「快適に生活するには、間取りにどんな事を取り入れたらいいでしょうか?」
読者さんからこのような質問をもらいました。
今回は、家を建てて快適に生活するために、ぜひ取り入れて欲しい6つの方法をご紹介します。
せっかく家を建てるなら、夏涼しく、冬暖かい家を目指したいですね。
それではどうぞごらんください。
屋根の軒は深くする
最近では、あまり軒が出ていない家が増えてきました。
土地の広さの影響やコスト削減のため軒の出ていない家が増えているんですね。
このように最近では軒の短い家が多いですが、屋根の軒は深くした方がおススメです。(軒が深いというのは、軒が長く出ている状態の事です。)
それはなぜでしょうか?
軒を深くするメリットを見て行きましょう。
軒が深いと夏の直射日光をカットすることができる。
まず、深い軒があることによって夏の直射日光が家の中まで入らなくなります。
夏に窓かなの日差しが暑くてたまらないというのを防ぐことができるんですね。
一方、家の中に入れたい冬の日光は、軒が深くても家の中に光が入ってきます。
太陽の角度が低いので軒に遮られる事なく家の中に日光が入ってくるんですね。
このように、深い軒は太陽の日射をコントロールするのに最適なんです。
軒が深いと雨から家を守ってくれる
軒が深いと雨から家を守ってくれるので、外壁に汚れがつくのを防いでくれます。
あなたも外を歩いた時、ぜひ軒が深い家と軒がほとんど無い家をよく見てみてください。
軒が無い家の方が、外壁に汚れが多いのが分かります。
また、軒が深いと多少の雨であれば洗濯物も干しっぱなしにしていても何とかなるのも心強いところ。
雨の多い日本には、軒の深い家が合っているんですね。
軒が深い家は、外観が良い
深い軒のある家は、外観に落ち着きが出ていて良い意味で高級感があります。
軒が深いと和風の家という感じがしますが、実はモダンな住宅にもすごく似合います。
軒がつくる陰影が、家の奥行き感を演出してくれるので、外観に高級感が出てくれるんですね。
大人のかっこよさを出すなら、軒を深くするのがおススメです。
北側の窓で風を抜く
家の北側に窓をつける事で、家の空気を効率的に入れ替える事ができるようになります。
日本の夏場は、多くの地域で南側から風が吹いて北の方へ抜けていきます。
でも、南側の窓を開けただけでは家の中に風は入ってきません。
風を取り込むには風の出口が必要だからなんですね。
そのため北側に風抜き用の窓をつくってあげれば、家の中で風が通り抜けて室温を下げる効果が期待できます。
また、家の中で風が抜けると気持ちがいいですよね。
さらに、暖かい空気は上へ登っていくので、できるだけ高い位置に開けられる窓をつけてあげるとより効果的です。
また、北側の窓は直射日光は入ってきませんが、安定した明かりが期待できるので、書斎など落ち着いた部屋との相性はとても良いです。
北側に窓をつける場合の注意点が1つ。
明かり取りや風抜き用など明確な用途を持っている窓は良いですが、ムダに大きな窓やたくさんの窓を北側につけると、熱が逃げるだけになってしまうことにもなりかねないので注意してくださいね。
吹抜けをつくる
吹抜けをつくる事で、家の中に光を入れて風の通り道をつくることができます。
先ほどの北側の窓と吹抜けはとても相性がいいので、吹抜けをつくるなら、ぜひセットで設けたいところですね。
以前は吹抜けをつくったら寒いなんて話も良く聞きましたが、その理由の多くは家の性能が良くないのに吹抜けをつくってしまったか、吹抜けをつくった場所が悪いことが大きな原因です。
もちろん、空間が広いので部屋全体に冷暖房の効果が出るのに少し時間がかかりますが、性能が高い家だと一度冷暖房を効かせてあげれば、そんなに熱は逃げて行かないんですね。
その他では温度差が少ない家になるというメリットもあります。
性能が高い家でしっかり考えた位置に吹抜けをつくってあげれば吹抜けはとても効果があるので、明るく開放感のある家を目指すなら、吹抜けをつくってあげたいですね。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
シーリングファンをつける
吹抜けをつくった場合、必ずつけたいのがシーリングファンです。
シーリングファンとは天井でクルクル回っている扇風機のようなやつですね。
