私は家づくりの失敗が少しでも減るように「間取り診断サービス」というのをご提供させてもらっているのですが、間取りを見ていると良い間取りもあればちょっとどうかなと思う間取りもあったりと、世の中には様々な間取りがあるというのを日々実感しています。
そしていくつもの間取りを見ていると、間取りの良し悪しだけでなく、その住宅会社が家づくりに対してどのような姿勢を取っているのかも見えてくるようになります。
では、良い間取りをつくる会社にはどんな特徴があるんでしょうか?
たとえば会社の規模が大きいから良い間取り、小さいと間取りのクオリティも低くなるんでしょうか?
今回は、このようにたくさんの間取りを見てきたことで分かることについてお伝えしたいと思います。
それではどうぞご覧下さい。
大手の会社の間取りは安心?
日常生活をしていると、「大手の会社だから安心」という声をよく耳にします。
会社の規模やブランドが安心感を生んでいるんですね。
では、家づくり、特に間取りに関してはどうでしょうか?
答えを言うと、私が見てきた限り、会社の規模と間取りの善し悪しは全く関係がありません。
大手の住宅会社だから良い間取りという訳ではないんですね。
逆に大手の住宅会社でもこの間取りは無いなと思う間取りも多く見てきました。
(もちろん大手の会社だけではないですが・・)
反対に小さな会社で良い間取りを見かけることも、もちろんあります。
間取りというのは本当に千差万別の世界なんですね。
そのため、間取りのレベルというのも住宅会社によって大きく変わってきます。
良い間取りを作っている会社はどのお客さんに対しても良い間取りを出していることが多く、微妙な住宅会社は常に微妙な間取りを出し続けているという特徴があります。
そしてこの間取りの善し悪しは、会社の規模うんぬんでは無く、会社の間取りに対する姿勢に大きく依存しています。
では、なぜこのような事が起こるのでしょうか?
良い間取りをつくるために必要なこと
良い間取りをつくるためには、特に会社の間取りに対する姿勢というのが大きなポイントになってきます。
そして、会社が間取りに力を入れようとしない限りその会社の設計力が上がる事はありません。
なぜなら、レベルアップすることが無いからです。
ここだけの話ですが、住宅会社によっては1時間くらいでちゃちゃっと作った間取りが出てくることもあれば、要望のヒアリング内容をしっかり吟味した上で、生活する人のことを時間を掛けてよく考えた間取りが出てくるケースもあります。
家の間取りをつくるというのは色んな要素や能力が必要ですが、ゼロから形のあるものを生み出すのでクリエイティブな仕事と言えます。
そのため、ゴールがあるようで実はゴールはありませんし、絶対的な間取りに対する能力を高めない限り良い間取りをつくれるようにはなりません。
間取りを重視する会社であれば常に間取りについてレベルアップするために腕を磨きますが、間取りを意識しない会社であれば、その会社の間取りのレベルは止まったままという事になってしまいます。
そうなってくると、会社の大きさなんて間取りには関係ないことが分かりますね。
会社として間取りのレベルアップに取り組んでいる会社。
また個人として間取りをつくる能力を高めようとしている人がいる会社であることが、良い間取りをつくるためには必須になってきます。
間取りを見れば、会社の姿勢が分かる
ここで難しい問題が1つ。
住宅会社がいくらよく考えた間取りを出したいと思っても、時間は無限にある訳では無いということです。
設計士の仕事を取ってみても1つの間取りばかり考えているだけにはいかず、いくつもの間取り作成が重なることもあったり、間取り以外にやらないといけない仕事もたくさんあります。(どんな仕事もそうですね)
そしていくつもの間取りづくりが重なると、経験豊富な建築士でもいろんなヒアリング内容が入り乱れることもありますし、ましてや経験の少ない建築士であれば大変です。
そんな時、会社としてフォローできる体制ができているのか。また個人としてそれを乗り切る体力と精神力を併せ持つことが必須となってきます。
良い間取りを沢山作り続けるのって、結構大変なんですね(苦笑)
私も駆け出しの頃は間取りが上手いことまとまらない焦りと、良い間取りを期待されているというプレッシャーで徹夜なんていうのはザラの生活を送っていました。
たとえ夜に布団の中に入っても間取りの案が浮かんでいないと不安で眠れないなんてこともよくありましたし、例え眠れたとしても間取りでうなされてしまうなんてことも・・。
(逆にこのような経験を経て実力と自信がついたので、今は間取りで眠れないなんてことは全くなくなりましたが)
ただ、間取りのことや間取り診断を依頼された間取りのことは常に頭の片隅にあります。
要はどれだけ真剣に考えたのか。
その結果が間取りと言うものに反映されているんですね。
これが長い間家の設計をしてたどりついた答えです。
そして、その考える時間を少しワープさせてくれるのが、これまでの経験や実績というものなんですね。
そのため、図面を見ていると時間をかけた間取りなのかどうか一発で分かります(笑)
このあたりの観点で見てみると、信頼できそうな住宅会社なのか、それとも業務的に家を建てている会社なのかどうか結構判断できるので、間取りがある人は家のことが分かる人に聞いてみると、住宅会社の良し悪しも判断しやすくなりますよ。
ただ、個人だけに頼っては会社全体の間取りのレベルは安定しなくなります。
人によって作る間取りのクオリティに差が出やすくなるからなんですね。
そのため間取りのチェック体制など、仕組み化されていることも大切です。
たとえば、担当者が一人で作った間取りがそのまま出てくるのと、間取りができてから会社内でレビューを行いさらにクオリティを高めた間取り、どちらの方が良い間取りになるでしょうか?
当然多くのプロの目が入った後者の方が良い間取りとなりますし、間取りのアレンジやオプションといった選択肢も増るようになります。
間取りのレベルを高くするための仕組みがあるかどうか。
良い間取りの家を建てたいという場合、このような仕組みがあるかどうか確認してみるのも効果的なんですね。
まとめ
今回は間取りについて思う事を書かせていただきました。
たかが家の間取りかもしれませんが、その間取りからはいろんな事が見えてきます。
設計者の能力ももちろんですが、住宅会社の姿勢や考え方も間取りに映し出されるんですね。
そしてその姿勢というのは建てる家のクオリティにも影響してきます。
ぜひ納得いく間取りで家を建ててくださいね。
では。
間取りについてはこちらも参考にしてください。
→設計士さん次第で、どうしてこんなにも違うの?その理由をお答えします。
→危険な間取りの3つの特徴。あなたの設計担当者はこんな人ではないですか?
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
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