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工務店とハウスメーカーの違いについてまとめました

「ハウスメーカーと工務店、どちらにするか迷っています。どちらも良いところがあるのですが、いまいち決め手にかけるため決断することができません。何かアドバイスいただけないでしょうか」

このような質問を読者の方からいただきました。

ハウスメーカーで家を建てることにするのか、それとも工務店で家を建てるのかを迷われているんですね。

 

家づくりはどこの会社で家を建てるかによって完成する家というのは大きく違ってきます。

家づくりが成功するもしないも会社選びで決まってくると言っても過言ではありません。

そこで今回は、ハウスメーカーと工務店の違いについて、実際に家の現場を知る建築士の立場からお答えしたいと思います。

それではまず、ハウスメーカーにの特徴について見ていきましょう。

ハウスメーカーについて

ハウスメーカーというと、積水ハウスやダイワハウス、ヘーベルハウスなど、TVのCMでも良く見かける会社はハウスメーカーであることがほとんどです。

厳密にはハウスメーカーの定義というものは有りませんが、日本全国で家を建てていたり広い地域で家を建てている会社がハウスメーカーということになります。

家を建てるというと、まずはハウスメーカーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

 

では、今回のポイントとなるハウスメーカーと工務店の一番大きな違いというのは何なのでしょうか?

一番大きな違いは、全国展開をしているのか、それとも地域密着で家を建てているのかの違いです。

 

もちろん、根本的な会社の規模や資本力も違いますし、家の工法もハウスメーカーは独自なものを採用している所が多かったり、自社の工場で家のパーツをつくるなど工務店とは他にも違う部分はありますが、多くは会社の体力や家をつくる過程が違うだけなので、普通に家を建てる分にはそこまで大きな違いはありません。

では、全国展開をすることで工務店と何が違ってくるのか。

 

それは、家を建てる人のターゲットが違ってくるんですね。

 

ハウスメーカーの場合、全国展開しているのでどのようなお客さんに対しても受け入れられるような家を用意する必要があります。

例えば、日本のどこでも大体同じような物が揃うイオンモールの様に、ハウスメーカーも住宅業界の中でイオンモールと同じような役割を担っているんですね。

その結果、全国で同じような家をつくるため、さらにはどこでも誰でも作れるよう合理化するために工場でパーツを作って現場で組み立てる方法が主流となります。

全国で同じ物を販売するためには合理化が必要になりますが、そのために家の間取りの自由度に制限が出たりすることがあるんですね。

(自由度の制限というのは細かい寸法の調整ができないなど、意外と後で影響が出てくる場合があるので間取りにこだわりのある方は注意してくださいね。)

 

このようにハウスメーカーはある意味、万人受けするように家づくりをしていると言えます。

可もなく不可もなく、平均点をたたき出す家づくりと言う訳ですね。

ここが、ハウスメーカーと個性に特化した工務店との大きな違いとなります。

 

一方、技術力や施工力というのはハウスメーカー、工務店ともにどちらが優れているかは会社次第となります。

ハウスメーカーについて見てみると、研究開発費は工務店と比較にならないくらいの金額を使っていますが、その分、新技術の採用には工場のラインを一新、もしくは新たに作る必要があるので、そう簡単に商品を更新することはできませんし、工場でつくって現場で組み立てるという方法がメインなので、現場の施工力の維持や向上には会社としてどれだけ力を入れるかが問われます。

反対に工務店は、ハウスメーカーほど研究開発費にお金をかける訳にはいきませんが、工務店のネットワークをつくって技術を磨いたり、商品を開発したりなど、こちらも会社としてどれだけ力を入れるかが問われます。(もちろん、何もしない工務店もあります)

 

そのため、一概に「ハウスメーカー」「工務店」のどちらが優れているかという視点ではなく、会社としての姿勢をみることの方が大切になってきます。

冒頭でいただいた「ハウスメーカー、工務店のどちらが良い?」という質問の答えは、ハウスメーカー、工務店という括りではなく、個々の会社の視点で見るのが正解と言う訳なんですね。

