あなたは巾木(はばき)という言葉を聞いたことがありますか?
巾木とは家の内装に使う部材のことで、あまり名前は知られてませんが実は誰でも1度は見たことがある部材です。
この部分が巾木ですね。
巾木の読み方は「はばき」と言って、「幅木」という漢字を書く事もあります。
巾木は、壁を守るために付いているもので、たとえば掃除機を掛ける時に壁に当たってしまう事もありますし、お子さんが走り回って壁に足をぶつけてしまう事もありますよね。
そんな汚れや破損に耐えられるように巾木が付けられています。
このように巾木は家に必要な物なので付いているのですが、実は、巾木のデザイン次第で部屋の見え方が大きく違ってきます。
意外と巾木は目立つので、どんな巾木を付けるかで部屋がおしゃれに見える、見えないという違いが出てくるんですね。
今回はそんな巾木を上手く使っておしゃれな部屋にする方法について見ていきたいと思います。
巾木のデザイン
まずはじめに、巾木の違いで部屋がどのように違って見えるか見ていきましょう。
巾木の材料を見てみると、本物の木を使った巾木もあれば、ソフト巾木と呼ばれるビニル製の巾木などいくつか種類が有り、巾木の素材によっても家の中の見た目は結構変わってきます。
また、巾木を何色にするかというのも重要な要素です。
では、上記の事を頭の片隅に置きながら巾木の例を見てみましょう。
それではこちらの画像をご覧ください。
こちらは、濃いめのフローリングを使った部屋に一般的な「ビニル巾木」を使用した例です。
部屋全体の色味を見てみると、巾木を床や窓枠に合わせたコーディネートになっています。
こうしてあらためて巾木を意識して部屋を見てみると、巾木は結構存在感があることが分かりますね。
それでは、同じビニル巾木でも壁の色と同じ白い巾木を使うとどうでしょうか。
Photo:https://www.sanwacompany.co.jp
先ほどの床の色に合わせた巾木よりもかなりスッキリした印象になりましたね。
巾木の色が壁紙の色と似ているので存在感が少なく、部屋がスッキリ見えるようになっています。
遠くから見ると、巾木が付いているのがあまり分からないくらい巾木が壁に溶け込んでいるのが分かります。
同じビニル巾木を使っても、巾木の色味次第で部屋の印象は大きく変わるんですね。
巾木は意外と目立つもの。
そして巾木が目立てば目立つほど部屋が主張して見えてしまうものなので、巾木はできるだけ目立たせないようにした方が部屋の中はスッキリ見えます。
そのため、まずは如何に巾木を目立たせないかと言うのがおしゃれな部屋にするためのポイントになってくるんですね。
特に、白い巾木を使うだけならお金も安く済ませられるので、壁が白い色の場合は白い巾木はかなり重宝する巾木と言えます。
一方、白い巾木のデメリットを上げるとすれば、長い目で見ると汚れが目立ちやすいということ。
巾木は掃除機をぶつけたり等、タフな使い方をする部分なので、巾木に物をぶつければぶつける程、巾木は汚れやすくなってしまいます。
何だか白いフローリングが汚れやすいのと似ていますね。
白い巾木を使った場合、巾木の汚れは目立たないよう汚れが付いたらキレイにする、またどうしても汚れが目立つようになった場合は壁紙の張り替えのタイミングで巾木も変えてしまうと、ずっとスッキリした印象の部屋にしておくことができます。
→フローリングの掃除が違ってくる!?フローリングの色によるメリットとデメリット
それでは次に巾木の素材の違いについても見ていきましょう。
こちらの写真で使われている巾木は自然の木を加工したものになります。
フローリングも巾木も自然素材の木を使っているので、先ほどのビニル巾木よりも柔らかい印象になっていますね。
反対に、例えば自然の木ではなく、下の画像のような中途半端に木の色に似せた濃い色のビニル巾木を使ってしまうと、巾木の存在感が増してしまって何だかうるさく感じられる部屋となってしまいます。
木目などの色味が付いている巾木を使う場合、いかに自然な色の物を使うかがポイントになってくるんですね。
そのため上の写真のケースでは、巾木を床に合わせるのではなく壁の色の白に合わせるのが正解となります。
