間取り相談

よもやま話

家の間取りを良くするために大切なこと

「間取りの中で一度生活をイメージしてみる」

これは実際に家を建てた人が、これから家を建てる人にアドバイスをする時によく聞く言葉です。

では、どうして家を建てた人はこのようなアドバイスをするのでしょうか?

 

実はこのアドバイス。とても理に叶ったものなんです。

今回はその理由を探りながら、家の間取りを良くする方法について見ていきましょう。

家の打合せの流れ

家の打合せをしていると、どこかで間取りを決定するタイミングがやってきます。

そのタイミングは住宅会社や工務店でも違いはありますが、基本的な家の打合せの流れとしては、

「要望のヒアリングをして間取りが出てくる」⇒「間取りの打合せをして間取りを決める」⇒「仕様の打合せ」⇒「着工」

このような流れになることが一般的です。

【保存版】家を建てたいと思った時に必ず知っておきたい事をまとめました

 

仕様の打合せとは、壁紙の色であったり扉の色や形など家の仕様について打合せをする訳ですが、基本的に仕様の打合せ前に間取りは確定させるケースがやはり多くあります。

そして、仕様の打合せをしている時に間取りが大きく変われば仕様の打合せ自体がほとんどやり直しになってしまう場合もあり、その分打合せ期間の長期化など人件費のアップ要因に、さらには結果として家のコストアップに繋がってきてしまうので、まずは最初に家の間取りを固めるというのが一般的です。

 

このように家づくりではまず間取りを決定させるのですが、では、間取りが決まるというのはどういう事を指すのでしょうか?

何となく「間取りはこれでいい」と思った時?

一通り間取りの打ち合わせが終わった時?

よくよく考えると、何をもって間取りを決めるのかっていうのは中々難しいですよね。

例えば、玄関を例に見てみましょう。

 

以前、玄関収納について記事を書きました。

簡単に内容を言うと、玄関収納の置き場所というのはいくつか有り、それぞれメリットとデメリットがあるというお話です。

これで失敗しない!!玄関収納の位置とサイズの決め方

 

では、間取りをつくる時、設計者は玄関収納の位置をどのように決めているのでしょうか?

決め方は大きく分けて3つあります。

  • 要望のヒアリングを元に生活スタイルや収納量によって玄関収納の大きさや位置を決める。
  • とりあえず仮で図面に玄関収納入れておいて後から決める。
  • 何も意識せずに図面に玄関収納を入れている。

基本的にこのうちのどれかが当てはまります。

 

もちろん、1番良いのはヒアリングを元にプロの提案をしてくれるのが1番で、後で打合せをしながら決めるのも悪くはありません。

言わずもがな、最悪なのは図面に入れているだけですね。

 

玄関を例に挙げましたが、間取りを決めるという事は、このような家の中の部分を1つずつ確認した上で、あなたが暮らしやすい状態にしたことを言います。

何となく「間取りはこれでいいかな」と思った時ではないんですね。

 

この1部屋ずつ確認していくのは実はとても大切で、例えば確認なしで家づくりを進めると家が完成して住み始めてから初めて使い勝手が悪い事に気付く事になります。

こうなってしまっては遅いですよね。

家の間取りで〇〇すれば良かったという声もよく耳にしますが、この確認事項がなされていないことがほとんど。

生活のシミュレーションが行われていないので、後で使い勝手の悪い場所が出てきてしまうんですね。

生活をシミュレーションしてみる

間取りを1部屋ずつ確認していくのが間取りのクオリティーを上げるのに大切なことをお伝えしましたが、では、住宅会社は家の間取りの確認をしてくれるのでしょうか?

