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建築士が解説する5つの「買ってはいけない土地」とその理由

土地というのは同じものは2つとなく、全ての土地に色んな個性があります。

そして建築士として日々色んな土地を見る中で、「良い土地だな」と思う土地もあれば、「この土地は買わない方がいい」という土地というのも存在します。

土地というのは高額な買物なので、やはり買った後に後悔はしたくないものですよね。

そこで今回は、建築士の視点から「買ってはいけない土地」について詳しく見ていきたいと思います。

土地探しから家づくりをする方はぜひご覧ください。

買ってはいけない土地とは

買ってはいけない土地というのは、実は人によって違いがあります。

価値観が人によって違うように、土地の価値も人によって違うからなんですね。

たとえば、駅近や学校の校区、周辺環境といった立地条件を重視する方もいれば、家にお金をかけたいので土地はある程度妥協できるという方もいるように、土地の優先順位というのは人によって変わってきます。

駅近の土地を例に見てみると、駅の近くの土地は便利だと感じる人もいれば、騒々しくて治安も気になるという人もいるように、人によって土地の価値にはかなり違いがあります。

そのため、Aさんにとっては「絶対買ってはいけない土地」も、Bさんの場合は「場合によっては買う選択肢もある」というケースもあるんですね。

 

とは言っても、やはり建築士から見て買うのをやめておいた方がよいと感じる土地というのは確実に存在します。

それでは具体的に買ってはいけない土地というのはどんな土地なのか実際に見ていきましょう。

災害に弱い土地

家が持つ役割として、まずは大雨や台風、地震などの自然災害から家族を守るというというのは最低限必要な役割になります。

自然災害に怯えて暮らす生活になってしまうと、何のために家を建てたか分からなくなってしまいますよね。

そのため、家族の安全を守ると言うのは家にとって最重要項目とも言えます。

ただ、どれだけ災害に備えた家にしたとしても、土地自体が災害に弱ければ被害を受けてしまいますし、最悪の場合は家族の安全を脅かすなんて事も起こり得ます。

そのため災害に弱い土地というのは、買ってはいけない土地の代表とも言えるんですね。

 

災害の例としては、最近では毎年のように降る大雨、河川の反乱というのはやはり注意しておきたいですし、地震の揺れやすさや断層なども注意しておきたい部分です。

そのため、土地を購入する前には必ずその土地のハザードマップや成り立ちについては確認しておきたいですね。

 

また、このような大きな災害以外にも、ちょっとした情報を知っているかどうかで日々の生活が大きく変わることがあります。

たとえば元々田んぼだった土地を造成して綺麗にしたとしても、地盤というのは弱くなりますし水はけもよくありません。

大雨が降った時に毎回水浸しになってしまっては日々の生活が大変ですし、周りより少し低い土地であれば周囲の水が集まってきて浸水の恐れも出てきます。

このように、宅地に造成される前はどんな土地だったのかというのも貴重な情報源になりますし、周辺環境をよく観察したり近所の人に話を聞いて見るというのも効果大です。

ちょっとした手間を掛けるかどうかで土地で損をするか、得をするかは大きく変わってくる部分なので、しっかり土地の情報を仕入れた上で購入するかどうか判断してくださいね。

災害対策に役立つ!土地を買う前に見ておきたい厳選サイト4選

崖地など高低差が大きな土地

崖のある土地崖など大きな高低差がある土地というのも、購入する場合に注意したい土地の1つです。

もっとも、基本的にある程度の高低差がある土地を造成する場合は自治体が定めている造成工事を行なっているので安全面について当面の心配はまずありません。

ただ、その擁壁は土地を購入した人の所有物となり、長い目で見るとメンテナンスも必要になってきますし、万が一崩れてしまった場合は土地所有者の責任となってしまいます。

そのため土地を購入して当面の間は問題ありませんが、将来その高低差が重荷になってくる可能性があるんですね。

もしかすると画期的なメンテナンス方法が将来できて擁壁も簡単にメンテナンスできる時代が来るかもしれませんが、現在の技術面で見ると崖の高低差が高くなればなる程、個人で管理するというのはかなりリスクが大きいと言えます。

 

その一方、高低差がある土地というのは高さにメリハリがあるので家としてはアイデア次第で色んな家を作れるという側面もあります。

実際、建築士であれば高低差がある複雑な土地である程、家づくりに力が入るという人も多くいます。

高低差のある家

そしてもちろん、構造的な部分もクリアした上で家を建てるので安全上も問題はありません。

あとは、長い目で見た時に崖地であるというリスクは残るので、高低差の大きな土地を検討する場合はこの部分が気になるか気にならないかは検討しておきたいですね。

 