シーリングファンは回り方によって空気を上に上げたり、反対に空気を下に落とす事ができるので、夏と冬や、風を起したいのか空気をかき混ぜたいのかで使い方を調整するとより効果的です。
また、シーリングファンには照明もセットで付いているシーリングファンと、照明が付いてないシーリングファンだけの物があります。
私のおススメはシーリングファンだけの物。
照明付きのシーリングファンが付いていると、部屋にゴチャゴチャした感じが強く出て部屋にまとまりが無くなってしまうので注意してくださいね。
意外に知られていませんが、扇風機やサーキュレーターで空気をかき混ぜるのも効果的ですよ。
家の中の空気は停滞させるのではなく、空気を循環、入れ替えて新鮮な空気が家の中に多くある状態にすること。
快適な家にするためにはこれが重要になるんですね。
太陽光発電を載せる
ここまで見てきた考え方を取り入れると、屋根が互い違いになるような形になります。(上の図参照)
軒を深くするなら、直射日光を防ぎやすい南側に屋根を下げたいですし、北側の高い位置に窓をつけるなら、片流れの屋根ではなく一部北側に向けたいからです。
そして、実はこの屋根の形は太陽光発電を家に載せるならピッタリなんです。
ある程度の太陽光発電を屋根に載せる事ができ、北隣の家への配慮もされている屋根形状なんですね。
せっかく太陽光発電に適した屋根の形になるので、太陽光発電との相性は抜群と言えます。
また、太陽光発電は売電するために設けるのか、それとも非常時用の電源の確保や蓄電池も将来取り入れて電気を活用するなど目的をはっきりさせておくと、どれだけ太陽光発電を載せるかの判断がつきやすいです。
外にグリーンカーテンをつくる
夏の熱を防ぐのに効果が一番高いのは、サッシの性能を上げたり遮蔽のカーテンをつくる事では無く、外に夏の日射を防ぐ物をつける方法が一番効果が高くなります。
昔は窓の外に「すだれ」を吊るしたりや「よしず」を立てかけたりしている家が多かったですが、とても理に叶った暑さ対策だったんですね。
そのため、窓の外に「すだれ」などをつける事ができるフックなどがあるととても便利です。
フックをつけるならステンレス製のフックがおススメ。
鉄製のフックだと錆が出て家を汚す原因になっちゃいますので注意してくださいね。(錆があると、家が古めかしく見える原因にもなります)
また、すだれでも良いですが、せっかくならワイヤーを張ってグリーンカーテンをつくってみたいですね。
(グリーンカーテンとはつる性の植物で日陰をつくる事をいいます。)
せっかくグリーンカーテンをつくるなら、実った野菜を収穫できるようにするのもオススメです。
部屋の冷却効果だけでなく、お子さんの自由研究や情操教育、食育にも役立てる事ができるんですね。
まとめ
今回、家に取り入れたい手法をいくつかご紹介してきましたが、この考え方は日本の次世代の家となるLCCM住宅の研究棟でも用いられている考え方と似ています。
特に日本は四季があるので、季節ごとにどう快適に過ごす事ができるかを考えた住まい方をするのかという事を考えて家づくりをするのが重要となってくるんですね。
今回は関東より南の比較的温暖な地域をメインにした考え方をご紹介しましたが、寒い地域であれば長く寒い冬を快適に過ごすための考え方をたくさん取り入れた家にしたいものです。
その地域に合った家は、昔からその地域で家を建てている工務店だからこそ知っている事も多くあります。
地域の特性を良く知っている会社で家を建てる。
意外に忘れがちな事ですが、家づくりでかなり重要なポイントなんですね。
ぜひあなたも、それぞれの地域に合った快適な家をつくってくださいね。
では。
間取りについてはこちらも参考にしてください。
→一軒家の間取りで失敗しないために気をつけたい7つチェックポイント
→リビングの間取りを見る前に知っておきたい!代表的なリビングの間取り5選
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
→家を建てる前に必ず知っておきたい理想の家を建てる方法【絶対保存版】
家づくりで失敗したくない!そんな方こそ、間取りが重要です。
建築士が教える今日の問題解決
快適に暮らすにはどうすればいい?
- 軒を深くする。
- 北側の窓で風を抜く。
- 吹抜けをつくる。
- シーリングファンをつける。
- 太陽光発電を載せる。
- グリーンカーテンをつくる。
- 地域の特性を良く知っている会社で家を建てるのが重要。