勾配天井の照明

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勾配天井にするなら知っておきたい照明アイデア5選

勾配天井とは屋根形状にあわせて斜めにした天井のことを言います。

斜めになっている分だけ通常のフラットな天井よりも高さが出るので、室内が広く見えて開放感があるというのが勾配天井の大きな魅力です。

勾配天井ってどうなの?勾配天井の魅力とデメリット

 

ただ、斜めの天井ということで平らな天井とは違った照明手法を検討する必要も出てきます。

勾配天井にすると、普通のフラットな天井よりも照明計画が難しくなるんですね。

そこで今回は勾配天井を計画している皆さんに照明アイデアについてご紹介します。

勾配天井を検討されている方はぜひご覧ください。

勾配天井の照明にはどんな特徴がある?

日本の一般的な室内照明は、天井に照明器具を設置して光を上から下に照らすケースが一般的です。

一方、勾配天井は通常の平天井と違って斜角の天井になるため、室内の位置によって天井高が変わってきます。

通常、室内天井の高さは約2m40cmを基本としている住宅が多いですが、勾配天井の角度によっては天井の高さは3mを超えたりするんですね。

そのため、2m40cmの平天井の中心に設置された照明器具とは床やテーブルまでの照射までの距離も違ってきますし、床への反射率も異なり、平天井の時とは明るさが違うということが発生します。

 

また、通常の室内灯を斜めの勾配天井に取り付けると、照射角度が真下ではなく角度がつきますので、まっすぐ床まで降りてくる光が少なくなり、その部屋で過ごす際になんだか落ち着かないというケースもあります。

そのため勾配天井にする際には、その部屋にあった照明計画にする必要が出てくるんですね。

勾配天井の代表的な照明手法

それでは、勾配天井の代表的な照明手法を見ていきましょう。

 

上から吊るす

勾配天井の照明(ダイニング)

コード式の照明器具を使って部屋に必要な明かりを取る方法です。

勾配天井の場合、天井に直付けするようなシーリングライトですと先にあげたように床に対して斜めに光が当たるので、光が室内に均等に配灯されません。

一方、天井に直付けする照明ではなくコードで垂らす照明を使って照明器具と床を平行にすることで、より安定した光源を作り出すことができるようになるんですね。

 

また、上から吊るすタイプの照明はデザインが豊富なのも魅力の1つ。

勾配天井の照明(ダイニング)2

Photo:daiko

特にダイニングの照明は部屋の印象を左右するので、目指す部屋の雰囲気に合わせて選べるというのはうれしいですね。

 

一方、勾配天井で上から吊るす照明を使う場合に注意しておきたいのが、照明器具を吊るす際に器具に負担がかからないよう傾斜天井用の引掛シーリングを取り付けることです。

この引掛シーリングは55度程度までの傾斜であればボール状のシーリングキャップが可動して照明器具のコードを垂直に垂らすことができるようになっています。

傾斜天井にシーリングファンなどを吊るす場合も同様に引掛シーリングを用意してくださいね。

勾配天井の引掛シーリング

梁に設置する

勾配天井の場合、天井空間に梁が出てくるケースもあります。

そして、この梁を利用して梁の上または下、または梁せいといって梁の側面に照明器具を取り付ける方法という方法もあります。

こんな感じですね。

勾配天井の照明(梁)

梁から床までは一般の平天井時の距離程度ですので、室内(床)をより明るくしたい場合には有効な手法となります。

照明器具としては、スポットライトや細長い管タイプの照明器具が丁度良いですね。

スポットライトの照射範囲は一般的なシーリングライトより狭いので、照射の位置を自由に移動させたい場合は梁にライティングレール(ライティングダクトとも言います)を設置し、ライトの位置を移動させるようにしておくと便利です。

また、梁上に照明を取り付けて天井面に光を向けることで間接照明的な使い方をすることもできます。

梁で照明を隠せるのでオシャレに見えやすいですし、勾配天井の広い天井面も明るさを確保できるようになるんですね。

ちなみに、梁の下を照らすか天井面を照らすかで部屋の印象はかなり違いがあります。

勾配天井の照明(明るさの比較)

手元を明るくしたい時は下を照らし、くつろぐ時は天井を照らすなど、シーンによって分けられるようにしておくのも良いですね。

 

一方、このように梁の上に照明を付ける場合は束(つか)といって梁を支える縦状の構造物が有るか無いかがチェックポイントとなります。

束がある場合は光の影になることがありますので照明の近くに束を配置しないようにしたり、束がどうしても多くなってしまう場合は梁の上に照明を付けるのを避けるのも1つの方法と言えます。

勾配天井の照明で注意したい束

また、梁は構造体ですので照明器具の配線が埋め込めず、むき出しになってしまうケースもあります。

その場合、たとえば梁を見下ろす位置にロフトなどがある場合は、配線が丸見えになることもありますので注意しておきたいですね。

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勾配天井用ダウンライト

通常のダウンライトは平天井用の仕様になっているため、傾斜天井でダウンライトを使う場合は傾斜天井用のダウンライトを使います。

傾斜天井用のダウンライトは、光が床に対して斜めの角度で照射することなく床に向かって垂直に光が照射するようになっているからなんですね。

 

ただ、ダウンライトは光源の広がりはあまりないことと、配灯位置によっては床から遠い照射になり床までの光量が少なくなることもありますので、ダウンライトの配灯数も多く必要となります。

そのため、部屋全体を明るくするには傾斜天井用のユニバーサルダウンライトを用いて壁面に光を当て、間接照明的に空間を明るくするという手法も効果的です。

(ユニバーサルダウンライトとは、下のダウンライトのように光を当てる位置をフレキシブルにできるダウンライトのことです)