ちなみに、土地に高低差は無くても周囲より低い土地、高い土地というケースもあります。

周囲より低い土地の場合に気になるのは、やはり水はけ。

ゲリラ豪雨も増えており、水が溜まりやすい場所というのは避けたい物です。

できれば大雨が降った後に土地を確認したり、近所の人に雨が降った後の状況を確認するなど、雨が降った時の状況把握は必ず行っておきたいですね。

 

また周囲より高い土地の場合、まず確認しておきたいのが「盛土」の有無。

元から高い土地を削っただけであれば問題ありませんが、元が高低差のある土地を平にする場合、一部は削るけども、一部は盛土をして平にするというケースも多くあります。

買ってはいけない土地(盛土)

そして、盛土をした部分というのは、どうしても地盤が弱くなってしまいます。

そのため、造成工事で平にした土地の場合は、どんな感じで造成したのか造成図面を見せてもらったり説明してもらい、目で見えない土地の状況を確認しておきたいですね。

(実際、丘を削った土地なので地盤が強いと思って購入した土地が、実は盛土も入っていて地盤が弱くなり、地盤改良が必要というのが分かりガッカリしたというケースはよくあります)

地盤改良の費用がいらない?地盤の良い土地の見分け方

接道義務義務を満たしていない土地

狭い道

家を建てる場合、接道義務というものがあります。

接道義務とは、一定の条件を満たす土地に2メートル以上接していなければならないという決まりの事を言います。

特に通路状になっている旗竿状の土地の場合、通路部分が2メートルも無くて接道義務を満たしていないとうケースがあるんですね。

そのような土地の場合、価格が相場よりもかなり安いのでお得な土地のように感じますが、家の建て替えは不可で建築許可を必要としないリフォームのみしかできないので注意が必要です。

旗竿地(はたざおち)って何?旗竿地を買う前に注意したいポイント【絶対保存版】

 

その他、家を建てる場合、幅が4メートルの道路に面してないといけない事になっていますが、幅が4mもない道路も存在します。

そしてそのような場合、道路の幅が4メートルになるよう、敷地を道路から後退させる必要が出てきます。

そうなると、「実際に家が建てられる面積が狭くなってしまう」ということになるんですね。

また、全面道路が狭いと車を駐車する際に切り返しが必要になりますし、車同士のすれ違いにも苦労する場合があります。

全面道路が狭い土地の場合、このような点も踏まえて見ておきたいですね。

あなたの土地が狭くなる?道路のセットバックについて解説します

お金がかかる土地

土地は買ってすぐに家を建てられる土地もあれば、家を建てるためにお金をかけて工事する必要な土地もあります。

たとえば環境もいいし価格もお手頃なのでお買い得な土地と思って購入したけども、実は家を建てるために数百万円の費用がかかる土地というのもよくあるんですね。

どうしてそんな事が起こるかというと、不動産屋は土地の仲介をするのが目的ですし、また売主さんも土地を売るのが目的なのですぐに家が建てられるような状態に整備して売りに出すというのはかなり稀です。

そのため、土地を購入する際には今後どれだけお金が掛かる土地なのか目利きが必要となってくるんですね。

 

ただ、やはり一般の方がそこを目利きするのはかなり難しいもの。

そんな時に味方になってくれるのが、住宅会社や工務店といった家を建てるプロと一緒に土地を見てもらうという方法です。

そうする事で、家を建てるまでにどれくらいの費用が必要になりそうなのかが分かるんですね。

 

たとえばすでに水道などのインフラが引き込まれていればいいですが、引き込まれていなければ相応の工事が必要になってきます。

また、土地の大きさ、形、高低差といったものでも家を建てるために必要な費用に違いがありますし、家を建てるために必要な申請というのも違います。

このような部分は家づくりに慣れていれば見当がつきますが、そうでない場合は工事費含めて予想するのはかなり難しいものです。

最初からお金がかかるのが分かっているのか、それとも土地を購入した後でお金がかかる事が分かるのかで、家づくりの計画は大きく変わってきます。

そうならないためにも、家を建てるために土地代含めてトータルにどれだけお金がかかるのか。

この部分を知った上で土地を購入するというのが大切なんですね。

(実際、先に土地を購入してから家づくりの相談に来られた場合、追加で土地に必要な工事金額を知って家づくりの計画を練り直すという方は意外と多くいらっしゃいます)

何年も売りに出されている土地

土地の中には何年も売りに出されている土地というのも存在します。

そのような土地は何らかの問題を抱えている場合がほとんどなので、あまり手を出さない方が無難です。

一般的に売れ残る土地でよくある原因としては、価格が高かったり土地の広さが中途半端というケースが多いですが、その他にも原因がある事も。

たとえば近隣とトラブルを抱えている土地であったり、土地に不明瞭な部分があったりなど、売れ残るそれなりの理由があるんですね。

そのため、何年も売りに出されている土地というのは一般の方向けというよりも玄人向けの土地ということになり、逆に言えばそんな玄人も中々手を出さないので売れ残っているとも言えます。

