こんにちは。ed-commons小林です。
家の仕様打ち合わせの中で、畳敷きの和室のしつらいについてご要望を尋ねるとお客様から返ってくる返事は大抵3つに分かれます。
- 伝統的な「ザ・和室」に仕上げたい
- モダンさが漂う「ジャパニーズモダン」に仕上げたい
- リビングとの続きの空間であるためリビングと違和感のないナチュラルシンプルなスタイルに仕上げたい
このような3つのご要望です。
それぞれの和室にするには一定の法則があるのですが、今日は和室のなかでも大事な要素である畳について焦点を当てていきたいと思います。
理想の和室空間の参考にしてみてくださいね。
畳の種類と名称
まずは畳の種類について見てみましょう。
畳は大きく分けて、次の3つの種類に分類されます。
- 縁(へり)あり畳
- 縁(へり)なし畳
- 半帖畳
以上の3つです。
畳というのは、畳床、畳み表、畳縁で構成されている置敷き床のことです。
大きさはざっくり2パターンに分かれており、1畳(じょう)サイズと半畳サイズです。
関東、中京、関西、山陰地方の地域によって1畳の大きさが異なりますが、簡単にいうと1畳はだいたい180cm×90cm、半畳はだいたい90cm×90cmと思ってください。
大まかにサイズは決まっているものの、実は畳は間取りによって大きさが異なり、工業製品のように規格がきっちりと統一されているわけではありません。
そのお家お家の和室のサイズにあわせた、オーダーメイド寸法なのです。
新築時に一枚だけ少し盛り上がっていることもありますが、その際も微調整をしてその和室になじませるようにします。
また、現代では、半畳サイズで縁なし畳のことを総称して琉球畳と言います。(実際には少し違いがあります)
い草と和紙畳のちがい
畳の空間にいると、ほっとするような天然のい草の香りで癒される・・という方は多いと思います。
自然素材でできた畳のある世界は日本独特の空間ですね。
ただ、この香りに慣れていない若い人は「嫌なにおい」と感じてしまう方もいらっしゃるようです。
今はマンションなど住環境の変化や、ジャパニーズモダンにぴったりの大胆な配色の、い草を使わない「和紙畳」というものも出てきています。
和紙畳とはこんな感じの畳です。
この和紙畳は縁がないので、先ほどの畳の種類で言うと「縁なし畳」という訳ですね。
和紙畳は、一見い草の畳のような仕上がりですが、カビや日焼けに強く、お手入れも簡単なため、色あせなどの心配も軽減されます。
和室をジャパニーズモダンにしてみたい方は和紙畳も検討してみるといいですね。
い草の畳と違って、和紙をこよった網目をもつ和紙畳は、色のバリエーションや網目の種類が豊富にあり、防汚加工も施されているので汚れにくく丈夫です。
また、い草は天然素材ですが、紙畳は工業製品のため、サイズが統一されています。
さらには畳職人が一枚一枚室内にあわせて手作りし大きさを微調整するものではないため、比較的お値段もリーズナブル。
また、天然素材のい草だとカビやダニの心配もありますが、紙畳は比較的害虫の発生を抑えられることから、アレルギーをお持ちの方にも好評です。
その他、和紙畳はい草の香りがしないので香りの苦手な人にも好評ですが、中にはい草の香りがしなくて逆にもの足りないという方もいらっしゃいます。
ですので、和紙畳を利用される際は、「い草の香りがしない」ということを覚えておいてくださいね。
ちなみに「スタイロ畳」というのは畳床の部材にスタイロフォームを使っている畳です。他には備長炭入りの畳などもあります。
ちょっとしたアクセント「縁」(へり)をこだわってみる
畳縁のあり、なしで迷われる方は結構いらっしゃいます。
市松模様のシンプルな琉球畳調をお好みの方は、畳縁なしを選ばれます。
経年による劣化などを考えると縁ありの方が端の処理がされているのでいいかなと思いますが、ここはお好みで選んでいただいても大丈夫です。
和室空間をずっと畳縁なしの琉球畳でイメージしていたのに、予算の関係で縁ありの畳を選択した方もいらっしゃると思いますので、ここでちょっと縁について学んでみましょう。
現在は畳の縁はお好みで自由に選ぶことができますが、実は、昔は、畳の縁は神社仏閣用、茶室用、など、それぞれ決められたデザインを用いる必要がありました。
畳縁のデザインによって、座る人の地位や、身分がわかるものだったんです。
例えば、これは繧繝縁(うんげんべり)といい、最高位の身分を表す畳縁です。
このデザイン、、どこかで見た事ありませんか?
そう、お雛様のひな壇に飾られているあの畳です。
出典:http://www.nakanishi-tatami.com/news/tag/繧繝縁/
では次に、こちらも見かけた事がありますか?
