「間取りができたのですが、いまいちダイニングが狭いような気がしています。ダイニングはどれくらいの広さがあると生活しやすいのでしょうか?」
読者さんからこのような質問をもらいました。
実際に色んな図面を見ていると、使いやすいダイニングの間取りもあれば、これはちょっと・・と思うようなダイニングになっている間取りもあります。
特にダイニングはテーブルを置く場所でもあるので、使いにくい広さだとこれから先もズッと不便を感じながら生活していくことになります。
やはりそんな家は避けたいですよね。
そこで今回は16帖、18帖、20帖のLDKを元にダイニングの最適な広さを出してみました。
快適な生活を送るのにダイニングはどのくらいの広さが必要なのでしょうか?
間取りが気になる方はぜひご覧ください。
ダイニングはどれくらい広さが必要?
ダイニングの広さについて見ていく前に、まずは下の間取りをご覧ください。
この間取りは以前に「ツッコミどころ満載の住宅のチラシ」という記事でご紹介させていただいた間取りなのですが、この間取りはダイニングという観点で言うと物凄く使いづらい間取りとなっています。
その理由は間取りでダイニングテーブルを想定していないことが大きな要因です。
ダイニングとダイニングテーブルはセットで考えることで使いやすい家かどうかが変わってくるからなんですね。
ちなみにダイニングテーブルってどのくらいの大きさかご存知でしょうか?
たとえば、一般的な4人掛けのダイニングテーブルであれば幅150㎝、奥行き80㎝くらいのサイズを使うケースが多いです。
この大きさには理由があり、ダイニングテーブルで大人1人が使うスペースは、幅60㎝、奥行き40㎝くらいです。
ただ、これだと寸法的にギリギリになってしまうので左右に少し余裕を取って150㎝のダイニングテーブルを使うことが多いんですね。
また、同じような計算で6人掛けであれば幅が180㎝〜200㎝くらいとあると不便なく使うことができるようになります。
その他、ダイニングに丸テーブルを使うという方法もあり、4人掛けで直径90㎝ほどに、6人掛けで直径120㎝くらいの大きさが目安となってきます。
Photo:https://wazawaza.or.jp/daikunote/is-4-i-round-table/
丸テーブルというのは意外と便利で、特に丸テーブルが活躍するのが大人数で使うというケースです。
例えば同じ6人掛けのテーブルでも、四角いテーブルだと6人ぴったりしか座れませんが、丸テーブルだとちょっと間を詰めれば1人や2人は座ることができます。
丸テーブルだと人数を柔軟に対応しやすくなるんですね。
そのため、来客が多い家庭や、よく誰かが遊びに来るという場合は、丸テーブルにプラスしてラウンドスツールなどの邪魔にならない椅子を用意しておくだけで柔軟に対応することができるのも大きな魅力です。
→丸テーブルってどうなの?丸テーブルの魅力とメリット、デメリット
このようにダイニングとダイニングテーブルは切り離せない物で、どのようなダイニングテーブルを置くのか、またサイズはどれくらいなのかというのは大きなポイントになってくるんですね。
一方、テーブルがダイニングの中に収まればOKかと言うと、実はもう1つ注目しておきたい部分があります。
それは、「ダイニングテーブルに座るには椅子を出すスペースが必要」ということです。
椅子を出したら狭くて人が通れなくなったり、立ち上がる度に椅子が壁やソファにぶつかるというのは避けたいですよね。
そうならないように、ダイニングテーブルの周りにはスペースに余裕を見ておく必要があります。
一般的なダイニングチェアの寸法は横幅奥行きともに各40~50cmで、これにひじかけや背もたれがつく場合は若干サイズが大きくなりますが、椅子のスペースとして基本的に50㎝は確保しておく必要があるんですね。
でも、これだけの寸法では椅子の後ろを人が歩けません。
人が椅子に座った後ろを歩行する場合は、椅子スペース50cm+歩行者スペース60cmで110cmは確保しておきたいところなんですね。
そして、テーブルの周りに必要なスペースを絵にするとこんな感じに。
特に人がよく通る場所はしっかりスペースを確保しておかないと頻繁にテーブルにブツかってしまったり邪魔に感じてしまいます。
ダイニングの広さを決める場合、このようにダイニングテーブルを余裕を持って配置できるかどうか。
この部分がとても大切なんですね。
ちなみに冒頭でご紹介した間取りに4人掛けのダイニングテーブルを入れるとこんな感じになります。
LDKに入ってすぐにダイニングがあるためテーブルを置くと通路スペースも狭くなってしまいますし、ダイニングテーブルに座っていると人が通れなくなってしまったりと、テーブルが邪魔で仕方がない生活になってしまうんですね。