このように、いつ売りに出されているかは掲載情報にも載っていますし、不動産屋に聞いても分かります。

あまり長い間売りに出されている土地を検討する場合は、その売れ残っている理由を全てハッキリさせてから購入したいですね。

敷地境界がハッキリしない土地

一般的に売られている土地は敷地境界がハッキリした土地がほとんどですが、稀に境界が曖昧な形で売りに出されている土地というのも存在します。

そして、この境界がハッキリしないというのは土地トラブルの定番です。

土地の境界がズレると数十万〜数百万円の違いが出てくるので、お互い譲らずトラブルに直結してくるんですね。

そのため、土地を購入する場合は必ず境界がどこなのかをしっかり確認しておくことが重要となります。

(万が一境界がハッキリしていない場合は、売主に確定してもらうというのが基本です)

また、古い土地の場合は境界の杭がどこにあるか分かりにくい時もあるので、後々トラブルにならないためにもどれが境界杭なのか見ておく、また画像など記録しておくのも大切なんですね。

 

ちなみに、境界杭は色んな形の杭があります。

境界杭

簡単に動いてしまうと境界杭の役目を果たしてくれないので、地中に埋まるようになっているなど、基本的に動かない杭がベストです。

少なくとも気になる土地の場合は、杭の状態も含めて境界を確認しておきたいですね。

不整形な土地(形の悪い土地)は避けた方が無難?

一般的に住宅地の場合は正方形や長方形など、綺麗な形をした土地が多くを占めます。

その一方、三角形や台形など、敷地条件によって様々な形の土地というのも存在します。

では、このような不整形な土地は買わない方がいいのでしょうか?

 

実際には、不整形な土地でも間取り次第で十分満足いく家を建てることができます。

その土地の形を活かした家を作るという訳ですね。

また、不整形な土地は価格も安く税務上の評価も低いというメリットもあるので、その分だけ家に予算を掛けることもできるため、家をアレンジしやすいという側面もあります。

 

ただ、このような不整形の土地はどの住宅会社も得意としているわけではありません。

ユニットを組み合わせて作るハウスメーカーなどは特殊な土地に対応していないことがありますし、設計力の低い住宅会社では不整形な土地を活かす間取りを作るのが苦手というケースがあるからなんですね。

そのため、不整形の土地を活かせる住宅会社はある程度限られてきますが、そのような住宅会社とタッグを組んで家を建てる場合は不整形の土地というのは十分魅力的な選択肢となってくるんですね。

まとめ

今回は買ってはいけない土地について詳しく見てきました。

土地というのは人生の中で何度も購入する物ではないので、今回のような情報を知っているか知らないかで土地探しの成功、失敗というのに大きく影響してくるんですね。

そのため、今回ご紹介したような土地を検討する場合は注意すると共に、あなたの価値観に合った土地なのかどうか一度確認してみてくださいね。

 

ちなみに土地の価値観の違いについての少しだけ余談を。

建築士として家づくりをしていると、日々いろんな土地を見かけます。

そしてある日、たまたまある方の地鎮祭に参加することがありました。

その方が家を建てた土地は家の裏側に小さな雑木林がある土地だったのですが、土地に着いてしばらくするとその方は林の方に目をむけています。

私が

「何か気になる事ありました?」

と質問すると、

「いえ、別に。大丈夫です。」

という返事が。

しかし後日、たまたま話を伺う機会があり、その時の話を詳しく聞いてみると意外な事実が。

その方は色んな物が見えるらしく、以前見た雑木林の中にも得体の知れないものがいたそうです。

ただ、その方はそれを知っていながら土地を購入、そして家を建てられました。

私は霊感などは全く無いにも関わらず、隣に何かいると言われた土地を購入するのはやはり抵抗を感じるので、その点を聞いてみると

「悪い感じの物じゃなかったから気にしないです」

という回答が。

何かあったとしても気にしない人は全く気にされないんですね。

 

似たような話としては、「お墓が隣にある土地はダメ」という人もいますし、「お墓は全く気にしないし隣に何も建たないから日当たりもよくてラッキー」という人もいます。

このように、人によって土地の捉え方、価値観というのはかなり違いがあるんですね。

そして土地の何がダメ、何はOKというのをすぐ決めるのは難しいですが、土地を見た時に気づいたことをメモしておけば、後で何がダメで何がOKか何となく分かるようになっていきます。

土地探しから家づくりを始める場合は、このような部分から始めておくとよりスムーズに土地探しをすることができるんですね。

 

土地はほとんどの人にとって始めて買うものですが、見るポイントが分かれば後悔せず土地を買うことができます。

ぜひ今回の内容を参考に、家づくりに最適な土地を見つけてくださいね。

では。

 

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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