出典:http://ise-miyashi.com/13tokkahin/tokka11/tokka11%20_%20kourai.html
高麗縁(こうらいべり)といって、神社やお寺でよく使われている縁です。
こうした畳縁の話をすると、10人中9人くらいの方が、
「そうなの?今まで気にした事がなかったー!」
と驚かれます。
一回打ち合わせをして畳についてお伝えすると「あれから、実家やお友達のお家の畳縁を観察してきました」という方が続出するので、普段は本当に空間に馴染んでいるのが畳縁なのだと思います。
もし、目指す畳空間がシンプルかつモダンである場合、また、畳に色を乗せている場合は縁を目立たせるかアクセントにするかで空間の印象度がかなり違います。
和紙畳を販売しているダイケンさんでは、和紙畳と縁のコーディネートシミュレーションをサイトで行えますので、興味のある方はぜひやってみてください。
(縁を目立たせたくない方は、縁なしタイプを選ぶか、縁付きでも縁を和紙畳と同色にするとよいと思います)
→ダイケン
また、畳縁の大手メーカー高田織物さんでは、ジャパン・モダン、畳縁というキャッチコピーでオーソドックスな柄から個性的なデザインまで沢山の個性的な畳縁を展開しています。
→高田織物
面白い畳の縁のご紹介
今日はせっかくなので、おもしろい畳縁をご紹介しますね。
居酒屋さん向けにはこんなお茶目な魚柄の縁もあります。
見つけた人の笑顔が楽しみですね!
もう一つ、個性的でポップな縁はこちら。
いつもお世話に成っている畳屋さんが「こんなのもあるよ」とサンプル帳を持ってきてくれたので、私のお客様に見せたときがあるのですが、みなさん驚かれていました。
思いっきりモダンな畳空間や遊びの空間だったらよいかもしれないですね。
もちろん、オーソドックスな柄やシンプルなデザインも沢山ありますので、部屋になじませるのか、インパクトをもたせるのか・・コーディネートしてみてくださいね。
畳縁のデザインは、サンプル帳などの実物で確認しておくことをお勧めします。
畳縁は折って使いますので、思った以上にデザインが隠れてしまった、色がイメージと違った、などいろいろあるものです。
サンプル帳は個人で取り寄せると有料だったりしますので、建築士さんかインテリアコーディネーターさんに相談してみるとよいですね。
畳のお手入れ方法
日常のお手入れとしては、乾いた雑巾で畳の目に沿って乾拭きが基本です。
月1度程度は固く絞った雑巾で軽く表面を拭き取ります。
この時、特に和紙畳では強くこすると表面が白っぽく変色する恐れがありますので、特に濃い色の紙畳をご利用されている方は気をつけてくださいね。
掃除機を畳の目に沿ってかける際は、吸い込む力が強く畳を傷める場合があるので注意が必要。
ブラシ回転機能はオフにしておくのが基本になります。
もちろん、湿気は畳には大敵ですので、天気の良い日は窓を開けて風通しよくしておきたいですね。
お茶やコーヒー、ジュース、ペットのおしっこなどを紙畳の上にこぼしてしまった時は、乾いた雑巾で上から吸い取りましょう。
ゴシゴシと強くこすると畳が傷んでしまうので、あくまで「吸い取る」ことが基本です。
その他、タンスやテーブルなど家具を畳の上に置いて設置すると、凹みができてしまいます。
この場合は固く絞った雑巾を凹みにかぶせ、上からアイロンの熱をあてることで蒸気で畳が少しふっくらして凹みを小さくすることができます。
畳の凹みは見た目にもかなり気になるものです。
最近では収納量が充実した家が増えた事もあり、畳の上に物を置く事はかなり減って来ていますが、もし凹み跡が気になるようなら1度試してみてくださいね。
また、おもちゃ箱などを畳の上で引きずると、畳の表面に擦り傷がつく場合があります。
ひきずらないで持ち上げて運びたいところですが、小さな子供には分からずついついやってしまいがちです。
どうしても傷がきになるようになった場合、表替えや一部だけ畳を入れ替えるという方法も取れるのが畳の良い所。
小さい部分には目をつむって、お子さんが有る程度成長してから畳を新しくするというスタンスでいるのも、ストレスになりにくく効果的ですよ。
まとめ
それでは今日のまとめです。
- 畳のサイズは地域によっても違うが、1畳はだいたい180cm×90cm、半畳はだいたい90cm×90cm
- 畳は微調整して仕上げるため、1畳1畳のサイズが微妙にことなる
- 和紙畳は色展開が豊富だが、い草独特の香りがない
- 畳縁のデザインはなるべく実物で確認しよう
いかがでしたでしょうか。
普段、当たり前すぎて気付かない畳について今日はお伝えしました。
縁は以外に忘れがちですが、和室の印象を大きく左右します。
畳だけでなく縁も意識しながら、こだわりの畳空間を作ってみてくださいね。
和室についてはこちらも参考にしてください。
家づくり、土地探しに必要な情報はこちらにまとめています。家づくりの参考にどうぞ。