実は、これは住宅会社や担当者次第という面が非常に大きくなります。

 

私が多くの住宅会社を見てきた中で、住みやすい家を建てようと意識している会社は確認をしっかり行い、とにかく「家を建てる」のが目的になっている会社は確認を行わない傾向があります。

1部屋1部屋確認していくのは手間も時間も掛かるものなので、数をさばくだけの住宅会社は確認なんて行ってくれないんですね。

(しかも、先ほどの玄関収納を例にあげると、そういう場合に限って何となく玄関収納を置いたケースが当てはまることが多いのが難点です)

 

もちろん、全部が全部細かいところまで確認するのも考えもので、細かすぎる会社は「お施主さんが決めたことだから」という形で責任を負わないために細かく確認するというケースもあります。

人にとって「決めること」には膨大なエネルギーが必要なことを考えると、そこまで細か過ぎるのもストレスの元となりますし、家づくりの素人であるお施主さんに責任を投げすぎているようにも感じます。

家づくりは成功するのも、失敗するのも全て自己責任?

 

スマートな設計者は、ポイントを絞って(人によって使い勝手がかわる場所)確認したり複数の提案を行いますが、誰にとってもメリットがある部分は省略するなど、メリハリをつけた打合せを行っているケースをよく見かけます。

毎回、真剣にお施主さんの家づくりに向き合っていれば、どこが使い勝手に影響しやすかったりトラブルになりやすいかという情報は自然に集まってくるので(住み心地がどうなのかなど、家が建ってからも良い点、次回は改善すべき点にも意識が行くので)、打合せの内容は設計者のレベル差が開きやすい部分でもあります。

 

このようなことを心がけている住宅会社や担当者に当たれば良いですが、必ずしもそういう訳にもいかないのが難しい所。

その場合はどうすればいいのでしょうか?

よくあるケースを見てみましょう。

 

たとえば、間取りが出てきたとします。

「次回までに何かあるか考えてきてください」と言われて、次回に何となく気になった部分を伝えます。

「以上で変更無しですね。では間取りは確定であとは仕様を決めていきましょう」

と言われると、ほとんどの人にとっては家の打合せなど初めてのことなので、「こんな物かな」と思って進めてしまうケースがよくあります。

「プロならちゃんと使い勝手を考えて間取りを作ってくれているだろう」

そう思う事がほとんどですが、実はそうではないんです。

「確認が無かった」で終わりではなく、自分で間取りを確認する必要があるんですね。

 

家を建てる前には通常は建築確認申請と言って行政の審査がありますが、これは住み心地などは一切関係なく、法規に適合した建物なのかどうかだけの確認なので、間取りの住み心地に対するチェックは一切有りません。

何となく「大丈夫だろう」と思うのではなく、自分でしっかり間取りを確認した上で「大丈夫だろう」としないといけないんですね。

 

そんな時に役立つのが、冒頭でもご紹介した

「間取りの中での生活をイメージしてみる」

という言葉。

要は間取りの中で生活をシミュレーションをしてみるというのは誰でもできるので1番簡単で効果的なんですね。

 

間取りを良くするためには、図面の段階でいかに生活のイメージを膨らませられるのか。

家は建ててから後悔しても簡単には修正しにくいもの。

間取りの段階でシミュレーションを行い、使い勝手が悪い部分を修正するのがとても大切なんですね。

まとめ

今回は家の間取りを良くするためにどうすればいいかについて見てきました。

図面の中で一度住んでみて間取りの打合せの段階で改善するのか、それとも家ができてから使い勝手が悪いと嘆くのか。

どちらが良いかは一目瞭然ですね。

シミュレーションをするのは手間であったり大変と感じるかもしれませんが、たったこれだけの事をするだけで間取りの質は変わってきます。

 

間取りの打合せというのは家づくりの打合せの中の一時ですが、住み心地というのは家を住み替えない限りずっと続きます。

ぜひ、間取りの打合せを楽しみつつ、家ができてから快適な生活ができる間取りを目指してくださいね。

では。

 

間取りについてはこちらも参考にしてください。

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家の間取りを良くするには何をすればいい?

  • 間取りができた段階で、間取りの中で快適に生活ができるかシミュレーションしてみる。
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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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