ダイニングの広さ、場所、動線を考えるととても使いにくい間取りと言えます。
このように、ダイニングの作り方で家の快適さというのは大きく違ってくるんですね。
ダイニングの広さは
それでは次に、実際の間取りを見ながらダイニングにはどれくらいの広さが必要か見ていきましょう。
まずはLDKの大きさ別に、ダイニングの広さがどれくらい変わるか見ていきたいと思います。
16畳のLDKのダイニング
16畳のLDKの場合、ダイニングとして使える広さは青線で囲った部分になります。
面積で言うと約5畳ほどの広さです。
5畳のダイニングだと横幅は2mと少しくらいになるので、横幅150㎝のダイニングテーブルがギリギリ置けるといった感じですね。
このような5畳のダイニングで意識しておきたいのが、あまり大きなダイニングテーブルを入れないということ。
ダイニングテーブルの存在感が大きくなりすぎて圧迫感を感じてしまうからなんですね。
また、ソファとの距離感によってはソファに座った時の目線のすぐ先にダイニングテーブルが見えて落ち着かないというケースも出てくるので、ダイニングテーブルは丸テーブルや木目の物など柔らかい雰囲気の物を選んで圧迫感を減らすと言うのも効果的です。
18畳のLDKのダイニング
18畳のLDKになると、ダイニングの広さは畳帖ほどの広さが取れることになります。
横幅も250㎝ほど取れるようになるので、広めの4人掛けのダイニングテーブルを置いても余裕があるんですね。
6人掛けのダイニングテーブルも置くことができますがスペース的には余裕は無くなってしまうので、6人掛けのダイニングテーブルの中でもできるだけコンパクトな物を選んで圧迫感が出ないようにしておくのがポイントとなってきます。
また、このくらいの広さになるとダイニングの近くにカウンターなどちょっとした作業スペースなども作れるようになります。
20畳のLDKのダイニング
20畳のLDKの場合、ダイニングとして取れる広さは7畳ほどの広さになります。
これくらいの広さがあると6人掛けのダイニングテーブルを置くのも余裕がありますし、ダイニングテーブルとキッチンの間にスペースを作って回遊できるように作るなど、テーブルを選ぶ時の選択肢や配置の幅というのがグッと広がってきます。
ダイニングテーブルとソファとの距離感にも余裕を持てるので、ゆったりしたLDKを目指す場合は20帖くらいの広さを目安にしておくのも効果的です。
ちなみに、LDKをどんどん大きくしていくとダイニングのスペースが広くなっていくという傾向があります。
リビングを広くしすぎるとTVとソファの距離が空きすぎてしまうため、リビングの広さと言うのはある程度決まってくるからなんですね。
また、キッチンもあまり広くしてしまうと食器棚や冷蔵庫との距離感も離れすぎてしまい、使い勝手が悪くなってしまいます。
そのため、LDKを広げるほどダイニングが広くなりやすいんですね。
もしスペースに余裕があってLDKが間延びした感じになってしまう場合は、上手くワークスペースやソファベンチを設けたりダイニングとリビングの間に腰高の飾り棚を設けてワンクッション入れるなど空間が間延びしないようにしておきたいですね。
その他、先ほど見てきた16畳〜20畳のLDKはシンプルな形の分だけ無駄なスペースのない間取りとなっているため、LDKの間取りに無駄が無いかの判断に使うこともできます。
たとえば間取りの数字上は広いLDKでもこれまで見てきたダイニングの広さが確保できない場合というのもあり、その場合は無駄なスペースが多い間取りになっていることもあるので、LDKの広さに対するダイニングの広さを覚えて置くことで無駄の多い間取りなのかどうかを判断しやすくなるんですね。
ダイニングの位置
これまで見てきたダイニングは「キッチン」「ダイニング」「リビング」とLDKが一続きになっていましたが、上の間取りのような、「DK」と「L」に分かれるようなダイニングの配置になるケースもよくあります。
そしてこの場合はダイニングテーブルのサイズというのが、より大きく影響してきます。
LDKが一続きの場合はリビングのソファの位置をちょっとズラしてなど調整できますが、この場合はテーブルの大きさ以外に調整できないからなんですね。
そのため、何となく入るだろうと思ってダイニングテーブルを購入して実際に入れてみると通路スペースが狭くて不便という失敗が起ることも。
そうならない様に、テーブルを置いてどれくらいの通路スペースを確保できるのか。
この部分は必ず確認しておきたい部分なんですね。
その一方で、このようなダイニングの場合は奥まった場所を活用しやすいという利点もあります。
この部分ですね。
たとえば収納が足りない場合は腰高の収納を作って上を飾り棚にしたり、お子さんのスタディースペースにするといった方法や、収納とスタディースペースを組み合わせるなど色んな使い方が考えられます。