 

ちなみに、金額は同じ家を建てるならハウスメーカーの方が高くなります。

理由は宣伝費などハウスメーカーの方が多く掛けているなどイロイロありますが、それだけ会社のブランドを育ててきたという歴史もあります。

その会社のブランドに対してお金を出すことに価値を感じるのかどうか。

ここも、ハウスメーカーと工務店を選ぶ時のポイントになってきます。

工務店について

鉄の階段

では次に、工務店の特徴について見てみましょう。

先ほどのハウスメーカーの項目でお話したように、工務店はハウスメーカーと違い地域密着が大きな特徴になります。

また、建てる家もハウスメーカーのようにどのような人にも受けるような物を狙うのではなく、それぞれの特性を活かした会社が多いのも特徴の1つです。

設計力がウリの工務店や、大工の技術が高く現場力がウリの工務店など、1つとして同じ工務店はなく、自分の得意分野に特化している会社が多いんですね。

 

そのため、自分に合うものを探すのが好きだったり、家にこだわりがある方はハウスメーカーよりも工務店の方が向いていると言えます。

どのような人にも合うようなものだと物足りないと思う方は、ぜひあなたに合う工務店を見つけて家を建ててみるのも楽しいですね。

 

一方、工務店にも弱点はあります。

それは、工務店によって建てる家のレベルの差が大きいということです。

 

良い家を建てて人気になっている工務店から、お客さんが来なくてハウスメーカーの下請けをしている工務店まで様々なんですね。

人気の工務店の場合、年間何棟までという制限を設けているところもあり、工場のよう大量生産という訳にはいかず、品質の確保を行っている工務店もあります。

 

このように、工務店次第でできる家は千差万別なんですね。

そうなると、工務店のレベルをいかにして見極めるかがポイントになってきます。

 

では、どうすれば工務店のレベルを見極めることができるのでしょうか?

今はインターネットで評判を調べることができますが、実は家の口コミサイトに書いてあることを鵜呑みにするのは結構危険です。

理由はいくつかありますが、家は料理の口コミのように誰でも分かる基準がありませんし、家に求めるものは人によって大きく違うので不特定多数の口コミとは相性が悪く、場合によっては同業者が嫌がらせで書き込みをしていることもあるからです。

家の口コミサイトは信用していい?プロの建築士が本音で答えます。

 

やはり、実際に設計力や現場力などを見て、一定の基準を元に判断して行くこと程、大切なことはありません。

この部分が、工務店選びの醍醐味でありつつ、難しい部分でもあります。

(ここでは長くなるので割愛しますが、工務店を選ぶ時の基準はこちらも参考にしてください。→「プロが教える!!失敗しない工務店の選び方」

 

ここからは個人的な意見になりますが、今まで数多くの工務店を見てきて、工務店を選ぶ時は「お客さんのために良い家を建てる」という姿勢を強く持っているかどうかがとても重要なことだと感じます。

実際、口では簡単に「お客さんのために良い家を建てる」と言えてしまいますし、経営理念にお客さんのためと書いてある会社も多くありますが、実際にフタを開けてみると中身は違う工務店というのもあります。

「感動する家づくりを・・・」住宅会社の経営理念って信用できるの?