ユニバーサルダウンライト

ちなみに、ダウンライトを使う場合は部屋の中心に配置するのか、壁側にダウンライトを配置するのかで部屋の雰囲気は違ってきます。

勾配天井の照明(ダウンライト)

部屋の中心に配置すれば部屋全体を満遍なく照らすようになりますし、天井の高い側にダウンライトを設置すれば空間に広がりが生まれるようになるんですね。

そのため、勾配天井をより活かすなら壁側を照らす方が効果が高くなります。

ただ、壁を照らす場合は光っている壁面が多いほど空間は明るくなりますが辞書や細かい文字を読む用ではなく、空間を照らすのがメインとなるので、机やベッド周りなどの手元の明るさに不安がある場合はフロアランプなどを設置できるようにしておきたいですね。

(1部屋に1灯ではなく、いくつか照明を使うのが明かりで部屋の雰囲気を出すためのポイントです)

 

壁に取り付ける

勾配天井の照明(壁付)

Photo:コイズミ照明

傾斜天井ということは、壁面の一方は天井が高くなり壁面積が大きいということですので、壁面を照らして間接照明的に空間全体を明るくするというのも効果的です。

ブラケットといって壁付けの照明で上下または左右に光量を散らすことによって空間を明るくするのも個性が出てオシャレですね。

 

また、個室の場合は先ほどのダウンライトと同じように、天井の高い面を照らすと部屋が綺麗に見えるようになります。

勾配天井の照明

このように壁に照明を付ける場合の注意点としては、クーラーなどの家電。

クーラーに光が直接あたるとせっかくのかっこよさが台無しになってしまうので、壁面照明の際は光の伸びる方向に障害物がないか確認しておきたいですね。

 

間接照明にする

勾配天井の照明(間接照明)

間接照明とは壁や天井などに埋め込んだ照明のこと。

間接照明は照明器具を上手く隠しつつ壁や天井を照らすことで、綺麗な光のグラデーションをつくることができるんですね。

そのため間接照明はオシャレな雰囲気を出すときには王道の照明で、勾配天井で間接照明を使うというのももちろん有効です。

 

そんな勾配天井の場合は高い天井面を照らすというのが基本的な使い方になりますが、照らして綺麗な場所は色々あるのでシーンに合わせて使い分けるという方法も。

たとえば、斜めの天井面に合わせて照明を照らすというのも勾配天井ならではと言えます。

勾配天井の照明(間接照明)2

 

また、天井面のフォルムを綺麗に出す場合は勾配に沿って間接照明にするというのも綺麗でいいですね。

勾配天井の照明(間接照明)3

 

その他、TVボードなどに照明を埋め込んで下から照らすという方法も鉄板です。

勾配天井の照明(間接照明)4

どの方法も部屋の雰囲気をグッと上げてくれるので、照明にこだわるなら間接照明を検討して見るのもいいですね。

 

番外編:照明付きのシーリングファン

勾配天井の照明(シーリングファン)

それでは最後に、シーリングファン付きの照明についても見ておきたいと思います。

天井が高い勾配天井の場合、冷暖房効率アップのためにシーリングファンを付けるというのは効果的です。

空気が流れて室内の温度を均一にしてくれるからなんですね。

そんな便利なシーリングファンですが、照明付きのシーリングファンというのもあります。

家電量販店の照明売り場でも結構見かけますし、見た目も一昔前とくらべるとスタイリッシュな物も多くなってきました。

 

では、実際に照明付きのシーリングファンはどうかというと、私たち建築士は照明付きのシーリングファンを積極的に使うことはほとんどありません。

その理由はいくつかありますが、一番の理由は部屋が均一な明るさになってしまうから。

照明は壁や天井を照らしたり、床置き照明や手元灯など様々な光を適材適所に上手く使うことで落ち着いた心地いい雰囲気の空間にすることができます。

そのため、部屋の真ん中にドンと大きな天井付け照明が付いてしまうというのはできるだけ避けたいんですね。

このような理由から、シーリングファンと照明は別々にするというのが基本的な考え方となります。

 

また、シーリングファンを取り付ける場合も周囲の照明には注意を払ってきたいもの。

シーリングファンを回している時に羽が照明の影になってチラチラして見えてしまうというのは必ず避けたいので、シーリングファンの近くに照明は配置しないというのが原則になります。

部屋全体を照らすためダウンライトがシーリングファンの近くに設置されているというケースもたまに見かけますが、そのような場合はあらかじめ照明計画を見直したりダウンライトの位置を変更して置きたいですね。

まとめ

今回は勾配天井の照明について詳しく見てきました。

勾配天井は斜めの天井だからこその注意点がありますが、その特徴を上手く使うことで色んな雰囲気の部屋にすることができるんですね。

もし図面だけでは照明空間が想像しにくい場合は、照明メーカーのカタログや画像などでイメージをつかんでみると、理想の照明計画に近くなるのでおススメです。

 

折角の部屋の見た目が印象的になる勾配天井です。

ぜひ、照明計画も含めて素敵な空間にしてくださいね。

 

勾配天井はこちらも参考にしてください。

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O型建築士

地域の工務店で1,500万円〜5,000万円の物件を年間20棟ほど携わる建築士。 家の設計の他、 工務店に向けた設計セミナーを開催。 今までに訪れた工務店の数は200を超える。 趣味は工務店と温泉巡り。 一緒に素敵な家を建てていきましょう! プロフィール詳細はこちら

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