巾木の大きさでおしゃれに見せる
ちなみに、巾木は大きさでもおしゃれに見えるかどうか変わってきます。
たとえば巾木の高さを低くすればこんな感じに。
こちらは先ほどの木の巾木を半分の高さにしたものですが、巾木の高さを抑える事で巾木の存在感が減ってかなりスッキリ、おしゃれな印象になっていますね。
巾木は高さを抑えるだけでも空間が引き締まって見えるようになります。
部屋の中で巾木の存在感がいかに強かったのかが分かりますね。
(巾木の高さを抑えることで壁と床の隙間も小さくする必要が出てくるので、巾木の高さを抑えることでより丁寧な仕事が必要になってきます)
その他、巾木の高さを抑える手法として、高さをかなり抑えたアルミ製の巾木を使うと言う方法もあります。
こんな感じの巾木ですね。
Photo:https://moritaalumi.co.jp/product/detail.php?id=23
アルミ製の巾木を使うことで巾木の高さをかなり抑えているので、巾木の存在感はかなり少なくなっています。
白い壁とフローリングの間に何か付いているかな?くらいまで巾木の存在感は少なくなっていますね。
その一方、アルミ製の巾木の惜しい点を挙げるとすると、濃い壁の部分にもアルミの巾木を使っているので、巾木が少し目立ってしまっている点が挙げられます。
壁の一面の色が他の面と違う場合、巾木の色を壁の色に合った巾木に変えてあげると部屋に馴染みやすいので、巾木の色や形を選ぶ時は壁面に合っている色を使うことがポイントとなってくるんですね。
部屋をスッキリ見せるなら、まずは巾木の高さを抑える。
その次に壁、もしくは床に合う巾木を使うというのが巾木を選ぶときの鉄則なんですね。
巾木の存在感を消して「おしゃれ」に見せる
これまで色んな巾木を見てきましたが、
「いやいや、もっとスッキリした部屋にしたい!」
と言う方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
ご安心下さい。
もっと巾木を目立たなくする方法はあります。
巾木を目立たたせないようにする場合、巾木の存在感をもっと消してあげる必要が出てきます。
では、どのようにすれば巾木の存在感を消すことができるのでしょうか?
まず、巾木の存在感を消す方法として、巾木の変わりに「アルミアングル」というものを使うという方法があります。
アルミアングルとはこのようなL字になったアルミのことです。
アルミアングルは色んな用途に使えますが、このアルミアングルを巾木の代わりに使ってあげることも可能なんですね。
アルミアングルを巾木に使うとこのような感じになります。
このようなアルミアングルの使い方をすることで巾木のでっぱりが無くなり、逆に壁が凹むようになります。
その結果、巾木の存在感を消すことができるんですね。
それでは、このアルミアングルを巾木に使った部屋を見てみましょう。
どうでしょうか?
アルミアングルはほとんど見えませんね。
部屋も巾木が無いみたいにスッキリ見えるようになります。
巾木は通常は壁よりも出っ張っているので、巾木の上に溜まるホコリが嫌いという方もいらっしゃいますが、この方法だと巾木が出っ張らないのでキレイ好きな方にもおススメできる方法と言えます。
では、アルミアングルを巾木の代わりに使う事にデメリットはないのでしょうか?
アルミアングルを巾木に使う場合のデメリットとしては、アルミアングル自体は高価なものでは無く一般的な巾木よりも安価なのですが、施工するのが結構大変なので大工さんへの手間賃が必要となりコストアップ要因となりやすいことが挙げられます。
部材の取り付けがよりシビアになるため、普通の巾木よりもかなり手間が掛かってしまうんですね。
ちなみに、このアルミアングルに似た方法として「入り巾木」という手法もあり、スッキリした部屋を目指すなら巾木を凹ませるのは効果的な方法と言えます。
(入り巾木とは、アルミアングルの代わりに巾木を使い、その名前の通り巾木を壁の内側に設置する方法です)
巾木を無くして「おしゃれ」に見せる
では、最後にどうしても巾木が気になる場合や、巾木が嫌いで仕方がないという場合はどうすればいいのでしょうか?