家は居心地の良いスペースをどれだけ作れるかで楽しさが変わってくるので、空いたスペースがあれば色々とアイデアを盛り込みたいですね。
キッチンカウンターは要注意
キッチンで料理したものを簡単にテーブルに出せるよう、キッチンカウンターを作るというケースもよくあります。
作ったばかりの料理や使い終わった食器を簡単に出したり片付けられるというのは便利ですよね。
ただ、実はキッチンカウンターが有るか無いかでダイニングに必要な広さというのは結構変わってきます。
カウンターとダイニングテーブルが重なる部分は人が座れないからなんですね。
断面を絵で描くとこんな感じです。
キッチンカウンターとダイニングテーブルが干渉する場合、ダイニングテーブルのサイズも余裕を持ったサイズの物を選ぶ必要があるんですね。
通常はキッチンカウンターの奥行きから15㎝引いた数字がテーブルとカウンターが干渉する寸法となります。
たとえば奥行き30㎝のキッチンカウンターを作った場合、ダイニングテーブルは15㎝大きなサイズにする必要が出てくるんですね。
キッチンカウンターの下にダイニングテーブルを置かないでもカウンター分だけダイニングの広さが必要になるので、キッチンカウンターを作る場合はダイニングの広さにより気をつけてたいですね。
ダイニングの広さが取れない時はどうすればいい?
たとえば地価の高い都市部など、LDKの広さがそれほど確保できないというケースもよくあります。
そうなるとダイニングの広さにも影響が出てくる訳ですが、そのような場合はどんな事に気をつければいいのでしょうか?
それは、ダイニングテーブルの近くに物を置かずにできるだけスペースを作るということです。
ダイニングテーブルは小さいものでも存在感があるので、テーブルの周りが狭いと部屋全体が窮屈に見えてしまうからなんですね。
そのためソファなどの配置を上手く調整してテーブル周りを広くするという方法が効果的です。
たとえばこんな感じですね。
ソファとダイニングテーブルの間に広いスペースができることで圧迫感が少なくなりますし、空間に余裕が出てくるようになります。
このようにダイニングの広さが取れない場合はちょっとした家具の配置で印象はかなり変わってくるので、間取りを見ながら最適な配置を検討したいですね。
(家が建ってからだとコンセントの位置が決まりTVの移動が難しくなるので、間取りの段階で検討するのが失敗しないポイントです)
その他、LDKにそれほど広さが取れない場合はダイニングテーブルを置かないというのも1つの方法になってきます。
ソファに大きめのローテーブルを置いて食事をする時はテーブルを囲み、くつろぐ時は床にクッションを置いてもいいですし、家族用のソファの他に1人用のソファを置くというのもいいですね。
ダイニングテーブルがない分だけ広く使えるので、大きめのクッションなども部屋に上手く馴染みます。
また、キッチンにカウンターを設けて簡単な食事はカウンターで済ませるようにするなど、アレンジもアイデア次第で色々と考えられます。
一方、ダイニングテーブルはしっかりと作って、ソファを無くしてしまうという方法もあります。
ダイニングでくつろげるよう椅子だけでなくソファーベンチを設けて快適性を上げつつ、残りのスペースは自由に使えるようにするという訳ですね。
ダイニングスペースを長居ができるような作りにして、残りの空いたスペースは自由にゴロゴロできる空間にするというのも楽しいものです。
どうしてもダイニングの広さが取れない場合はダイニングテーブルやソファを無くすことも検討してみる。
そうする事で生活スタイルの可能性というのはグッと広がってくるんですね。
まとめ
今回はダイニングの広さについて詳しく見てきました。
ダイニングはテーブルを置く場所でもあるので、広さ次第で使い勝手というのは大きく変わってくるんですね。
もちろん、あとでテーブルのサイズを小さくして調整するという方法もありますが、生活を間取りに合わせるというのは窮屈なものです。
そのため、できれば間取りと一緒にどれくらいのダイニングテーブルがあると快適に生活できるかを見ながらベストな大きさを決めたいですね。
ダイニングは毎日使う場所ですし、1日に複数回使う場所でもあります。
ぜひ快適なダイニングにして毎日の食事を楽しみたいですね。
では。
ダイニングについてはこちらも参考にしてください。
→我が家にぴったりのダイニングテーブルのサイズを決める5つの方法
家の大きさについてはこちらも参考にしてください。
→家の間取りは4人家族の場合、最低限どれくらいの広さがあれば生活できますか?
建築士が実際に見てきた全国の優良工務店を掲載。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】