「住宅会社から間取りをいくつか提案してもらったのですが、どれも住みやすそうでいいなと思う反面、もっと自分達に合った間取りがあるのかも?という思いもまだ残ってしまいます。この場合はどうするのがベストなのでしょうか?」
先日、間取り相談を受けられた方でこのような悩みをお持ちの方がいらっしゃいました。
間取りのことを考えれば考えるほど、何が間取りの正解か分からなくなってしまっていたんですね。
では実際にこのような状況になった時、どうするのが正解なのでしょうか?
今回はそんな家の間取りの正解について詳しく見ていきたいと思います。
家の間取りが気になる方はぜひご覧ください。
間取りの正解はいくつもある
それでは、間取りの正解について見ていく前に、以前私が設計を担当したお施主さんのエピソードを1つご紹介したいと思います。
その方は少し変わった家づくりの経験をされた方で、1度家づくりを始めて工務店に間取りの提案までしてもらったけども、「とある事情」により家づくりがストップすることになりました。
その後、数年の時間が経ち家づくりを再開するも、また諸事情によりストップするということを合計3度繰り替えすという珍しい経験をされ、最終的に4度目で念願の家を建てられた方でした。
(実際に私と家づくりの打ち合わせをする前の3回の家づくりは、それぞれ違う地域の別の工務店と打ち合わせをされていました)
私との家づくり中はこれまで打ち合わせしてきた工務店へのマナーとして、それまで提案された間取りを自分から見ることはありませんし、ほとんど話をすることはありませんでした。
ただ、やはり建築士である私としても、それまで提案された3社の間取りというのもちょっと気になるもの。
そこで家が完成してから伺った際に、その部分を聞いてみました。
すると、
「完成した家を含めて4つの間取りはどれも素敵な間取りでした。私たちの希望も入れてくれているし、いろんな提案もしてくれて間取りを見るのはとても楽しかったです。前の間取りを見せて家を建ててもらうのは、以前に提案してもらった工務店にも、新しく提案してくれる工務店にも失礼のように感じたので見せることはありませんでしたが、どれも暮らして楽しそうな家でしたよ」
このような答えが返ってきました。
「もちろん、どれが一番かと言われたらO型建築士さんと建てた家が一番ですよ」
と私を立ててくれましたが、間取りの話をされている時にすごく楽しそうだったのが印象に残っています。
これは例として分かりやすいエピソードなのでご紹介させていただきましたが、ここで分かることは、
「間取りの正解は1つだけでは無い」
ということです。
実は、間取りにはそれこそ数え切らないくらいの正解があるんですね。
先ほどご紹介させていただいた方は、これまで提案された4つの間取りそれぞれが正解の間取りだと感じていました。
その理由は、間取りで重要な項目がどの間取りにも含まれていたから。
その間取りで重要な項目というのは
- あなたの暮らしたい生活を実現してくれる間取りなのか。
- 間取りとして生活しやすい間取りになっているのか。
- 敷地のメリットをより活かし、デメリットをどれだけ消してくれる間取りなのか。
大きく言うとこの3つです。
これが満たされていれば、それは正解の間取りということになるんですね。
この3つの条件を満たす方法は数多くあるので、実際に間取りというは物凄い数になるのが分かります。
たとえば、「明るいリビング」にするためには南側にリビングを配置するなど場所以外にも、吹き抜けを作って光を入れる方法や、2階リビングにして周りの家の影響を極力少なくするなど、色んな方法が考えられますし、南側以外でも敷地の東側から光が入るなら東側の光を積極的に取り入れるなど、敷地の特性を活かすことができれば、より暮らしやすい家をつくることができます。
→吹き抜けのメリット、デメリットと失敗しない吹き抜けの作り方
→2階リビングのメリット、デメリットをプロの建築士がまとめました【絶対保存版】
このような選択肢の連続の中で、間取りという物はできあがってくるんですね。
極端な話、何も無い平原の真ん中に家を建てるのであれば敷地の使い方というのは無限に近いくらい選択肢があるので、正解の間取りというのも無限に近いくらい存在することになります。
その一方、敷地がコンパクトであったり条件が厳しい場合であれば、間取りの選択肢というのはかなり限られることになります。
基本は敷地で一番条件の良い場所にLDKを作ることになりますが、敷地が限られていればLDKの位置というのは必然的に決まってくるケースが増え、あとはLDKだけでなく残りのスペースを如何に快適にできるかという部分が重要になってくるんですね。
この辺りは、大枠の間取りを作る力よりも、細かいディテールや居心地の良い空間を作る力が問われるようになります。
このように、敷地に左右される部分はありつつも、間取りの正解というのは決して1つではないんですね。
いくつかの間取りでどうしても悩んだら
では次に、冒頭のご質問のようにいくつかの間取りで悩んでしまった場合はどうすればいいのでしょうか?
間取りで悩んでしまうケースとして多いのが、
- 今の間取りが本当に正解かどうか分からない
- もっと良い間取りがあるのかもしれない
このような心理状態になっているケースがほとんどです。
(例外として、間取りに不満があるけども良い間取りが出てこないのが悩みというケースも時々あります)
そしてこのような悩みを解決する場合、この不安の根本を解決するというのが1番の特効薬となります。
では、どうすれば不安を解決することができるのでしょうか?
まず第一は設計者に間取りで悩んでいる旨を伝えて解決策を提案してもらうというが大前提となります。
(その場合、ちょっと間取りに手を加えて解決というケースは意外と少なく、もっと根本的な部分が原因なケースが多いので、何に不安を感じているかしっかり伝えて回答をもらうのが大切になります。また、長くなるのでここでは具体的な方法は控えますが、この部分を解決できるかどうかは設計者として力量が問われる部分でもあります)
もしそれでも解消しない場合は、私のような第三者の建築士を通して間取りを見てみるというのも効果があるので、検討してみるのも1つの方法となります。
家づくりはモヤモヤしたまま家を建ててしまうと、家が建ってからも何か不便を感じた時にモヤモヤを思い出してしまうこともあります。
家づくりでは悩みはその場その場で解決する。
特に間取りは一度確定させてしまうと変更するのがかなり難しくなってしまうので、間取りの悩みは解決してから家づくりの次のステップに進むというのはとても大切なんですね。
まとめ
今回は家の間取りの正解とはどういう物なのかについて詳しく見てきました。
正解の間取りというのは1つだけでは無く、いくつも正解がある世界です。
そのため、間取りを真剣に考えれば考えるほど間取りで悩んでしまうということもあります。
間取りで悩んでしまった場合は、その悩みの原因を解決できるかどうか。
間取りそのものも大事ですしが、この間取りで進めていこうと思えるようになること。
この気持ちの部分というのもとても大切なんですね。
では。
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