そんな場合はこちら。
最後の手段として巾木を無くすという方法もあります。
巾木が無いので、これまでご紹介した部屋の中で一番スッキリした部屋になります。
壁に余計な物が一切ないのでスッキリ見えるんですね。
ただ、巾木を無くすことでデメリットもあります。
巾木を無くしてしまった時の注意点として巾木は壁を守る役割がある訳ですが、巾木が無い場合はその巾木の機能が無くなってしまいます。
例えば巾木を無くした場合は、床と壁がぶつかる部分は当然弱くなってしまいます。
もちろん、巾木がなくて壁が破損するという事態は避ける必要があるので建築工事の時に壁に下地を入れて補強しますが、壁と床の継ぎ目はやはり弱点となりやすく掃除機を掛けるときも注意が必要です。
また、お子さんが小さくて家を走り回る場合は壁にぶつかる事も多々あるので、巾木無しはオススメの方法とはお世辞にも言えません。
(ある意味、巾木無しは大人のためのデザインとも言えます)
さらには、無垢材のフローリングなどを使う場合は定期的に床にワックスを塗装するのが一般的ですが、ワックスなどを塗装する場合、巾木が無いと壁紙がワックスを吸い込んでしまってシミになることがあるので、どうしても床にワックスを塗りたい場合なんかは将来的に巾木をつけたり、壁紙も同時に張り替えるタイミングでワックスを塗り直す必要が出てくる場合もあります。
→おしゃれな家は皆使っている!おすすめ無垢フローリング12選【保存版】
このように巾木を無しにするという方法は部屋の中をスッキリおしゃれに見せるというのにはとても効果がありますが、スッキリ見える代わりに将来の手間が増えやすいというデメリットもあり、この部分を踏まえた上で巾木を無くすかどうか選ぶ必要があるんですね。
個人的には、スッキリ見せるなら高さの低い巾木を使って目立ちにくくするか、アルミアングルあたりが機能とデザインのバランスが良く部屋もおしゃれに見えるオススメの巾木の使い方と感じます。
デザイン性やメンテナンス性でどんな巾木を付けるかは変わってきます。
上手く巾木をコントロールしておしゃれな部屋を目指していきたいですね。
まとめ
今回はおしゃれに見える巾木の使い方について見てきました。
巾木にはいろんなのデザインの巾木があります。
日頃はあまり意識する事のない巾木ですが、巾木の色や形によって部屋の印象はかなり変わるんですね。
もちろん、部屋がおしゃれに見えるかどうかも巾木の使い方で違ってきます。
一方、このように部屋の印象に大きな影響を持っている巾木なのに、家の打合せの際、巾木は床や壁の色に合わせるくらいで巾木次第で家の見え方が変わる事を教えてくれることはほとんどありません。
せっかく家を建てるのに、家の間取りだけが自由で内装は建売住宅と同じような家にしてしまってはもったいないですよね。
巾木を意識することで、おしゃれな住宅に変身するための大きなきっかけになってくれます。
巾木が小さい、目立たない方がスッキリしてモダンな印象に。
反対に、幅木が見える方がナチュラルな雰囲気の部屋に仕上がります。
あなたの目指す部屋の雰囲気に合わせて巾木を上手く使う事が、よりおしゃれで素敵な家をつくる近道となるんですね。
ぜひあなたも巾木を味方につけて、よりあなたに合った良い家をつくってくださいね。
では。
巾木の役割についてはこちらをご覧ください。
部屋をスッキリ見せたい人はこちらも参考にしてください。
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家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。
→土地探しから始める人のための、失敗しない土地の購入方法【絶対保存版】
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