどないのでスッキリ見え、でも扉を閉めたい時はおしゃれな扉として使えるという感じですね。
このように、開け放つ事が多い扉と「ハイドア」というのは、とても相性の良い組み合わせになります。
その一方で、アンティークなドアなど洋風な雰囲気の部屋を目指す場合は「ハイドア」は避けておいた方が無難です。
洋風の部屋の場合、ガラスや模様が入っているドアを使うことで雰囲気が出ますが、「ハイドア」にする事で装飾のバランスが崩れやすくなってしまうからなんですね。
「ハイドア」はドアの存在感を無くすものなのでスッキリ見える部屋を目指す場合はとても効果が高くなりますし、反対に装飾をプラスして「可愛い」雰囲気を作る場合は「ハイドア」にしない方が部屋が上手くまとまりやすいんですね。
その他、「ハイドア」の場合はドア自体が縦長になるので、シンプルなデザインの方が上手く馴染むという特性があります。
同じように「ハイドア」は目に見える面積も広くなるので、床や壁にあった色味にするか、色味を変える場合は質感の良い素材の「ハイドア」を使うというのが鉄則になるんですね。(質感を意識せず、色味だけ変えると安っぽく見えてしまいがちなので要注意です)
「ハイドア」に魅力を感じると、ついつい「全部ハイドアに」となってしまいがちですが、ハイドアにも相性があること知ることで「せっかくハイドアにしたけども失敗した」というのを防ぐ事ができるんですね。
まとめ
「デザインの神はディテールに宿る」
有名な建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。
細かい部分のつくり方次第で、家のデザインは大きく変わるんですね。
無駄なラインを減らすことで比較的簡単に部屋をキレイに見せることができるのが「ハイドア」。
そしてもっとすっきりしたいなら、「枠無しのハイドア」を使うとさらにスッキリした部屋になります。
無駄なラインを消していけば、家はどんどん洗練されてきます。
「モダンな住宅が好きな人」や「「ちょっとお洒落に見える家にしたい」と思う人は、ぜひ「ハイドア」にこだわってみてくださいね。
では。
家のデザインにこだわる方はこちらも参考にしてください。
家の内装が気になる方はこちらも参考にしてください。
→新築の内装はどうすればオシャレに見える?内装を決める時の6つのポイント
家づくりに役立つ最新情報をTwitterでも発信しています。
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
→注文住宅を建てる前に必ず知っておきたい!注文住宅のメリットとデメリット
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
スッキリ感を出すのにおススメな方法
- ハイドアは家をスッキリ見せるのにとても効果的。
- ハイドアの場合はドアの枠にも注意を向ける。
- 引戸など日常的に開け放つ場所とハイドアは好相性。