 

その違いの見極めのポイントとしては、ムダに会社の規模や棟数を追わずに家づくりに打ち込んでいる工務店。

そのような工務店の方が、良い家を建てていることが多いです。

規模を追ってしまうと、どうしてもお客さんへの姿勢が置いてけぼりになってしまいやすいんですね。

特に、工務店は規模が大きくないので、社長の考え方というのもかなり重要です。

工務店の個性が瞬時に分かる、たった1つの質問

 

工務店は見極めるのが少し難しいですが、あなたに合う工務店が見つかればアフターメンテナンスを含めて家のことを相談できる頼もしい存在となってくれます。

せっかく家づくりをするなら、ぜひ工務店も選択肢に入れてみてくださいね。

番外編 建築条件付き土地

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ハウスメーカーと工務店についてみてきましたが、そのどちらにも属さないケースもあります。

特に多いのが、建築条件付きの土地を販売しているような、工務店よりも少し規模が大きかったり不動産をメインに手がけているような会社です。

 

建築条件付きの土地とは、土地を買う際に家を建てる会社が決まる仕組みになっているので、工務店やハウスメーカーなどは選ぶことができなくなってしまうんですね。

土地は選ぶことができるけど、その上に建つ家を建てる会社は選べないという訳です。

そのため建築条件付きの土地を買う場合、家と土地、どちらが優先順位が高いかが重要になってきます。

建築条件付きの土地は、なんで間取りで失敗しやすいの?

 

建てたい工務店やハウスメーカーがある場合や、どんな家にしたいかが明確な場合、建築条件付きの土地を選ぶのは慎重に行いたいですね。

どちらの方が設計力が高い?

ここまでハウスメーカーと工務店について見てきましたが、ハウスメーカーと工務店ではどちらの方が設計力が高いのでしょうか?

これまで私がいろんな間取りを見てきた印象ですが、ハウスメーカーと比べると工務店の方が設計力の振れ幅が広いように感じます。

 

ハウスメーカーは自社の工法や設計のルールがあるため、その中で間取りを組み立てることに慣れてしまい、ルールの中での無難な設計を、反対に工務店は構造上無理でなければ自由に間取りを作れることが多く、その会社の設計力がすごく反映されているケースがよく見受けられます。

ハウスメーカーの間取りは良くも悪くも一般的な間取りで、すごく良い間取りというのはあまり見ないけども根本的におかしな間取りも少ないといった感じの間取りが多く、工務店はすごく良い間取りを見ることもあれば、すごく微妙な間取りを見ることもあるといった感じですね。

大手の会社だから間取りは安心?良い間取りをつくる会社の法則をお話します

 

ただ、ハウスメーカーでも工務店でも営業マンが間取りを作っている事もあったりと、ケースバイケースという側面もあります。

そのため後で後悔しないためにも、家の契約は満足いく間取りができてから、最低でも満足いく間取りができそうだと思えるようになってから家の契約はしたいですね。

営業マンの作る間取りと設計士が作る間取りの違い

まとめ

今回はハウスメーカーと工務店の違いについてご紹介しました。

家を建てる場合、ハウスメーカーの宣伝の効果から、家を建てる=ハウスメーカーという図式になりがちです。

(実際に私も家づくりに関わる前はそうでした)

ただ、いざ家づくりに関わってみると、家を建てるのに工務店という選択肢がないというのは家の幅をすごく狭めていることだと気付きましたし、工務店で家を建てるという選択肢自体が知られていないのは、すごくもったいない事だと感じます。

 

工務店を最初から選択肢に入れつつ、必要に応じてハウスメーカーを見てみる。

この辺りがすごくバランスの取れた家づくりのように感じます。

(私は工務店が好きなのでこのような選択肢になりますが、ハウスメーカーが好きな方は初めからハウスメーカーを選択肢に入れるのもいいですね)

 

どれだけ納得する選択ができたかどうかで、家づくりの満足度は大きく違ってきます。

ぜひ、工務店、ハウスメーカー含めて、あなたに合った納得のいく会社を家づくりのパートナーとして選んでくださいね。

では。

 

工務店のレベルの違いについては、こちらも参考にしてください。

良い家を建てられる人と、良い家を建てられない人の違い

ハウスメーカーについては、こちらもご覧ください。

家を見に行く前に知っておきたい住宅業界。ハウスメーカー編

建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。

GOOD BUILDERS

家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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